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■【星と願いと】ツヨサとチカラ OP原案:橘真斗■

南京 武
【5251】【赤羽根・灯】【女子高生&朱雀の巫女】

 世界は広い。
 数億という人口が存在している。
 その中で、自分が幸せだと感じている人間はどれだけいるのだろう?
 その中で、幸せであることに気づかない人間はどれだけいるのだろう?


〜とある町〜

 ベシンッ!
 強烈なパンチが倉田剣斗(くらたけんと)の頬にあたる。
 中学生でも小柄な剣斗は軽々と飛んだ。
 夕方の河川敷。
 そこの土手に、剣斗がごろごろと転がった。
「正義感ぶりやがって……、宿題くらい大人しく見せればいいんだよ」
 剣斗に拳を当てた剣斗よりも二周りは大きな少年の上郷強(かみごうつよし)
は剣斗のかばんの中から宿題のノートを取り出し、かばんを剣斗に向けて捨てて
いく。
「明日には返すぜ、それじゃあな」
 強の取り巻きもごちゃごちゃと剣斗に台詞をはき捨てると河川敷から離れてい
った。
「なんで、弱いんだろう……」
 夕焼けに赤く染まった空を見上げて、剣斗は誰にともなく呟いた。
「もっと、僕に力があれば……」
 涙を拭いて目をあけた。
 そこには40cmくらいのヒトデのようなものが剣斗をみていた。
「な、なに!?」
 ヒトデのようなものは目をきりっとさせて『自分にまかせろ』といったように
自分を手(?)でさす。
「頭の打ち所わるかったのかな……」
 などと剣斗が呟いているとパァァとヒトデのようなモノが光った。
「うっ!?」
 気がついた時にはヒトデのようなものは消えていた。
 そして、もう一つ変わっていたことがある。
 いつもはふらふらな足腰がしっかりして立てた。
 両手を握ってみると、『何か』強い力がみなぎってくるのを感じた。
「これは……でも、なにかできそうだ……あいつらをっ!」
 剣斗はかばんを持つと駆け出す。
 その様子を草葉の陰から、ヒトデのようなもの―お星様―は見ていた。
 
 
 しかし、そのかなえた願いはとんでもないことを引き起こしていた。
「強! 強!」
 ピーポーピーポーと救急車のなる中、ぐったりした上郷強が母親につれて運ば
れていく。
「そんな……ただ、仕返したかっただけなのに……」
 救急車が閉じられて走り出すのを剣斗は呆然と見るしかなかった。
 警察が剣斗を見つけるとやってくる。
「君、少し署の方で事情を聞きたいんだが……」
「うわぁぁぁぁぁっっ!!」
 大声で剣斗が叫ぶと周囲が超音波にでもあたったかのように振動し、ガラスや
ネオン。
 ビール瓶などが破裂していく。
「僕は……っ、僕はぁっ!!」
 剣斗はそれだけいうとかばんとノートを持って駆け出した。
 その動きは音のようにはやく、誰の目にもわからない。
 
 お星様以外には……。
 あわあわとなったお星様は助けてくれそうな仲間を探しに飛び出すのだった。
 こんなのは幸せじゃないのだから……

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 今回のOPは橘真斗(WR)氏のご好意で制作して頂きました。
 氏にはこの場をかりて、篤くお礼申し上げます。
  南京 武