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■月隠■

エム・リー
【4790】【威伏・神羅】【流しの演奏家】
 四つ辻を囲む夜の薄闇は、それに差し込む一筋の月光があるでもなく、瞬く星の灯一つあるわけでもありません。
 茫洋とした薄闇。漆黒とまではいかない、どこか薄い墨のそれを思わせるこの闇の中、四方其々に続く大路があるのがお分かりいただけますでしょう。
 この大路を往けば気の善い妖怪共と見える事が出来ますし、四つ辻に住まう住人――すなわち、茶屋の店主・侘助、艶然たる笑みを浮かべる花魁・立藤、常世へと結ぶ橋の守人・則之。其々との出会いにも遭遇出来る事でしょう。
 が、この四つ辻には、時折ぶらりと気紛れに立ち寄るもう一人の住人がいるのです。
 花笠を目深に被り、その面立ちは杳として知れず。羽織る着物は女物で、いつもどこか薄笑いを浮かべた男。名を問えば彼は
「蝶々売りでござい」
 そう返して笑うでしょう。

 さて、この男。この四つ辻にあり、しかしながらどこか異質たる雰囲気を持つ蝶々売り。
 彼は、この四つの大路の他に続く小路を進む事が出来るのです。
 
 小路が続く先は、果たして常世であるのか、現し世であるのか。
 はたまた、或いは――――

The light of the Noel


 招待状に記されていた地図を辿り来てみると、そこは確かに森だった。
 ただし、規模としては決して大きくはないものだ。だが民家が密集している場所から離れ、――いや、しかし、決して交通の便が悪くなるわけでもない。そう、人々の記憶から、ひょいと取り除かれてしまったかのような、そんな場所だ。
 夜の風がさわさわと木々を撫でて通り過ぎ、時折車のライトが通り過ぎていく。
 どことなく、不思議な空気を漂わせているその場所に、その建物はひっそりと佇んでいた。

 到着を事前に察知したかのように、呼び鈴を鳴らそうとしたその矢先、ドアは開かれた。
「おう、来たか、神羅。――なんだ、今日も随分とめかしこんで来たんだな」
 開口一番。ドアを開けて顔を覗かせた男――田辺聖人は、そう述べつつ目の前に立っている神羅に向けて笑みを見せた。
「ふん。美味い食事と酒があるならば、何処へでも参じるのが信条じゃからな」
 そう返し、わざと大袈裟に鼻を鳴らしてみせる。
「ふ、そうか。まあ、入れ。そんな格好じゃ、外は随分と寒かっただろうが」
「そ、そんな格好とはなんじゃ」
 田辺のついた軽口に食いつき、睨み吸える。
 今日の神羅の出で立ちは、サテンで織られた黒のロングドレス。ゆったりとしたドレープが、動くたびに柔らかなラインを描き出している。
「いや。たまにはいいんじゃないか? まるで淑女のようで、印象が違って見える」
 そう言って微笑むと、田辺は神羅の手からコートを抜きとって腕にかけた。
 神羅は田辺の言葉に、一瞬ぐうと言葉に詰まった。が、すぐにまた顔をあげて田辺の顔を仰ぎ見た。
「ともかくも。そなた、菓子作りの腕前はまあまあじゃが、料理全般となるとどうなのじゃ? 真っ当な料理が並んでおるのだろうの?」
「パティシエが菓子しか作れないというのは偏見みたいなもんだ。オードブルぐらいならお手のものってやつだ」
 笑い、ギャルソンエプロンを締めなおす。
 神羅は頬を緩く紅で染め、ふんと鼻を鳴らして顔を背けた。
「味への批評は手厳しくいくからの」
「せいぜい覚悟を決めておくんだな」
 神羅の言葉を受け止めて目を細ませる田辺に、神羅は頬の紅を一層色濃いものへと染め上げた。

