■INNOCENCE / スベテの始まり -スカウト-■
藤森イズノ |
【2778】【黒・冥月】【元暗殺者・現アルバイト探偵&用心棒】 |
異界の辺境、廃墟が並ぶ不気味な地域。
魔物の出現が頻繁な、物騒地。
異界の住人でも、好き好んで寄り付く者はいないであろう、この地に存在する、
美しき白亜の館。
その館から、今。
一人の少年が、姿を現した。
「はぁ〜。ひっさしぶりだよな。スカウト!腕が鳴るぜ〜」
伸びをしながら、サクサクと歩く、何とも楽しそうな表情の少年。
そんな少年の後ろを、小柄な少女が、ゆっくりと付いて行く。
少女は、少年の背中に忠告を突き刺した。
「…誰でも良いわけじゃないんだからね」
「わ〜かってるよ」
ケラケラと笑いつつ返す少年。
無邪気な少年に、少女は溜息を落とす。
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Innocence / 01 / スカウト
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OPENING
異界の辺境、廃墟が並ぶ不気味な地域。
魔物の出現が頻繁な、物騒地。
異界の住人でも、好き好んで寄り付く者はいないであろう、この地に存在する、
美しき白亜の館。
その館から、今。
一人の少年が、姿を現した。
「はぁ〜。ひっさしぶりだよな。スカウト!腕が鳴るぜ〜」
伸びをしながら、サクサクと歩く、何とも楽しそうな表情の少年。
そんな少年の後ろを、小柄な少女が、ゆっくりと付いて行く。
少女は、少年の背中に忠告を突き刺した。
「…誰でも良いわけじゃないんだからね」
「わ〜かってるよ」
ケラケラと笑いつつ返す少年。
無邪気な少年に、少女は溜息を落とす。
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「はぁ…」
溜息を落としつつ、廃墟が並ぶ不気味な道を行く冥月。
IO2のエージェントからの頼みで手伝った仕事を終えて、帰路につく。
その途中、事件は何の前触れもなく起きた。
「やっほぅ、お姉さん!」
突如目の前に姿を現し、行く手を遮る少年。
無邪気な笑みを向ける少年に、冥月は苦笑して言い放った。
「ナンパなら、もっと場所を選べ」
少年をグイッと押しのけ、先を急ごうとする冥月。
クールな冥月の態度に、少年はケラケラ笑って言った。
「ナンパなんてした事ないよ。俺。なぁ?梨乃?」
少年に話を振られ、ゆっくりと近づいてくる一人の少女。
「知らないわよ。そんなの」
しれっと返す少女を見て、冥月は目を伏せ大きな溜息を落とす。
また、厄介なことに巻き込まれそうな予感。
「ガキの相手をしている暇は、ない」
そう言い放ち、行く手を遮る少年をグイッと押しのけ、帰路に戻ろうとする冥月。
少年の横を通り過ぎた時だった。
チャキッ―
物騒な音が響く。
視線を泳がせて振り返り見やると、少女が銃を抜いている。
銃口が向く先は、冥月の眉間のあたり。
普通の銃とは、一風変わった、その銃。
紅い炎が灯り揺れている それを、冥月は影を操作してパッと奪う。
「あ」
あまりの早業に驚愕する少年。
冥月は、奪った銃をマジマジと見やり、
「便利そうだが…興味ないな」
そう呟いて、銃をポイッと投げ返す。
「おっと」
銃を受け取り、すぐさま構えて。
少年は、不敵な笑みを浮かべて言う。
「面白いよ、これ。遊んでみない?」
宣戦布告と、開戦の合図。
冥月は大きな溜息を吐きつつ、一歩退いて、身構える。
「あっははは!」
ドッ ―
「すっげぇ!」
ドッ ―
楽しそうに、はしゃぎまわりながら連続発砲する少年。
照準は、完璧。すべて、微塵の狂いもなく冥月の眉間を狙っている。
けれど、あたらなければ、何の意味もない。
けれど、少年が楽しそうなのは ”当たらない” からこそ。
完璧な狙いなのに、一向に当たらないのだ。
冥月は、身構えてから微動だにしていない。
目を伏せたまま、退屈そうに時折あくびをしている。
冥月の前には、小さな影穴が一つ。
少年が持つ銃から発砲されているのは、銃弾ではなく、紅い炎。
発砲されるたびに炎の勢いは増して、あたりに熱風が吹きすさぶ。
触れようものなら、一瞬で炭と化してしまうであろう、その炎を、
冥月が放った影穴は、全て見事に吸収していく。
影の中に入った炎は、シュッと跡形もなく消えてしまう。
ゆえに、いつまでたっても ”当たらない”
(このままじゃ、埒が明かないなぁ)
そう判断した少年は、大声で叫ぶ。
「梨乃!何ボーッとしてんだよ〜〜〜!」
少年の声に、木陰で読書をしながら傍観していた少女が反応。
「…無駄だと思うけど」
そう呟き、立ち上がって、少女は冥月にツカツカと歩み寄る。
ただ、近寄ってきているわけではない。
一歩近付く毎に、張り詰めていく空気。
その雰囲気に、少女が、それなりの実力者である事を悟った冥月。
