■あなたの冒険お供します!■
龍本みーや
【3143】【アイディル】【水操師】
 珍しく危機に陥っていない麗らかな日。
 妖精ミミとそのお付の子妖精マメルはとある書物を眺めていた。

「マメル」
「はい、何でございましょう! ミミ様」
「わたくし……故郷のことを思い出してしまいましたわ」
 珍しくしんみりとした様子でミミは美しい瞳を伏せた。ミミの親はとても厳しくそして偉大な人だ。『世界をもっと知るが良い』と村を出されたからにはそれなりの経験を終えて戻らぬ限りきっと恐ろしい仕置きが待っていることだろう。
「ミ、ミミ様、早く様々な経験をして村に帰れるように致しましょう」
 マメルは慰めるようにミミの顔の周りを飛び回った。
「ですが、世の中には滅多に体験できることのない不思議な出来事はたくさんありますわ。本当にわたくしに出来ますのでしょうか」
 ミミはじっと、手元にある書物を睨み付けるようにする。――というのも、彼女を悩ませている原因こそこの書物だったからだ。
 この書物は妖精界における――――ミミの故郷の村における83の項目が綴られていた。
 
 ・偉大なる魔法をその目で見よ
 ・人と魔物が情を交わす様をその目で見よ
 ・剣王と呼ばれるべき美しき剣技をその目で見よ
 ・大地の理を知れ
 ・空の心を理解せよ

 など、冒険に纏わる基本的なことから世間のこと、果ては創世にいたるまでの様々な項目が並んでいた。
 この書物はその項目に纏わる出来事が起こった際、呪文を唱えると書物がその出来事を記憶する。映像を本に刻むのだ。
 パラパラと捲ってみたが、映像が描きこまれたページはほんの10ページたらず。
 しかも基本的な項目「術を唱えてみせよ(印を正しく扱うべし)」「心奪われし魔の者に挑んでみせよ(挑む心が大切。結果は不問。)」「大人の世界・『酒-SAKE-』を体感せよ(己の限界を知れ)」などだ。
 細々と続けていたのではとてもじゃないが終わりそうにない。そもそも、「世界は何か」などを答えるのではなく「体験」するなどもってのほかだ。

「絶対……無理ですわよね」
 ミミはしょんぼりと肩を落とし、大きな息を吐いた。このままでは一生村に帰る事が出来ないかもしれない、と。
「……」
 マメルはすっかり気を落としてしまったミミにそっと手を伸ばし、慰めるように髪に触れた。
「あ、あの……ミミ様。ここは幸い冒険者がたくさんおります。その者たちの冒険に、共に連れて行ってもらうのはいかがでしょう?」
「けれど……」
「多くの者がおれば多くの目的や状況がありますゆえ、何らかの項目をクリアすることが出来るかもしれませぬ」
「そう……そうですわね」
 ミミは考え込んでしまった。――珍しい、とマメルは思った。
 いつもならば彼女は真っ先に色々なことに首を突っ込み、騒ぎを起こす人だ。マメル的見解では「危険なこと大好き」と考えているような人だ。それなのに。
「けれど当事者にならねば面白さ激減ですわよね……」
「――!?」
 ボソリと呟かれた言葉にマメルは目を見開いた。やはりそうか。そんな風に考えていたのかと。
「ミ、ミミ様!! やはり助けを借りましょうぞ! 共に行動させてもらうだけにしましょうぞ!!」

