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■【SMN】Mission NO-1「Talk of the devil」■

西東慶三
【6377】【フィアー・ボルカニクス】【実体化データ】
依頼者:New Order
依頼内容:目標の抹殺
タイプ:オープン

依頼詳細:
 近々、我々はある作戦を展開する予定である。
 作戦の詳細は明かせないが、我らの目的にむけての大きな一歩となることは間違いない。

 その作戦を遂行するにあたって、最も邪魔になるのは「Leaders」の連中だ。
 今回は、その中でも特に厄介な「キースミス」と呼ばれる男の抹殺を依頼したい。
 ターゲットには特筆すべき戦闘能力はないが、それだけに十分な数の護衛がついていると考えられる。
 対処方法は任せるが、目標はあくまで「キースミス」の抹殺だということは忘れないでほしい。

−−−−−

ライターより

・「New Order」には暗殺予告を出すことで相手の動きを封じ込めようという狙いもあるようですが、
 逆に言えば、「そこまでして足止めしたいだけの理由がある」以上、
 相手も狙われていることを承知の上で出てくる可能性が高い、とも言えます。
・「New Order」はもともと「虚無の境界」由来の組織ですので、
 周囲に被害を出すななどということは言いません。
 ただし、派手に騒げば騒ぐだけ、敵の目を惹くということはお忘れなく。
【SMN】Mission NO-1「Talk of the devil」

依頼者:New Order
依頼内容:目標の抹殺
タイプ:オープン

依頼詳細:
 近々、我々はある作戦を展開する予定である。
 作戦の詳細は明かせないが、我らの目的にむけての大きな一歩となることは間違いない。

 その作戦を遂行するにあたって、最も邪魔になるのは「Leaders」の連中だ。
 今回は、その中でも特に厄介な「キースミス」と呼ばれる男の抹殺を依頼したい。
 ターゲットには特筆すべき戦闘能力はないが、それだけに十分な数の護衛がついていると考えられる。
 対処方法は任せるが、目標はあくまで「キースミス」の抹殺だということは忘れないでほしい。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 ネットワークを介して、メールは様々な場所へと送られていく。
 特に今回のようにおよそ無差別にメールがばらまかれている場合、メールの受け手が「送り主が想像だにしなかった相手」であったとしても、さほどの不思議はない。





「命令内容を確認しました。これより状況を開始します」
 メールを確認してこくりと頷いたのは、中学生くらいと思しき一人の美少女。
 しかしその正体は、衛星軌道上の自動工場にて量産される退魔支援ロボ「人型退魔兵器・R−98J(ひとがたたいまへいき・あーるきゅーはちじぇい)」のうちの一機であった。
 彼女はさっそく自動工場に連絡を取り、一個小隊ほどの「自分」を援軍として送ってくれるように要請した。





(……なんだ、これは)
 ネットワーク上の某所では、予期せず流れ着いたそのメールを、あるデータが捕まえていた。
 自我と意識、そして実体化する能力を備えたデータ「デジネイト・レプリガン」。
 その中の一つである「VoーLcano:FIre」は――人間形態時はフィアー・ボルカニクスと名乗っている――その名の通り、世界各地の火山のデータを母体としている。
 その彼がデータ状態で休眠しているところに、たまたま問題のメールが流れ着いたのである。
(まあ、「慣らし」にはちょうどいいかもな)
 彼はそんなことを考えながら、さっそくネットワークを通じて標的のいそうな場所へと向かった。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 IO2由来の組織の拠点は、大抵の場合、郊外のやや寂れたところにある。
「万一敵襲を受けた場合にも、周囲への影響を最小限にできる」というのが、その主な理由なのだが、それは同時に、襲撃側にとってもメリットとなり得る。

 そこからだいぶ離れた、あまり人気のない通りの一角を、R−98Jたちは襲撃ポイントとして選んだ。
 敵が二重三重に防弾・抗魔加工の施されたバンを移動手段として利用している以上、遠距離からの砲撃のみで仕留めることは難しいが、足止めするくらいなら容易いことだろう。

