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■まぼろしの声■

烏鷺山
【2644】【ブラック・ドリルガール】【戦闘用クローン人間】
静かな日だった。

何かがおかしい。
ふと違和感を覚えたかなたはその原因がなんなのか
考えていたがまるで分からなかった。

「ねぇ、グレゴリウスー…」

グレゴリウスにその「何か」を訊こうと思って声をかけた途端
気付いた。
ずっと感じていた違和感に。

グレゴリウスと呼ばれていたウサギのヌイグルミは
かなたのベッドに静かに転がっていた。
あの長いしっぽが見当たらない。

「あれ…?」

「ねえ、グレゴリウス!」
揺さぶってみるが答えは返ってこない。

「ちょっと!ねぇ!グレゴリウス!!グレゴリウス!!」
激しく揺さぶってみてもかなたが求めている「声」はしなかった。


孤独━━━。


突然かなたの背にゾクっと冷たいものが走る。

「うそ…でしょ…」

この異界において、かなたはグレゴリウスと共に
戦い、日常を過ごし、笑い…。
だがそのグレゴリウスは只のヌイグルミと化していた。

「…どうしたら…いいの…」
絶望に支配される。
いつも一緒だと思っていた人がある日突然
居なくなってしまうことの恐ろしさ。

*************
時を同じくしてグレゴリウスはかなたに揺さぶられて
少々気持ち悪くなっていた。

「ぐえーーー!!揺さぶりすぎなんだよ!かなた!!」
さっきからかなたには自分の声が届いてないようだ。
「おい!かなた!!」
何度もグレゴリウスはかなたを呼んだ。
だかかなたの耳には届かない、その「声」

「この異界って場所…不思議なところだが…
今回は時空が不安定みたいだな…
俺の声がかなたに届いてねえ。」

「かなただけ異界からはじきだされちまったんじゃねえか?」

くそ!!
かなたを救助しにいかなくては。

「めんどくせぇがしかたねぇ!かなたを救う為だ!!」