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■INNOCENCE / 白亜の館■

藤森イズノ
【7403】【黒城・凍夜】【何でも屋・暗黒魔術師】
何とも満足そうな笑みを浮かべる、海斗。
無表情ではあるものの、梨乃も、内心は非常に満足しているようだ。
二人は、見つけた”逸材”を、とある場所へと連れて行く。
半ば、強引に。

海斗に手を引かれる逸材は、状況が飲み込めずに不可解な表情をしている。
まぁ、無理もない。
事態を把握しようと、どういうことなのかと尋ねても、
海斗と梨乃は、微笑むばかりで、一向に説明してくれないのだから。
説明不足な二人の所為で、逸材の不安や不満は膨らむばかり。

廃墟が並ぶ、不気味な地に踏み入り、逸材の不安が頂点に達した時。
海斗と梨乃は、アイコンタクトをとり、揃って前方を指差す。

彼等が示した先には、美しい白亜の館があった。
INNOCENCE 白亜の館

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OPENING

何とも満足そうな笑みを浮かべる海斗。
無表情ではあるものの、梨乃も、内心は非常に満足しているようだ。
二人は、見つけた”逸材”を、本部へと連れて行く。

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「あれがウチの本部だ!どーだっ!綺麗だろ!」
腕を組み、エッヘンと偉そうに言う海斗。
凍夜が連れて来られたのは、異界森の奥深く。
そこには、とても美しい白亜の館があった。
ここが、INNOCENCEの本部らしい。
凍夜は館を見上げ、思いのままに感想を述べる。
「…どこの吸血鬼の屋敷だ、ここは」
美しい館なのは確かなのだが、
館の周りは数え切れないほどのコウモリが飛び交っている。
白亜の館に漆黒のコウモリ。何だか、不気味だ。
「綺麗だって素直に言えばイイのに。照れ屋さんだなぁ」
凍夜の背中をパンッと叩いて言う海斗。
凍夜は無言のまま、冷たい眼差しを海斗に向ける。
海斗は相当御機嫌なようで、冷たい視線にビクつくことなく、
「おーし、マスターんとこ行こー」と言って、館の扉に手をかけた。
少し扉を開けた状態で、ピタリと動きを止める海斗。
「どうした?」
凍夜が尋ねると、海斗は凍夜を見上げて尋ねた。
「や。別にどーでもいいことなんだけどさ。トーヤ、って漢字は?どやって書くの?」
「本当にどうでもいいことだな」
「ふっと気になったんだよね。ねー、どやって書くの?」
「…凍える夜、だ」
「うわ。似合いすぎ!あっはははは!」
ケラッケラと笑う海斗。
梨乃は海斗をベシッと叩いて、無礼を詫びる。
「ごめんなさい…」
申し訳なさそうな梨乃の顔に、凍夜はフィッと顔を背け、
「いい。さっさと行くぞ」
そう言って一番に館の中へ入っていった。



館は、外だけでなく中も真っ白。
通路も壁も、何もかもが真っ白。
海斗と梨乃が言うマスターは、
本部一階、長い通路の先にあるマスタールームにいるという。
歩いても歩いても変わらない景色。
その場で足踏みしているだけなのではと錯覚すら覚える。
先を歩く海斗の背中を見つつ、大人しくついていく凍夜だが、
終わりなくどこまでも続いているかのような通路を歩く内、次第に眩暈を覚えていく。
「………気持ち悪くなってきた」
ボソリと呟く凍夜。
「大丈夫ですか?もうすぐなので…」
梨乃は凍夜を案じ、不安そうな顔で凍夜を見上げる。
「あっはっは!だらしねーなー!」
先を行く海斗は、スキップしてみせながら言った。
その行為にムッとしたのか、凍夜は歩みを速め、
海斗の後ろにピッタリとついた。
二人に駆け寄りつつ、苦笑する梨乃。

「マスター!連れてきたぞー!」
バーンと扉を開け放って言う海斗。
到着したマスタールームもまた、真っ白な空間。
中心部に、巨大な魔方陣のようなものが刻まれており、
そこにあるソファに、灰色のローブを纏った老人が座っている。
老人はフードを深く被っているため、よくは把握できないが、男性のようだ。
「おぬしは、ウルサイのぅ。少し落ち着け」
低くも、どこか優しい声で言う老人。
老人は、よっこらしょ…と立ち上がると、
一瞬で凍夜の目前に移動し、ジッと凍夜を見つめた。
「………」
無表情のまま、老人の目を見つめる凍夜。
(強いな…かなり)
老人の目を見て、すぐに強さを感じ取る凍夜。
しばらく見つめ合った後、老人は持っている杖でコツンと床を叩くと、
「うむ。合格じゃ。素晴らしい」
そう言って、ニコリと微笑んだ。
おそらく、凍夜を量っていたのだろう。
その結果、凍夜はマスターの御眼鏡にかなったようだ。
対峙していた時は、息を飲むほどの鋭さを感じさせたが、
合格を宣言してからのマスターは穏やかそのもの。
(…食えない ジィさんだな)
凍夜はフと口元に笑みを浮かべて目を伏せる。
「海斗、梨乃。彼を案内してやりなさい」
「へーい」
「はい」