 リビングルームに揃ったのは、田辺と詫助、それにゲストとして招待した四人の女性陣だった。
 テーブルに並んでいるメニューの数々は、その大半は田辺が手掛けたらしい。が、用意された酒やドリンクの数々を集めたのは詫助の担当だったようだ。
 乾杯もそこそこに、取り皿を片手にテーブルを見渡しているのはウラ・フレンツヒェン。
「最近はヴィクトリアン調の服が流行ってるそうじゃないの。ふん、今さらって感じよね。このあたしの着こなしをお手本にしたらいいんだわ」
 気丈な性格を色強く現した双眼をくるりと光らせて、身につけているドレスの襟元に指を這わせる。
「おまえは、食い物を取るのか喋るのか、どっちかにしたらどうだ」
 グラスを傾けつつ、呆れた調子でそう述べた田辺に、ウラは余裕の笑みをもって返す。
「あたしのテーブルマナーは完璧そのものよ。でも、食事は楽しんでするものだわ。そうじゃない?」
 皿に盛った生ハムとパプリカのブルスケッタを口に運んで口許を緩めるウラの言葉に、威伏神羅がうなずいた。
「全くじゃ。大勢での食事は賑やかで楽しく過ごせた方がいいじゃろう」
「そうよね。クヒヒ、話が合って嬉しいわ」
 神羅と視線を合わせて肩を揺らし、笑う。
「神羅のそのドレス、サテン生地が素敵だわ。ドレープの形も素敵ね。趣味がいいんだわ」
「ふふ、褒めても何も出さぬぞ」
 その合間をぬって、詫助が椅子をひとつひとつ巡って二度目のドリンクを注いでいく。
「ウラさんはソフトドリンクですね。これ、マスカットジュースを発砲させたものなんですが、見目はシャンパンみたいでいいでしょう?」
 ウラのグラスに、柔らかな色味のジュースが波をたてて揺れた。
「神羅さんには、このシャンパンを。――こちら、華子さんがお土産に持ってきてくだすったものなんですよ」
「ほう」
 うなずき、詫助が示した方に顔を向ける。
 大徳寺華子は詫助の声に視線を向けて、かち合った神羅の視線に笑みを浮かべた。
「こんな時でもなきゃ、シャンパンなんざ買わないんだけどね。たまには豪華にするのもいいだろうと思ってね」
 神羅に向けて笑みを見せつつ、シックなデザインの黒いドレスの肩を竦ませる。
「ふ、確かにの。では、馳走になるとしよう」
 華子の笑みにグラスを掲げ、神羅もまた笑みを浮かべた。
 その華子の横の席で、詫助から注がれたグラスを片手に持ち上げているのは藤井葛。
 他の皆が黒を基調とした出で立ちをしているせいか、ただひとり、白いパーティードレスを身につけている葛の姿は見目にも鮮やかなものだった。
「俺も、いただきます」
 グラスを片手にして軽い会釈をする葛に、華子は艶然とした笑みを浮かべ、目をしばたかせた。
「――ふむ。そなたとは、はろうぃんの時に席を共にしたのう」
 葛の顔を確かめて、神羅が小さくうなずいた。
 葛は神羅にも軽い会釈を返し、シャンパンを口にしてから、
「またご一緒できて嬉しいです、神羅さん」
「私もじゃ。――――そなたも田辺から招待されたのか?」
「? いや、俺は詫助さんと知り合いで」
「あたしもヒゲから招待されたわよ! クヒヒッ」
 しばらくの間、食事に集中していたウラが、グラスを持ったままで神羅の前に顔を突き出す。
「気になるのね?」
 神羅の顔を覗きこんでニヤニヤと笑うウラの言葉に、神羅は慌ててかぶりを振った。
「そ、そんなわけなかろう。第一、なぜそのような話になるのだ!」
 目の下をわずかに紅く染める神羅に、ウラはグラスを口に運びつつもニヤつきを収めようとしない。
「あら、恥ずかしがる事じゃないわ。ヒゲだって悪く思ってないはずよ。――――ねえ、ヒゲ!」
「はぁ? なんだ、いきなり」
 ウラに呼ばれ、リビングの奥のキッチンでフルーツのフランベの用意をしていた田辺が顔を持ち上げた。
「さっさとハッキリさせたらどうなのかしら?」
 のんきな表情でこちらを見遣っている田辺に、ウラはフンと鼻を鳴らす。
「ふふ、それは無粋というものだろうさ。それよりも、あたしが作ってきたチキンを食べとくれ。香草焼きなんざ久しぶりに作ったもんだからさ、味の具合を見てほしいのさ」
 慌てふためく神羅の肩を軽く叩き、華子が軽く目配せをした。
 神羅はグラスの中身を一息にあおると、つかつかと踵を鳴らしてテーブルへと戻って行った。
 この遣り取りをしばし無言のままで見守っていた葛は、首を傾げ、サーモンのムースを口に運ぶ。
「葛クンは、ああいった話には関心ないんですか?」
 隣に立っている詫助の問いに、葛はしばし思案してから「うーん」と小さな唸り声をあげた。
「よく分からない」
「そうですか。まあ、それぞれですしね。ああ、このパウンドケーキ、実に美味い! 連中にも食わせてやりたいので、土産にしてもいいですかね」
 自分が作った皿にのせた抹茶のケーキを指差して微笑む詫助に、葛は深くうなずいた。
「連中って、あの妖怪達だよね。また遊びに行きたいな」
「いつでもいらしてください。連中も葛さんとの再会を楽しみにしてますよ」
 微笑み、パウンドケーキを口に運ぶ詫助に、葛は笑みを浮かべてうなずいた。
「俺、子供の頃はサンタってホントにいるんだって信じてたんだよ。妖怪達の間には、やっぱりサンタなんて存在が広まってないのかな」
「いや、案外広まってるもんですよ。連中はこっちに出ちゃ来れませんが、こっちの文化なんかは向こうに広がってますしね。それが浸透するかどうかってだけで」
「へえ、そうなんだ。……じゃあ、プレゼントを待ってる子供なんかもいるのかな」
「いるかもしれませんねえ」
 言葉を交わし、ほのぼのとした笑みを交わすふたりの会話に、ウラが首を突っ込んできた。
「サンタがいるかどうかですって? 随分とロマンティックな話をしてるのね。こんな森の中だもの、サンタも出てくるかもしれないわ。――――ああ、そうよ!」
 つらつらとそう述べた後、再びなんの前振りもなしに田辺を呼びつける。呼ばれた田辺はキッチンから姿を見せて、トレイにのせたジュレとフルーツを運び持ってきた。
「なんだ?」
 運んできたものをテーブルへと置きながら、訝しげな表情でウラを見る田辺に、ウラは胸を張ってみせる。
「この邸内、何か面白い仕掛けとかないの? 隠し部屋だとか、謎のアイテムだとか」
「んなもん、あるわけねえだろ」
「あら、分からないわよ。そうよ、後でこの邸内の散策なんかどうかしら」
 手を打って周りを見渡すウラの申し出は、しかし意外にも受け入れられた。
「そうじゃのう。なかなか面白そうじゃ」
 神羅がうなずき、
「ここにはバーカウンターなんかはないのかい? 小洒落た造りの洋館なんだし、シェーカーなんかがあっても良さそうなんだけどね」
 華子がリビングを見回し、
「うん、面白いかもしれないね。家具とか調度品なんかも見てみたいな」
 葛が目を輝かせる。
 それを受け、ウラはさらに胸を張って鼻を鳴らす。
「じゃあ決まりね。食事を終えたら散策よ。さあ、そうとなったら腹ごしらえね」
 満足そうな笑みを浮かべるウラに、田辺は苦笑まじりにヒゲを撫でていた。

