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■あいを知る日■

川岸満里亜
【5973】【阿佐人・悠輔】【高校生】
「……はあ?」
 姉、呉・水香は突拍子もないことを言う人だが、今回の呉・苑香に対しての指示は、いつにも増して耳を疑うものだった。
「だから、その山奥で開かれているパーティに参加して、少女を救出してきてほしいの」
「いや、言っている言葉の意味は理解できるんだけどね、お姉ちゃん」
 真剣な顔で、苑香は水香に問うのだった。
「うちって、興信所だっけ? 私って探偵だっけ!?」
「違うわよ」
 水香はきっぱり言う。
「私は発明家。ここは私の研究所よ。あなたは助手……というかパシリ!」
 ……この際、パシリという言葉は聞かなかったことにしておこう。
 しかし!
「だから、なんで研究助手が、行方不明の少女を捜したり、救出したりしなきゃなんないのよ! そういうのは、警察の仕事でしょ?」
「まあ、そうなんだけどね。何もあなた自身に行けとは言ってないわよ。水菜を行かせて欲しいの」
 新しい研究に着手したいのだが、どうにも研究資金が足りない。そこで、探偵事務所の下請けをすることにしたのだ。ゴーレムを使って。
「ああ、つまり、そのための教育を水菜にしろっていうのね」
「そうそう、ようやく話が通じたようね。とても天才の妹とは思えない理解力だわ」
 ……とりあえず、今の言葉も聞かなかったことにして!
「で、何を教えればいいのよ? 一人で行かせたらトラブルを起こしそうよ?」
「余計なことは教えないで、少女の顔を覚えさせ、こっそり連れ帰るように仕込めばいいのよ」
「でもねぇ、あの子パーティなんて経験したことないし。それどころか一般常識も知らないのよ?」
 水菜は純粋すぎる子供のようなものだ。教えられたことは教えられた通りそつなくこなすが、教えられていないことは、本当に常識的なことさえも知らない。
「分ってるわよ。でも、だからこそ今がいいのよ。もう少し育ったら、恐怖で体がすくんで失敗するかもしれないじゃない。あまり感情を知らない今だからいいの」
「恐怖って……まさか、危ない仕事なの?」
 苑香の問いに、水香は不敵な笑みを浮かべた。
「かもね。でも大丈夫。水菜は私の自信作だもの。……決行は3月14日よ」

 苑香は水香からさらに詳しく話を聞く。
 水香が受けた依頼とは、少女を捜し出すこと。可能であれば連れ帰ること。
 精神的に病んでいた少女は、ネットで知り合った人物の誘いに乗り、集団自殺志願者が集うパーティに参加したらしい。
 その後、消息を絶った……。
『あいを知る日〜哀しみと愛しさと〜』

「忘れ物ない? ちり紙ハンカチ持った? 場所わかるわよね?」
「なんか、子供を遠足に送り出すお母さんみたいよ、苑香」
 3月14日。
 水菜を送り出す呉・苑香の心境は、呉・水香の言葉通り幼い子供を送り出す母親そのものであった。
「はい。いってきます。苑香さん、お母さん」
 送り出される水菜は、少女型ゴーレムである。つまり、人間ではない。
 だから、肉体的心配はほとんどいらないのだが、作られて間もない水菜の知能は幼子同然である。目的を果たすことはおろか、一人では無事目的地までたどり着けるかさえ怪しい。
「ああ、心配だわ〜。やっぱり私も行こうかなぁ」
 水菜の身だしなみを整えながら、苑香は呟く。
 淡いピンクのワンピースは、水香のものだ。靴は苑香がお気に入りの白いブーツを貸した。
「アリスちゃんが一緒だから平気だって」
 今回の水菜の任務には、アリス・ルシファールが付き添うことになっている。
 バレンタインにチョコレート作りを手伝って以来、アリスは水菜の相手をするため、時折呉家を訪れていた。既に、苑香とは友達だ。人形に関しての彼女の知識は大したもので、アリスは水香の信頼も得ている。
「それこそ心配よ〜。アリスさんはまだ中学生なのよ! 何かあったら、どーするのよ〜〜〜」
「大丈夫です。私達にお任せください」
 アリスは微笑んでみせる。
 今回、水菜とアリスに任された依頼とは、行方不明の少女を連れ戻すことである。
 なんでもその少女は、集団自殺希望者が集うパーティに参加したらしいのだが、そのまま行方がわからなくなってしまったということだ。
 自殺を希望していたのだから……もう、この世にはいないかもしれない。それは依頼主自身も覚悟をしているとのことだ。
「では、行ってきます」
「気をつけてね。危なくなったら逃げてね!」
 苑香がアリスの手を握った。
「とりあえず、水菜は大丈夫だから、もしもの時には、自分の身を一番に考えてくれて構わないわ」
 水香はアリスに少女の写真を手渡す。
 長い黒髪のおとなしそうな少女だった。
「わかりました」
 写真を鞄に入れると、アリスは水菜とアンジェラを引き連れて駅へと向うのであった。

