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■うさぎとカメの運動会 〜たからものをゲットせよ〜■

桃月りな
【0086】【シュライン・エマ】【翻訳家&幽霊作家+草間興信所事務員】
「秋も深まりつつあることじゃし、ここらでどーんとイベントのひとつもしておかぬと落ち着かぬでのう。そんなわけで、運動会じゃ。……これ、紫紺どの、フモ夫。開会の挨拶を」
 秋晴れのある日、井の頭公園内西園競技場は、運動会仕様にセッティングされていた。
【うさぎとカメの運動会 〜あえてハンデつきで『ろの13番』幻獣に挑戦!〜】と書かれたのぼりが、風にあおられてはためいている。マイク片手に陣取っているのは、チアガール姿の弁天、いつものスーツを着た紫紺、幻獣グリフォン状態のファイゼという、バランス的にちょっと微妙な異色スタッフだ。
「あー。わざわざ来て貰ったのに悪いなぁ。変なもの飲ませて」
「すみませんねぇ、皆さん。恨むなら弁天さまを恨んでください」
 紫紺とファイゼが、参加者たちに代わる代わる頭を下げる。
 わけもわからずに呼び出された参加者たちは、6〜10歳くらいの外見年齢になってしまっているのだ。
 弁天が配った飲み物に「子供化薬」が仕込まれていたからである。しかも、その薬には「特殊能力封印・運動能力削減」の効果まであった。
 そう――
 参加者たちは強大なハンデを背負って、運動会に臨まなければならないのである。
 競技は、シンプルに『かけっこ』。
 対するは、『ろの13番』から選抜された子うさぎ型幻獣5名。瞬発力・跳躍力を含め、運動能力全般に優れた軍人たちだ。
「まあまあ。普通のかけっこではつまらなかろう。たまにはあえて『カメ』になって、うさぎを負かしてみるのも一興じゃろうて。なお、出血大サービスで、成績優秀者にはわらわからの『ちゅう』を」
「……いらないな」
「いりません」
「おぬしたちには聞いておらぬっ! 賞品がないとモチベーションが上がらぬではないか」
「いいから弁天さまは黙っててください」
「ふごーっ」
 ファイゼが弁天からマイクを奪い、紫紺が両手で弁天の口をふさぐ。
「ただいま、お聞き苦しい点があったことをお詫び申し上げます。えー、成績優秀者には『おもひで繕い屋』さんより、レアな賞品がプレゼントされます」
「えっ? そうなのか? そんなこと聞いてないぞ?」
「しーっ。いいから話を合わせてください。でないと、お子様化した皆さんが、チアガール姿の弁天さまにセクハラされてしまいますよ?」
「……幼児虐待で訴えられそうだな。わかった、賞品は何とかしよう」
「お願いします――では皆さん、ご用意はよろしいですか? どうか知恵と勇気と裏ワザで、この難局を乗り切ってください! 競技終了後は、お月見宴会が待ってますよ。さぁ、レディ、GO!」

■原案担当より
そんなわけで、異色運動会です。
ミニミニ状態&特殊能力封印・運動能力削減状態で、子うさぎ型幻獣との『かけっこ』に挑戦してくださるかたを募集いたします。
普通に走っていては絶対に勝てませんので、子うさぎの性格を読み、裏ワザを駆使することをお勧めいたします。
また、勝負は捨てて交流のみ、というのも、それはそれでアリでございます。

■『ろの13番』選手一覧
○ジルベール大佐……ネザーランドドワーフ・オレンジ風外見。『ろの13番』の中でもトップクラスの愛くるしさを誇る。自分より『かわいい』ものには必要以上にムキになる。
○マクシミリアン少佐……アメリカンファジーロップ・オパール風外見。両耳とも可愛く垂れている。小さな女の子に弱い。
○ギュスターヴ中尉……ホーランドロップ・ブロークンセーブルポイント風外見。片耳だけ垂れているのがチャームポイント。義侠心に篤く、少々情にもろい。
○エティエンヌ軍曹……ネザーランドドワーフ・ブルーアイドホワイト風外見。大きな蒼い目がキュート。甘いものが好き。
○オディール伍長……ネザーランドドワーフ・ブラック風外見。艶やかな黒い毛並みが魅惑的。唯一の女性軍人。可愛い男の子に弱い。

                                           文責 神無月まりばな

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このシナリオは 神無月まりばなライター とのコラボになります。
「〜異界〜井の頭公園・改〜」
http://omc.terranetz.jp/creators_room/room_view.cgi?ROOMID=705
原案を担当していただきました。有難うございます。
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