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■VOICE■

宮本ぽち
【1252】【海原・みなも】【女学生】
 はっ、はっと息を吐きながら自転車で坂をのぼる。熱を持った薄い胸に冷たい空気が刺さるが、不快ではない。重いペダルを踏み込むごとに坂の頂に近づく。背中に当たる早朝の光が心地良い。
 坂を上ればすぐに祖父母のアパートだ。自転車の中で小さな紙袋がかさかさと揺れる。中身は暗いうちから起きだして作った里芋の煮物。二人の好物だ。祖父母の喜ぶ顔が目に浮かび、自然に表情がほころぶ。
 アパートの前に自転車を停めるのももどかしく階段を駆け上がる。祖父母の部屋は三階、308号室だ。この時間に来ることは事前に伝えてあったし、起きて待っていてくれるはずだ。
 チャイムを押す。ピンポーン、という音が部屋の中で思いがけないほど大きく反響し、消える。ハルキは冷えた手をこすり合わせながらドアが開くのを待った。しかし、ドアは開かれなかった。
 首をかしげる。まだ寝ているのだろうか。二度、三度とチャイムを押す。それでも答えはない。ハルキはノックとともに祖父母を呼んだ。しかし、ドアの向こうには静寂が広がるだけだった。
 ハルキは合鍵を取り出してノブに差し込んだ。祖父母から預かっているものである。そっと入って、書置きでもして部屋に煮物を置いていけば二人を起こすこともないだろう。ハルキは音を立てないように注意しながらドアを開けた。
 「おじいちゃん・・・・・・」
 そっと声をかけて靴を脱ぐ。玄関の先はすぐに四畳半のキッチンで、その先には六畳の和室がふたつ。台所と居間を仕切る引き戸をそっと開いた。
 祖父は仰向けに、祖母は体を丸めて六畳間に横になっていた。こんな寒い時期に何もかけずに眠るとは感心できない。あーあー、とハルキは思わず声を上げた。テーブルの上に湯飲みがひとつ倒れてお茶がこぼれている。もうひとつは床に転がっていた。ハルキは居間に入り、ふたつの湯飲みを手にとってテーブルに戻してやった。
 「おじいちゃん、おばあちゃん、寒くないの――」
 言いかけて、ハルキは祖父の肩に置いた手を引っ込めた。まるで高圧電流にでも触れてしまったかのように。
 祖父の肩は、セーターの上からもはっきりとそう分かるほど硬かった。それは生きている人間とは明らかに異質のものであった。



 「やってません・・・・・・」
 ハルキはもう幾度言ったか分からないその台詞を繰り返して泣きじゃくった。
 「でもあなた、“ぼくがやった”って言ったでしょう」
 刑事課の柳・鏡華(やなぎ・きょうか)刑事は取調室のデスクに肘をつく。
 「だからそれは・・・・・・頭の中で声がしたんです。おまえがやったんだろって。おまえがおじいちゃんとおばあちゃんを殺したんだろって」
 「じゃあ、湯呑みからあなたの指紋が出て来たのはどうして?」
 「それはぼくが部屋に入った時に触ったんです。倒れてたから元に戻そうと思って」
 「いい、綾瀬さん」
 鏡華は小さく息をついて言った。「あなた、“ぼくが殺した、ほうじ茶に農薬を入れておじいちゃんとおばあちゃんに飲ませた”って言ったわね。あなたがそう言った時は死因が農薬であることはまだ分かってなかったのよ。あの段階で農薬を使ったことを知っているのは犯人だけということ。違う?」
 「だから、頭の中の声がそう言うんです・・・・・・」
 ひっく、ひっくとハルキはしゃくり上げる。鏡華は溜息とともに頬杖をついた。須川辰治・ミヨシの老夫婦が死んでいるのを孫のハルキが発見して通報。第一発見者として事情を聞いている途中でハルキが「ぼくがやった」と言い出し、署に同行を求めたのだ。
 しかしハルキの態度は一転、「ぼくはやってない」と容疑を否認し続けている。単純な事件でスピード解決と思ったのだが・・・・・・。ことによってはまた二係のお出ましがあるかも知れない。二係が出て来るとなれば、また草間興信所やオカルト雑誌の編集部等が絡んでくるのだろう。鏡華はまた溜息をついた。



