■■道標の冬海路−扉(ゲート)1−血の薔薇■■
東圭真喜愛 |
【0086】【シュライン・エマ】【翻訳家&幽霊作家+草間興信所事務員】 |
草間興信所からの某依頼の帰り道、あなたは迷子になっていた。時刻は、既に夜に近い。
どうしようか考え込んでいると、ふとパッと明りが目をつき、思わずあなたは目を閉じた。
また目を開くと───そこは、街の中だった。
どこの街なのか───否、それとも既に「街の敷地内」に入っていたのか。
街は、どの家にも、夜だというのに明りがついていない。ただ、ひとつだけ宿屋らしきところにだけしか。
空を見上げると、天候も悪く、一雨きそうだったので、あなたは「モンシャルマン」と看板の立て掛けられたその宿屋の前で掃除をしている人物に一晩宿を貸してもらえないか声をかけた。
その人物は仮面をしており、黒いコートの青年だった───不気味には思ったが、青年は軽く「いいですよ」と答えてくれた。
「ああ───宿代のかわりに、ひとつだけ頼みが。いいですか?」
ラウルと名乗ったその青年の頼みとは、街外れのフォウ・ザカドという大きな館に住んでいるシャニーという女の人に、花束を渡してほしい、ということだった。
「ぼくが行きたいんですがぼくもなにぶん多忙でして……。急ぎの用事なのです」
随分と切迫した、哀しげな口調だった。
「どうでしょう……引き受けてはもらえないでしょうか。この街の人達は皆早く寝てしまうのでもうこの時間では誰にも頼めないので……」
あなたはとりあえず、引き受けることにした。青年はすぐに、花束を持ってきた。フォウ・ザカドはちょっと北のほうに歩けば見えてくるところにあるらしい。申し訳ないがお願いします、という言葉と共に、ラウルはあなたに赤い薔薇の花束を差し出した。
食事を宿で取った後外に出ると、まだ雨は降ってきそうにない。ただ、通行人が2〜3人のろのろと歩いているのが見えた。先刻は誰一人、あのラウル以外いなかったのに───疑問に思う間もなく、通行人の喋る声が聞こえてきた。
「フォウ・ザカドは悲劇の館……」
「近づいちゃ不幸になるよ、不幸になるよ……」
あなたが何か質問しようとしても、まともにとりあってくれない。どこか虚ろな瞳でのそのそと、また家路につく。
あなたはとりあえず、フォウ・ザカドに向かった。
言われたとおりに少し北へ向かうと、それらしき大きな館が見えてきた。鉄門の館、かなり旧く、苔むしていて鉄門の鍵も腐りかけている。
鉄門を通して見える館の窓に、ちらりと娘の影が動いたような気がした。
不審に思いながらも鉄門を入ると、荒れ尽くした中庭と枯れた噴水があり───入ったところで、風でも吹いたか何かの拍子か、鉄門は閉まってしまい、どうにも開きそうにない。能力を駆使しても無駄のようだった。そのまま先に進むと、これも鍵の壊れかけた鉄の扉で───十中八九、館本体の扉だろう。
あなたが開けるより早く、その扉は待っていたように向こうから開かれた。
館の中は荒れ果てていて暗いが、歩けないほどではない。正面に絨毯が敷かれた階段があり、両脇に分かれている。右と左に扉がある。
どちらに行こうか、それとも先に呼びかけだろうかと迷っていると、誰かが階段を降りてくる足音がした。
白金髪にふわふわのワンピースを着た美しいその女性が、あなたの前に立って小首を傾げる。
「御客様なんて久しぶりね……わたしはシャニー……何しにいらしたの?」
そして、あなたは赤い薔薇を、彼女に渡した。
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■道標の冬海路−扉(ゲート)1−血の薔薇■
草間興信所からの某依頼の帰り道、あなたは迷子になっていた。時刻は、既に夜に近い。
どうしようか考え込んでいると、ふとパッと明りが目をつき、思わずあなたは目を閉じた。
また目を開くと───そこは、街の中だった。
どこの街なのか───否、それとも既に「街の敷地内」に入っていたのか。
街は、どの家にも、夜だというのに明りがついていない。ただ、ひとつだけ宿屋らしきところにだけしか。
空を見上げると、天候も悪く、一雨きそうだったので、あなたは「モンシャルマン」と看板の立て掛けられたその宿屋の前で掃除をしている人物に一晩宿を貸してもらえないか声をかけた。
その人物は仮面をしており、黒いコートの青年だった───不気味には思ったが、青年は軽く「いいですよ」と答えてくれた。
「ああ───宿代のかわりに、ひとつだけ頼みが。いいですか?」
ラウルと名乗ったその青年の頼みとは、街外れのフォウ・ザカドという大きな館に住んでいるシャニーという女の人に、花束を渡してほしい、ということだった。
「ぼくが行きたいんですがぼくもなにぶん多忙でして……。急ぎの用事なのです」