******

 電車を乗り継ぎバスに揺られ、そこから更に数十分上り坂を歩き、ようやく目的地にたどり着く。
「本当に遠足みたいですね。軽装で来て、会場で着替えるべきだったかもしれません」
 疲れはしたが、空気も良く、自然がとても美しくて心が和んだ。
 春の花が当たり一面に咲き誇っている。
 そんな中。目の前に存在する建物は――まるで、映画で見る中世の洋館のようだった。
 迎えに出ていたメイドに案内をされ、建物の中に入る。
 既に数十人の男女が集まっている。メイドの話によると、今日は人数が多いとのことだ。3月14日のこの日を最後の日と選んだ人物が多いということだろうか。
「アリスさん、写真の人……」
「しっ」
 水菜の言葉を慌てて止める。
 怪しい動きをしたら、主催者に勘付かれてしまうかもしれない。
「ほら水菜さん、美味しそうな食べ物があります」
 水菜の注意を料理にひきつける。
「食べ物ですか? 食べ物というより、飾り物に見えます」
 豪華な料理は、水菜には食べ物というより芸術品に見えるのだろう。
 アリスは水菜に食べ物の説明をしながら、思案する。
 写真の少女が視界に入っている。
 連れ出すには、タイミングが重要だ……。
「悠輔さん!」
 突然、水菜が大きな声を出した。
 名を呼ばれ、男性が振り向く。アリスより4,5歳年上の少年だ。額に巻いているバンダナが印象的だ。
「水菜!? なぜ、ここに?」
「お母さんに、お仕……」
「わーわーわー!!!」
 アリスは慌てて水菜の口をふさぐと、その男性……阿佐人・悠輔に目配せをし、水菜を廊下に連れ出した。

 アリスと悠輔は互いに自己紹介をし、目的を話す。
 アリスの方は、友人の手伝いで一人の少女を連れ戻しに来たと悠輔に語った。
 悠輔の方は、ネット上の掲示板で、このような記事を目にしたため、調査に来たのだという。

 集団自殺志願者を募集してます。
 七輪なんかより、もっと確実で全く苦しまないで逝ける方法知ってます。
 とある山林に住む妖魔に生気を吸い取ってもらうんです。
 優しくて、美しい人間の形をした妖魔です。
 山奥で最後のパーティを楽しんだ後、夢心地のまま息を引き取ることができます。
 興味ある人は、応募理由を書いてメール下さい。