VOICE


 「・・・・・・と、いうわけでしてねえ」
 沢木・氷吾(さわき・ひょうご)はゆっくりとカップをとり、中の紅茶をこれまたゆっくりと喉に流し込んだ。さらさらした黒髪、穏やかな顔立ち。静かに微笑んでいるように見えるのは糸目のせいか。薄い体を包むコートもスーツもシンプルだが、決して安物ではない。煙草のにおいのしみついたお世辞にも立派とは言えない草間興信所のオフィスには少々似つかわしくない男ではある。
 「で、俺の所に来たってわけか」
 「さすが草間先輩。話す手間が省けて助かりますよ」
 沢木はふわりと微笑んだ。何の邪気も裏もない微笑に草間はむずがゆさを覚え、ぼりぼりと首のあたりをかきむしる。そして無駄と知りつつも抵抗を試みた。
 「またうるさがれるんじゃないのか。おまえのところの課長も同僚たちも嫌がってるんだろう、おまえのやり方を」
 「やり方に拘泥して事件解決が遅れるくらいなら、僕は皆に白眼視されても信念を貫きます」
 細い目が静かに開く。穏やかな双眸には強靭な光が宿っていた。“小回りの利く民間機関を効率的に活用しながら迅速に捜査を進める”。それが沢木のポリシーだ。しかし警察の人間、特に凶悪犯を一手に引き受けているというプライドのある刑事課はそれを快くは思っていない。
 「それに」
 沢木はふっと微笑んだ。「平気ですよ、少しくらいの無茶は。僕には強い味方がついていますから」
 沢木の笑顔に草間はうすら寒さを覚えた。強い味方。それが誰であるかくらい、草間も知っている。
 「それでは有能な助っ人さまをお待ちしておりますので、よろしくお願いいたします」
 沢木はコートを手にかけて立ち上がり、丁寧に腰を折って草間のもとを辞した。



