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■INNOCENCE / スベテの始まり -スカウト-■

藤森イズノ
【7403】【黒城・凍夜】【何でも屋・暗黒魔術師】
異界の辺境、廃墟が並ぶ不気味な地域。
魔物の出現が頻繁な、物騒地。
異界の住人でも、好き好んで寄り付く者はいないであろう、この地に存在する、
美しき白亜の館。
その館から、今。
一人の少年が、姿を現した。
「はぁ〜。ひっさしぶりだよな。スカウト!腕が鳴るぜ〜」
伸びをしながら、サクサクと歩く、何とも楽しそうな表情の少年。
そんな少年の後ろを、小柄な少女が、ゆっくりと付いて行く。
少女は、少年の背中に忠告を突き刺した。
「…誰でも良いわけじゃないんだからね」
「わ〜かってるよ」
ケラケラと笑いつつ返す少年。
無邪気な少年に、少女は溜息を落とす。
INNOCENCE 01 スカウト

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OPENING

異界の辺境、廃墟が並ぶ不気味な地域。
魔物の出現が頻繁な、物騒地。
異界の住人でも、好き好んで寄り付く者はいないであろう、この地に存在する、
美しき白亜の館。
その館から、今。
一人の少年が、姿を現した。
「はぁ〜。ひっさしぶりだよな。スカウト!腕が鳴るぜ〜」
伸びをしながら、サクサクと歩く、何とも楽しそうな表情の少年。
そんな少年の後ろを、小柄な少女が、ゆっくりと付いて行く。
少女は、少年の背中に忠告を突き刺した。
「…誰でも良いわけじゃないんだからね」
「わ〜かってるよ」
ケラケラと笑いつつ返す少年。
無邪気な少年に、少女は溜息を落とす。

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スカウト活動を続ける中、少年と少女の目に、一人の青年が留まる。
黒いコートを纏う、その青年は風を切って、颯爽と歩く。
つい先程、この青年は野獣に襲われた。
だが、瞬殺。十も数えぬ間に、始末してしまったのだ。
少年と少女は、物陰に隠れつつ それを見ていて、
彼の戦闘能力に可能性をバシバシと感じた。
以降、気配を消して彼を尾行ている。
(今日は冷えるな)
肩を竦めて寒さを思う青年。
彼の名は、黒城・凍夜。
名は体を現すというが、まったくもって、そのとおり。
凍夜の瞳は冷たく、誰も寄せ付けない雰囲気を放っている。
ツカツカと自宅への帰路を急ぐ凍夜。
彼の後ろ、離れた位置で、少年はチャッと銃を構えた。
「…ちょっと」
突如、銃を構えた少年に驚き、それを制止しようとする少女。
少年は少女の手をパシンと払い、不敵な笑みを浮かべて言った。
「テストだよ、テスト」
「…知らないから。どうなっても」
呆れる少女を他所に、少年は発砲。
少年の持つ銃は少し異質で、
銃弾の代わりに、というか銃弾を模した炎を放つ。
放たれた炎は赤々と燃えつつ、凍夜の背中へ。
背中に感じる生温い風。
それは次第に、熱風へと変わっていく。
凍夜は振り返ると同時に身を屈めて、炎を避ける。
突如飛んできた炎に若干驚きつつも、
凍夜は舌打ちの後、真っ直ぐ、直線状に”敵”であろう人物を捕らえて、
身の丈以上の大鎌をブンッと投げやった。
美しく回転しながら、猛スピードで少年へと向かう大鎌。
少年は近づいてくる大鎌にニッと笑い、
両手を前方に突き出して、巨大な炎を出現させる。
炎に衝突し、ガランと地面に落ちる大鎌。
凍夜は間髪入れず、警戒を怠らぬまま少年に駆け寄りつつ、
幾つものナイフを少年めがけて放つ。
「うぉおおおぅっ!?」
驚きつつも、飛んでくる無数のナイフを手刀で捌く少年。
少年の隣で少女は身を屈め、水で自身を包み込み、
飛び火に備えて防御をしている。
少年がナイフを捌くのに必死になっている隙を見て、
凍夜は右手を開いたまま前方に突き出すと、
目を伏せると同時に、突き出した右手をグッと握り拳へと変える。
すると少年の体に黒い糸がギシッと絡みつき、
少年は、身動きがとれず、芋虫のような状態で地に伏せた。
ドシャッ―
「あぁぁぁ〜…」
コロコロと地を転がりつつ、残念そうな顔をする少年。
滑稽な少年の姿に、少女はヤレヤレと溜息を落とした。
芋虫状態の少年を踏みつけ、喉元に拾い上げた大鎌を宛がう凍夜。
苦笑している少年。焦っている様子はない。
凍夜は少年ではなく少女に冷たい視線を向け、一言呟いた。
「用件」