「そういえば、三味線の練習なんかはいつもどこでやってるんだ?」
 リビングを後にして、田辺を共に連れ立って邸内の散策へと足を向けた神羅に、田辺はふとそう問いた。
 神羅は田辺より数歩後ろを歩き、両手を後ろ手に回してゆっくりと歩みを進める。
「なんじゃ、唐突に」
「いや、単純な興味だ。どこかスタジオでも借りてやってんのか?」
 螺旋状の階段を横切り、邸内の奥へと進む。
 一階部分にはリビングルームとキッチンの他、バスルーム等がある。面積的に一番広さをとっているのは、やはりキッチンとリビングらしい。
「スタジオなど借りん。あれも回数を重ねれば予算がかさむゆえな」
「まあ、だろうな。じゃあどこで練習してんだ?」
「い、行きつけの場所があるのじゃ」
「そうか」
 田辺は肩越しに振り向いて神羅を見遣り、小さな笑みを浮かべた。
「おまえは俺によく我が侭を言うよな」
「?」
 田辺が告げた言葉にはなんの脈絡も繋がりもなく、神羅はしばし訝しそうに目を細めてみる。
 神羅の心を察したのかどうか。田辺は笑みを浮かべながら再び足を進めた。
「し、しかし、存外立派な場所に住んでおるのだな」
 先ほど横切った階段をのぼりだした田辺を追いかけて歩き、神羅は意識的に声の調子を変えてそう述べた。
 田辺は既に階段をのぼりきっていて、二階部分の手すりに片手をかけた姿勢で神羅の顔を見下ろしている。
「住んでるわけじゃねえよ。ここはあくまでも別宅だ。休みの日にはたまに立ち寄る事もあるが、滅多に寄る事もねえかな」
「そういえば、そなたは確かマンションを借りて住んでおったはずじゃな」
 田辺の言葉に、以前足を踏み入れた田辺の部屋を思い出す。
「別宅扱いじゃというに、このような豪奢な邸宅を建てるなど。そなた、存外に懐に余裕があるのだとみえる」
 鼻を鳴らしてそう告げる。しかし、田辺は神羅の軽口に耳を寄せようとはせずに、二階の部屋をひとつひとつ紹介し始めた。
 二階には三つのゲストルーム、田辺のプライベートルーム、そして書斎があった。
 派手な家具や調度品といったものは見当たらない。その代わりといってはなんだが、随分と小奇麗に掃除されている。
「そなたが掃除までしているのか?」
「ん? いや、日頃はハウスキーパーを雇っている」
 一通り部屋の紹介をし終えると、再び階段の手すりへと手をかけて、田辺は神羅を真っ直ぐに見とめた。
 神羅は、田辺の視線から自分の視線を外し、窓の向こうに目を向ける。
「なるほどの。――――さ、では、皆が待つ部屋へと戻るとしようかの」
 そう述べつつ、うなずく。そして、後ろ手に回していた両腕を田辺へと伸ばした。
「――――ん? これは」
 差し伸べられたものを確かめて、田辺がふと首を傾げる。神羅は田辺の顔を確かめる事もせず、ぶっきらぼうに言葉を述べた。
「く、クリスマスじゃからな。今宵の宴にでも使うが良かろうッ」
 そう述べて、手に持っていたものを田辺の手へと放りやる。
「ジャック・ドゥフランス・ブリュットNVか。おまえは日本酒しか知らないもんだと思っていたが」
 田辺の声が緩やかな笑みを含み、小さな息を吐いた。
 神羅は、今しがた自分が放り投げたもの――クリスマスプレゼントにと携えてきたワインを持った田辺を、ちらちらと盗み見るように確かめる。
 その次の瞬間には、神羅の息が喉の奥へと戻された。   
「な、なんじゃ!」
 離れた場所にいたはずの田辺の姿が、すぐ目の前にあったのだ。その上、田辺の顔は神羅の顔を覗きこむような態勢をとっていた。
 うろたえて声を上ずらせた神羅に、田辺はゆったりと頬を緩め、おもむろにポケットから何かを取り出した。
「それ、くれてやる。さっきも言ったが、俺はあまり滅多にはここに立ち寄らない。だが、さすがに放置しておくのも忍びない。だから、おまえが自由に使え。好きな部屋で寝泊りすりゃいい」
「ちょ、そなた一体何を」
 田辺が告げたその言葉の意味を問いただそうと、田辺の名を呼び止める。が、田辺は神羅の声に足を止める事もなく、さっさとリビングへと戻って行ったのだった。
 残された神羅は、呆然と、手の中のものを確かめる。
 赤と緑のリボンの先で揺れるのは、銀色に光る一本の鍵だった。