冥月は、僅かに立ち位置をずらして身構えた。
準備が整ったのを確認して、少女が攻撃開始。
「はっ! やぁ!」
次から次へと繰り出される技。
小柄な体躯とは裏腹に、ダイナミックでパワフルな体術を使う。
一瞬でも気を抜けば、膝をついてしまうであろう少女の素晴らしい動きに、
冥月は、感心と敬意を払う。
「大したものだ」
少女の攻撃も、少年の攻撃と同様に、決してヒットしない。
手だけで捌く冥月に、ムッと眉を寄せて、攻撃速度を速める少女。
それに便乗するかのように、少年も銃を懐にしまって、肉弾戦に参戦。
(体術は、女の方が上か…)
攻撃を捌きながら、能力判断を下す冥月だったが、
二人の攻撃姿勢に、次第に苛立ちを覚えていく。
休みなく繰り出されている技だが、
二人とも”狙って”はいない。
自分を伏そうとはしていない。
そう…試しているかのような。
そう感じた冥月は、スゥと息を吸い込み、
その息を吐き出すと同時に、少年の脇腹に拳を捩じ込んだ。
ドスッ ―
「うぇ」
全身に走る衝撃にペロリと舌を出して、よろめく少年。
「!」
拳ひとつで変貌した空気に、少女は一歩退いて警戒した。
が、時すでに遅し。
少女を囲う、何万もの影槍。
一歩でも動けば、突き刺さってしまう。
身動きが出来なくなった少女と脇腹を押さえる少年に、
冥月は不愉快そうに問う。
「何なんだ、貴様等は。目的を言え」
「…と、まぁ。こんな感じなんだけど」
地面に胡坐をかいて座り、少年は言った。
「なるほどな。イノセンス、か…聞いた事はあるが」
冥月の言葉に、少年はニパッと笑って。
「なら話は早いなっ。よっろしく〜新エージェントっ!」
そう言って冥月に手を差し伸べ、握手を求めた。
ところが。
「断る」
冥月は、少年の手をパシンと払い、即答した。
「えぇ〜?何で〜?」
子供が駄々をこねるような口調で言う少年に、冥月は淡々と言う。
「組織に属するというのが嫌いでな。IO2からの誘いも断っている」
「…え。IO2と関わりあんの?」
フッと曇った少年の表情に、冥月は首を傾げて返す。
「あぁ。何か問題でも?」
「………」
腕を組み、少しの間ムゥと考え込んだ少年だったが、
すぐに明るい表情に戻って、読書をしている少女に話を振った。
「梨乃〜。どうすりゃいいかなぁ」
少年の言葉に、少女は本を閉じて鞄にしまうと、
服についた土埃をパンパンと払いながら返した。
「いちいち聞かないでよ。いつもみたいにするんでしょ。どうせ」
少女の言葉にケラケラと笑う少年。
少年は、ガシッと冥月の腕を掴み、強引に立ち上がらせた。
「…何だ?」
キョトンとする冥月に、少年は満面の笑みを浮かべつつ、
「強引な男は嫌い?」
そう言って冥月の手を引いてスタスタと歩き出した。
「ちょ、何だ。待て。どこに…」
悲しいほど華麗にスルーされる、その言葉と問い。
手を引き先を行く少年と、おとなしく後ろをついてくる少女に、
冥月は目を伏せ、大きな溜息を落とした。
「それにしても、さっきの能力、凄かったなぁ。な、梨乃?」
「そうね。便利そう」
御機嫌な二人(少女は、そうでもないように見えるが)の会話に挟まれて、
冥月は、森の中へと連行されていく。
嫌な予感というのは、当るものだ。
(はぁ………)
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■■■■■ THE CAST ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
【 整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / 職業 】
2778 / 黒・冥月 (ヘイ・ミンユェ) / ♀ / 20歳 / 元暗殺者・現アルバイト探偵&用心棒
NPC / 黒崎・海斗 (くろさき・かいと) / ♂ / 19歳 / Innocence:エージェント
NPC / 白尾・梨乃 (しらお・りの) / ♀ / 18歳 / Innocence:エージェント
■■■■■ ONE TALK ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
こんにちは。いつも、どうもです^^
ゲームノベル”Innocence”への参加・発注ありがとうございます。
心から感謝申し上げます。 気に入って頂ければ幸いです
。
Innocenceには、まだまだ続編・関連シナリオがありますので、
是非。また御参加下さいませ^^ お待ちしております。
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2007.12.00 / 椎葉 あずま(Azma Siiba)
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