随分と切迫した、哀しげな口調だった。
「どうでしょう……引き受けてはもらえないでしょうか。この街の人達は皆早く寝てしまうのでもうこの時間では誰にも頼めないので……」
あなたはとりあえず、引き受けることにした。青年はすぐに、花束を持ってきた。フォウ・ザカドはちょっと北のほうに歩けば見えてくるところにあるらしい。申し訳ないがお願いします、という言葉と共に、ラウルはあなたに赤い薔薇の花束を差し出した。
食事を宿で取った後外に出ると、まだ雨は降ってきそうにない。ただ、通行人が2〜3人のろのろと歩いているのが見えた。先刻は誰一人、あのラウル以外いなかったのに───疑問に思う間もなく、通行人の喋る声が聞こえてきた。
「フォウ・ザカドは悲劇の館……」
「近づいちゃ不幸になるよ、不幸になるよ……」
あなたが何か質問しようとしても、まともにとりあってくれない。どこか虚ろな瞳でのそのそと、また家路につく。
あなたはとりあえず、フォウ・ザカドに向かった。
言われたとおりに少し北へ向かうと、それらしき大きな館が見えてきた。鉄門の館、かなり旧く、苔むしていて鉄門の鍵も腐りかけている。
鉄門を通して見える館の窓に、ちらりと娘の影が動いたような気がした。
不審に思いながらも鉄門を入ると、荒れ尽くした中庭と枯れた噴水があり───入ったところで、風でも吹いたか何かの拍子か、鉄門は閉まってしまい、どうにも開きそうにない。能力を駆使しても無駄のようだった。そのまま先に進むと、これも鍵の壊れかけた鉄の扉で───十中八九、館本体の扉だろう。
あなたが開けるより早く、その扉は待っていたように向こうから開かれた。
館の中は荒れ果てていて暗いが、歩けないほどではない。正面に絨毯が敷かれた階段があり、両脇に分かれている。右と左に扉がある。
どちらに行こうか、それとも先に呼びかけだろうかと迷っていると、誰かが階段を降りてくる足音がした。
白金髪にふわふわのワンピースを着た美しいその女性が、あなたの前に立って小首を傾げる。
「御客様なんて久しぶりね……わたしはシャニー……何しにいらしたの?」
そして、あなたは赤い薔薇を、彼女に渡した。
■姉弟だけの館■
薔薇は、四束あった。
シャニーは特別驚きもせず、にっこり笑ってすべてを受け取った。
「ありがとう……。きっと、ラウルからね。
外は、寒かったでしょう。薔薇のお礼がしたいから、中に入って奥の間で待っていてくださる?」
「奥の間……お屋敷の中もあまりお手入れされていらっしゃらないようですけれど、お庭の樫の木は実にもったいないですわ。あそこまでになると、お手入れが大変ですわよね。やりがいはありそうですけれど」
オーソドックスなメイド服に外套を羽織ってたおやかなしぐさで言っているのは、篠原・美沙姫(ささはら・みさき)である。興信所で用を済ませ、主家である屋敷に急いで戻っていたはずだったのに、何故か道に迷い、ここに至る。
メイドの職業柄か、屋敷の様子を見てそんなことを口走ってはしまったが、内心、「些か物騒な霊気ですね」と少し警戒していた。
「お礼は断る理由もないのですけれど、帰り道にちょっと困ったことが。鉄門が壊れてしまったようなので、勝手口か何かはありませんか? それと、ラウル氏に伝言か何かありましたらお伝え致しますが」
なるべく失礼にならないようにと慎重に話をしているのは、同じく興信所に来た依頼を解決し、寒くなってきたので焼き芋でも買っていこう、とスーパーに足を向けたはずのシュライン・エマだ。
彼女のほうから会いに行くことは出来ないのだろうか、と素朴な疑問を抱いてるシュラインは、このシャニーという少女の心音を探っていた。
「お礼と言われるほどのことはしてはいないのですが……門もああなってしまったことですし……館内で休ませては頂けませんか、と此方から言おうと思っていました……」
しきりに屋敷の中を気にしているのは、こちらも帰り道から今に至っている伏見・夜刀(ふしみ・やと)。通りすがりの「人間」が言っていたこの館のこと、そして開かなくなった門、奇妙な気配。何かあるのか、と思ってはいたが───。
屋敷の扉のとってを掴み、それによって彼の能力で現時点で感じられたことをこのシャニーという少女の前で言うのははばかられ、彼はとりあえず胸の中にしまった。
「閉まったっていうか───こういっちゃなんだけど、まるで意思を持ったみたいに私達が入った途端に閉じたから、ね」
そう言ってシャニーの反応を見ようと試みたのは、これから夕食の買出しに行こうというときにこんなことになってしまった由良・皐月(ゆら・さつき)である。
(ていうか街全体が死者の街とか言われても納得するわねこりゃ)
今までの「人間」達の様子、街の様子、屋敷の様子から考えて、そんなことを思い、皐月はこっそりとため息をついた。