 一昔前は“刑事(デカ)部屋”などと呼ばれていたその場所に足を踏み入れた瞬間、みなもは突き刺さる視線を感じてその場に立ち竦みそうになった。一斉にこちらを向いた刑事たちの目には好奇と敵意が入り混じっている。それが自分の青い髪と青い瞳のせいであるのか、警察にはあまりにも場違いなセーラー服という服装のせいであるのか、それとも指の間にひっそりと張られた水かきのせいであるのか――それともそれ以外の理由なのか。
 「あのー」
 勇気を振り絞って声を出す。「刑事課二係とはどちらでしょう?」
 集まる視線が鋭さを増す。刑事の一人が部屋の奥を顎でしゃくった。粗末なアルミのドアが見える。それは「部屋」というより物置の風情に近い。みなもはようやく視線の意味と理由を理解した気がした。「沢木は刑事課の連中には嫌われてるからな」という草間の言葉はまんざら嘘でもなさそうだ。
 「あのー・・・・・・」
 ノックをしてから細くドアを開け、中を覗き込む。「こちらが刑事課二係でしょうか?」
 「そうです。海原・みなも(うなばら・みなも)さんですね。草間先輩から伺っています、ご足労恐縮です」
 穏やかな微笑とともに男が出迎えた。沢木氷吾、階級は警部補だという。みなもは不安を隠さずに二係のオフィス――と呼べるほど上等な空間ではないが――に入った。八畳ほどの広さに窓がひとつ、デスクがひとつ、応接セットがひとつ。しかし床に落ちているゴミどころか窓の桟に溜まった埃すら見当たらない。デスクの上には端を1ミリもずらさずに揃えて重ねてあるバインダーとファイルの山があった。
 「シュライン・エマです。よろしく」
 ソファに座っていた背の高い女性が挨拶する。黒い髪に青い瞳は異国の風情を感じさせた。きりりと切れ上がった目は中性的で、凛とした筋が一本通った雰囲気を感じさせる。
 「それは捜査資料ですか?」
 みなもはシュラインの手元に気付いて首をかしげる。「警察が民間人に捜査情報を漏示するのはまずいのでは・・・・・・」
 「これは公式の資料じゃなくて、あたしが作った“私的な”資料だから平気。っていうか、そんなこと言ってたら二係は成り立たないよ?」
 と腰に手を当て、きゃらきゃらと笑うのは耀(あかる)という少女だった。ずいぶん小柄な少女である。白い髪にくりくりした紫の瞳という容貌は神秘的な雰囲気を感じさせないでもない。
 「民間人と連携して効率よく捜査を進めるのが沢木さんのやり方なんだからさ。いちいちその辺にこだわってたらやっていけないさね」
 「なるほど」
 みなもは自分より年下と思われる耀の言葉に心底感心して肯く。それから沢木を振り返って尋ねた。
 「早速ですけれど・・・・・・今も綾瀬さんが第一の容疑者であることに変わりはないのですか?」
 みなもの問いに沢木ははっきりと肯いた。
 「このようなことを申し上げるのは失礼ですけれど、綾瀬さんは何らかの心身症という可能性は? 頭の中で声が聞こえるというのは普通の状態ではないような」
 「軽度の統合失調症の疑いがあります。頭の中で声が聞こえたり、被害妄想に悩まされたりするのは統合失調症の典型的な症状――」
 沢木は複雑な表情を返した。「しかし、ボーダーラインといったところでしょうねえ。彼の言動には“電波”や“心を読まれている”、“監視されている”という台詞が出て来ませんから。統合失調症では例えば・・・・・・壁や天井に見えない電波線が張り巡らされて自分の考えがそこから外に漏れているような錯覚や、四六時中誰かに監視されているような妄想にとりつかれることも多いそうです。彼の様子からはそんな様子は窺えませんのでねえ」
 「そうですか・・・・・・」
 みなもは小さく呟き、シュラインと一緒に資料を読み始めた。
 被害者の名は須川辰治(七十五歳)、その妻ミヨシ(七十歳)。死因は農薬によるもので、死亡推定時刻は八日(木曜日)の午後九時ごろ。夫妻の首にはひっかいたような血痕が幾条にもでき、爪の間からも自身の皮膚と血液が検出された。苦しんで喉をかきむしったものと思われる。
 容疑者・綾瀬ハルキ(二十一歳)が手製の里芋の煮物を持って二人のもとを訪れたのは翌日九日の朝八時前。ハルキが二人を発見した時は暖房と照明は入っておらず、配達されていた朝刊も受け取られていなかった。窓もドアも鍵がかかっており、完全な密室状態だった。
 農薬は普通の園芸店で入手できる普通の物で、アパートのベランダに花壇を作っていた須川夫妻が購入したものと判明。使用した農薬の残りが二人の部屋から発見されている。農薬は二人が用いた湯呑み茶碗のみから検出された。食器棚から出ていた湯呑みは床に転がっていた物とテーブルに倒れていた物のふたつだけ。湯呑みにはハルキと祖父母の指紋がついていたが、ハルキのものが最も新しかった。ヤカンと急須、茶筒に付着していた指紋は祖父母のもののみ。そして、遺書はまだ見つかっていない。
 「死亡前日にわざわざハルキさんと約束していたということは、自殺ではないようですね。密室殺人ということでしょうか」
 みなもが首をかしげながら言った。「合鍵を持っていたのはハルキさんだけなんでしょうか?」
 「大家や不動産屋ならマスターキーや合鍵も持っているんじゃないかしら。親しい人間なら、被害者が外出時に合鍵を隠しておく場所を知っていたとしてもおかしくないわ」
 「それはないと思うな」
 と口を挟むのは耀だ。「おじいちゃんとおばあちゃん、どこかに合鍵を隠すことはしなかったんだって。万が一誰かに見つかったら怖いからって」
 「そう。それなら他に合鍵を持っている人間がいるかどうか、ね」
 「大家さんや不動産屋さんも見知らぬ人にそう簡単にマスターキーや合鍵を貸したりはしないと思います。だとしたら・・・・・・」
 「その通りです」
 沢木が大きく肯いてみなもの後を引き継いだ。「合鍵を持っているのは親しい人間や近しい者だけでしょう。大家さんや不動産屋さんから鍵を借りたにしても同じこと。ある程度親しい人間の犯行と考えるのが妥当でしょうねえ」
 親しい人間。合鍵を持っている者。どちらもハルキに符合する。
 「綾瀬さんのアリバイは?」
 とみなもが沢木に問うた。
 「アルバイト先のペットショップが定休日だったので、一日中部屋の中で一人で過ごしていたと言っています。それを証明する者はいないと」
 友達が少なかったようです、と沢木は付け加える。シュラインは軽く唸って顎に指を当てた。これではアリバイとは言えない。
 「被害者と不仲だったり、被害者が死んで得をする人間はいるのかしら」
 シュラインの問いに耀がふるふると首を横に振る。
 「いい人だったみたい、あのおじいちゃんとおばあちゃん。孫を可愛がって、孫のほうもなついてて。だから怨恨っていう線はどうかなあ」
 「でも、金品には手がつけられていなかったのでしょう?それなら怨恨なのでは・・・・・・顔見知りの犯行なら尚更です」
 「でしょうね。表面上は仲が良くても、心の底では憎んでいるということもあるでしょうし。沢木さん、被害者の知人で合鍵を持っていそうな人はいないんですか?」
 「今のところ、綾瀬さん以外で合鍵を持っていた人間が一人――」
 沢木はゆっくりと人差し指を立てた。「ガイシャ宅に出入りしていた平田浩之。身寄りのない三十五歳の男性です。近くに住んでいる遠戚で、脚の不自由な須川ミヨシさんと腰痛持ちの辰治さんの代わりに家の中のことやヘルパーのようなことをやっていたそうで。合鍵を持っていることも確認済みです。彼が実際に出入りしていることも近所の人から証言が取れました。さらに、被害者が発見された時、野次馬の中に彼がいたという目撃証言もあります。何かぶつぶつ言っていたそうです。何を言っているかまでは聞き取れなかったそうですが」
 「とりあえず、聞き込みから始めましょ。容疑者の大学やバイト先にご近所、それに被害者夫婦のご近所と平田浩之。そんなところかしら。容疑者とも話してみたいわね」
 「綾瀬ハルキさんの身辺調査にはすでに桐生くんが出かけています」
 ですからできればそれ以外で、と沢木がシュラインを制する。
 「あたしは被害者のお宅に行ってもよろしいでしょうか?」
 と提案するのはみなもである。「近所の人や平田さんにもお話を伺いたいですし」
 「それでは柳さんに同行をお願いしましょう。聞き込みをする上で警察官の強制力と威圧が役に立つ場合もあります。海原さん、“沢木の言いつけだ”と言ってあの女性に事情を話してください。きっと快く協力してくれるはずですから」
 と沢木は微笑みながら刑事課の女性を手で示す。沢木が示した方向を目で追ってみなもは不安に駆られた。快く協力してくれそうな女性には見えなかったのだ。某オカルト雑誌の編集長によく似た雰囲気の女性刑事だったからである。