「ねえ、ヒゲ! クリスマスっていったらプディングでしょ? プディングの用意はしてないの?」
 椅子に腰掛け、食後のコーヒーを嗜み終えた後、ウラが思い出したように足をばたつかせた。
「ぷでぃんぐ? それはどのようなものなのじゃ?」
 ウラの隣に座っていた神羅が、ウラの言葉に首をひねる。それを受け、葛がゆっくりと口を開けた。
「ケーキだよ。確かイギリスの伝統菓子だよね」
「そうよ。まあ、ケーキというよりは蒸しパンってとこね。ねえ、ヒゲ! あたし、プディングが食べたいわ!」
 ウラの声に、田辺は少しばかりうんざりとした表情で席を立ち、ウラの顔を一瞥した。
「おまえ、いくらなんでも食いすぎだろう。結局七面鳥だっておまえがほとんど食っちまったんだろう?」
「ふふ。口に合ったようで嬉しいよ」
 カップから口を離し、華子が艶然と目を細ませる。
「まあまあ。田辺クン、プディングのしこみもやってたじゃないか。どうせ並べる予定だったんだろう?」
「まあ、そうだけどな。今持ってくるからちょっと待ってろ」
 詫助がやんわりと微笑み、田辺が肩を竦ませた。
「ねえ、プディングがあるならさ、ブランデーで火をつけようじゃないか。あたしはやった事ないんだけど、あれは結構綺麗なもんなんだろう?」
 頬づえをついて田辺を見つめる華子の申し出に、田辺は小さくうなずいてキッチンへと姿を消した。
「? ブランデーで、何に火をつけるのじゃ?」
「プディングにだよ。ちょっとした演出みたいなもんだよね」
 神羅の問いを葛が返す。ウラはまだ足をばたつかせ、クヒヒと悪戯めいた笑みを浮かべる。
「ヒゲはコインを練りこむような趣向は凝らしているのかしら」
「コインを練りこむじゃと?! ケーキにコインが入っているのか?!」
「ええ、そうよ。切り分けられた分の中にコインが入っていればラッキーなのよ」
「コインは食べられないであろうに!」
 驚きに目を見張る神羅に、ウラがクヒヒと頬を歪めた。と、そのウラの頭を田辺の片手がぐしゃりと撫でた。
「ほら、持ってきたぞ。せっかくだからブランデーは華子さんが持ってきたカルヴァドスを使おう。風味付けにも良いしな」
 告げながら華子を見遣った田辺の視線に、華子はふわりと笑みを返した。
 そのやり取りを見ていた葛が、カバンの中からカメラを取り出し、述べた。
「ねえ、せっかくだし、記念に写真とか撮ろうよ」
「ああ、いいですねえ。今日という記念に」
 詫助がうなずいた。
「それじゃあ、プディングを真ん中に撮ろうじゃないの! クリスマスっぽくて素敵だわ!」
 ウラが満面に笑みを湛える。
「じゃあ、少しカメラをお借りしていいですか? タイマーセットしますよ」
「うん」
 詫助の手にカメラを渡すと、葛もテーブルへと向かった。
「それじゃ、撮りますよ。田辺クン、プディングの用意はいいですか? ――――じゃあ、はい、皆さん並んで」
 小走りにテーブルへと戻った詫助が、華子の隣でゆったりとした笑みを浮かべる。
 