シャニーは4人それぞれの言葉をきくとひとつうなずいた。
「お屋敷には、わたしともう一人、リシャールという弟しか住んでいないの。二人しかいないから、手入れもおろそかになってしまって。お客もあまりこないし、わたしも身体が弱くてあまりお屋敷から出ることができないし───。
門が閉まったのは、ヘンな話ね。でも安心なさって。ここでは、誰もあなた達をとって食べようなんて者はいないから。出入り口はあそこしかないの、だからリシャールに言って、門を直してもらうわね」
奥の間はあちらよ、と指差しておき、シャニーは四束の赤い薔薇を鼻唄を唄いながら嬉しそうに抱え、右側の通路へ消えていった。
◇
奥の間。
そこは、客間というよりは、ちょっとした書斎のようなところだった。
古びた棚に埃をかぶった様々な本が所狭しと並べられ、窓際に向けて机と椅子、そして部屋の真ん中には天井の薄暗い電灯に照らされて、白いテーブルクロスのかかった丸いテーブルに何脚か椅子が置いてあった。
「それにしても」
美沙姫が、全員が椅子に腰掛けてから口を開く。
「本当にこの屋敷の有様といい、物騒な気配といい───ここまではっきりと包み隠さず、と申しましょうか───いかがわしい様子を見せられていると、どこに警戒を一番においていいのか、どこからシャニー様にお尋ねしていいものか迷いますわ」
「そのことなんだけれど」
シュラインが、機を見計らったように顎に折り曲げた人差し指を押し当てつつ、3人の顔をじゅんぐりに見る。
「少々失礼とは思ったけれど、赤い薔薇に哀しそうな表情の仮面の青年───ラウル氏。この二つから吸血鬼を連想していたの。もしかしたら私達に託した薔薇は、『人を食事せずにすむよう』彼女に渡したか、または……私達が餌っていう合図に、か。それで、シャニーさんの心音も確かめていたのだけれど」
心音は、なかったのよ。
シュラインのその一言に、美沙姫は目を見開き、夜刀は少し息を呑み、皐月は「やっぱり」というふうに大きくため息をついた。
「常人にも見える幽霊って、結構いるしね。でもそうすると、ラウルさんの意図が分からないんだけど。何かのシグナル?」
皐月が腕組みをして考え込んでいる隣で、話すタイミングをうかがっていた夜刀が、
「……この屋敷、ですが……はしばしに、気になるものを感じるんです……」
と、ようやく言葉にした。
「たくさんの炎と……苦しみ、呪縛の術をとなえる人影……たくさんの、血……そして、救いを求める、強い声───」
夜刀の言葉を聴いていた3人は、頭の中でそれらの単語から繋がるものをいくつか思い浮かべてみた。
それでも決定的なこれ、というものの確信がもてないようで、やはりシャニーやリシャールという彼女の弟に少しそれとなく話をしてみよう、ということになった。
噂をすれば、シャニーが赤い薔薇をひと束だけと紅茶セットを手に入ってきた。
「カップを洗ってきたの。お客様なんて久しぶりだから、本当に嬉しくって!
とっておきの紅茶をお淹れするわね」
こぽこぽ、と、カップに注いでゆく。
彼女の一番近くにいた美沙姫が、漂ってきた異臭にわずかに眉間にしわを寄せた。
「失礼ですが……そのお紅茶、買い置きのものですか? 随分と悪くなっていると思うのですが」
つい聞いてしまう美沙姫に、自分のぶんも含めて「紅茶」を淹れ終わったシャニーは、きょとんと彼女を見つめ返す。
「あら、けれどこれ、リシャールの魔法で保存していたものだもの。そうそう悪くなったりなんて、しないわ」
かちゃかちゃとシャニーは全員の前にカップを置き、自分は立ったまま、美味しそうにすする。
「ほら、なんて美味しい! ローズティーよ。皆さんも、召し上がって」
美沙姫でなくとも、自分達の前に置かれたカップからする異臭に、他の3人も鼻を押さえるのを我慢していた。
液体は色こそ透明なものの、どろりとしているのが目に見えて分かる。
「その」
皐月が、この紅茶を作った人間の神経を疑いつつ、たずねる。
「弟さん───リシャールさんに、ちょっとお話をうかがいたいんだけど、今忙しいの?」
「リシャールに? 大丈夫だわ、わたしが呼べばすぐにあの子はくるのだもの。待っていらしてね」
かちゃん、とカップをテーブルの上に置き、シャニーはぱたぱたと出てゆく。
その間に急いで窓を開け、下の地面に、内心「ごめんなさいね」と謝罪しつつ、全員のぶんのカップの中身を捨てる、シュライン。シャニーに悪気はなくとも、これを飲んだら何かしら異常があらわれるかもしれない。
けれど、せっかく出したお茶を全員が飲まずにいたら、彼女は傷つくだろう。シュラインが考えた、それは気遣いだった。
「魔法で保存……と言っていましたね」
言いつつ、そっと、まだ数滴残っているカップに手を触れる、夜刀。
流れ込んでくる───映像。これは───氷?