 二十一歳、某有名音大三年生。耳のよさを買われて音楽の道を勧められ、たった一人で上京して都内の音大に入ったものの、内向的な性格と人見知りが災いして大学にはなじめず、登校拒否状態。それが沢木から聞いた綾瀬ハルキのプロフィールだった。
 地下鉄とバスを乗り継ぎ、バス停から三分ほど歩けば須川夫妻の住んでいたアパートだ。移動にかかった時間は三十分強。その間じゅう、沢木に命じられてみなもに同行した柳・鏡華(やなぎ・きょうか)巡査長は一言も口を聞かなかった。みなものほうは何とか円滑な関係を築こうと懸命に話しかけたのだが、沢木の後輩であるこの女性刑事は「そうですか」だの「ええ」だの素っ気ない相槌を返すだけだったのだ。が、どうやら彼女が沢木を快く思っていないらしいことだけは読み取れた。
 アパートに着き、管理人の男性に会って事情を話す。小柄な中年男性は丸い眼鏡を直しながらセーラー服のみなもをじろじろと眺め回した。無遠慮な視線に困惑を覚えるが、みなもは再度丁寧に事情を話して頭を下げる。しかし管理人の返事は素っ気ないものだった。
 「我々はこういう者なのですが」
 後ろで傍観を決め込んでいた鏡華が進み出て警察手帳を示す。管理人は幾度も目を瞬かせ、慌てて308号室の鍵を取り出した。警官の強制力と威圧とはこういうことかとみなもは納得した。
 マスターキーは大家のみが持ち、合鍵は管理人・不動産屋・大家が各ひとつずつ管理していること、須川夫妻が入居した際に前の住人が使っていた鍵を付け替えたことを管理人に聞いてから二人は被害者の部屋に入った。308号室を満たしていたのは静寂だけだった。四畳半のキッチンの先に和室がふたつ。畳にできたシミが生々しい。被害者の吐瀉物の跡だと鏡華が言った。部屋の角に置かれた小さな茶卓にはポットがぽつりと残されていた。かつて茶筒や湯呑みが置かれていたのだろうが、それらは警察の鑑識が押収したものと思われる。それ以外は特に変わったところはなかった。
 「発見時、暖房は入っていなかったんですよね。犯人が消したのでしょうか。それとも最初からつけられていなかった?」
 みなもは鏡華を振り返って問うた。
 「エアコンをつけた跡はありました。恐らく被害者本人が消したのでしょう。エアコンのスイッチ盤からは被害者の指紋しか検出されませんでしたから」
 一回り以上も年下のみなもに敬語を使うあたり、相当な嫌味と皮肉が感じられる。
 みなもは天井を見上げ、点検口を探した。座椅子の上に上がって天井に顔を近づける。天井にも点検口にも均等に薄い埃がついている。点検口がいじられた形跡はなかい。念のためにトイレと風呂場の換気口も調べてみたが、同じだった。つまり犯行当時この部屋は完全な密室だったということになる。
 それから一通り部屋の中を見て回ったが、手がかりになりそうなことは特になかった。
 次に近所の人たちへの聞き込みを開始した。
 「仲のいいご夫婦でしたよ。平田さんもお孫さんのハルキさんもよくなついてらして」
 「ああ、物音はしてたよ。だから部屋にいるんだろうなとは思ってた。でも普通の“生活音”って感じだったね。不審ってほどじゃなかった」
 「九時頃には部屋の電気は消えてたと思ったけどなあ」
 得られた情報はこの程度だった。あえて言えば、九時頃に部屋の電気が消えていたということは死亡と前後して消灯された可能性が高いということだろうか。
 「平田さんが来ていたみたいですよ」
 あまり期待せずに訪れた208号室――被害者の真下の部屋である――の女性はみなもにそう言った。
 「特に変な物音とかはしなかったですけど。九時頃に須川さんのお部屋から出て行ったんじゃないですか? 私、その時間にアパートの階段を下りていく平田さんを見ましたから」
 みなもと鏡華は顔を見合わせた。