「なるほど……自殺サイトだけではなく、あらゆる所に記事を載せているのですね」
「それより、あんたのような女の子がこんなところにいたら、危険だ。探している少女なら、俺が探しておく。今日のところは、水菜を連れて帰った方がいい」
 水菜は二人の会話に入っていけないようで、アリスの隣でそわそわしている。
「水菜も、これ以上は危険だから帰るんだ。な?」
 そんな水菜に気づき、悠輔は子供に言い聞かせるように水菜に語りかけた。
「危険だから、私が来たんです。悠輔さんは、なんで危険なところにいるんですか?」
 ……自分も、危険だから居る。
 日常を壊しかねないモノがここに、在るかもしれないから。
 今、水菜に自分の気持ちを語っても、まだ彼女には理解できないだろう。
 悠輔は吐息を付くと言った。
「わかった……。俺は主催者を探るが、あんた達はその少女を連れ帰ることだけに専念してくれ」
 はい。とアリスと水菜は頷いた。
 そして、水菜は悠輔の目をじっと見つめて……
「悠輔さん、危険なことはしないでくださいね。危険なことは、私の仕事です」
 真直ぐな瞳でそう言ったのだった。
 ぽん。と、悠輔は水菜の頭に手を乗せた。
「危険なことは、水菜の仕事じゃない。危険にならないようにすることが、水菜の仕事じゃないのか? 借りた洋服、汚したらダメだぞ」
「危険にならないようにすること……」
 水菜は言葉を反芻する。言われた意味が良くわからないようだ。
 悠輔はそっと水菜から手を離すと、アリスに彼女のことを頼み、一足先にパーティ会場に戻ったのだった。

 会場は穏やかな雰囲気に包まれている。
 到る所に飾られた色とりどりの花々がとても美しい。
 最初は強張っていた人々の顔も、穏やかなものに変わっていた。
 悠輔は聞き込みを再開する。
 アルコールは未成年だからと断りながらも、進められれば多少料理を口にしながら、会話に入り込む。
 皆の会話は、好きな食べ物や、趣味のことが大半であった。
 今は好きなことだけを考えていたいのかもしれない。
 この会話を、生きる希望に繋げてほしいものだと悠輔は考えながら、脳内で今まで得た情報をまとめてみる。
 まず、パーティの主催者とは誰も会っていないらしい。
 ベータと名乗る人物に会った者もいないらしい。
 パーティにも進行役と思われる人物もおらず、メイド達が乾杯の音頭をとったり、料理を運んだりと、場を盛り上げ進めている。
 ただ、不思議なことに、そのメイドから感じる印象というものが人それぞれ違うのだ。
 また、料理の味も。
 甘くて美味しいと表現する人物もいれば、辛くて最高と表現する人物もいる。
 つまり……。
(幻術、か)
 この空間全てが幻なのではないかと、悠輔は勘付く。
 考え込む悠輔の視線の端に、水菜が映った。
 アリスという少女と並んでいると、まるで姉妹のようだ。
 同じ金色の髪。水菜の方が少しお姉さんだけれども、てきぱきと指示を出しているのは、アリスの方だった。
 当たり前だ、水菜はまだ心は子供なのだから。
 そんな可愛らしい姉妹のような二人には、主に男性から次々に声がかかっている。最後の時を可愛らしい彼女達と楽しく過ごしたいと思ってのことだろうか。
「本日は沢山の方々にお集まりいただき、光栄ですわ」
 女性の声に、悠輔の意識が引き戻される。
 中央に歩み出たのは、スタイルの良い綺麗な少女だ……妖魔だろうか。
「皆様に、私から素敵なプレゼントがありますの」
 鼓膜が震動する。同時に脳に霧が発生する感覚を受けた。
 悠輔は親指の爪を人差し指に刺し、意識を集中する。
「お一人づつ来てくださいませ」
 参加者たちが、ふらりふらり女性に近付いていく。
 夢見るような表情で。操られるかのように、ゆっくりと。
(こうやって、生気を奪っているわけか)
 どうする?
 悠輔は背後を見る。
 アリスと、水菜の姿は既に消えている。目的の少女を連れ出すことに成功したのだろう。
 ならば……。
 悠輔はバンダナに手をかけた。

