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■秋篠神社奇譚 〜参拝日誌〜■

藤杜錬
【6082】【オールド・スマグラー】【炭焼き職人/ラベルデザイナー】
緑に囲まれた小道を抜けあなたは階段の前に立っている。
この階段の上にあるのは秋篠神社の境内だ。。
あなたは何かを祈願にやって来たのだろうか?
それともここの住人に用事があってきたのだろうか?
あなたはそっと一息ついて、ゆっくりと階段を上り始める。
階段をのぼった貴方はそこで人影を見かける。

「あの今日は……。」

そう言ってあなたはその人影に声をかける。

秋篠神社奇譚 〜参拝日誌〜

オールド・スマグラー編

●神社にて……
 とある休日の午後。
 神社の境内への階段が見える道で怪しげな風袋の青年がぶらぶらと歩いていた。
 青年の姿は、褐色の肌に全身に刺青を走らせ、身に付けている物は腰に巻いた小さい布のみというものであった。
 青年の名前はオールド・スマグラーと云った。
「まったく俺はなんでこんな所を歩いているんだ?」
 特に行き先が決まっているわけでもなく、ただひたすらぶらぶらと歩いていたスマグラーはそう呟く。
 そしてそんな風に歩いて行くと、スマグラーの視線の先に神社の境内への長い階段が姿を現した。
「おりゃなんだ?あの階段は?やたら長いなどうなってんだ?こりゃ?」
 その階段の意味がわからず、スマグラーはその場に止まり腕組みをする。
「うーんうーん」
 その場で腕組みをし、その場に座り込み考え込むスマグラー。
 その場で固まった様に考え込んでいたスマグラーであったが、急に立ち上がる。
「考えていても判らないもんはわからねぇ。俺自身の目で確かめてきてやる」
 立ち上がったスマグラーはそう叫ぶとその境内への階段を駆け上がって行った。
 階段を駆け上ったスマグラーは、階段の途中で一旦歩を止める。
「なんだ、思っていたよりも長いな、この階段」
 そして再び上を向くともう一度勢いをつけて駆け上がって行った。
 階段を上りきると、息を切らして膝に手を置くスマグラー。
 そして息を整えると改めて、スマグラーは周囲を見渡す。
 スマグラーが見渡したそこは静けさが場を支配していた。
「なんだ?ここは?」
 神社というものを知らないスマグラーはそこが何なのかよく判らないでいた。
「なんだ?この柱?上の方でつながってるし。訳わっかんねぇなぁ」
 鳥居を見てペタペタ触ってスマグラーは鳥居に向かって話しかける。
 ひとしきり鳥居をの周囲を回って見ていたが、そうしているのにも飽きたのかスマグラーは鳥居をくぐって境内の中を歩を進める
 歩を進めると狛犬が左右に置かれているのが目に入る。
「なんだ?これ?犬か?」
 不思議そうに左右の狛犬を見て回る。
「犬にしてはなんか変だよな。なんだ?ここはこんな妙なものばかりありやがる」
 狛犬の口に手を突っ込んだりして、ひとしきり触って見たスマグラーであったがそれにも飽きたのか先へ進む事へと決める。
 そして疑問ばかり膨れて行くスマグラーであった。
 そんな風に境内を歩いて行ったスマグラーであったが、狛犬の次は手水舎に興味を引かれる。
 スマグラーは手水舎に近づくとたまってる水を覗き込む。
「なんだこれは?飲めって事なのか?」
 そのままスマグラーは水に口をつけるとがぶがぶと飲み始める。
「くは〜うめぇ。この水なんだかしらねぇが旨く感じる」
 水の冷たさがそう感じさせたのか、スマグラーはひとしきり水を飲むと満足げに口をぬぐう。
「さて、と、他に面白い物はねーかな?」
 そう言ってスマグラーは再び周囲を見渡す。
 スマグラーにはその意味は判らなかったが、社殿に目が行った。
「ここの建物は一体なんなんだ?」
 まずスマグラーの目に入ったのが、社殿からぶら下がっている綱であった。
 その綱を何気なく引っ張って見たスマグラーはガラガラと音が鳴ったのに驚き、慌ててその手を離した。
「な、なんだ?これ変な音なんてさせやがって……」
 そして再びゆっくりとその綱を引っ張ってみる。
 やはり同じようにガラガラと音をさせたのを見て、スマグラーは一体それに何の意味があるのか考えて見たが、その答えはやはり出てこなかった。
「まぁ、なんだか判らんけど楽器の類なんだな?音が出るって事は……」
 そうスマグラーは自らを納得させた。
 そしてふと視線を下に移すとなにやら箱が置いてあるのに気がついた。
 一抱えほどの大きさもあるその木の箱、つまり賽銭箱にスマグラーは興味を引かれた。
「なんだこの箱は?上の法に穴が一杯開いてるな、中に何が入っているんだ?」
 スマグラーはその穴に非常な興味を覚えた。
「普通穴があったら手を突っ込んでみたくなる。そういうもんだよな」
 自らの思いを思わず口にして、スマグラーは賽銭箱に手を突っ込もうと手を伸ばす。
 そして賽銭箱に手を伸ばしたスマグラーはギシッという嫌な音を賽銭箱から聞いた。
「ン?なんか音がしたか?」
 その音に気にせず中になにがあるのかと思い手をそのまま突っ込んで行った。
「中に何があるんだ?きっと何かがは言ってるに違いないんだが……」
 手を突っ込んだあと中をあさろうとして、ふと自分の現状にスマグラーは気がつく。
 その手はしっかりと木と木の間に挟まり、動けなくなっていた。
「し、しまった手が抜けねぇっ!?」
 スマグラーは賽銭箱に足を駆けて一生懸命手を引き抜こうとあがき始めた。
 そして、そうこうしている内にギシギシという嫌な音を賽銭箱は立て始めた。
 そしてそうこうしている内に『バキッ!?』と激しい音を立てて賽銭箱の格子が音を立てて壊れた。
「や、やべぇ壊したっ!?」
「あのー、どなたかいらっしゃいますか?」
 奥の方からそんな声が聞こえてきたのを聞いて、慌ててスマグラーはその場を逃げるようにして立ち去った。
 そしてその場にはスマグラーによって壊された賽銭箱だけが残ったのだった。


Fin

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■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
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≪PC≫
■オールド・スマグラー
整理番号:6082 性別:男 年齢:999
職業:炭焼き職人/ラベルデザイナー

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■         ライター通信          ■
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 どうもこんにちは、ライターの藤杜錬です。
 今回はこの様になりましたがいかがだったでしょうか?
 楽しんでいただければ幸いです。

2006.02.20.
Written by Ren Fujimori