「氷……しか、見えません。いえ、わずかに……透き通るほどの氷に透かされて、洋服の裾のようなものが……見えます」
「先ほどは炎、と仰っておられましたわね。そして、次は氷ですか」
美沙姫は、小首をかしげる。
「できれば首を突っ込みたくない気が物凄くするんだけど、多分『何かをどうにか』しなきゃ帰れないんでしょうね」
眉間を押し揉んでいる皐月の言うとおりなのだろう、と全員が思う。
そして、いつまで経ってもシャニーと、彼女の弟であるリシャールという男性も現れない。
「もう二時間以上は経ってるわよ」
いらいらと爪を噛む、皐月。
「さっきよりも寒くなって参りましたわね」
外套の襟元をあわせる、美沙姫。
「何か……あったのでしょうか……」
不安そうに、夜刀がしきりに扉のほうを気にしている。
「こうしていても埒があかない気がするし、二階に見えた人影も気になるし……探しに行きましょうか」
考えたすえ、思い切って、シュラインが言った。
■血塗られた影■
月明かりだけを頼りに、二階へあがる。
極上ではあるのだろうが、年季の入った木でできた階段は、足音をしのばせてもギシギシと鳴り響いた。
ぴ・しゃ───……ん
ちいさな音にその足を止めたのは、耳が異常なまでに良い、シュライン。しんがりをつとめていた夜刀の向こうがわを、目を凝らすようにして細めた彼女は、
「どうかしたのですか……?」
と、不思議そうに聞いてくる夜刀の声と共に再び同じ音を聞き取り、表情を厳しくした。
「何か、近づいてくるわ」
小さな、しかし全員の耳に届くには充分な声量で、シュラインは警告した。
はっとしたように先頭に立っていた美沙姫、そのあとに続いていた皐月、しんがりの夜刀がシュラインと同じ方向を振り返る。
「この、……におい」
頭が、がんがんするほどの───哀しみの念を背負った、恐らくは───血。
「急ぎましょう!」
美沙姫の声に、皐月、シュライン、夜刀と続いて走り出す。二階に上がりきってしまうと、長い廊下が続き、左右に扉が点々とくっついている。
どこかの部屋に入って「それ」をやり過ごそうと思っても、扉はどれも鍵がかかっていて、開かない。
ピン、と皐月の頭の中で、勘がはじけた。
「あそこ! あそこだけ多分、鍵が開いてる!」
鍵開けを試みても、特殊な魔法ででも使っているのか、扉はどれも開かないと知り、皐月は自分の勘に頼ったのだった。
迷う間もなく、4人は皐月の指差した扉へなだれ込む。
その頃には、ちゃぷちゃぷと静かな、しかし獲物を狙う蛇のような雰囲気で近づいてきていた大量の血の海が、二階の廊下にまで侵入してきていた。
中に入り、二つついている鍵を閉める。
「……この部屋の中に浸透しないまま……消えてくれればいいのですが……」
祈るような気持ちで夜刀は、扉の外に聞こえる血の音を聞いている。
「電気のスイッチらしきものは、ありますけれど。もしかしたらこのお部屋、お庭から見た、人影があった場所ではございませんか?」
美沙姫が暗い中、スイッチを手探りでさがしあて、推測してみる。窓の外から庭を見下ろすと───ちょうどこの部屋だと思ったのだ。
「それが、私の勘が働いた理由かも」
納得のいったようにうなずく、皐月。
「つけてみましょうか」
美沙姫のすぐそばにいたシュラインの手が、同じく探り当てていたスイッチを押す。
ぱっ、と小さなランプが扉側の壁からあかりをともし、部屋の内部を明らかにした。
「「「「!」」」」
皆一様に、息を呑む。
窓際の、壁。
扉とは正反対の、向かい側の壁に。
少女と思われる「影」だけが、おびえたように動き回っていた。
◇
ああ ここは こおりづけからのがれた かげの すむところ
このやかた わなだらけ のろいだらけ
このおへやにも のろいの わなが
「呪いの罠、ですか」
脳に直接入り込んできた「影」の思念を聞き───彼女達が庭から見た人影というのは、このことだったのだ───、美沙姫がガチャガチャと扉の鍵を開けようとしてみる。なるほど、と思った。
「開きませんわね」
「一度閉めたら開かない鍵、か。私の鍵開けも通用しないし」
試みている皐月が、本当にどういう館なのよここは、とつぶやく。
「魔法や呪いとはいえ、こういった場所には往々にしてからくりがあると思うのだけど……」
考えるシュラインは、ゆっくりと視線を部屋の中にめぐらす。
「古びた机に……椅子、乾ききったインク……羽ペン……埃をかぶった本に……すみのほうに、がらくたが積んでありますね……」
夜刀が、「影」をおびえさせぬよう気をつけながら、そちらへ向かう。
ひとつひとつ慎重に触れていた彼はやがて、三つのものを選び取った。
ひとつは、緑色の小箱。
ひとつは、蠍を象った針の時計。
最後のひとつは、象牙の小鳥の置物。
「どう? 何か感じ取れる?」
皐月の問いに、夜刀はかぶりを振る。
「何かは感じる気がするんですが……はっきりと『何か』とは……」
「『影』様にお聞きしてはいけませんでしょうか?」
小首をかしげて提案した美沙姫の言葉に、自然、夜刀の手に持ったものから再び「影」へと4人の視線が集まる。
美沙姫と反対側の方向に、心持ち首をかしげるようにして、シュラインが尋ねた。
「知っていたら、教えてほしいの。この部屋から出るには、どうしたらいいかしら」
「影」は黙っていたが、やがて4人の頭の中に再び、思念が流れ込んできた。
みどりはあけて さそりはうごかして ぞうげはこわして
みんな いちどにいっしょに そうじゃなくちゃあだめなのよ
はやく しないと りしゃー・る に
───リシャール?
