■ガルガンチュア・タワー■
水貴透子
【2447】【ティナ】【無職】

ガルガンチュア・タワー/光のしずく、闇のなみだ


はるか昔、

神々は全てに嘆き、一対の道具を作った。

一つは全てを癒す『光のしずく』

一つは全てを滅する『闇のなみだ』

それを手に入れたものは全てを手に入れるのだという。

しかし、それらを守護する神獣が存在し

行く手を阻むのだと言う。

ガルガンチュアに入ったら、

目的を達するまで、入り口は全て閉ざされてしまう。

それでも、貴方は塔に入りますか?


        YES or NO




ガルガンチュア・タワー/光のしずく、闇のなみだ

オープニング


はるか昔、

神々は全てに嘆き、一対の道具を作った。

一つは全てを癒す『光のしずく』

一つは全てを滅する『闇のなみだ』

それを手に入れたものは全てを手に入れるのだという。

しかし、それらを守護する神獣が存在し

行く手を阻むのだと言う。

ガルガンチュアに入ったら、

目的を達するまで、入り口は全て閉ざされてしまう。

それでも、貴方は塔に入りますか?


        YES or NO



視点→ティナ


 ヒュウ、と風がティナの頬を掠める。目の前には数年前に現れた『ガルガンチュア』がまるで威嚇するかのようにそびえ立っている。
 はっきり言って金銀財宝に興味はなかった。ティナは今回、力試しと好奇心でガルガンチュアに入ろうとやってきたのだから。
 ガルガンチュアの扉に手を触れると頭の中に声が響いてきた。
『汝、何を求めここへとやってきた?』
「ティナ…自分の強さ確かめにきた。あとおもしろいから」
 面白そうだから、と言いたいのだろうが口調を見よう見まねで覚えたティナだから、多少言葉を間違ったとしても仕方がないと言えば仕方が無いのだろう。
『強さか。塔の中には汝を満足させる敵も財宝もあるだろう。しかし―‥目的を達するまでは塔から出してはならぬ決まりだ、それでも入るか?』
 その声にティナは首を縦に振った。それと同時に塔へと続く扉が重々しい音をさせながら開いていった。
『ガルガンチュアに入るがいい。生きて出られる事を祈ろう』
 ティナが塔内に入ると、声が響き、それと同時に扉が閉まって消えた。その事にティナは臆する事なく、四足で奥へと向かい走り出した。
「敵‥っ」
 ウルフ系の敵が数匹、ティナの前に立ちはだかる。ウルフ系のモンスターは素早いがティナの素早さも早く、ウルフなどに遅れは取らない。
「‥はっ!」
 鋭く伸びた爪でウルフを攻撃し、次々に倒していく。途中ウルフが襲い掛かってくるも頭を蹴り飛ばし、くるりと空中を回りながら着地をした。
「ふふっ、この程度じゃティナは倒せない」
 倒れているウルフを見て、ティナは楽しそうに笑う。そして四足でバタバタと走って奥を目指す。
 暫く走ると奥に頑丈で大きな鉄の扉が存在した。今までにもここにやってきた人物がいたのだろう。哀れな白骨があちこちに散らばっている。
「…弱いとこういう事になる…」
 ティナは無残な白骨を見つめ、扉の奥から威圧してくる『何か』にティナは少し唸る。
 扉は堅く閉ざされていたが、ティナが手を触れると同時にゴゴ…と地響きを響かせながらゆっくりと開いていった。
「わが聖域を汚す輩よ、その罪に我から罰を与える」
 扉の奥、玉座に座っていたのは杖をついた老人だった。
「ティナ、弱いものと戦わない。おじいさんとは戦えない」
 ティナがそう言うと老人は「はははっ」と豪快に笑い出した。
「弱いものか、娘よ…はっきり言うな。しかし弱いもの‥それに我は当てはまらぬわ!」
 老人が叫ぶと着ていた服が裂け、ドラゴンに姿を変えた。
「どうだ、これでも我を弱いというか!?」
 ごう、と火を吐きながら叫ぶドラゴンにティナは軽やかな足取りで炎を避ける。しかし避けきれなかったのか軽くだが火傷を負わされてしまう。
「…っ‥」
 火傷の痛みでティナは顔を歪めるが、ドラゴンはティナに休む間もなく攻撃を仕掛ける。
「うあっ‥」
 ザク、とドラゴンの爪がティナの肩を掠める。ティナの服装は狐の毛皮を着ただけ。ほとんど裸に近いものがある。肌を守る物のないティナの腕は攻撃を受け、赤い血をぽたぽたと流して床に染みを作っている。
「お前は何ゆえにこの塔に参った?宝か?名誉か?」
 問いかけてくるドラゴンにティナはキッと睨みつけるように視線を向け「ちがう」と一言呟いた。
「ティナ、そんなものいらない。興味がない。ここにきたのは、力試しのため。強い奴と戦う事、それがティナの目的」
 そう言葉を紡いだ後、ティナはドラゴン目掛けて走り出す。その間にも攻撃を仕掛けてきたが素早い動きでそれを避ける。
「ドラゴン、お前強い。だけど――‥」
 たん、と地面を蹴りティナが宙を舞う。そして鋭く伸びた爪でドラゴンの眉間に攻撃をする。いくら強靭な肉体を持つドラゴンとは言え、眉間に攻撃を食らっては無事ではすまないだろう。案の定ドラゴンは部屋中に響き渡るような雄たけびを上げて老人の姿へと戻っていった。
「ははは、まさか小娘にここまでやられるとはな、我も衰えたものだ」
 そう老人は眉間を押さえながら呟くと、手のひらを天井に向けてティナに差し出した。
「‥?」
 老人の行動に意味が分からずにティナは首を傾げる。
「ここに来て我を叩き伏せた者には与えることになっている。持っていくがいい」
 そう老人が呟くと手のひらに光が集まりだし、それは形を成した。
「‥いらない。ティナ、別に欲しくない」
「くく、そういわずに持っていけ。持っておいても損はあるまい」
 半ば強引に渡すと後ろのドアを指差した。
「そこのドアに入ると塔から出る事が出来る。今のおぬしではこの部屋までが限界だ。まぁ‥次に来た時には新しい部屋に入れるようになっているかもしれんがな」
 ふー…と老人はため息をつき「疲れた、さっさと出て行け」と言ってティナをドアの向こうに押しやった。



「ここは‥」
 気がつくと、そこは塔の目の前。もしかして夢だったのかと思うが火傷と腕の痛みは残っていて、今までの出来事が夢ではなかったという事を証明した。
「次、また来るときは‥ティナ、もっと強くなってる」
 塔を見上げ、呟くと風が吹き抜ける中をティナは戻っていった。






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■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
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【整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / 職業】

 2447/  ティナ/ 女  /16歳 /無職

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■         ライター通信          ■
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ティナ様>

初めまして。
今回『ガルガンチュア・タワー』を執筆させていただきました瀬皇緋澄です。
せっかく発注をかけてくださったのに、納品が遅くなってしまい申し訳ありません。
話の方はいかがだったでしょうか?
少しでも楽しいと思っていただけたら嬉しいです。
それでは、またお会い出来る事を祈りつつ、失礼します。

    −瀬皇緋澄



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