 マメルは焦ったように告げ、慌てて街へと飛び、触れ回ったのだった。

「冒険に同行させてくれる者求む。危険な冒険大歓迎。特殊な状況尚大歓迎。当方魔法扱えます。もちろん無償で援助!」

 ――そんな言葉を触れ回ったお陰か、今、彼女の元に訪れる者がいた。
五人五色の冒険がある


 その一行はなんだかとても異色な組み合わせで、横を通り過ぎる冒険者たちは何事かと振り返る。
 そんな彼らは計五名。
 先頭には、幼いながらも奇妙な格好をし、ブスッと無表情で周りを警戒するように歩く少年。その後ろには背中に羽を持つ美しい少女と可愛らしい容貌を持つ男の子が楽しそうに話しながら歩いている。そしてまたその後ろではバンダナを風に揺らす青年に掌サイズ程の小さな妖精が懸命に話を聞いている。
 以上、計五名。
 通り過ぎる人々はこの一行が一体どういう団体なのか、どういう係わり合いがあるのか疑問に感じていた。
 それもそのはず。彼ら全員が元々の知り合いではない。
 ―― というのも、話を遡らせるとこうだ。
 少年、光厳・アークエットが突如大蜘蛛の糸を手に入れたいと言い出した。そしてその後、少女ミミとマメルという二人組みに出会う。
 彼らは誰かの冒険者に同行したいという旨を言い回っていたため、光厳は「たまには面白いだろう」と思い、同行を許可したのだ。
 だがそこに現われたのは小さな男の子、アイディル。彼は日頃から光厳を危険な人、敵だという認識をして観察していたため、光厳が何か悪い事をしないようにと恐々同行することにした。
 そしてそれに付き添う形になった青年、ヴァイエストもまた「珍しい食材ゲット」及び「危険からメンバーを守る」プラス「食事係」として同行することとなった。
 その結果出来上がったのが、このおかしな5人パーティーなのだ。

「それにしましても、その湿地帯に住む大きな蜘蛛さんの糸を何に使うおつもりなんですの?」
 ふと、ミミが光厳に問う。この冒険の発端となった目的だ。聞いておきたいという気持ちも理解出来よう。
 光厳はほんの少しだけ視線を移動させてミミを垣間見た。瞬間、アイディルがびくりとし、ミミを庇うように前に出ようとする。
「……糸は大変良いものらしく、服に編み込めばかなりシブくなると聞いた。腕試しがてら向かおう思ったのだ。『鳳翼天翔』とか、刺繍したい」
「『鳳翼天翔』ですか?」
 ミミは聞きなれない言葉に首を傾げるが、アイディルは瞬時に考える。
 そのようなことを言っているが、光厳には壮大な目的があり、そのためにきっと犯罪を犯すんじゃないかと。―― 例えば、今ここにいる美しい妖精のミミを、暗躍しているという人買いに売ってしまおうとか、冒険で手に入れた卑怯武器で強盗計画を企んでいるのではないかと警戒した。
「ミ、ミミちゃんはぼ、僕が守ったげるね……!」
 思わずそう告げてきゅっと手を繋いでみせたが、ミミはますます首を傾げ、光厳はそれを見て「フッ」と笑った。
 ニタリ、と、そんな音があうかのような微笑みに、今しがた放った言葉はどこへやら、アイディルは慌てたように後ろにいるヴァイエストの陰に隠れた。
 ヴァイエストはしがみついてきたアイディルに困ったように頭をかきつつ告げる。
「……んなことより、さっさと用事済ませようぜ」
「そうであるぞ、そうであるぞ! ヴァイエストの料理を一刻も早く食べるのである!!」
 ヴァイエストの声に続いて叫びを上げたのはマメル。どうやら先ほど二人で話していたのは食べ物のことについて、等だったようだ。
「あらあら、まあまあ。マメルったらいつの間にそのような約束を……」
「も、もちろんミミ様に食していただくためでございまする!!」
 口元に透明な汁を滴らせるマメルの言葉はあまりにも説得力がない。
「マメル、よだれが出てるよ〜」
 アイディルの言葉によりマメルは慌てて口元を拭き、わざとらしく口笛を吹いて見せた。