少女が事情を説明すると、
凍夜は、芋虫状態の少年の上に腰を下ろして確認。
「報酬は?」
凍夜に乗っかられつつ、少年が自信満々に答える。
「儲かるよ!数をこなせば、こなしただけ」
「…どういうシステムだ。それは」
不可解な表情を浮かべる凍夜に、少女が説明する。
「様々な依頼を解決すると、信用を得て、より大きな仕事を任されることになるんです」
「あぁ、なるほどな」
「マスターから直接指令を受けることも、あります」
「マスター?そりゃあ、ボスか何かか?」
「はい。INNOCENCEのトップです」
「なるほどな。やり甲斐はありそうだ」
クッと笑う凍夜。少年はジタバタともがきつつ言う。
「やる気があるなら本部に連れてくからさー。これ、解いてくれよー」
少年の言葉には聞く耳持たず。
凍夜はジッと少女を見やる。
「あの…嫌だったら、断ってくれて構いませんので」
申し訳なさそうに言う少女。
凍夜はスッと立ち上がり、目を伏せつつ言う。
「いや…。引き受けよう。で、キミの名前は?」
「へっ。あ、り、梨乃です」
「オーケー。じゃあ…本部とやらに案内してもらおうか」
淡々と言う凍夜。少年はブスッとした表情で呟く。
「何で梨乃とばっか話すかなぁー…俺、寂しいよー」
ドカッ―
凍夜は苦笑しつつ、少年を軽く蹴り飛ばす。
すると、少年を捉えていた糸がパッと消えた。
自由の身になった少年は、バッと立ち上がると、
凍夜の手を掴み、嬉しそうに言った。
「よっしゃー!じゃ、行こ!あっ、俺は海斗だから。よろしくなっ」
手を引き、ズンズンと歩き出す少年、海斗。
凍夜はムッと眉を寄せ、低い声で呟く。
「…手を離せクソガキ。なかったことにするぞ」
「うそん。それはマズイや」
苦笑しつつ、パッと手を離す海斗。
おちゃらけているというか無邪気というか…。
少年の自由奔放な言動に、凍夜はハァと溜息を落とす。
「すみません…うるさくて」
後をついてきている梨乃が申し訳なさそうに言った。
凍夜は歩みを遅め、梨乃と並ぶと、不憫そうに告げた。
「苦労してるだろ…大変だな」


異界で有名な組織IO2と肩を並べる同系組織、INNOCENCE。
イノセンスに所属するエージェントである海斗と梨乃は、
凍夜という素晴らしい逸材を手に入れた。
いや…正式に手に入れたというには、まだ早いか。
凍夜は、大人しく組織に属しているようなタマではないであろうから。
貴重な人材には変わりない。
INNOCENCEは、凍夜を手放すことはしないだろう。
けれど、彼には首輪をつけることなんて出来ない。
さて…どうなることやら。

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■■■■■ THE CAST ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■


【 整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / 職業 】

7403 / 黒城・凍夜 (こくじょう・とうや) / ♂ / 23歳 / 退魔師・魔術師

NPC / 黒崎・海斗 (くろさき・かいと) / ♂ / 19歳 / INNOCENCE:エージェント

NPC / 白尾・梨乃 (しらお・りの) / ♀ / 18歳 / INNOCENCE:エージェント


■■■■■ ONE TALK ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■


こんにちは。 はじめまして。
ゲームノベル”INNOCENCE”への参加・発注ありがとうございます。
発注・参加 心から感謝申し上げます。 気に入って頂ければ幸いです。
INNOCENCEは、関連シナリオが幾つもありますので、
是非。また、ご参加下さいませ。

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2008.02.22 / 櫻井 くろ(Kuro Sakurai)
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