コミュニティトップへ




■INNOCENCE / スベテの始まり -スカウト-■

藤森イズノ
【7416】【柳・宗真】【退魔師・ドールマスター・人形師】
異界の辺境、廃墟が並ぶ不気味な地域。
魔物の出現が頻繁な、物騒地。
異界の住人でも、好き好んで寄り付く者はいないであろう、この地に存在する、
美しき白亜の館。
その館から、今。
一人の少年が、姿を現した。
「はぁ〜。ひっさしぶりだよな。スカウト!腕が鳴るぜ〜」
伸びをしながら、サクサクと歩く、何とも楽しそうな表情の少年。
そんな少年の後ろを、小柄な少女が、ゆっくりと付いて行く。
少女は、少年の背中に忠告を突き刺した。
「…誰でも良いわけじゃないんだからね」
「わ〜かってるよ」
ケラケラと笑いつつ返す少年。
無邪気な少年に、少女は溜息を落とす。
INNOCENCE 01 スカウト

------------------------------------------------------

OPENING

異界の辺境、廃墟が並ぶ不気味な地域。
魔物の出現が頻繁な、物騒地。
異界の住人でも、好き好んで寄り付く者はいないであろう、この地に存在する、
美しき白亜の館。
その館から、今。
一人の少年が、姿を現した。
「はぁ〜。ひっさしぶりだよな。スカウト!腕が鳴るぜ〜」
伸びをしながら、サクサクと歩く、何とも楽しそうな表情の少年。
そんな少年の後ろを、小柄な少女が、ゆっくりと付いて行く。
少女は、少年の背中に忠告を突き刺した。
「…誰でも良いわけじゃないんだからね」
「わ〜かってるよ」
ケラケラと笑いつつ返す少年。
無邪気な少年に、少女は溜息を落とす。

------------------------------------------------------

異界の辺境、廃墟が立ち並ぶ不気味な地。
そこで、今まさに仕事中の青年が一人。
青年の名は、柳・宗真 (やなぎ・そうま)
知る人ぞ知る、柳家の現当主だ。
彼の今回の仕事は、ここらに出没する通り魔の始末。
魔力の糸を駆使し、通り魔をあっさりと発見した彼は今、詰めの段階にある。
通り魔を、追い詰めたのだ。
「さて…」
両指でピンと魔糸を張り、通り魔を見据える宗真。
絶望的な状況、逃げられる予感はまるでしない。
ここまでか…と通り魔は悔しそうな表情を浮かべる。
「罪には罰が必要。さようなら」
魔糸を放ち、仕留めようとした、その時だった。
ガサリと茂みが揺れる。
瞬時に反応し、一旦手を止める宗真。
(まさか、仲間が…?)
そうだとしたら、少しやっかいだ。
だが、宗真の、その予感は外れる。
茂みの中にいたのは、幼い顔立ちの…少年と少女だったのだ。
「やべ。見つかった」
「馬鹿っ。あんたが動くから…」
茂みの中で苦笑する少年と、少年を罵る少女。
何故、こんなところに子供が…と呆気に取られる宗真。
その隙を通り魔が見逃すわけがない。
通り魔はダッと駆け出し、逃亡してしまった。
「………」
標的、ターゲットを仕留め損ねたことに、大きな溜息を落とす宗真。
見るからに不機嫌な宗真に、少年は微笑んで言った。
「ごめん。邪魔するつもりはなかったんだけどさー」
少年の笑顔は、とても無邪気だ。
可愛らしい、その笑顔に、宗真はイラッ。
ヒュン―
「うぉわぁっ!?」
突然飛んできた糸を避けて、少年は声を張り上げる。
「いきなり何すんだよ!」
「仕事の邪魔をされて、腹が立ったんです」
次々と魔糸を出現させつつ言う宗真。相当、御立腹だ。
そっちがその気なら、と少年は腰元から銃を抜いた。
不思議な形の銃だ。
宗真は、銃を見てすぐに気付く。
彼等が、何者であるかに。
腹が立っているのは事実だが、
ここで少年と戦り合っても、正直無意味。
ましてや、少年らの正体を理解しているのだから、
戦り合うべきではない。そこで。
宗真は、少年の体に青白い魔糸を放ち、彼の自由を奪った。
「っととと…ちょ、何これ。うぉぁぁ!?」
突然、小躍りを始める少年。宗真の操りの糸の効果だ。
宗真は腕を組み、小躍りする(させている)少年を笑顔で観察。
体罰よりもキツイ恥罰だ。
「と、止めて。止めてー!これ…!ちょ、おいぃぃぃー!」