 ―――― と、光厳が息を飲んで刀を握る手に力を込める。どうやら目的の場所に着いたようだ。
「……着いたな」
 彼の探す大きな蜘蛛とはそんな簡単に見つかるのかと言い掛けたその時。
 ぶわっと空気が生暖かいものに変わる。ざわざわと木々がざわめき、足元の濡れた土がぐしょりと足を包み込むよう蠢いた、気がした。
「殺気!」
 言うや否や、光厳は駆け出す。何か標的を見つけたのかもしれない。
「と、とにかくわたくしたちも後を……!」
 ミミはすかさず皆を振り返って同意を得ようとしたがしかし、大きな瞳を見開き、そしてパチパチとする。
「ミ、ミミちゃんどうしたの?」
 その様にアイディルは何か嫌な予感がしたのか恐る恐る問う――――と、答えよりも先に悲鳴が上がった。
「ひいいいいぃぃぃいい」
 マメルが高速でアイディルの顔にぶつかってきて、そのまましがみつく様に視界を覆う。
「う、うわあ、マメル、前が見えないよっ……」
「どけ!」
 ドン、と力強い腕に跳ね飛ばされてアイディルはマメル共々倒れそうになった。それをミミがすかさず支える。
 漸く視界が自由になり、見ると、少し先に大トカゲのような気味の悪い魔物の姿があり、そこへ向かってヴァイエストが鉄串を相手に投げたようだった。その一匹は見事倒れたがしかし、左右から少しずつ少しずつこちらを見つめる魔物の数が増えてきたのを感じた。
「う、わあぁ……数が増えてきた!」
「とりあえず、光厳様と合流した方が良いのではありませんか?」
 ミミの問いにヴァイエストは串投げを止めず首を振る。
「光厳は敵が消えるまで戻らねぇ。むしろ近付くのは危険だ」
「そ、それでは……一体どうすれば?」
「ここで応戦して待てばいいだろ」
 当然、とばかりにヴァイエストは目にも止まらぬ速さで鉄の串を華麗に飛ばした。戦いにかなり精通しているようだとミミは感じる。けれどどんどんと増えている魔物はかなりの数だ。気付けば回りを囲まれているような状態になっていた。
 ミミはグッと息を飲み込む。そんな彼女の様子に怯えのようなものを感じたのか、アイディルはそっと彼女に近付き、きゅっと手を繋いだ。
「ミ、ミミちゃんは僕が……僕が守ってあげるよ!」
 震える手で、懸命に言葉を紡ぐ。彼がもう片方の手で抱きしめたマメルも、あまりに緊張しているせいか強く抱きしめすぎてしまっているようで、マメルは「く、苦しい」と声を上げている。
 怖いけれど必死に耐えているのだろう。幼いながらもしっかりとした良い子だ。ミミは震えるアイディルの様子にふと顔を強張らせた。ニコリと笑う。
「ええ、ありがとうございます。ほんの少しの間、手を握っていていただけますか?」
 言って、彼女は目を閉じ、呪文の詠唱に取り掛かった。―――― 少しでもヴァイエストの助けとなるよう、炎の魔法を操れるよう、この小さな子供から力を与えてもらうかのように。