シャニーの弟だと言っていた彼の言葉を口にした「影」の「思念」に一層怯えが走った気がした。
とたん、
雷が木に落ちたような音がして、扉を破った血の海が恐ろしい勢いでなだれ込んできた。
「……、……!」
美沙姫が、早口で何かを言った。
瞬時に全員の身体を、ゆるやかな竜巻のようなものが包み込み、血の海から保護する。
美沙姫の能力のひとつ、精霊魔法による風属性の守護だった。
「ありがと、とりあえずこれで服が血まみれにならないですんだわ」
皐月が、夜刀から緑の箱を渡されながら、礼を言う。
「いいえ。お礼には及びません。けれどもこの海を操っておられる方、相当に強い力の持ち主のようです。扉は破られたといっても、そこから外に出るには───やはり、『影』様の仰られていたとおりのことをしなければならないのだと思います」
美沙姫が能力を維持している間、三人は分担を決めた。
皐月は、渡されたままに緑色の箱を。
シュラインは、蠍の針の時計を。
夜刀は、象牙の小鳥の置物を。
「針を動かせばいいのかしら」
蠍の、針。短針と長針があるが、今はぴったりとどちらも12の文字をさしている。
───いちか、ばちか。
シュラインは、針の動かし方を決めた。
夜刀は壁に向け、置物を壊す体制をとる。
「鍵がかかっている、けど。これは鍵開けでなんとかなるって信じよう、うん!」
皐月が、箱を少しだけ動かしてみて判断する。
なんとなく、この箱の鍵は魔法がかかっていない「気がした」。
美沙姫が懸命に風の保護を保っている間に。
三人は、せーので一度に行動した。
シュラインは短針と長針を、それぞれ反対方面にぐるりと一回転させ、元の12の文字までぴたりと戻す。
皐月は鍵開けで緑の箱をぱかりと開け。
夜刀は盛大な音を立てて、象牙の小鳥の置物を壁に叩きつけて、粉砕させた。
うそのように、血の海が消えた。
美沙姫が、小さくため息をついて風の精霊をいっとき、解放する。ゆるやかに起きていた竜巻もまた、消えた。
シュラインの手には、時計のかわりに小さな小瓶が残された。中には銀色の液体がたゆたっている。
皐月が開けた箱の中からは、古びたメモ帳が出てきた。ぱらぱらとめくってみると、何か書き付けたあとがたくさんあるものの、何が書いてあるかまでは文字がかすれすぎていて読み取れない。
夜刀が壊した象牙の小鳥の置物の中からは、魔法で閉じ込められていたかのように、するりと長剣があらわれた。それでもさびついていて、とても使えそうにない。
「何かをどうにかすれば、ひとつひとつに意味があるんでしょうね、これも」
言って何気なく壁のほうを見たシュラインは、そこに「影」が消えていることに気がついた。
「どこに行かれたのでしょう」
美沙姫が、廊下のほうを気にする。
「シャニーか、リシャールか、でしょうね」
腕組みしつつ、皐月。
「『彼女』の言い残した……『思念』からすると……リシャールさん、のしわざのように思えます……」
夜刀がそう言って、一瞬後。
────!!!!!
「影」の少女の強烈な思念が廊下の向こうから脳を叩きつけ、4人は頭を抱えずにはいられなくなった。
「なに、が……起こったのでしょう。『影』様の身に何かが……?」
「嫌な予感だけど、……『殺された』とか、かもね」
「氷漬けから逃れた影のすみか───ここが、そうなら。あの『影』はかろうじてここで『生きながらえていた』ということよね。それが誰かにどうかされたのなら、私達も危険だわ」
「外には出られそうも……ありません。進むしか……ないような気がします……」
美沙姫に皐月、シュラインに夜刀は。
意地でも、生きて戻らなければならないと思った。
自分の、
帰るべき場所に。
■悲劇の終幕■
進んでゆくと、迎え入れるかのように扉が開かれていた。
ゆっくりと、入っていく───ひやりと、冷気が足元をすぎてゆく。
部屋はだだっ広く、異様に寒かった。まるで何かの能力か魔法で思い切り温度を下げたかのように。
この館の中で、ここだけが。
美しかった。
あちこちに美しい装飾が施されており、壁には様々な色の薔薇の花弁が模様のようにくっついている。そして───中央にはリシャールと思われる美しい青年と、ベッドの上にはシャニーの姿があった。
「! シャニー様」
美沙姫が、息を呑む。
「氷漬け……そういうことだったの」
皐月が、眉間にしわを寄せる。
「……シュラインさん、心音……は、どうでしょうか……?」
無駄とは思ったが、夜刀はたずねた。
思ったとおり、シュラインはかぶりを振る。
「彼も彼女も、どちらの心音も、ないわ」
シャニーは。
4人に「紅茶」を振る舞ったあの明るい彼女とは、とても同一人物とは思えないほど。
ぐったりとベッドに横たわり、死人のような顔色で微動だにしなかった。身体は、薄い氷の膜で包まれているように───夜刀がはじめ、「見た」のはこれだったのだ。
つと、青年がこちらを向いた。
シャニーを愛でるように見下ろし、今、初めて来客に気づいたとでもいうように。
「───ラウルからの薔薇を、彼女に渡したのは……お前達?」
カノジョニ ワタシタ ノハ
「そうだね、シャニーは薔薇がとても好きだからね……」
