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■かわうそ?と愉快な仲間達 2■

滝照直樹
【2276】【御影・蓮也】【大学生 概念操者「文字」】
 沢山の思い出の中で一際印象に残るモノは、人それぞれ。
 人は思い出を糧に生きているようなものだ。未来に繋がるために。
 様々な人との出会い別れ。
 歓談、恋愛、喧嘩、憩い。

 平凡な一時。
 
 そんな思い出をこの書は書き連ねていくだろう。
そこにあるまったり

 御影・蓮也は走っていた。
 何かに追われている。
 犬だ。
 そう、ゴールデンレトリバーぐらいの。
 その犬が口にくわえているのは、白い大きな紙。純白に何かレリーフみたいなのが付いている。そんな紙。いわゆる……であるかもしれない。
「そんなモノで追いかけてくるな!」
 と、蓮也が叫びながら逃げる。
 犬の方はというと、しっぽを振ってさぞ楽しそう。
 周りの人は、なんだ? なんだ? という感じで、一人と一匹をみている。
 あの青年があの犬に悪さしたのだろう、と言う感じで、また自分の日常に戻ることにしている通りすがりの人々。大型犬を止めるにはかなり難しいのだ。
 実際は、オオカミだが、普通の人が一発でオオカミと気づくはずもない。否定あたりに三日月があるというのが印象的。