 一方、光厳は湿地帯を駆けていた。
 侵入者が訪れたとばかりにわらわらと姿を現す魔物を有無を言わさず切り落とし、そして突き進む。
 目指すは大蜘蛛の糸だ。
 魔物たちの姿が爬虫類じみたものから昆虫に変わってきた。様々な種類の蜘蛛がわらわらと近付いてくる。もう直ぐだと、思わずニヤリと唇の端を上げる。
 そしてその直後、何処からともなく聞こえた奇怪な叫びに顔を上げて横を見ると、それまで岩のように見えたものが動いた気がした。
「……この世に斬れぬものは無し、とは良く言ったものだ。無論、岩蜘蛛ならば見事に切れよう!」
 言って、大きく身を跳ねさせる。ぬかるみを出て、乾いた地に足を下ろすと身構えるように大きな蜘蛛と対峙した。
 相手の蜘蛛は500年も生きている存在だ。それほど長く生き抜いてる命が脆弱なはずはない。ゴクリと息を飲み、光厳は刀を構える。
 油断は禁物。だが、攻め込まねば始まらないだろう。
「武士道とは死ぬ事とみつけたり! ……はあああっ」
 耳に響き渡るような接触音が鳴り、光厳の身体は跳ね飛ばされる。しかしそれでも構うことなく彼は再び蜘蛛に切りかかった。おぞましい毛に覆われた手足が剣を弾くように伸びてくるのを交わし、再び身体に刀を叩き付けるとジンと手が痺れたがしかし、確かに衝撃を与えている手ごたえを感じた。
 この蜘蛛の身体はまるで岩のように堅い。けれどそれはあくまでも酷似しているだけだ。実体は蜘蛛の化け物。岩ではない。
 光厳は今一度大蜘蛛との距離を取り、精神統一のため、ほんの数秒目を閉じた。
「光厳様ー!」
 聞こえた声に瞳を開くと、一行が駆け寄ってくるのが見える。―――― 早く決着をつけるとするか。
 光厳はフと唇を引き締め、眼光鋭く大蜘蛛を睨みつけた。
「いざ!」
 ミミは駆け出す彼の姿を目で追い、標的である大蜘蛛の姿を目に捉える。光厳が何度も何度も切りつけるがほんの少しの衝撃しか与えられないようだ。
「……随分と頑強な身体ですのね」
「普通に攻撃してるだけじゃああまり効かないかもしれねえな」
 ヴァイエストの言葉にミミは瞬時考える。そして小さく「あ」と呟き、彼女は呪文を紡ぎ始めた。そして放つ。彼女が放った言葉と共に現れた光の珠が光厳に降り注いだ瞬間、光厳の持つ刀がまばゆく光った。彼の身体ごと、包まれているかのような光景だ。
 そして次の瞬間、堅い大蜘蛛の身体は彼の刀に傷つけられていた。それまでの様子とは全く違い、刀の威力を極限にまで高めたかのような鋭い切れ味。
「補助魔法か……」
 光厳は小さく呟き刀を抜いた。
 ズダンと、重い音が響く。そして音にならぬ奇怪な悲鳴をあげて大蜘蛛が痛みを訴えた。痛みによる動揺のためなのか他の目的があったのか、美しく輝く糸を溢れんばかりに出し、大きな身体をじたばたと動かしている。
「まあ……なんて美しいのでしょう」
 溜め息すら漏れるような光景にミミが擦れる声を出した ―――― 次の瞬間、大蜘蛛はその場から忽然と姿を消した。
「あ、あれ?」
 アイディルが慌てたようにあたりをきょろきょろしたが、大蜘蛛の姿は見当たらない。あんなにも大きな身体をしていたのに、その姿は何処にも見えなかった。
「……に、逃げたのか?」
「そうみたいだな」
 チッとヴァイエストは舌を打つ。幻の食材があれば、と思っていたのにここの辺りでは蜘蛛やらトカゲやらゲテモノばかりだった。いっそのこと大蜘蛛の身体の一部でどこか食材として使えないだろうかとすら考えていたのだが、その案はどうやら果たせないようだ。それに、静まり返った辺りを探ってもきっと求めるようなものはないだろう。―― 来るだけ無駄だったようだ。彼は肩を落として大きく息を吐く。
「逃げるなど卑怯な!」
 光厳は尚も敵の姿を探るように鋭い瞳で辺りを伺っていたが、ヴァイエストは彼に構いもせず踵を返した。
「さあ、糸を手に入れるっていう目的は果たしたんだろ? もうこんなとこからはさっさとおさらばしようぜ」


 尚も納得しない光厳を皆で引きずるようにして連れ帰る途中、半分程引き換えしたところで小さな村に寄ってゆっくりしていこうという話になった。光厳の気まぐれにより、これも半ば勝手に決まったのだが、しかしヴァイエストはこの話に食いついた。
 何しろ今回は食材のゲットも出来ず消化不良な感じだった。そのため、得意の料理でもして気分転換がしたいと思ったのだ。
 ―― というのも、帰り道でたまたま話していた話題に【妖精族に伝わる珍しい料理や調理法】について色々話を聞いてばかりで試したかったというのもあるし、マメルがえらく期待しているので自分の腕前を披露してやりたいという考えがあったからだ。
 何はともあれ料理にありつけ温泉も堪能出来るということで、誰も反対などせず、一行はすぐさま村の宿へと向かった。