とても。
とても、「弟」などとは思えない。
「失礼ですけれど、あなたは───リシャールさん、で間違っていませんか?」
美沙姫の問いに、「そうだよ。私はリシャール。ラウルの弟」と、青年はこたえる。
「ラウル───さんの?」
皐月が小首をかしげ、メモ帳をぱらぱらとまためくっていた手をとめる。
それを目の端で見ていたシュラインが、ふと思いついて、手の中の小瓶を見下ろす。この液体、浄化作用でもあるのだとは思っていたが……「ひとに対して」ではないのかもしれない。なにしろ、メモ帳や長剣と一緒に出てきたのだ。結び付けないで考えるほうが、おかしかった。
「あっ……えっ? わ!」
小瓶を開き、メモ帳にぱたぱたと液体を落としたシュラインの行動に皐月は驚いたが、その後すぐにメモ帳の文字がはっきり浮き出てきたことにもっと驚いた。
「夜刀さん、長剣を傾けて」
「あ……はい」
効果があらわれた。
と、いうことはこちらもだ。
シュラインは夜刀に、やりやすくさせて液体を長剣の、さびた部分を重点的にたらした。
見る見るうちに長剣は新品同様になり、輝きを見せ始める。その長剣が普通のものでないことに気づいた夜刀は、完全に魅入られていた。
「ねえ」
リシャールが、ゆっくりと立ち上がる。狂気の微笑を、顔にはりつかせて。
「正直に、言ってごらんよ。お前達は、ラウルの味方なんだろう? 私達の邪魔をしにきたんだろう? 頼むから……このままにしておいてくれよ……」
リシャールの動きにあわせて、冷気が踊る。
「どちらかというと、あなたが何かの『邪魔』をしているように思えて仕方がないのですけれど」
水の精霊を呼び出しながら、美沙姫。
読めるようになったメモ帳から顔を上げて、皐月はリシャールを見つめた。
───ここに書いてあることが、本当だとしたら。
いや、今は───。
「全部事情が書いてあるっていうか誰かの日記みたいな書きつけだったけど、とりあえずこの人たちを楽にしてあげないと」
皐月が仲間達を見る。
「方法が書いてあるのなら、皐月さん。教えてちょうだい」
ちいさなこえで、かまわないわ。
「……本当に楽にしてあげて構わないのなら……事情はあとで読んだほうがいいかもしれません……」
夜刀の言うとおりだった。
リシャールは片手を挙げ、巨大な氷柱を自分の周囲の空気につくりはじめている。
そのままにしておけば、数分後には間違いなく、自分達はハリネズミになっていることだろう。
「普通の───浄化をすれば、いいと思う。夜刀さんが持っているこの長剣に、その作用を秘められればもっといいみたいだけど。シュラインさんの持っているものは、」
───このへやいちめんに、ばらまいて。
「同時にできればそのほうがいいみたいですわね」
浄化作用を持たせた水を、夜刀の長剣にくるませる。美沙姫はそして、更にその水を部屋全体にふりまくように手を動かした。
「……呪ってしまうまでの苦しみが……全部飛んでいってしまえれば、」
消えてしまえば、いい。
夜刀はリシャール本人ではなく、飛び掛ってきた氷柱を長剣で受け止めるようにした───その動きだけで、充分だったようだ。
部屋の空気を、光る長剣が動く。
リシャールの身体が、まるで糸の塊でできてでもいたかのように、ぷつりぷつりと。
音をたてて、くずれてゆく。
信じられないといったふうに自分の身体を見下ろしていた彼は、すぐにうつろな瞳にうつりかわり、4人の存在を完全に忘れてしまったとでもいうように───ベッドの上の、シャニーへと歩み寄った。
「おかしいよね、シャニー。みんなきみと同じように凍らせて、操ってあげようとしたのに」
美沙姫の水の精霊の浄化と、夜刀の長剣の効果が相乗して、さらさらと滝の音をたて、部屋全体に光の水が流れ出す。
部屋の温度も下がりはじめ、壁にくっついていた白い花弁もひらひら剥がれ落ちていく。
崩れ始めている自分の身体にも気づかないのか気づいていてそうしているのか。
リシャールは、氷の溶け始めたシャニーの身体を抱きしめた。
「シャニー……シャニー、ごめん。ごめんよ……。
くるしいのは私だけでいい……せめてきみだけでも、」
かいほう・して・あげ・る───………
わずかな地響きを聞き取っていたシュラインが、限界と判断し、部屋全体に向けて小瓶の中身をぶちまける。
おりしもそれは、リシャールが何かをつぶやき、シャニーの身体が光り───そのまま彼の腕の中で、完全に消滅したのと同時だった。
天井が、もちこたえられなくなったというふうに落ちてくる。
「!」
館を出たところで破片につまづき、美沙姫が倒れた。
「美沙姫さん!」
「もう少しよ!」
「手を……!」
シュラインと皐月、夜刀が美沙姫に手を貸したが、ひときわ大きな塊に、美沙姫の下半身は押しつぶされた。夜刀が長剣でなんとかしようと思う暇もなかった。
何かつぶやこうとした美沙姫の唇がとじ、瞳も───閉じる。
「うそ、うそよ。冗談でしょう!? ここまできて!」
「美沙姫さん、しっかり!」
「駄目です、この塊が───、」
皐月とシュラインと共に掘り起こそうとしていた夜刀が、ふとその手を止める。
