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■INNOCENCE / 白亜の館■

藤森イズノ
【7405】【雨霧・ジン】【暗殺者/退魔師】
何とも満足そうな笑みを浮かべる、海斗。
無表情ではあるものの、梨乃も、内心は非常に満足しているようだ。
二人は、見つけた”逸材”を、とある場所へと連れて行く。
半ば、強引に。

海斗に手を引かれる逸材は、状況が飲み込めずに不可解な表情をしている。
まぁ、無理もない。
事態を把握しようと、どういうことなのかと尋ねても、
海斗と梨乃は、微笑むばかりで、一向に説明してくれないのだから。
説明不足な二人の所為で、逸材の不安や不満は膨らむばかり。

廃墟が並ぶ、不気味な地に踏み入り、逸材の不安が頂点に達した時。
海斗と梨乃は、アイコンタクトをとり、揃って前方を指差す。

彼等が示した先には、美しい白亜の館があった。
INNOCENCE 白亜の館

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OPENING

何とも満足そうな笑みを浮かべる海斗。
無表情ではあるものの、梨乃も、内心は非常に満足しているようだ。
二人は、見つけた”逸材”を、本部へと連れて行く。

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「大丈夫ですか?」
心配そうにジンの顔を覗き込む少女。
ジンはハッと笑い「無問題」とだけ返し、平然と歩く。
連れて来られた、INNOCENCEの本部。
目が眩むほどの美しい白亜の館は、森の中にあった。
外観だけではなく、内装も真っ白。
壁も、床も、全てが真っ白だ。
少女いわく、初めてここに来た者は、眩暈を覚えたりすることが多いらしい。
だが、ジンには無用な心配のようだ。
同じところを延々と歩いているかのような状況に、
イラついたり不快感を覚えたりすることもなく、
テクテクと至って普通に、先を行く少年の後をついて行っている。
(大丈夫そう…うん。いい感じ)
僅かに微笑みを浮かべる少女。
というのも、この館に踏み入った時点で、ある意味”選抜”が行われているのだ。
今まで、組織に入りたいと志願してきた者は多いが、
その殆どが、この白さにやられ、具合が悪いと訴えた。
意思の強さというか、自分というものを理解し、
その全てを抱擁できるものは、このくらいで根を上げない。
組織エージェントとして、あらゆる任務に就いてもらう以上、
自分を理解し、愛しいと思う人物でないと困るのだ。
己を理解し愛することは、他人を愛せる証でもある。
より大きな任務に就くときは、他のエージェントと協力してもらわねばならない。
そうなった時、最も必要となるのが、そういう”気持ち”なのだ。
ただ強いだけのやつなら、いくらでもいる。
けれど、それだけでは、この組織は受け入れてくれないのだ。

「で、ここがマスタールーム。この中にマスターがいるから」
扉を示して言う少年。けれど、少年は扉に手をつけようとしない。
どうやら、ジンのみが一人で、中にいるマスターと接触する必要があるらしい。
「…適当でいいんだろ。挨拶は」
扉に手をかけ、少しかったるそうに言うジン。
「あんま失礼なことすんなよ。おっかねーから」
ケラッと笑って少年は言った。
(…お前ほど失礼に振舞える自信はねぇよ)ジンは、そう思いつつ、扉の中へ。

扉の中も、これまた真っ白。円形空間の中心には、
よくわからない文字が刻まれており、ソファもある。
ソファには、灰色のローブを纏った人物。
ゴゴォォン…―
扉が閉まると同時に、ソファに座っていた人物がクルリと振り返る。
フードを深く被り、表情はよくわからないが、どうやら男性のようだ。
かなり…歳も重ねているであろう印象を受ける。
「あんたが…マスターって奴か」
腕を組み、偉そうにジンが言うと、ローブを纏った老人はファッファと笑い、
一瞬でジンの傍へ移動すると、彼の顔をジッと見やって言った。
「イキが良いのぅ」
「…そりゃあ、どうも」
苦笑して返しつつ、ジンは思わず目を逸らしてしまう。
老人の体を纏っているオーラというか魔力が、並外れているからだ。
「ファッファッ…うむ。申し分ないのぅ。合格じゃ」
しばらくジンを見つめた後、満足そうに言う老人。
確かに、物凄い魔力を持っているようだが、どうにも…よくわからない。
纏っている魔力の雰囲気が、目まぐるしく変化するのだ。
おそらく、意図的にそうしているのだろう。他人を困惑させるために。
(何だかな。やりにくいジィさんだぜ…)
ポリポリと頭を掻いて、小さく舌打ちするジン。
そんなジンを見やり、老人…マスターは淡く微笑むと、こう言った。
「海斗と梨乃に、館を案内してもらうとよいじゃろう」
「…?」
首を傾げるジン。マスターはハッと気付き言う。
「何じゃ。あいつら自己紹介しとらんのか。まったく…呆れたもんじゃな」
どうやら、海斗と梨乃とは、少年と少女のことらしい。
そういえば、まだ名前を聞いていなかった。
こちらの名前も聞かれていない。
今思えば、何だか順番が滅茶苦茶だ。
ジンはハァと溜息を落とし、マスタールームを後にした。