「……おおおお、ヴァイエストよ! 美味い、美味いぞ!!!」
 出された料理にマメルは落ち着きなく食事を開始する。
「えへへ〜、そうでしょ。何を食べても美味しいんだよ」
 アイディルはまるで自分が褒められたかのように嬉しそうにマメルを見やり、自分も食事に没頭した。ミミも嬉しそうに食しているようだ。
 ヴァイエストは皆が喜んで自分の料理を食べているのを見て、小さく笑う。そして「ありがとう」と告げた。その表情と態度はいつもの彼からでは想像が出来ないような優しさを秘めたものであった。
 対して、光厳は酒を口に運んでミミとマメルをしきりに観察している。
「……どうかなさいました? 光厳様」
 ミミが光厳の様子に気付いて声を掛ける。光厳は一瞬、説教でも来るのかと思った。時々酒を飲んでいると止めようとする輩がいるからだ。彼にとっては酒は好物であったし子供だからと止められる義理もないと思っていた。むしろ家では酒も飲めねば立派な男にはなれないとされていたほどだ。
「とっても鋭いお顔をなさっておりますわよ?」
 きっとその顔は誰もが恐れを感じるような顔だ。マメルなど泡を吹いて倒れてしまうかもしれない。けれどミミはニッコリと微笑んでいる。
 光厳はミミの言葉に「うむ」と頷き、自分が飲んでいたものとは違う盃に酒を注いだ。
「妖精がどのくらい飲めるのか実験しなければならない、と」
 それは、光厳の思いつきだった。彼は父親への土産話としてこの実験を選んだのだ。
「あらあら、まあまあ」
 だがミミは己の胸の前で手を合わせ、面白そうに嬉しそうに微笑む。そして光厳が注いだ酒を口に運んで「うふふ」と笑った。
「とってもおいしいですわねえ……」
 ほぅ、と息を吐くように告げるミミを見て光厳は己も負けじと残りの酒を喉に流し込んだ。
 ―――― 気が付けばもう何杯目かも分からぬ程飲んでおり、けれど全く様子の変わることのないミミに、光厳は「そうか」とだけ応えた。―― どうやら実験の結果は出たようだ。
 妖精は酒に強い、という結論で納得しようとした矢先。
「ミミ様、何を飲んでいらっしゃるのですか!」
 フワフワとマメルが飛んできてミミの手にある酒を啜る。
「これはなんと奇怪な味! ささ、アイディルも飲むのだ!」
「えっ、これ、お酒だよね? 僕はお酒なんて飲めないよ〜」
「何を申すか!! ささっ!!」


 ―――― かくして、一行は宿に大変な迷惑を被った。

 無理矢理飲まされた酒で酔ってしまったアイディルはふらふらと女湯に入って行って入浴中のお姉さんに「かわいいーーー!」と囲まれ、温泉は騒音に包まれる。そしてミミは止まることなく酒を飲み続け、ヴァイエストは厨房に入り込んで宿の料理人たちに調理を教え、怒声を飛ばす。マメルは顔を真っ赤にさせて右も左も分からぬ千鳥足で歌を歌い出し、光厳はそんなマメルとミミを凝視しながら父へ何と伝えるかを必死で考え、元から険しい顔つきはどんどん険しくなり、仲居の者が泣き出す程だった。
騒ぎはヒートアップしていき、マメルの声は耳を劈く程大音量となり、一行は早々に宿から追い出されたという。

 けれど、追い出されても皆それぞれ幸せそうにしていた―――――。
 迷惑な話である。




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■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
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【整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / 職業】

【3143 / アイディル / 男性 / 6歳 / 水操師】
【3139 / ヴァイエスト / 男性 / 24歳(実年齢19歳) / 料理人(バトルコック)】
【3215 / 光厳・アークエット / 男性 / 16歳(実年齢13歳) / ルーンアームナイト】
(五十音順)

NPC
【ミミ】
【マメル】

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