ひら、
ふわふわと降って来た何かが、彼の肩にとまったのだ。
それは、白いはなびら。
気づけば激しい音は失せ、館のすべてが白いはなびらと化していた。美沙姫の上に乗っていたものも、皐月とシュラインの手をすっぽりと包み込むような、はなびらに変わっていた。
恐らく、落ちてきたときには既に「中身」は変化し始めていたのだろう。美沙姫は、「塊が落ちてきた」と思ったショックで意識を手放したのだ。
白薔薇のはなびらにかわった館は、いつのまにか晴れている空から射し込む太陽に輝き、ひらひらと崩れていく。
館の外は、街に来たときと違い、半ば以上焼けて壊れた家々が並んでいた。
美沙姫が目を覚ますと、休憩もかねて。
全員で、メモ帳を読んだ。
そこに、書かれていたのは。
◇
モンシャルマンの街はフォウ・ザカドの主、双子の兄弟を中心に栄えていた。
ある時劇場でシャニーという歌姫を見初めた双子の一人、ラウルは毎日劇場に通い、 やがて彼女と結婚した。
しかし幸せは長く続かなかった。
ラウルの弟リシャールまでもシャニーを愛してしまい、ある時何かの拍子でシャニーを誤って殺してしまった。
リシャールは狂ったように泣き叫び、持っていた魔法のひとつを無意識に使い、館に火をつけてしまった。必然的にそれはラウルの命をも失わせ、暴走した火は街中を覆い尽くし、 残されたのは「自分の魔法では自分にダメージが来ない本人」、リシャールだけだった。
狂気に陥っていたリシャールはシャニーの遺体からやけどのあとを消して氷漬けにし、半永久的に保存できる状態にし、その隣で銀色の剣で自害した。
その後リシャールの狂気に満ちた呪縛が街中を覆ったが、ラウルの「救いを求める」残留思念もまた、ずっとずっと、残り続けた。
◇
「やっと現れた『救ってくれる人間』が私達だったってことね」
シュラインが、なんとなく、むきだしの地面を見下ろす。
しばらくの間、その過去に皆が思いを馳せた。
なんてばかなことを、とも思う。
けれどそれが人間の性なのだ、とも妙に納得してしまう。
シャニーは、救われたかもしれない。最後のリシャールのちからで。
けれど、リシャールは? ラウルは? 本当に、すくわれたのだろうか。
「……あの館とこの街の呪縛を解いてくれたのですね……ようやく……」
思いにふけっていた4人の前に、いつの間にか───仮面の青年、ラウルがたたずんでいた。
足音もせず、突然にそこにあらわれたのだ。
けれど誰も、驚かなかった。
「すみません、かなり荒っぽかったでしょう。けれど、こうするしか……手が、なかったんです」
ラウルの身体も、輪郭が発光し始めている。
「残っているのは、あなただけ? ラウルさん」
顔を上げたシュラインに、ラウルはうなずく。
「残っている……そう、そうですね……もう残っているのは、ぼく一人です」
ぼくも、弟のところに行ってあげなくては。
「お待ちください。弟様───リシャール様のいらっしゃるところとは、どこなのですか?」
ラウルの小さなつぶやきに、美沙姫が身を乗り出す。
するとラウルは初めて、仮面を取った。
もとはリシャールのように美しかったのだろう。その顔面は火傷でひどい有様だった。
うっすらと、ほほえみを浮かべる。
「恐らくは、地獄と呼ばれるところでしょう。けれど……弟を一人にしては、おけませんから」
「……でも」
夜刀が、太陽に照らされてようやくそれが銀色だったと気づいた、持ち続けていた長剣を見せる。
「僕達は、浄化と……この長剣とで、リシャールさんを『おくった』んです……ですから、地獄では……ないと、思います」
ラウルは、目をしばたたく。
まさか本当に、メモ帳のとおりに───否、それ以上に「完璧な浄化」をしてくれるとは、思っていなかったのだろう。
リシャールは、とても強いちからの持ち主、だったから。
どこかでまちがって───完全な浄化では、ないとしたら、とばかり。
思っていたのだ、ラウルは。
「場数、伊達に踏んでないから」
皐月が、悪戯っぽく笑う。つられたように、ラウルは泣きそうな笑みをつくった。
シュライン、皐月、美沙姫、とじゅんぐりに見て、彼は最後に、夜刀の前へ立った。
「お願い、できますか」
弟にしたものと同じ、浄化を。
夜刀はうなずき、立ち上がる。
ザウッ───
長剣が風を斬り、
目を閉じたラウルを、迎えにきたかのように、狂気のすっかり抜けた泣き顔を見せているほとんど透明の姿のリシャールが、ふわりと抱きしめた。
「ああ……───」
ありがとう
リシャールを抱きしめ返し、ラウルは弟と共に、
きえていった。
「あ、」
シュラインが、その向こう側に、こちらもいつの間に立っていたのか───空気に溶け込みそうなほどに透明なシャニーの姿を認めた。
彼女は涙を浮かべ、丁寧に4人にお辞儀をすると、二人のあとを追うように風に、きえた。
◇
白いはなびらとなった館が、すっかりきえてゆく頃に。
またたきをした瞬間に、4人は興信所の近くの道に、立っていた。
なにやら興信所のほうが、騒がしい。
どうしたのだろうと向かってみると、草間武彦が血相を変えて飛び出してきた。
