■Unnumbered Episodes■
西東慶三 |
【0424】【水野・想司】【吸血鬼ハンター(埋葬騎士)】 |
「アドヴァンスド」には、個体ごとに異なっている点も多いが、共通している点も少なくない。
そうした「共通している点」の一つに、彼らの「ひと」に対する興味があげられる。
そして実際、彼らは時々「ひと」の前に姿を現す。
この物語も、そんなケースのうちの一つである……。
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ライターより
・シチュエーションノベルに近い形となりますので、以下のことにご注意下さい。
*シナリオ傾向はプレイングによって変動します。
*ノベルは基本的にPC別となります。
他のPCとご一緒に参加される場合は必ずその旨を明記して下さい。
*プレイングには結果まで書いて下さっても構いませんし、
結果はこちらに任せていただいても結構です。
*これはあくまでゲームノベルですので、プレイングの内容によっては
プレイングの一部がノベルに反映されない場合がございます。
あらかじめご了承下さい。
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はじまりの物語……?
それは、今から数年ほど前のこと。
京都の隣に、美坂市という街がある。
一見静かなその街は……実は、人知れず大変なことになっていた。
とある大物吸血鬼がその街に拠点を構えたため、それを征伐せんとあちこちからその道の人々が集まっては、夜な夜な大激闘を繰り広げていたのである。
そうして集まった多くの吸血鬼ハンターたちの中でも、水野想司(みずの・そうじ)の活躍は明らかに群を抜いていた。
いかにも「清純な少女」のような外見を持つ彼は、自らを餌として多くの吸血鬼をおびき出し、のこのこと出てきた連中を片っ端から鉈で「刈り取って」いたのである……。
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その夜も、想司の「狩り」は絶好調だった。
しかも、今日の獲物は「闇騎士」と呼ばれる吸血鬼で、本命である吸血鬼に繋がる相手だ。
もっとも、本命の吸血鬼とつながりがあると言っても、所詮は蜂に例えるならただの働き蜂、百戦錬磨の想司の敵ではない。
想司が闇騎士を追いつめるのに、さほどの時間はかからなかった。
「くっ」
想司の鉈によって深傷を負った闇騎士が、ふらふらと路上に迷い出る。
そんな彼にトドメを刺すべく、想司は一歩一歩彼に近づいていったが――そこで、予期せぬ邪魔が入った。
「しっかり! 何があったんですか!?」
不意に、若い男が横道から飛び出してきたのである。
もっとも、その程度の障害、想司にとってはどうということもない。
想司は構わず目標を殲滅しようとしたが……こともあろうに、その男は闇騎士を連れて逃げ出したのである。
普通に考えれば、「善意の第三者がたまたま鉈持った少女に殺されかかってる男を見つけ、見捨てちゃおけないけど立ち向かう力も事情を聞く勇気もないのでとりあえず逃げた」というだけのことなのだが――いや、これを「だけ」と言ってはいけないのかもしれないが――常識を遙かな地平にぶっちぎってきた想司の解釈は、それとは大きく異なっていた。
「むむっ☆ 横入りっ♪ こうなったら二人とも消すー☆」
邪魔=敵=始末。
きわめて単純な考え方から、さっさと次の行動を決定した想司。
ところが、ついていない日というのは、本当についていないものである。
「IO2だ! 武器を捨てておとなしく投稿すれば危害は加えない!」
その声とともに、数人のIO2捜査官が想司を取り囲んだ。
どうやら、「夜中に血染めの鉈を持って微笑む美少女」を、彼らは対処すべき怪異ととらえたらしい。
まあ、その判断自体は至極納得のいくものではあるが――なんにせよ、こういう場合に想司がとるべき行動は一つだった。
彼らもまた、「邪魔」には違いないのだから。
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IO2の一般捜査官数人を蹴散らすのに、さほどの時間はかからなかった。
ところが、そのほんのわずかの間に、目標はどこかへ逃亡してしまったのである。
「これは参ったねっ♪」
さして参ってもいない様子でそう言いながら、想司はきょろきょろと辺りを見回し――かなり間隔は空いているが、途切れ途切れに血の跡がついているのを見つけて、さっそくそれをたどっていった。
想司が闇騎士を発見したのは、少し離れたところにある公園だった。
公園のほぼど真ん中で、街灯に頭を割られた闇騎士がうずくまっている。
その向こうに、いずこかへと走り去っていく先ほどの男の姿があった。
どうやら、「二人とも消す」のは、失敗に終わったらしい。
それでも、想司は嬉しかった。
「僕を出し抜くとは大したものだね!」
予期せぬ強者との出会い――それが、たまらなく嬉しかったのだ。
「でも顔は覚えたから後日をお楽しみにー」
なんにせよ、あの男との決着は、必ずしも今つける必要はない。
今、優先すべきは――目の前の、闇騎士を倒すこと。
ふらふらと身体を起こした闇騎士が、奇声を上げながら想司に襲いかかってくる。
もちろん、無傷の状態でも想司に全く歯が立たなかった相手が、この状態で想司にかなうはずもなかった。
想司は今度こそ鉈でバッサリと闇騎士を斬り倒すと、意気揚々と公園を後にしたのだった。
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そして、その帰り道。
たまたま通りかかった神社で、想司は女の子の泣き声のようなものを聞いた。
「ん? ちょっと気の早い丑の刻参りかなっ?」
ちょっと、というほど丑の刻に近い時間でもないし、第一そんなに気が早かったら「丑の刻」参りにはならない。
これまたツッコミ所満載な発想ではあるが、まあ、「夜中に少女が神社で泣いている」という事態がすでに普通ではないといえば普通ではないのだから、さすがにこの場合はやむを得ないことかもしれない。
ともあれ、その声に興味を抱いた想司は、声のする方に行ってみることにした。
想司の予想とは異なり、そこにいたのはごくごく普通の少女だった。
神社の石段に一人で腰を下ろして、顔を伏せて泣いている。
何があったのかは知らないが、腕や脚にはいくつか擦り傷のようなものも見える。
そんな彼女の隣に立って、想司はいつもの調子で声をかけた。
「どうしたのっ? 何かあったのかなっ?」
その声に、少女は顔を上げ……驚いたように目を見開くと、数秒ほど口をぱくぱくさせた後、どうにかこうにかといった様子でこう答えた。
「あ、あなたの方が、よっぽど『何があったの』よ……」
言われてみれば、先ほどからの戦闘で返り血を浴びまくった想司は、全身血まみれである。
端から見れば、どう考えても大変なことになっているのは想司の方だった。
ちなみに、この少女の名は森里しのぶと言う。
これが、想司と唯一真っ当に意思を疎通できる人物であり、ツッコミ役でもある彼女との、最初の出会いであるのだが――まあ、いかにもこの二人らしいといえば、この二人らしいと言えよう……。
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■ 登場人物(この物語に登場した人物の一覧) ■
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【整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / 職業】
0424 / 水野・想司 / 男性 / 14 / 吸血鬼ハンター(埋葬騎士)
4544 / 棗・響 / 男性 / 26 / 情報組織『式』の長
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■ ライター通信 ■
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撓場秀武です。
この度は私のゲームノベルにご参加下さいましてありがとうございました。
・このノベルの構成について
このノベルは全部で四つのパートで構成されております。
今回は若干字数が少なめですが、その分全パートが個別ということでお許しいただければと思います。
・個別通信(水野想司様)
いつもご指名ありがとうございます。
ギャグ視点ということで、いろいろやってはみたのですが……こんな感じでいかがでしたでしょうか?
もし何かありましたら、ご遠慮なくお知らせいただけると幸いです。
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