 平田浩之は被害者宅から徒歩で十分と離れていない賃貸マンションに一人で住んでおり、そこから電車で二十分ほどの所にある会社に勤めているという。みなもと鏡華は平田の勤め先に出向いた。平田はごく普通の男だった。黒い髪に中肉中背の体つき。容貌にも目立つ点はない。ただ、細い銀縁の奥の目はひどく憔悴していた。
 「ああ、行きましたよ」
 平田は最初は口を開こうとしなかったが、鏡華が警察手帳を見せると渋々話し始めた。「いつもお邪魔してましたからね。八日は会社が定時で終わって、六時頃に須川さんの所へ行って食事の支度を手伝いました。おいとましたのは夜九時前です。もちろん、その時はお二人とも生きてましたけど。そんなことを聞くためにわざわざ会社まで?」
 平田は不愉快さを隠さずに吐き捨てた後で、
 「あの二人はぼくにとって唯一の縁者なんです。ぼくの心の支えでした。今回のことでショックを受けているのはぼくですよ」
 と呟いて視線を落とした。わずかに震える声の裏に涙を読み取ってみなもは口をつぐむ。この人は犯人じゃない。そう直感した。
 「犯人はハルキですよ」
 それから、平田はそう言って目を上げた。「あいつが殺したんだ。絶対に許さない」
 くまが貼りつき、真っ赤に充血した目には激しい怒りと敵意が燃えていた。



