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■子供失踪事件発生!■

紫咲桂麻
【4410】【マシンドール・セヴン】【スペシャル機構体(MG)】
「阿修羅くん!!大変大変、すっごい大変なんだってば!」
手馴れた様子でしっし、と仕種を返しながら、恵を見ようともせずに答えた。
「わかったからとりあえず他の交番にでもいってくれ。」
「他の交番で扱えるような事件ならここに来ないって…あ、いや、そうでもないけどー。とにかく阿修羅くんにお願い!みたいなー!」
「五月蝿い。今手が離せないんだよ。」

阿修羅はいつもより少し苛立っていた。書類に目を通しながらてきぱきと仕事をしている姿にも少し焦りの色が見える。
隣でせかせかとちらばった紙をまとめていた涼水が続けた。
「ほら、最近このあたりで子供の失踪事件が続いてるでしょ?あれが人間の仕業かそうでないものの仕業か調べるのに苦労してるんス。」
「それならちょうどいい!俺もそのことで来たんだよ!」

阿修羅はしかめっ面を動かさず、眼だけをちらりと恵に向けた。

「あのね、あのね、俺の子もその事件に巻き込まれちゃったかも!!」


一瞬、場が凍りついたように変な空気が流れた。が、しかし。恵の地団駄がそれをすぐに打ち壊す。
「どこ探してもいないんだよー!それもその失踪事件が起こったのと同じぐらいから!もう心配で心配で…」

「っていうか、め、めぐみさ……子供なんていたんですかっ!」
「あれ?涼水クン知らなかったっけ?阿修羅クンは知ってるよね。」
「恵…千太郎だか万太郎だか、だろ?いるのは知っていたが会った事はない。」
「千太郎!千ちゃん!俺に似てとーっても可愛くて格好よくてね!…じゃなくって!!」
大振りに頭をふり、表情を硬くした恵は阿修羅に近づき、机の上に勢いよく手をついた。

「俺の千ちゃんを探すこととその事件の解決…きっと同時進行でビンゴすると思うんだ。書類を見てるってことはココの管轄だって八割わかってるわけでしょ!?」
「と、いわれてもな…お前のカンに振り回されても困る。それに…」
阿修羅は纏めていた書類を恵に押し付けた。
「今回の事件、妖怪となると俺は最善ではないんだよ…」
阿修羅の、若干悔しそうなカオにはっと恵も唇を噛んだ。
「そう、俺は万能じゃない。悪いが妖怪の類は不得手とまでいかなくとも得手じゃない。どっちかといえば涼水の方が役に立つぐらいだ。俺は霊、人が絡んだ事件でないと十分な手助けをしてやれない。」
「…そっか…そうだったね…つい阿修羅クンを万能視しちゃって……でも……」


「………わかった、わかったよ。どうせ解決策を練らずにはいられないんだ…おまえの件も含めこっちで手配してやる。」

「あ、阿修羅クン…!」
思わず手をとった恵を即座にふりはらい、阿修羅は涼水に向いた。

「人選はおまえに任せる。後始末は俺がひきうけるから、この件に協力してくれるやつを数人集めるんだ。できるな?」
「ういっす!恵さんにはお世話になったし、しっかり探しますよ!」



「二人ともありがとう!!」