 既に日は落ちていて、辺りは静寂に包まれている。
 淡い月明かりが、3人の少女を照らしている。
「亜由菜さんは、何故、このようなパーティに参加されたのですか?」
 亜由菜とは、アリスと水菜が捜していた人物である。
 彼女は、最初からパーティにいた。……メイドとして。
 主催者が現れ、皆の気がそれた瞬間に、アリスと水菜は彼女を外へ連れ出したのだった。
 暗い顔をした少女だった。長く黒い髪が更に彼女の雰囲気を暗くしてしまっている。
 更に、どこかしら不自然な違和感を覚える娘だった。
「それは……何もかもが嫌で。未来に希望なんかないし、誰とも上手くいかないし。何もかも嫌い。自分も嫌い。だから消えてしまいたい」
 亜由菜は、じょじょに声を荒げていく。
 アリスは、宥めるように彼女の腰に手を回しながら、歌を謳った。
「妖魔でもなんでも、どうせ消える命だもの、私の命が誰かの役に立つのなら、それもいいと思った」
 水菜はただ、じっと二人を見ていた。
 アリスは歌い続け、睡眠作用のある歌で眠りを誘う。美しい旋律が、アリスの口から周囲に広がる。
「この間は生き残っちゃったから……今日こそは……と……思ってたのに……」
 崩れる少女の体を水菜が支えた。
「アリスさん……」
 意識を失った少女を抱きしめながら、水菜がアリスを見た。
「人が死ぬというのは、何もかもなくなってしまうことだと聞きました。動くことも考えることも出来なくなって、そのうち体もなくなってしまうと聞きました。一度死んでしまったら、元に戻ることはないんだと聞きました。……嫌じゃないんですか?」
「そう、です……死ぬのは嫌なことです。でも、生きていることが嫌になってしまう人も、いるんです」
 哀しいことです。とアリスは続ける。
 水菜は亜由菜を憂いを含んだ瞳で見ていた。
「死んでしまったらそこで終りですが、生きていれば、きっと生きていて良かったと思える時がきます。だから、亜由菜さんを連れて帰りましょう」
 こくり。と水菜はアリスの言葉に頷いた。
 ――瞬間――
 亜由菜の手が、水菜の首に伸びた。
「あなたは、人間じゃないのね。邪魔はさせないわよ」
 表情が変わっていた。
 大人しげな少女の顔から、鋭い瞳の女へと……。
「アンジェラ!」
「動くな! この子、バラバラにするわよ?」
 即座にアンジェラを駆動させたアリスだが、亜由菜の言葉に動きを止める。
「亜由菜さん……何故?」
 アリスの問いに、亜由菜は嘲笑で返した。
「亜由菜はこの体。そしてこの記憶。私は彼女を演じているけれど、亜由菜じゃないのよ。わかるかしら?」
 その言葉で、アリスは察した。
 彼女に感じていた違和感の理由全てが解った。
 つまり、彼女はもう……死んでいるのだ。
 体と記憶は残っているけれど、魂は既にこの世にない。
 生命力の全てを吸い取られ、別の生命、人格が彼女の体を支配している……それが、今の彼女の状態なのだと。
「生きていれば……きっと、生きていて、良かったと、思える時がきます……」
 水菜がアリスの言った言葉を繰り返していた。首を絞められれば、彼女とて苦しいらしく、顔をゆがめている。
「ええ、幸せよ。死にたいと思った彼女と、人間の体が欲しかった私。彼女は誰かの役に立ちたかったんですもの。私が使ってあげているのだから、幸せなはずよ」
 亜由菜……の中に入っている妖魔は、更に強く水菜を締めあげる。
 水菜はなされるがままであった。
「水菜さん、亜由菜さんを突き飛ばしてください! Follow!」
 アリスが声を張り上げる。
 途端、水菜が勢いよく亜由菜の体を突き飛ばした。
 倒れた亜由菜を、アンジェラが組み敷く。
「そこまでだ!」
 抵抗する亜由菜……妖魔の肩に、突如鋭い刃物が刺さる。
「あんたが本体か」
 悠輔だった。
 会場でひと暴れして、幻術を解いた後、事態を察知し駆けつけたのだ。
「全て本体で、全て分身よ。この体は諦めるわ。さよなら……うふふふ……」
 笑い声が突然止まり、少女の体から力が抜ける。
 体は冷たく硬直しており、肩の傷からは血も出ていない。
 ――風が吹き抜けた――
 3人はしばらく沈黙をした。
「……悠輔さん、手から血が出ています!」
 最初に声を出したのは、水菜であった。
「あ、ああ。かすり傷だ。水菜こそ、大丈夫か?」
 食器で切ったのだろう。悠輔の傷は、大したことはない。
 締められたと思われる水菜の首に、悠輔はそっと触れた。
「私はなんともありません。人間は、血を沢山流すと、死んでしまうと聞きました」
 心配そうに、水菜が悠輔を見つめている。
「この程度なら、勝手に止まるから大丈夫だ」
「でも……いつかは……」
 水菜は少女に視線を落とす。
 しゃがみこんで、少女の体を抱え起した。
「この人のように、動かなくなってしまうんですよね……アリスさんも、悠輔さんも」
 二人を代わる代わる見て、水菜は小さく呟いた。
「嫌、です……」
 もう一度、もっと大きな声で。
「嫌です。……嫌……っ」
 今にも泣き出しそうな顔だった。
 それはゴーレムの少女が初めて見せた、哀しみの表情であった。