「標的接近!」
 その合図で、榴弾砲を担いだ二機が通過予定ポイント周辺に狙いをつけ――タイミングを見計らって引き金を引いた。

 爆音とともに車が止まり、中から護衛と見られる三人の男が飛び出してくる。
 そこを狙って、今度は別の数機がアサルトライフルによる攻撃を仕掛けた――が。

 一瞬にして、敵のうち二人が視界から消える。
 そして残った一人はというと、何と銃弾の雨の中を真っ直ぐにこちらへ向かって突き進んできた。
 銃撃によって衣服が破れ、露わになったのは――肌ではなく、やや青みがかった白い鱗。

 並の銃撃ではこの男を傷つけるのは難しく、かといって、重火器を使うにはすでに距離が近すぎる。
 とはいえ、目標はこの男の撃破ではなく、あくまで「キースミス」の抹殺である。
 そう判断したR−98Jは、当初の予定通りに計画を遂行することにした。
 すなわち、この男を無視する形で、突入部隊を突っ込ませるのである。

 幸い、男の頑強さは並ではないが、敏捷性はさほどでもなかったらしい。
 格闘戦に特化した装備を持つ四機と、通常装備の四機が、ローラーダッシュで次々に男の横をすり抜けていく。
 男は一瞬驚いたような様子を見せたが、やがて自分の目の前にいる残りの五機を見つめ、微かに口元を歪めた。
「おイタがすぎるぜ、嬢ちゃんたち」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

「ん? もう誰かおっぱじめてやがるのか?」
 フィアーが近くの配電盤を通って実体化した時には、すでに戦闘が始まっていた。

 標的の乗った車の周りで戦っているのは――片方は、護衛のNINJAと思しき二人組。
 そしてもう片方は、八人ほどの全く同じ顔をした中学生くらいの少女たち――R−98Jだった。
 R−98Jの連携のとれた見事な攻撃を、NINJAたちは圧倒的な瞬発力と戦闘技術でどうにかしのぎきっている。

 と、不意にR−98Jたちが一斉に一旦後退した。
 そこへ、ロケットランチャーによる遠距離射撃がくる。
 NINJAの二人はとっさに爆風の及ぶ範囲から離脱したが、さすがに車までは逃げ切れない。

 ――終わったか。

 フィアーはそう思ったが、次の瞬間、信じられないことが起こった。

 なんと、ロケット弾が突然空中で減速し、完全に制止したかと思うと、元来た方向へ向かって戻っていったのである。
 どうやら、車の中にはまだ一人以上の護衛が残っているらしい。
 そして、その中には一人以上の念動力使いが含まれているようだ。

 このままなら、戦況は五分。
 敵には援軍が来る可能性が高いことを考えると、長引けば長引くだけこちらが不利になる。

 そう思った矢先、本当にその「援軍」が姿を現した。

 ボロボロの服を纏った、青白い鱗を持つ大柄な男。
 おそらく、ジーンキャリアであろう。
 彼はゆっくりと車の方に向かって歩いてくると、引きずっていた何かを無造作に前に放り投げた。

 それは、半ば凍りついた少女の――いや、少女の姿を模した機械の残骸。
 それは則ち、彼が一人で彼女たちを撃破した、ということに他ならない。

 つまり。
 この男は、ここで戦っている、他の誰よりも強い。
 となれば、フィアーが戦うべきは、この男をおいて他にない。

「貴様は俺が相手をしよう」
 フィアーが前に進み出ると、男は楽しそうに笑った。
「いいだろう。あいつらよりは手応えがありそうだ」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

「やるな、貴様」
「それはこっちのセリフだ」

 フィアーの放つ炎を、氷龍のジーンキャリアである男は魔力によって生み出した吹雪でかき消す。
 それによって小規模な水蒸気爆発が起こるが、お互いにその程度のことで怯むほどヤワではなかった。