Please pass good Christmas   
   


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■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
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【1312 / 藤井・葛 / 女性 / 22歳 / 学生】
【2991 / 大徳寺・華子 / 女性 / 111歳 / 忌唄の唄い手】
【3427 / ウラ・フレンツヒェン / 女性 / 14歳 / 魔術師見習にして助手】
【4790 / 威伏・神羅 / 女性 / 623歳 / 流しの演奏家】

NPC:田辺聖人、詫助

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■         ライター通信          ■
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クリスマスをテーマにしたゲームノベル、お届けいたします。

今回のゲームノベルは総勢8名のPCさまが参加してくださいました。ありがとうございます。
一覧をご覧いただければお分かりのように、8名さまをふたつのグループに分け、描写させていただいております。。
この際、相関と、これまでのノベルでの描写等を参考にさせていただきました。
また、ノベル中でNPCから贈らせていただきましたプレゼントは、アイテムとしてお渡しさせていただきました。お気に召していただけましたら幸いです。

>威伏・神羅さま
いつもお世話様です。
今回のノベル中でも、神羅さまと田辺はいちゃつき、いえ、親しくさせていただきました。いつも構ってくださり、ありがとうございます。こちらとしては毎回にやにやしながら書かせていただいているのですが、読み手である神羅さまにも、少しでもお楽しみいただけていればと思います。

プレゼントとしてお渡ししました合鍵ですが、実は今回のノベルを書く際、一番初めに思いついたのが、神羅さまへのプレゼントでした(笑)。いえ、下心なんかは、多分、ないはずです。
お気に召していただければと思います。どうぞ、いかようにでも使ってやってください。

それでは、またお会いできることを祈りつつ。
よいクリスマスをお過ごしください。