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■狛鬼使い〜Night Half〜■

緋烏
【3198】【ニシムラ・ミリ】【 】
「…また、獣絡みの事件が…で?今回本家が絡んでる可能性は?」
善の店でこっそりと打ち合わせを持ちかける草間は、彼の問いに微苦笑して答えた。
「いや、残念ながら今回も本家とは関係ないようだ。問題は…この事件を起こしてる奴が大陸から渡ってきたってことだ」
「…とすると何か?今回は虎人?」
「依頼人は以前と一緒。警察関係者からだ。極秘で提供してくれた資料によると、被害者の傷…形状からして猫又か虎人の可能性が高い。それと被害者の証言を合わせると、常人離れしたスピード、丸く輝く目の中で閉じた瞳孔、鋭い爪…そしてけして致命傷を与えようとせず、まるで遊んでいるかのように追い詰められ、力を吸われるような感覚に襲われ、そのまま気絶。その後通りがかりの人に助けられ、現在入院中」
「…毎度の事ながら普通は通り魔事件とか動物園から逃げ出した肉食獣が起こした事件にしか見えないものを、何で人外の仕業と見抜くかな…うさんくせぇ…」
草間の見解を聞き、文句をたれた後、善は被害者の傷が写された写真を見た。
「虎人は…普段人間に溶け込んで生活しているからな。捕食目的である事が殆ど。猫又の場合、肉を食わずともその精気を吸えればいいだけだから、殺す必要はない。でも狩りを楽しむ習性がある…」
二人は依頼書を見つめ、一つの結論に到達した。

「決まりだな」
「今回の標的は猫又。金化猫や猫しょうでないことを祈ろう」
「人に飼われてた奴の変化なら…まだマシなんだがなぁ…」
「そう言うなって、お役所仕事では解決できんからこっちに廻ってくるんだろーが。しかもそれが皮肉にも飯のタネだ」
「…確かにな。ところで今回もそっちのツテから助っ人、頼めるか?」
「OK、探しておこう」

打ち合わせが終了し、二人は新しい煙草に火をつけた。

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◆依頼書◆
『都内均衡で時折発生している女性を狙った傷害事件についての調査依頼。
調べによると被害者の共通点は霊力の強い女性。
そして犯人は被害者の負った傷から判断して、獣もしくは獣人による犯行。
一度霊能者に退治を依頼するも、返り討ちにあったことも踏まえ、
万全の準備を整えてから退治に当たって欲しい』