 そうしてしばしの間撃ち合いを続けた後、やがて双方ともこのままでは不毛だと悟り、格闘戦へと移行する。
 瞬発力と技術で勝るフィアーに対し、男は打たれ強さと腕力で大きく上を行く。
 結果、戦況としてはフィアーの方が押し気味でありながらも、一発もらえば一気に形勢がひっくり返りかねないという危機感から、どうしても決定打を放つことができない、という状況が続く。

「いい加減倒れろ、デカブツめ」
「お前こそ、ちょろちょろせずに正面から来たらどうだ」
 フィアーの言葉に、男は微かな笑みさえ浮かべてそう返す。
 そして、恐らく自分の顔にも同じ笑みが浮かんでいるであろうことに、フィアーはすでに気づいていた。

「行ってやろうじゃないか!」
 あえて男の挑発に乗り、真っ正面から仕掛ける。

 と、次の瞬間。
 男の気合とともに、突然足下の地面が凍りついた。
 予期せぬ事態にバランスを崩しかけたところへ、男の冷気を纏った拳が迫る。
 それをどうにか紙一重で交わすと、フィアーは一旦体勢を立て直すため距離を取った。

「ちっ、セコいマネを」
「使えるものは何でも使う。それが実戦だ」
 確かに、男の言うことにも一理ある――が。
 この手の奇襲が成功するのは、せいぜい最初の一度きりだ。
「同じ手は二度はくわない。今度こそ決めてやる」
 そう言い返して、フィアーが再度仕掛けようとしたその時。

 標的の乗った車の方で、何度か爆発音が聞こえた。
 どうやら、あの少女たちが標的の抹殺に成功したらしい。
 それに気づいて、目の前の男が渋い顔をする。
「この勝負、お前たちの勝ちのようだな」
 目的は達成され、標的は抹殺された。それは事実だ。

「だが、まだ俺たちの決着はついていない」
 フィアーがそう言うと、男は軽く苦笑して自分の背後を指した。
「どうしても決着をつけたいなら相手になるが、やめておいた方がいい」
 彼の背後に見えるのは、ようやくかけつけてきた「Leaders」の援軍と思しき車両数台。
 任務を達成したことで、まだ生き残っていた少女たちも撤退を始めたようだし、ロボット形態に移行できない現状では、この辺りが潮時だろう。

「そうみたいだな。勝負は預けたぜ」
 それだけ言うと、フィアーはその場を離れ、再びデータの海へと潜った。

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From: 「レヴ」
Subject: 感謝する

 実に見事な活躍だった。
 諸君らのおかげで、こちらも計画通りに作戦を進めることができそうだ。
 また何かあったら、その時は是非よろしく頼む。

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結果:「キースミス」の抹殺に成功(目標達成)

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■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
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【整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / 職業】

 6691 / 人型退魔兵器・R−98J / 女性 /  8 / 退魔支援戦闘ロボ
 6377 / フィアー・ボルカニクス  / 男性 / 25 / 実体化データ

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■         ライター通信          ■
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 撓場秀武です。
 この度は私のゲームノベルにご参加下さいましてありがとうございました。
 また、ノベルの方、大変遅くなってしまって申し訳ございませんでした。 

・このノベルの構成について
 このノベルは全部で六つのパートで構成されております。
 そのうち、五つ目のパートにつきましては、それぞれ違ったものになっておりますので、もしよろしければもう一方のノベルにも目を通してみていただけると幸いです。

・個別通信(フィアー・ボルカニクス様)
 はじめまして、撓場秀武です。
 今回はご参加ありがとうございました。
 どちらかというと戦闘重視とのことでしたので、それなりの強敵を当ててみましたが、いかがでしたでしょうか?
 ともあれ、もし何かございましたら、ご遠慮なくお知らせいただけると幸いです。