 二係に戻ったみなもを出迎えたのは一人の少年だった。毛先を無造作に遊ばせた金髪はいかにも今時の若者という風情である。鮮やかな赤い瞳が印象的だった。
 「ねえ、きみきみ、草間興信所から来たの?」
 桐生・暁(きりゅう・あき)と名乗った少年はみなもの前に立って問う。みなもは戸惑いながらも肯いた。
 「俺も俺も。よろしくね。可愛いねー君、学校どこ? 中学生?」
 「まあ、何ですかいきなり」
 羞恥や躊躇のかけらもない暁の言動にみなもは呆れ、少々憤慨する。初対面で面と向かってこんなことを言う人間など見たことがない。しかし、可愛いと言われて気分を害する女性はあまりいないものだ。
 「はいはい、そこまで」
 ぱんぱんという沢木の拍手が二人のやり取りを遮る。「皆さんには捜査のお手伝いに来ていただいているのですよ。じゃれる前に聞き込みの報告をしてくださるとありがたいのですがねえ」
 「へいへい」
 と暁は口を尖らせて頭の下で両手を組んだ。「あの綾瀬ハルキって奴、暗かったみたいだな。大学に行ってたのなんて最初のうちだけで、友達もいなかったって話だ。ペットショップのバイトは一年以上続いてる。今じゃ定休日以外は毎日仕事に来てるんだって、開店前の準備から閉店後の片付けまで。そんでバイト代の中からじいちゃんばあちゃんの生活費を援助してやってたんだってさ。でもあんまり使い物にならないみたい。とろいし、覚えが悪いって店員たちがぼやいてた。そのくせ地獄耳で、みんなで集まってひそひそ悪口言ってるとすごい目で睨まれるんだって」
 「あたしはまず須川さんご夫妻のお宅にお邪魔しましたが・・・・・・」
 次にみなもが口を開き、聞き込み等で得た情報をつぶさに話す。特に平田のことは詳細に話した。
 「私は綾瀬ハルキに直接面会して話を聞いたわ」
 最後に報告を行うのはシュラインだ。「“皆が自分の悪口を言っているように感じる”というようなことを言っていた。桐生くんの言うとおり、悪口には敏感なのかもね。それに、彼、相当参っているみたい。頭の中で声がするって言って壁に何度も頭を打ち付けていた」
 その情景を想像してみなもは眉をひそめる。シュラインは構わずに続けた。
 「第一発見者として、現場で事情聴取を受けた時に野次馬の中から視線を感じて、頭の中で“おまえが殺したんだ”“絶対に許さない”“おまえがほうじ茶に農薬を入れて”という声がしたそうよ。ひとつ気になるのは・・・・・・彼、被害者夫婦ご本人じゃなくて、平田浩之さんに電話をもらったそうなの。辰治さんとミヨシさんが里芋を食べたがっているからバイトに出かける前に持って来てほしいと。通話記録と着信履歴も確認済み」
 暁とみなもは互いに顔を見合わせた。
 「それじゃ、怪しいのはその平田浩之ってこと? 須川さんが死ぬ前に部屋を出たっていうのも嘘っぱちかも知れないよな」
 「動機は?」
 暁の言葉にシュラインが反論する。「平田さんはこまごまと須川ご夫妻の世話を焼いていたんでしょう。無償でそこまでするからには相当慕っていたんじゃないかしら。遺産・・・・・・という線もあまりないでしょうね。遠い親戚の平田さんに相続権が回ってくるとは思えない。ごきょうだいのいない須川さん夫妻が亡くなればまずは須川さんのお子さん、つまりハルキさんのお母さんが相続権を持つはず」
 「あたしも平田さんはシロだと思います。状況やアリバイは怪しいけれど、年の離れた親子みたいだと近所の人たちも話していましたもの」
 「それじゃ、祖父母に生活費まで渡してたハルキがやったのか? 俺はそうは思えないけど」
 と暁が口を尖らせる。「だったら自殺ってことになるけど、自殺なら平田浩之はなんでわざわざハルキに連絡したのさ。被害者が平田に頼んだとも思えない。可愛がってた孫に死体を見せたいと思うはずがねえからな。電話するメリットがあるとしたら、ハルキを第一発見者に仕立て上げてあわよくば湯呑みとか急須に指紋をつけさせて疑いを向けさせるってことくらいじゃないの?」
 暁の言葉ももっともだ。三人の思考は混乱した。
 沢木のデスクの辺りで「ふふふ」と忍び笑いをする声がする。見ると、耀が前後を逆にして椅子に座り、にまにましながら三人を眺めていた。三人は誰からともなく顔を見合わせた。いつの間に来たのだろうか? さっきまでは確かにいなかったのに・・・・・・。
 「皆様、お困りかしら? アタクシのとっておき情報を教えてあげてもよろしくてよ」
 似合わぬ言葉遣いとともに耀はバインダーを開く。「あのねー。おじいちゃんとおばあちゃん、悩んでたみたいだよ。学生のハルキさんに生活を助けてもらうのは心苦しいって」
 「そんなこと、誰から?」
 みなもが訝しげに問う。「ご近所の人たちからも平田さんからもそんなお話は聞きませんでしたが・・・・・・」
 「そりゃそうでしょ。だって、普通は悩んでることを人にべらべら話したりしないじゃん」
 「誰にも話さないような悩み事をどうして耀ちゃんは知ってんの?」
 「あたしの仕事は情報収集屋だもん」
 これくらい当たり前、と耀は暁に向かって不敵に笑ってみせる。みなもと暁は顔を見合わせて首をかしげるしかない。
 「心苦しい、か」
 そうかも知れない、とシュラインは顎に指を当てて呟く。「ハルキさん、“ぼくはいっぱい働かなきゃいけないから”と言っていたわ。須川さん夫妻の生活費を援助するためでもあったのかも知れない。親御さんから充分に仕送りをもらっているハルキさんが働き詰めになる必要はないもの」
 「・・・・・・なるほど」
 と言ったのはずっと黙り込んでいた沢木であった。
 四人の目が一斉に沢木に向く。糸のような沢木の目がかすかに開き、鋭い光が灯る。しかしそれもほんの一瞬のことで、次の瞬間にはいつもの穏やかな微笑が浮かんでいた。
 「耀ちゃん、柳さんに連絡してください。綾瀬さんと、それから平田さんを連れてくるようにと」
 耀は元気な返事をして出て行く。みなもは訝しげに沢木に問うた。
 「沢木さん、犯人が分かったのですか?」
 沢木は無言の微笑を返しただけだった。いつもの柔和な笑みの裏にかすかに悲しみの色がたゆとうていることにどれだけの人間が気付いただろうか。



