コミュニティトップへ




■INNOCENCE / スベテの始まり -スカウト-■

藤森イズノ
【7192】【白樺・雪穂】【学生・専門魔術師】
異界の辺境、廃墟が並ぶ不気味な地域。
魔物の出現が頻繁な、物騒地。
異界の住人でも、好き好んで寄り付く者はいないであろう、この地に存在する、
美しき白亜の館。
その館から、今。
一人の少年が、姿を現した。
「はぁ〜。ひっさしぶりだよな。スカウト!腕が鳴るぜ〜」
伸びをしながら、サクサクと歩く、何とも楽しそうな表情の少年。
そんな少年の後ろを、小柄な少女が、ゆっくりと付いて行く。
少女は、少年の背中に忠告を突き刺した。
「…誰でも良いわけじゃないんだからね」
「わ〜かってるよ」
ケラケラと笑いつつ返す少年。
無邪気な少年に、少女は溜息を落とす。
INNOCENCE 01 スカウト

------------------------------------------------------

OPENING

異界の辺境、廃墟が並ぶ不気味な地域。
魔物の出現が頻繁な、物騒地。
異界の住人でも、好き好んで寄り付く者はいないであろう、この地に存在する、
美しき白亜の館。
その館から、今。
一人の少年が、姿を現した。
「はぁ〜。ひっさしぶりだよな。スカウト!腕が鳴るぜ〜」
伸びをしながら、サクサクと歩く、何とも楽しそうな表情の少年。
そんな少年の後ろを、小柄な少女が、ゆっくりと付いて行く。
少女は、少年の背中に忠告を突き刺した。
「…誰でも良いわけじゃないんだからね」
「わ〜かってるよ」
ケラケラと笑いつつ返す少年。
無邪気な少年に、少女は溜息を落とす。

------------------------------------------------------

異界の辺境、時刻は深夜零時。
人気なく静まり返ったそこに、一人の少女。
物騒な地に酷く不釣合いな可憐な少女。
少女の名は、白樺・雪穂 (しらかば・ゆきほ)
十二歳という若さで、異界にその名を轟かせている魔術師だ。
彼女は一人で、こんなところにいる理由。
それは、自身の作った魔法具のテストだ。
ここは魔物の発生が多く、実験台に不自由しない。
(さて、どうかな)
精神を集中させつつ、魔物が出現するのを待つ雪穂。
ところが、彼女の前に姿を現したのは、魔物ではなく人間だった。
廃墟に身を潜めつつ、こちらを伺っている人物。
見たところ、まだ若い…少年と少女だ。
纏っているオーラから、かなりの実力者だと理解る。
雪穂はフゥと息を吐いて、二人に尋ねた。
「何の用?」
すると、少年はバッと銃を抜き、銃口を雪穂に向けた。
少年の行動が予想外だったのか、隣にいる少女はギョッとしている。
(やれやれ…最近、多いなぁ。こういうの)
溜息混じりで、スペルカードを取り出す雪穂。
異界には、腕比べをしたがる者が多い。
今週に入ってから、これで実に十三回目だ。
肩を竦める雪穂に、少年は躊躇なく発砲。
ボッ―
飛んでくるのは、銃弾ではなく、炎。
少し驚いた雪穂だが、ヒョイと難なく炎を避ける。
「へぇ。世の中には、そういう銃もあるんだねー」
雪穂は口元に笑みを浮かべつつ、
ヒョイと一枚、スペルカードを引き抜く。
引き抜いたのは【剣】のカード。
カードに記された呪文を高速詠唱すると、カードが実体化。
カードから実体化した剣は、スッと雪穂の手に。
剣を持った途端、雪穂の目が釣り上がる。
「よっしゃあ、行くぜ!俺様に挑んだことを後悔しなっ!」
剣を構えて、自信満々に言う雪穂。
先程までと口調も雰囲気も明らかに違う。
「え、二重人格!?」
雪穂の変貌振りに驚きつつも楽しそうな少年。
「ちょっと違うと思う。…っていうか、あの子、かなり強いわ」
雪穂の纏う強力なオーラに即座に反応し、身構える少女。
「だな。剣ってことは接近戦かー。お前に任せてイイ?」
「何言ってんのよ。あんたのせいで、こんなことになってるのよ」
「…へいへい。んじゃ、いきますかっ」