十二分間、小躍りを満喫した宗真は満足し、操りの糸を少年から外す。
十二分間の恥罰を終えた少年は、その場に突っ伏している。
かなり、恥ずかしかったらしい。
「ドSだ…」
ポツリと呟いた少年をくすぐりつつ、宗真は少女に尋ねる。
「INNOCENCEのエージェントさんですね?」
「ご、ご存知でしたか」
驚きつつ、ペコリと頭を下げる少女。
「えぇ。近頃、評判ですからね」
「あっははははは!くすぐってぇ!やめろー!あっははは!」
「すみません…御仕事の邪魔をしてしまって」
「あっははははは!やめろって!やめろって!あっははは!」
「いえ。構いませんよ。済んだことですし」
少年をくすぐるのを止め、優しく微笑む宗真。
笑いから解放された少年は、お腹を押さえつつ言う。
「だよな。過ぎたことを責めても、どーにもなんねーよな!」
宗真は少年の頬を抓って、少女に尋ねる。
「有名組織さんが、僕に何の御用でしょう?」
「いてててて!つねんな!やめろー!いててて!」
「えと…あなたをスカウトしようと」
「いてててて!つねんなって!やめろー!いっててて!」
「僕を、ですか?」
少年の頬を抓るのを止め、キョトンとする宗真。
痛みから解放された少年は、頬を擦りつつ言う。
「ウチに入れば、もっとイイ仕事たくさんあるぜ!」
少年の言葉には反応せず、宗真は少女に更に問う。
「僕で良いんですか?」
「は、はい。是非。先程、通り魔を追い詰めるまでの手際、素晴らしかったです」
「おや。尾行られてましたか」
「あっ…す、すみません…」
「いえ。構いませんよ。ふーむ…本当に僕で良いのなら、宜しく御願いします」
「ほ、本当ですかっ?」
「えぇ。断る理由はありません」
宗真は、あっさりとスカウトに応じた。
以前からINNOCENCEに興味を抱いていたのだ。
故に、少年が持つ不思議な銃も知っていたし、
それを持つ者は、INNOCENCEエージェント以外にいないということも知っていた。
INNOCENCEに所属すれば、お金に困ることはなさそうだし、
組織の深部も、知りたかったところだ。断る理由は皆無。


組織に所属することを決めた宗真は、
少女の案内で、INNOCENCE本部へと向かう。
本部は、ここからさほど遠くない場所にあるらしい。
少女いわく、まず組織のボスに会ってもらわねばならないらしい。
本部へ向かう道中、宗真は少女に様々なことを尋ねる。
今まで気になっていても、聞く機会がなかったから。
INNOCENCEに関して、とても詳しい宗真。
少女は凄いなぁと思いつつ、笑顔で質問に答える。
無関係だった人物が、自分の組織に詳しいことが嬉しいようだ。
宗真と少女が楽しそうに喋る中、
少年はロボットダンスをしながら二人の後をついて行く。
宗真に、操られ…弄られっぱなしだ。
「俺の話も聞いてよーーーーーー!!」
ムキーーッと少年が叫ぶ。ご愁傷様。…ロボットダンス、上手だよ。

------------------------------------------------------


■■■■■ THE CAST ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■


【 整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / 職業 】

7416 / 柳・宗真 (やなぎ・そうま) / ♂ / 20歳 / 退魔師・ドールマスター・人形師

NPC / 黒崎・海斗 (くろさき・かいと) / ♂ / 19歳 / INNOCENCE:エージェント

NPC / 白尾・梨乃 (しらお・りの) / ♀ / 18歳 / INNOCENCE:エージェント


■■■■■ ONE TALK ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■


こんにちは!
ゲームノベル”INNOCENCE”への参加・発注ありがとうございます。
発注・参加 心から感謝申し上げます。 気に入って頂ければ幸いです。
INNOCENCEは、関連シナリオが幾つもありますので、
是非。また、ご参加下さいませ^^

-----------------------------------------------------
2008.02.26 / 櫻井 くろ (Kuro Sakurai)
-----------------------------------------------------