 沢木に連れられて小会議室に入って来たハルキの肌は真っ白だった。肩に触れる茶色い髪は染毛ではなく生来のものだろう。瞳の色も薄い。それなりに整ってはいるが脆弱な顔立ち。セーターの下の肩はずいぶん華奢で、平たい。室内で待っていた面々を見て蝋細工のような唇がかすかに震えた。
 「どうしてぼくが呼ばれなきゃいけないんです? 犯人はそいつでしょ。自供したらしいじゃないですか」
 警察に呼び出され、会社を早退して宮本署の小会議室にやって来た平田は舌打ちしてハルキを見やった。ハルキは怯えたようにびくっと体を震わせる。
 「犯人は綾瀬ハルキさんではありません」
 シュラインが穏やかに口を開いた。しかしその目には厳しい光が宿っている。平田は口元をかすかに痙攣させた。
 「じゃあぼくがやったとでも? 冗談じゃない! 辰治さんとミヨシさんを殺したのはハルキだ! そいつが二人を――」
 「“死なせた”と」
 みなもがきっと顔を上げる。「あなたはそうおっしゃりたいのでしょう」
 「ああそうだよ! 二人が死んだのはハルキのせいだ、全部こいつが――」
 「殺したのはハルキじゃないよ。あんたでもない。自殺さ」
 と暁がぼりぼりと頭をかきながら言った。
 ハルキが弾かれたように顔を上げる。平田の顔が決定的にこわばった。それを肯定とみなして沢木がゆっくりと語り出した。
 「あなたは須川さんのお宅に頻繁に出入りしていた。ハルキさんも同様です。しょっちゅう顔を合わせていたからにはあなたはハルキさんとも知り合いだったのでしょう?」
 「そうですよ。それが何か?」
 「最近、須川ご夫妻は悩んでいたそうです。お心当たりは?」
 沢木の言葉に平田の口元が歪む。眼鏡の奥に燃え上がる激しい憎悪と敵意をシュラインは読み取った。
 「推測でしかありませんが、例えばこういうことは考えられませんかねえ」
 沢木の口調は柔らかかったが、糸のような目は正面から平田を見据えている。「ご夫妻はハルキさんに迷惑をかけていると思い悩んでいました。自分たちに生活費を援助するためにハルキさんが働き詰めになって大学にも行けなくなったのだと」
 ハルキが沢木の背後で息を呑む。
 「ハルキさんの性格だから、援助はいらないと言っても聞かなかったでしょうね」
 みなもがやや顔を歪め、一言ひとこと押し出すように低い声で言う。「そして、自分の存在がハルキさんの重荷になっていると思ったご夫婦は・・・・・・」
 みなもの言葉を遮ったのは平田の甲高い叫び声だった。激しく頭を振って叫ぶ。まるで何かから逃れようとしているかのように。リノリウムの床に眼鏡が落下し、無機質な金属音を立てた。
 「――平田さん」
 シュラインは膝をついた平田の前にしゃがみ込んでゆっくりと口を開いた。「須川さんご夫婦はあなたの目の前で服毒死したのでしょう」
 平田はゆっくりと顔を上げ、虚ろに肯いた。



 陽はすっかり落ちて、夕焼けの残滓は徐々に闇に侵蝕されつつあった。
 「おかしいと思ったんです。ぼくに“絶対にやかんや急須、湯呑みに触らないで”なんて言って。いつもはぼくがお茶を淹れてあげるのに。今思えば、ぼくの指紋をつけさせないようにするためだったんですね。ぼくに疑いが向かないように」
 やがて平田はぽつりぽつりと話し始めた。
 「二人はぼくの目の前で農薬を飲んだんです。自殺の目撃者になってくれと言って、ぼくの目の前で死んでいったんです」
 平田は悲鳴のような声さえ上げて両手で顔を覆った。スーツの肩ががたがたと震えている。
 「二人の寝室から遺書が見つかりました。ハルキに迷惑をかけたと・・・・・・自分たちのせいでハルキは大学にも行けなくなった、だから自分たちは死ぬのだと書いてありました」
 「ハルキのせいで二人が死んだって思ったわけか」
 暁の言葉に平田はこうべを垂れたまま肯いた。
 「それでハルキに電話をかけたんだな。第一発見者に仕立て上げて疑いを向けさせようとして。遺書は持って帰ったんだろ。自殺に見せかけた他殺だと思わせるために」
 「野次馬の中にあなたを見たという証言もあるそうです。あなた、何かぶつぶつおっしゃっていたそうですね。もしかして“おまえが須川さんを殺した、おまえのせいだ”とでもおっしゃっていたのではないのですか?」
 「あなたはハルキさんの耳のよさも、統合失調症の疑いがあることも知っていた。それでハルキさんに自分の言葉が聞こえればよいと・・・・・・あわよくば殺人犯にしてしまおうと。だから“おまえが農薬を入れた”などと言ったんでしょう?」
 暁、みなも、シュラインが順に口を開くが、平田は答えない。すすり泣く声が聞こえただけだ。
 「どうして救急車を呼ばなかったのですか」
 沢木がそっと平田のそばにしゃがみこんだ。「農薬自殺は苦しいものです。つまり、即死ではない。すぐに救急車を呼んでいれば、あるいは・・・・・・」
 「・・・・・・許せなかった」
 平田はぽつりと呟いた。濡れた顔をゆっくりと上げる。真っ赤に泣き腫らした目には敵意と憎悪が燃え滾っていた。それは明らかにハルキに向けられたものだった。
 「ぼくは辰治さんとミヨシさんを本当の親のように思っていました。ぼくには身寄りがありませんから。・・・・・・ぼくは、そんな二人の自殺の場面を目の前で見せられたんです」
 ハルキの華奢な体がぎゅっと収縮する。
 「だから・・・・・・ハルキなんか苦しめばいい! ぼくの大事なあの二人を自殺に追い込むまで苦しめたハルキなんか――」
 鈍い打撃音が小会議室に反響した。みなもは喉の奥で小さく悲鳴を上げて口を手で覆った。シュラインははっと顔を上げ、沢木は目を丸くする。
 「ふざけんな!」
 平田の胸倉をつかみ、容赦ない右ストレートをぶち込んで叫んだのは暁であった。攻撃の反動で首のロケットペンダントがゆらゆらとたゆとう。
 「大事な人なんだろ! 親みたいに慕ってた人なんだろ! だったら助けろよ! なんで黙って死なせたんだよ! 救急車呼んだら助かってたかも知れねえんだぞ! なのに、なのに――」
 「桐生くん」
 固く握り締めた右の拳をぶるぶると震わせ、今にも第二撃を繰り出しそうな暁の肩を沢木がつかむ。暁は我に返ったかのように目を揺らした。みなもは真っ赤な瞳から涙がとめどなくあふれ出していた。
 沢木の携帯がポケットの中で震え出す。沢木は一言断ってから応対した。分かりました、ありがとうございますとだけ言って電話を切る。
 「平田さん。あなたのお部屋から須川さんの遺書が発見されました。筆跡も須川さんのものと一致したそうです」
 沢木は静かに言った。
 平田の目から新たな涙が溢れ出す。そして平田は慟哭した。胎児のように体を丸めて、床に拳を叩きつけながら激しく泣きじゃくった。誰の目も憚らぬ嗚咽が白い壁に乱反射し、長い尾を引いていつまでもいつまでもその場にとどまった。



