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■INNOCENCE / スベテの始まり -スカウト-■

藤森イズノ
【7420】【猫目・アリス】【クラッカー+何でも屋+学生】
異界の辺境、廃墟が並ぶ不気味な地域。
魔物の出現が頻繁な、物騒地。
異界の住人でも、好き好んで寄り付く者はいないであろう、この地に存在する、
美しき白亜の館。
その館から、今。
一人の少年が、姿を現した。
「はぁ〜。ひっさしぶりだよな。スカウト!腕が鳴るぜ〜」
伸びをしながら、サクサクと歩く、何とも楽しそうな表情の少年。
そんな少年の後ろを、小柄な少女が、ゆっくりと付いて行く。
少女は、少年の背中に忠告を突き刺した。
「…誰でも良いわけじゃないんだからね」
「わ〜かってるよ」
ケラケラと笑いつつ返す少年。
無邪気な少年に、少女は溜息を落とす。
INNOCENCE 01 スカウト

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OPENING

異界の辺境、廃墟が並ぶ不気味な地域。
魔物の出現が頻繁な、物騒地。
異界の住人でも、好き好んで寄り付く者はいないであろう、この地に存在する、
美しき白亜の館。
その館から、今。
一人の少年が、姿を現した。
「はぁ〜。ひっさしぶりだよな。スカウト!腕が鳴るぜ〜」
伸びをしながら、サクサクと歩く、何とも楽しそうな表情の少年。
そんな少年の後ろを、小柄な少女が、ゆっくりと付いて行く。
少女は、少年の背中に忠告を突き刺した。
「…誰でも良いわけじゃないんだからね」
「わ〜かってるよ」
ケラケラと笑いつつ返す少年。
無邪気な少年に、少女は溜息を落とす。

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異界の辺境、廃墟が立ち並ぶ不気味な地域。
そこで何やら、モソモソと動くものが…。
動いている物体は、魔物ではない。人間だ。
真紅の猫耳長袖フード(尻尾つき)のコートを着て、何かを探している。
背後から見ると、ぬいぐるみが動いているかのように見える…。
この人物の名は、猫目・アリス。
人の行く道も変えてしまうクラッカー、
”悪戯猫(トリッカーキャット)”の顔を持つ少女だ。
ガサガサと茂みを漁りつつ、アリスはボヤく。
「あ〜…ついてねぇな…こんなとこで無くすなんて」
アリスが探しているのは、魚の骨を模ったペンダントネックレス。
彼女の宝物の一つだ。
今から二時間ほど前、アリスはここで仕事をしていた。
魔物の討伐で、仕事は難なく終了した。だが、その最中、
ペンダントネックレスを、落としてしまったようだ。
依頼主に報告を済ませて自宅へ戻る途中で、
胸元にあるはずのペンダントネックレスがないことに気付いたアリスは、
慌てて再びここへ来て、一生懸命探している。
「どこいったんだ〜くそぅ…」
あらゆる箇所をガサガサ漁るアリス。
目を凝らして探すが、一向に見つからない。
イライラしているアリス。尻尾がパタパタと揺れている。
そんなアリスに近寄り、声をかける者がいた。
「ちょっとイイー?」
アリスに声をかけたのは、二十歳そこらの少年で、
黒いパーカーにニット帽、カーゴパンツというラフな格好をしている。
声を掛けられても、アリスは今、忙しい。
「わりぃが、今取り込み中だ〜」
そう返すだけで振り返ることはなく、
引き続き、ペンダントネックレスを探している。
「ちょっと話を聞いてくれるだけでイイからさっ」
ガサゴソ ガサゴソ―
「さっき、魔物と戦ってたの見てたんだよね、俺」
ガサゴソ ガサゴソ―
「そんでさー」
ガサゴソ ガサゴソ―
「………」
断られてもめげずに話しかけていく少年だが、完全無視。
少年はフゥ、と息を吐き「仕方ないね」と小さな声で呟いた。
「あぁっ!!!あったぁ〜!!!」
ようやくペンダントネックレスを見つけたアリス。
ピョンピョンと飛び跳ねて喜ぶアリスだが、その時。
ボッ―
真横を、真っ赤な炎が通過。
「………」
突然のことにピタリと動きを止めるアリス。
ゆっくりと振り返ると、ニッと笑う少年の姿。
少年は不思議な形の銃を持っており、
その銃口には、紅い炎が灯っている。
「てめぇ、何のつもり…」
ムッと眉を寄せて言いかけた、その時。
アリスの目に、目を疑いたくなるような光景が飛び込む。
フードコートが…焦げていたのだ。それも、かなり大きく。
「こういう場合って…何倍返しだったか」
ボソリとアリスは呟いた。