マスターから指示を受け、館内案内をする海斗と梨乃。
実際に館内を歩きつつ、海斗と梨乃は凍夜に説明していく。
館は広く、一階には食堂や書庫、そしてマスタールームがあり、
二階には、巨大浴場やジム、購買などが完備。
三階から五階までは、各エージェント達の個室があるらしい。
一応理解はしたものの、慣れるまで、大変そうだ。
凍夜は二人に頼み、館内地図を用意してもらう。
といっても海斗の手描き地図。幼稚園児のラクガキのような芸術的地図だ。
梨乃が細かく説明を書いてくれているので、まぁ…使えるだろう。
一通りの説明を終え、海斗と梨乃は、凍夜を個室へと案内した。
INNOCENCEエージェントには、必然的に個室が与えられる。
海斗や梨乃、所属しているエージェントのほとんどは、この本部が家だが、
中には、自宅というものが きちんと存在する為、
仕事の時のみ、ここへ来るというエージェントも存在する。
そのようなエージェントにとっては、この個室は不要にも思えるが、
大きな仕事の際、待機するために利用したり出来るので、
あって損なことは、何一つないだろう。
「はい、これ鍵と、支給品ね」
海斗から鍵と黒い箱を受け取った凍夜は首を傾げる。
鍵はわかる。どこからどう見ても、鍵だ。
だが、この黒い箱は何だろう。
パカリと蓋を開けてみる凍夜。
中には、不思議な形の銃が入っていた。
海斗が持っていたアレと、同じものだ。
「大事に使えよ」
「…どうやって使うんだ、これ」
「あー。初任務の時にでも教えるよ」
「…任務前に知っておくべきじゃないか。使い方は」
「だいじょぶだいじょぶ。すぐ覚えるって。簡単だし」
「………」
「あ、宿す属性だけは先に決めといた方が良いな。後で考えとけよ」
「属性?」
「俺は炎だったろ?ちなみに梨乃は水」
「あぁ、なるほどな。…ふぁ」
魔銃・属性に関して理解すると同時に、大きな欠伸をする凍夜。
散々な目に遭い、疲労困憊。無理もない。
(今から帰るのも面倒だな)
そう思った凍夜は、とりあえず今日は、ここに泊まろうと決意する。
「ふぁー。俺も眠いや。んじゃ、またな〜。凍夜」
欠伸して、頭を掻きながら、自室へ向かっていく海斗。
海斗の背中を見つつ、凍夜は思う。
(これから、ずっと、あいつの相手するのか…面倒くせぇ)
先々のことを思い、ゲンナリ気味の凍夜を見て、クスクスと笑う梨乃。
梨乃はペコリと頭を下げて言った。
「これから、よろしく御願いします。じゃあ、おやすみなさい」
凍夜の部屋を出て行こうとする梨乃。
「あ、おい」
それを、凍夜は呼び止める。
「はい?」
クルリと振り返る梨乃。
呼び止めたものの、黙り込んでしまう凍夜。
キョトンと首を傾げている梨乃。
凍夜は、あさっての方向を見ながら梨乃に尋ねてみる。
「…あんた、何歳?」
「十八です。そういえば、言ってなかったですね。凍夜さんは、おいくつですか?」
ニコリと微笑んで言う梨乃。
凍夜はボソリと返す。
「二十三だ」
「そうなんですか」
「あぁ」
「………」
「………」
沈黙。
梨乃は、えぇと…と困惑しつつ、
再び、おやすみなさいと告げて、自室へと向かっていく。
明らかに困っていた。そりゃ、そうだ。
凍夜は、コロンとベッドに寝転んで溜息を落とす。
(何やってんだか…俺は)

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■■■■■ THE CAST ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■


【 整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / 職業 】

7403 / 黒城・凍夜 (こくじょう・とうや) / ♂ / 23歳 / 退魔師・魔術師

NPC / 黒崎・海斗 (くろさき・かいと) / ♂ / 19歳 / INNOCENCE:エージェント

NPC / 白尾・梨乃 (しらお・りの) / ♀ / 18歳 / INNOCENCE:エージェント

NPC / イノセンス・マスター / ♂ / ??歳 / INNOCENCE:マスター(ボス)  

■■■■■ ONE TALK ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■


こんにちは。
ゲームノベル”INNOCENCE”への参加・発注ありがとうございます。
発注・参加 心から感謝申し上げます。 気に入って頂ければ幸いです。

※アイテム「魔銃」を贈呈しました。
魔銃に宿らせる属性については、以降のプレイングで教えて下さいませ。

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2008.02.28 / 櫻井 くろ (Kuro Sakurai)
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