 「ありがとうございました」
 小会議室から出ると、ハルキはシュラインとみなもに小さく頭を下げた。暁は沢木に付き添われて別室で休んでいる。
 「疑いが晴れてよかったですね」
 みなもが柔らかな笑みを浮かべる。ハルキも小さく笑った。もっとも、それは多分に無理をした作り笑いであったのだが。
 「ハルキさん。あなた、バイトに忙しいから大学に行かなくなったの?」
 というシュラインの問いにハルキの目が震える。
 「違うでしょ? 大学に行かなくなったのが先で、バイトはその後でしょう。大学に行かなくなったからバイトに打ち込んだのよね。おじいちゃんとおばあちゃんのために、っていう理由をつけて」
 大きく見開かれた瞳の縁にに涙の玉が盛り上がり、すーっと頬を伝っていった。
 「・・・・・・おじいちゃんとおばあちゃんは、ぼくが大学に行かなくなった理由を知らなかったんです」
 ハルキは片手で顔を覆って声を震わせた。「登校拒否になったのは単に人付き合いが苦手で、大学になじめなかったからなのに・・・・・・おじいちゃんとおばあちゃんは生活費援助のためだって思い込んで。“毎月ありがとう、ごめんね”なんて言われたらほんとは登校拒否だなんて言えなくて・・・・・・おじいちゃんたちに感謝されてると思うと嬉しかったし・・・・・・おじいちゃんたちに仕送りするためだって思えば登校拒否も正当化できたから・・・・・・」
 ハルキの言葉はそこで途切れた。
 「綾瀬さん。あちらで温かいお飲み物でも・・・・・・少し休みましょう」
 見かねたみなもがハルキの背中に手を添える。ハルキは素直に肯き、年下のみなもに背中を優しく押されながら歩き出した。一歩ずつ、ゆっくりと。
 ハルキが本当のことを打ち明けてさえいればこんな事件は起こらなかったのだろうか?
 忙しく行き交う警察職員の雑踏が二人を包む。しかしみなもの耳には入らなかった。みなもは泣きじゃくるハルキの背中をいつの間にかさすってやっていた。薄く、脆いものにでも触れるように細心の注意を払いながら。  (了)
 




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■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
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【整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / 職業】

1252  海原・みなも(うなばら・みなも) 女  13歳 中学生
0086  シュライン・エマ         女  26歳 翻訳家&幽霊作家+草間興信所事務員
4782  桐生・暁(きりゅう・あき)    男  17歳 学生アルバイト/トランスメンバー/劇団員



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■         ライター通信          ■
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海原・みなもさま


お初にお目にかかります、宮本ぽちと申す者です。
今回は「VOICE」にご参加くださり、まことにありがとうございました。

可憐な人魚さんとして活躍する機会のない話で申し訳ありません。
刑事もののサスペンスなので仕方なかったのかも知れませんが・・・。
当初、こちらでは違う結末を用意していたのですが、皆様の推理に感心することしきりで、海原さまとエマさま・桐生さまのプレイングを折衷してこのような形といたしました。

「自殺に見せかけた他殺と思わせておいて実は自殺だった」という謎解きの定石ではありますが、お楽しみいただけたら幸いです。
だいぶ長文となりましたが、ここまでご覧くださったことに心から感謝いたします。
またどこかでお会いできる日を心よりお待ち申し上げて、挨拶とさせていただきます。


宮本ぽち 拝