「お前達、どこに行ってたんだ! 依頼が終わってもう4日も経ったってのに誰の行方も分からなくなっちまって、俺の伝手を総動員させて探してたところなんだぞ!」
かえって、きた。
4人は互いに顔を見合わせ、苦笑やら微笑みやらを浮かべつつも、胸にひろがっていくあたたかなものを感じていた。
今から、この、心配をかけてしまった興信所の主に、
長い長い、「遠い時空の中でおきたこと」を。
話してあげなければ、ならなかった。
《完》
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■ 登場人物(この物語に登場した人物の一覧) ■
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【整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / 職業】
4607/篠原・美沙姫 (ささはら・みさき)/女性/22歳/宮小路家メイド長/『使い人』
0086/シュライン・エマ (しゅらいん・えま)/女性/26歳/翻訳家&幽霊作家+草間興信所事務員
5653/伏見・夜刀 (ふしみ・やと)/男性/19歳/魔術師見習、兼、助手
5696/由良・皐月 (ゆら・さつき)/女性/24歳/家事手伝
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■ ライター通信 ■
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こんにちは、東圭真喜愛(とうこ まきと)です。
今回、ライターとしてこの物語を書かせていただきました。また、ゆっくりと自分のペースで(皆様に御迷惑のかからない程度に)活動をしていこうと思いますので、長い目で見てやってくださると嬉しいです。また、仕事状況や近況等たまにBBS等に書いたりしていますので、OMC用のHPがこちらからリンクされてもいますので、お暇がありましたら一度覗いてやってくださいねv大したものがあるわけでもないのですが;(笑)
さて今回ですが、ずっと前から作っていたシナリオを、ずっとずっと使う機会を逸していたことを思い出し、たまにはこんな、ちょっと昔に流行ったようなアドベンチャーゲームブックのようなものもいいだろう、と思いまして書かせて頂きました。
内容が大変へちょかったかと思いますが;
もうお約束、お約束の連続でしたね、すみません(汗)。けれど、この物語を通して何かを感じ取って頂けたらなあ、と思いながら書いていましたが───いかがでしたでしょうか。
■篠原・美沙姫様:初のご参加、有り難うございますv 庭の部分を書き込めなかったのは残念ですが、今回は主に戦闘の部分で活躍していただきました。ラストは誰がつまずくのか、は、くじで決めましたので御了承ください。傷は、あってもかすり傷程度ですが、恐らくそれもないと思います。
■シュライン・エマ様:いつもご参加、有り難うございますv そうか吸血鬼という手もあったか、と思ったのはここだけの話です。今回は本当に耳に活躍していただいたのですが、使いすぎて疲れはしなかっただろうか……と少し心配です。でも実際、常に耳が良い、というのは疲れるものなのでしょうね。
■伏見・夜刀様:初のご参加、有り難うございますv 能力等、表現の仕方が多少、イメージされているものと違うかもしれないと思いつつ書かせていただいていたのですが、如何でしたでしょうか。夜刀さんは物静かなタイプ、という印象を受けましたので、館内を進むときも常にしんがりをつとめていただいていました。でも実はしんがりって重要な立場なんですよね……背後からの敵にいつの間にか襲われることもありますし……。
■由良・皐月様:いつもご参加、有り難うございますv 今回は普通の人間でも幽霊が見えていた、ということでしたが、やはりあのOPだけでは疑問に思われたでしょうね;すみませんです;こういうときには意外に勘が役に立つ、ということを書いている東圭が一番思ったかもしれません。血を連想されたのはビンゴでした。
「夢」と「命」、そして「愛情」はわたしの全ての作品のテーマと言っても過言ではありません。今回はその全てを入れ込むことが出来て、本当にライター冥利に尽きます。本当にありがとうございます。今回は本当にありがちなものだったとは思いますが、その中にも先述したとおり、何か少しでも感じ取っていただけたらと思います。哀しい歴史を繰り返す、ということは本当に愚かなことではあるのだけれど、それに至るまでの様々な人間の意志、感情がそうさせるのだとしみじみ思います。
なにはともあれ、少しでも楽しんでいただけたなら幸いです。
これからも魂を込めて頑張って書いていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願い致します<(_ _)>
それでは☆
2005/11/15 Makito Touko
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