******

 その日のうちに、呉家応接室で、アリスは苑香に今回の件の報告をした。
「そっか、首を絞められても抵抗しなかったかー」
「はい。ですので、Followを使わせていただきました」
 Followとは、水菜に対してのコマンド……命令語だ。
 水菜は製作者に絶対服従。主人(現在は苑香と認識しているとのこと)に忠誠。そして、ある単語を語尾につけることで、一般人の命令にも従うようにできている。
 出発前に、その単語の一つをアリスは教わっていたのだ。優先度としては低い単語らしく、ゴーレム自身の判断能力が命令に勝ってしまうこともあるそうだが、現時点の水菜には絶対的な言葉であるといってもいい。
「うん、ありがとね。依頼のことなら失敗じゃないから気にしないで。早めに発見してあげられてホントよかったと思う」
 こちらも出発前に、アリスは少女や、パーティに関してありとあらゆる情報を得ており、生存の可能性は薄いと見当をつけていた。……だから、受ける時点で覚悟していたとはいえ、やはりやりきれない気持ちが残ってしまう。
 水菜は念の為、メンテナンスを受けている。
 生身の人間と同じような素材で出来ているため、パワーはあっても、脆いらしい。

「お母さん」
「なあに?」
「……なんでもありません」
 治療を受けながら、水菜は押し黙る。
 聞きたいことが沢山あるのに、上手く言葉にできない。
(どうして、悠輔さんは危ないから帰れっていったの……? 危ないのは自分の方なのに。人は私より脆いのに。危ないことをしたら、死んでしまうかもしれないのに。死んだら何もかもなくなってしまうのに。それでいいの? あの人は死にたいと言った。人はみんな、死んでもいいと思っているの? ……それは嫌。私は、いや……)
「異常なし! 部屋に戻っていいわよ。今日はもう休みなさい」
「はい……」
 水菜は浮かない顔のまま、自らに与えられた部屋に戻っていく。
「……時雨」
 小さな声で、水香は最初に作り出した青年型ゴーレムを呼ぶ。
「はい」
 作業を中断して、時雨が水香の側に寄った。
「私が死んだら、あなたはどうするの?」
「無論、全ての機能を断ち、水香様と共に参ります」
 即答だった。
「そう……そうね。あなたはそう言うと思ったわ」
 水香は愛しいゴーレムをそっと抱きしめて目を閉じた……。

 ポン、ポロン……
 優しい音が響いていた。
 水菜の部屋から流れるそれは、切ない心を労わり覆ってくれるような、優しいオルゴールの音色だった。

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■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
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【整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / 職業】

【5973 / 阿佐人・悠輔 / 男性 / 17歳 / 高校生】
【6047 / アリス・ルシファール / 女性 / 13歳 / 時空管理維持局特殊執務官/魔操の奏者】

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■         ライター通信          ■
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こんにちは、川岸です。
ご参加ありがとうございます!
悠輔さんの言葉一つ一つが、水菜の心に響くようです。
またお目に留まった際には、どうぞよろしくお願いいたします。