異界の辺境に響き渡る戦音。
少年と少女は、雪穂の攻撃をガードしつつ、反撃。
雪穂は、二人の攻撃をガードしつつ、反撃。
どちらも退かない、緊張感に満ちた腕試し。
数十分が経過したところで、それは終了する。
互いに体力を消耗しすぎて、その場に座り込んでしまったのだ。
「はぁ…はぁ…はぁ…きっつ…」
額に滲む汗をパーカーの袖で拭って言う少年。
「………」
少年ほど息を切らしてはいないが、少女も相当疲労困憊だ。
雪穂は、というと、目を伏せた状態で肩を上下に揺らしている。
実体化させた剣はカードへ戻った為、
表情も、あどけなく可愛らしいものに戻っている。
「…はぁ。何なの、キミ達」
溜息を吐きつつ言う雪穂。
少年は汗を拭いつつ、ニッと笑って返す。
「あなたを、スカウトしに来ました」
「何それ。面白くないよ」
「笑わせよーとなんてしてない。本気」
「スカウトって…どこに、っていうか何さ」
「INNOCENCE。知ってるだろ?」
「あぁ…あそこか」
「うん」
INNOCENCE。それは、異界にある魔物討伐・調査組織。
IO2のライバル組織とも噂されており、
近頃、あらゆる場所で評判になっている組織だ。
少年と少女は、INNOCENCEのエージェント、とのこと。
「ね。ウチに入ってよ。楽しいぜー」
一通りの説明(かなり大雑把だったが…)を終えると、
少年は満面の笑みで、雪穂を正式にスカウト。
ところが、雪穂は、あっさりと、
「や。僕、縛られるの嫌いだから」
そう言ってのけた。清々しい拒否だ。
「縛りなんて全然ないって!ウチは自由がウリだからっ」
「や。僕、縛られるの嫌いだから」
「だからぁ!縛りなんて全然ないってば」
「や。僕、縛られるの嫌いだから」
「三回目ぇ〜。も〜〜。頼むよ〜入ってよ〜」
「しつこいなぁ。それにうるさい。キミも大変だね」
少女を見やって同情する雪穂。
少女は苦笑して申し訳なさそうな表情を浮かべ言う。
「すみません。でも、少し考えてみてもらえませんか?」
「随分必死だね」
「はい。今の時期は、辞めていくエージェントが多くて」
「卒業シーズンだから?…関係ないか」
「まぁ、色々です」
「ふぅん。でも、僕、興味ないから」
「そうですか…なら、仕方ないですね」
残念そうにしつつも、これ以上の無理強いは良くないと判断した少女は、
雪穂の獲得を名残惜しく思いつつも、諦めようとした。が…。
「よっ、と」
突然、少年がヒョイと雪穂を抱きかかえた。
「ちょっと…何すんの。降ろして」
ムッとした表情で言う雪穂。
そんな雪穂にニッと笑みを向け、少年は言う。
「ウチがどんだけ良いトコか直接見せてやるよ」
「だから、興味ないって…うわっ」
ダッと駆け出す少年。
「ち、ちょっと!何やってんのっ、あんた!?」
慌てて追いかける少女。
少年は聞く耳持たずで、雪穂を抱きかかえたまま疾走。
拉致同然の状況、雪穂の不愉快そうな心音を感じ、
彼女を護る存在である護獣、白虎の子[白楼]と黒豹の子[正影]が出現。
白楼と正影はギィギィと鳴きつつ、
主に不快な思いをさせている犯人である少年を引っ掻く。
「イテテテ…」
頬に小さな引っ掻き傷を刻まれるも、少年は疾走を止めない。
かなり、雪穂のことを気に入ったようだ。
こうなるともう、手がつけられない。
少年が向かう先は、INNOCENCEのアジト・本部。
「………」
嬉しそうな少年の顔を見て、雪穂は何度も溜息を落とした。

------------------------------------------------------


■■■■■ THE CAST ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■


【 整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / 職業 】

7192 / 白樺・雪穂 (しらかば・ゆきほ) / ♀ / 12歳 / 学生・専門魔術師

NPC / 黒崎・海斗 (くろさき・かいと) / ♂ / 19歳 / INNOCENCE:エージェント

NPC / 白尾・梨乃 (しらお・りの) / ♀ / 18歳 / INNOCENCE:エージェント


■■■■■ ONE TALK ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■


こんにちは。 納品が遅れてしまい、大変申し訳御座いません。
ゲームノベル”INNOCENCE”への参加・発注ありがとうございます。
発注・参加 心から感謝申し上げます。 気に入って頂ければ幸いです。
INNOCENCEは、関連シナリオが幾つもありますので、
是非。また、ご参加下さいませ。

-----------------------------------------------------
2008.02.26 / 櫻井 くろ (Kuro Sakurai)
-----------------------------------------------------