それまでとは明らかに違う、アリスの低い声に、
危険を感じた少年は、不敵な笑みを浮かべつつ間合いを取った。
「あ〜…くそっ」
不愉快そうな顔で、パチンと両指を弾くアリス。
すると、アリスの手に、少年の持つ銃とよく似たものが納まる。
コピー。それが、アリスの能力だ。
「うわっ。マジかよ!すげー!」
アリスのコピー能力を目の当たりにした少年は、素直に驚く。
コピーといっても、完璧にコピーできるわけではない。
それでも、武器をコピーした場合は、問題なく、その武器を使える。
「ふぅん…いいかもな、これ」
クルクルとコピーした銃を回しつつ言うアリス。
どうやら、銃を気に入ったようだ。
「いいだろー。本物、欲しくないっ?」
ボッ―
発砲して言う少年。
アリスは飛んでくる炎をピョンとジャンプしてかわし、
「いや。別に〜」
ボッ―
興味なさげに、そう返しながら発砲し返した。
飛んでくる炎をよけて、ヒュゥと口を鳴らす少年。
「すげーや。コピーしたもんだとはいえ、もう使いこなせてる」
少年が持つ銃は、魔法武器、魔具と呼ばれるもので、
使いこなせるようになるまで、それなりの時間を要する。
アリスの武器を扱う能力は、天下一品なのだ。
「うんうん。武器に関しては合格。接近戦は…どーかなっ?」
ニッと笑い、銃を腰元におさめ、アリスに向かって駆け出す少年。
アリスはコピーした銃をポンと煙にして消すと、身構える。
着ぐるみのような格好で、明らかに動きずらそうだというのに、
アリスは、しなやかな動きで、少年に応戦していく。
どの攻撃も見事なものだが、決してヒットしない。
様々な攻撃を繰り出しつつ、少年は終始、何とも嬉しそうな表情だ。



妙な遣り取りを始めて、およそ十五分後。
ハァハァと息を切らして、互いに、その場にしゃがみこむアリスと少年。
「…はぁ。疲れた…無駄に…」
肩を揺らしつつ、ついムキになってしまった自分を戒めるアリス。
少年は、そんなアリスを見ながらハハハと楽しそうに笑うと、
「どうだ?イイだろ、あのコ!」
誰かに向かって、そう叫んだ。
少年の声に応じ、スッと茂みから姿を現す一人の少女。
少女の腰元には、少年が持つ銃と同じものが納まっている。
(何だよ…もう一人とか、さすがにメンドいってぇの…)
少女の相手をする余裕というか、気構えは持ち合わせていない。
アリスはゲンナリと肩を落とす。
「うん。そうね…完璧」
少女は少年の隣に歩み寄ると、アリスを見据えて言った。
「だろっ?」少年は嬉しそうに笑う。
何だかよくわからない二人の遣り取り。
アリスは首を傾げて、二人を見やる。
バチリと交わる視線と…嫌な予感。
アリスが感じ取ったそれは的中することになる。

「ウチに入ってよ、キミなら、すぐ大活躍間違いなしっ!!」
至近距離で言う少年。少女も、隣でウンウンと頷いている。
二人の言い分というか、目的は、アリスのスカウト。
先程アリスが魔物討伐の仕事をしていたときから、
彼等は近くにおり、物陰に隠れてアリスの動きを見ていた。
身体能力もさることながら、持ち合わせている能力も類稀。
彼等は心から、彼女を欲している。
組織、INNOCENCEのメンバーとして。
「…ヤだ」
あっさりと断るアリス。フィッと顔を背ける。
もう、たまらない。イライラするばかりだ。
突然攻撃されてフードコートを焦がされるわ、
仕返しをしようとすれば楽しそうに応じるわ、
挙句の果てには、勧誘行為だ。
アリスは腕を組み、イライライライラ…。
彼女のフードコートについている尻尾も、
パタパタと不愉快そうに揺れる。
「少し、話だけでも…ゆっくり聞いてもらいたんですが」
「ヤだね」
「すぐ近くに本部がありまして…駄目ですか?」
「駄目とは言ってない。うちは、ヤだって言ってんの」
「………」
応じる気が全くないアリスの態度に、うーん…と考え込む少女。
アリスと少女の遣り取りを見ていた少年は、
もう我慢できないとばかりに、大きな声で叫ぶ。
「だー!もう、めんどくせー!」
少年は叫ぶと同時にアリスの腕を掴み、彼女を引いてダッと駆け出した。
「ぅぉ。ちょ、何すんだ。離せっ」
少年の手を振り払おうと、もきゃもきゃ動いて抵抗するアリス。
だが、少年は止まらない。
「………」
少女は何か言いたげだが、あえて何も言わずに少年について行く。
何を言っても無駄だと判断したのだろう。
「ぉぃっ!何だよ!あんた、止めろよぉぉぉぉ!」
バタバタと暴れる為、少年はアリスを担いで走りだした。
何というか…完全に人攫いだ。そうとしか見えない。
少年に担がれ、どこかへと連れて行かれるアリス。
はじめはギャーギャーと文句を言って暴れたが、
どうしようもないことを悟ってからは、おとなしくなった。
少年はニコニコ。とっても満足そうな表情を浮かべている。
担がれた状態のまま、アリスは自信の左腕をチラリと見やり、
ポツリと呟くように言った。
「やっぱ、うちってついてねぇのかな…」

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■■■■■ THE CAST ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■


【 整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / 職業 】

7420 / 猫目・アリス (ねこめ・ー) / ♀ / 13歳 / クラッカー+何でも屋+学生

NPC / 黒崎・海斗 (くろさき・かいと) / ♂ / 19歳 / INNOCENCE:エージェント

NPC / 白尾・梨乃 (しらお・りの) / ♀ / 18歳 / INNOCENCE:エージェント


■■■■■ ONE TALK ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■


こんにちは!
ゲームノベル”INNOCENCE”への参加・発注ありがとうございます。
発注・参加 心から感謝申し上げます。 気に入って頂ければ幸いです。
INNOCENCEは、関連シナリオが幾つもありますので、
是非。また、ご参加下さいませ^^

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2008.03.01 / 櫻井 くろ (Kuro Sakurai)
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