 長谷神社手前。
 オオカミが蓮也にタックル成功。蓮也はもろに鳥居に頭をぶつけた。
「いってー うわ!」
 と、彼は朦朧としながらも、敷地内に入ってくる。
|Д゚) うわ、すっげーはためいわく
 近くで例の小麦色が文句を垂れる。
「う、うるさい! ああ、茜に言ってくれ、此処借りるって」
|Д゚) 自分で言え、馬鹿傘
 どうも、ひなたぼっこをじゃまされたのが気に入らないらしい。
「って、ああ、また!」
 と、蓮也は奥の方に奥の方に逃げていく。
「なんなの?」
 長谷茜が、静香を過多に乗せてやってきたのだが、蓮也とオオカミは遙か奥の方に。
 と、おもったら、オオカミが振り向いた。
「あら、お久しぶり、茜ちゃん」
 オオカミが一言。
「ほに?」
 目を丸くする茜。
 声は聞き覚えあるなぁという感じだが、まあ、このオオカミは、式神の類という事はわかった。それもかなり高度な。
「あ、蓮也のお母さん。お久しぶりです」
 考えるのに数秒。挨拶するわけだが。
「どうしたんですか? 式神で追いかけるなんて」
「だって、あの子、強いし。私も何かと忙しいから」
「はあ」
|Д゚) オオカミでうろつくな、おばはん
「こら」
「機嫌が悪いみたいね、かわうそ?ちゃん」
 オオカミは苦笑する。
 気持ちよいひとときをじゃまされて怒っているナマモノと、状況が今ひとつつかめない長谷茜。
 遠くの方では、蓮也が隠れているのだが……、
「式神つかっての修行なのか?」
 裏から聞き慣れた声がした。
「よ、よしあき!」
「逃げてばかりじゃだめだから行ってこい」
 と、なにやら含み笑いをして、織田義明が蓮也を押した。
 原付で跳ねる勢いを、片手で。
「どわあああ」
 何とか受け身で怪我もない。しかし、思いっきりかわうそ?を押しつぶしてしまった。
|Д゚) ぐえ
|Д゚) 災難
 かなり間抜けな形で倒れている蓮也。
「大丈夫?」
 巫女姿ではなく、ミニスカートのラフな格好の茜がかがみ込んだ。
「小麦色がいてたすかっ……」
 視線の先が怖いので顔が上げられない蓮也。
 態とやってないか? と、勘ぐってしまう。
「ほれ、蓮也。いい加減に観念しなさい」
 オオカミが言う。
「いやだ!」
 と、うまく起きあがって蓮也は逃げようとする。
 しかし、地面に根っ子が生えたみたいに動けなかった。かわうそ?がまとわりついている。
「うわ、はなせ! 俺は! 俺は!」
|Д゚) 痛い。謝れ。ごらぁ
 と、何やら、かなり機嫌が悪い小麦色。
「いったい何なんだ?」
 と、いつものメンバーが固まってきた。織田義明と長谷茜、かわうそ?……。
「えっとねぇ」
 オオカミは、どこからともなく一枚の紙を出してきた。
「あ、お見合い写真!」
「ほう。気が早くないですか?」
 にたりと笑う茜に、ふむと納得してそうでも首をかしげる義明。
「だから俺はそんなことはしたくない!」
 じたばたもがく蓮也。
 でも、彼は蚊帳の外。
 茜はパラとめくって、ほほうと、薄ら笑いする。一度結婚式のバイトにて対面している人だ。
 静香もあらまぁとか。木々のささやきも何か楽しそうだ。
「本家筋の方なのよ。でもね、どうしてもこの子がお見合いしたくないって」
 オオカミが世間話を良くするおばさんみたくペラペラしゃべり始めた。
 つまり、本家筋とのお見合い。縁談。まあ、そこにいる抑止の人は元が一般人で平民なので、そんなお話はまずこない事もあるしすでに決めている人がいる。それに、茜にしたってお相手が決まっているので、関係ない世界だ。
「だから、ことわ……」
|Д゚) ちぇすとー!
 かわうそ?が、蓮也に絞め技。完璧に関節と首が極まっている。
「く、苦しい……」
|Д゚) はなしきいてく
「つまりね、本家の娘さんがこの子を気に入っているけど、嫌だ嫌だというのよ」
「まあ、無理強いしても無理だと思いますが」
「でも、先方、気があるって言っているのですよ、影斬様」
 このままでは蓮也は、天国で式を挙げなくてはなりませんが。
「まあ、本人の言うことを尊重すべきかと。かわうそ?もうといてあげたら?」
 茜が笑いをこらえながらオオカミと話す。ついでにかわうそ?をなだめた。
|Д゚) にゅ
 するりと抜ける。
「ぜいぜい……だから、そんな能力目当て、政略結婚みたいな事はしたくない!」
「結構綺麗な人じゃないか? 蓮也。もう一度会ってみて、話しするだけでも良い」
 あ、逃げた。と影斬がこぼす。
「というわけで捕まえないといけないのよ。私も年だから」
「ああ、だから式神。いや、それでも能力使うのは何ともですが」
 と、影斬、茜は苦笑する。
 と、オオカミは逃げる蓮也の目の前に現れ……喧嘩になった。剣と牙での
「とりあえず止めるか……、いや、此処はおばさんの方に加勢しよう」
 と、影斬は蓮也を捕まえようとする。
「義明! 俺を売るつもりか!」
「なんのことかな? 此処で喧嘩すると後で怖いだろう」
 捕まえようとするところ、躱わし蹴られ、屋根に上ったり、空を飛んだりの大捕物。
「あー屋根壊さないでねー。壊したら弁償してもらうから〜」
 と、茜はかわうそ?をなでて、傍観。
「おまえらー!」
 蓮也は叫ぶ。
「だからもういい加減に、あきらめなさいな」
「そうだぞ。一度会ってみれば納得いくだろう」
 何となく、意気投合している犬と天然剣客。
 電撃飛ぶ、真空破飛ぶなか、必死に躱わしていく蓮也だが、やはり人の子。限界である。
「断りたい理由あるの?」
 オオカミが言った。
「だからおれは! おれは! 俺には大切で一緒に歩きたい彼女がいるの! だから断る!」
 大声。
 半径1kmぐらいに響いたかもしれない大声。
 一寸沈黙のち。
「そうなの、じゃ、今度連れてきてね」
 と、オオカミはあっさり納得。遠隔で母親だが。
「早く言えばよかったのではないかな?」
 笑いをこらえている影斬。
「……は?」
 両手に拳をつくり、叫んでいたことに気づく。
「は、謀ったな! 本家筋も巻き込んで! つうか、義明、おまえもぐるか?!」
「だって茜さんから彼女のこと聞いてたのに、ちっとも連れてこないんだもの」
 母親は笑う。オオカミが代わりに笑っている。
「いや、おまえのこと母親は知っているはずだったし。多分と思ってな? ん? どうした?」
 と、影斬。
 うかつ。
 蓮也はうなだれた。
 影斬に隠し事はあまりできない。嘘など裏側にある真実を見抜ける能力を持つので。そして、蓮也の母親は謀で貶める性格らしい。
 そして、やっと母親の本体登場。自転車に通称ママチャリを漕いで。元気であります。オオカミはその時点で消えた。
「あえるのが楽しみだわ」
 母親ご機嫌。
「彼女はあるところで住んでいるようです」
|Д゚) 先ほど傘がいった台詞。余すことなく録音OK
「お茶が入りました。お疲れ様です」
 長谷茜が
「ありがとう」
 と、長谷家の母屋にてのんびりお茶する母親。
 息子をからかい、楽しんだようだ。
 おもちゃにされた息子はというと……、
「どうして、こうなるんだよ……」
 未だ、残っている天空剣道場の奥の方で、いじけていた。


 そんな平和な日であった。

END

■登場人物
【2276 御影・蓮也 18 大学生/概念操者「文字」】

【NPC 影斬(織田・義明)】
【NPC 長谷・茜】
【NPC かわうそ?】
【NPC 静香】

■|Д゚) 通信
|Д゚) リピート中
|Д゚) なにをって?
|Д゚) そりゃあもちろん、恋人が居るって言ったことv
|Д゚) からかうネタがまたひとつ増える。
|Д゚) ネタの星になれ、真傘

|Д゚) んでは、またからかわれにくるなら喜んで相手する。
|Д゚) ふははは

 滝照です。こんな感じで良かったでしょうか?
 長谷神社は運動場とか、喧嘩の場所じゃないと、茜は心の中で嘆いています。でも、まあ、まったりしていて、退屈していたから結果オーライらしいです。

 では、またどこかで。

 20060515