「おつかれー!」
マスタールームから出てきたジンを笑顔で迎える少年。
少女も、ペコリと御辞儀をしている。
ジンはクッと笑い、二人に告げた。
「言い忘れてたけど、俺の名前はジンだ。言い忘れてたけど」
ワザとらしく二回”言い忘れてたけど”と言われ、
少年と少女は同時にハッと気付き、ジンに言った。
「あっ、俺は海斗!海斗な!言い忘れてたけど!あははっ」
「す、すみません、申し遅れました。私は梨乃、です」
お返しとばかりに言い忘れてた!と言って名乗る少年…海斗と、
非礼を詫びつつ名乗ってきた少女…梨乃。
やはり真逆というか何というか。
二人の性格を再認し、ジンは苦笑して言った。
「知ってるよ。さ、とっとと案内してくれ」

海斗と梨乃に案内されて、館内をグルリと回ったジン。
一階には食堂や書庫、そしてマスタールームがあり、
二階には、巨大浴場やジム、購買などが完備。
三階から五階までは、各エージェント達の個室がある。
概ね理解はしたが、館内が広い為、当分は何かと面倒そうだ。
エージェント一人一人に与えられる専用の個室。
これは全エージェントに平等に与えられるものの一つで、
自宅として使うのも、仮宿として使うのも自由だ。
海斗や梨乃、他所属エージェントの多くは、
皆ここを帰るところ、家としている為、
個室は、かけがえのない憩いの場所だが、
そうではなく他所に、きちんとした自宅のある者や、
結婚していて、個室では事足りない為に、外に家を持つ者もいる。
そういう者にとっては、この個室は任務の際に利用する仮宿に他ならない。
ジンに与えられた個室は、三階の隅。
日当たり良好な部屋だ。
「ふーん。まぁ、便利っちゃあ便利だな」
生活に必要なものが一通り揃っている部屋を見回して言うジン。
海斗は嬉しそうに笑い、机の上を示して言う。
「それ、支給品な。まー使わなくてもイイけど。失くすなよ」
「…?」
テーブルの上に置かれた黒い箱。
何だ、と思い蓋を開けてみると、そこには不思議な形の銃。
海斗が使っていたものと、同じもののようだ。
「俺にも使えんのか、これ」
銃を手に取って、マジマジと見ながらジンが言うと、
海斗はフッフッフ、と笑って言った。
「モチロン。すぐ使えるよ、ジンなら」
「どうやって使う?お前は何だ、火?を出してたけど」
「あー…その辺は、初任務の時にでも教えるよ」
(…面倒なんだな。こいつ)
説明するのが面倒で、後回しにしたのだろうとジンは苦笑した。

「任務は、都合の良い日にこなして頂ければ。ノルマはないので」
任務遂行に関しての注意事項が書かれた書類を渡して言う梨乃。
ジンは書類にザッと目を通して、梨乃に尋ねる。
「なぁ、このガキ…こいつとの共同任務ってのも、あんのか?」
「え?そうですね…時と場合によっては」
「はぁ。そんときは報酬上乗せしてくれよな」
「えっ?そ、それは…」
「いいや。後で直接ジィさんに頼んでくる」
呆れた様子で言うジンに、海斗はムッとした表情で言った。
「俺と一緒に仕事したら楽しいんだぞ。もークセになっちゃうくらい」
「…へぇ、そう」
「むかー!何だよ、それっ」
「うるさいだけだろ…面倒くせぇ」
「一緒にいて飽きない関係って、なかなかナイぞ!」
「だから…それが面倒くせぇって言ってんだよ」
「何だよー。ジンって無愛想だな」
「そりゃ、どうも」
「褒めてねーし!」
ジンと海斗の遣り取りを見つつ、梨乃は不安を抱く。
(大丈夫かしら…ホントに)
何はともあれ、これでジンはINNOCENCEエージェント。
何かと面倒なことも多そうだが(海斗の相手とか)、
まぁ…仕事に関しては問題なく大活躍してくれることだろう。
「腹減ったな。メシは…食堂か?」
「あっ!俺も!俺も行くー!」
「ウルサイ。ついてくんな」
「ふんだ。俺も腹減ってんだよー」
「じゃあ、いいや。我慢するか…」
「何だよ!行こーぜ!オススメはAセットだなー。あ、でもCセットのデザートも…」
「…………(ウルサイ)」

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■■■■■ THE CAST ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■


【 整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / 職業 】

7405 / 雨霧・ジン (あまぎり・じん) / ♂ / 25歳 / 暗殺者・退魔師

NPC / 黒崎・海斗 (くろさき・かいと) / ♂ / 19歳 / INNOCENCE:エージェント

NPC / 白尾・梨乃 (しらお・りの) / ♀ / 18歳 / INNOCENCE:エージェント

NPC / イノセンス・マスター / ♂ / ??歳 / INNOCENCE:マスター(ボス)  


■■■■■ ONE TALK ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■


こんにちは!
ゲームノベル”INNOCENCE”への参加・発注ありがとうございます。
発注・参加 心から感謝申し上げます。 気に入って頂ければ幸いです。
何というか、この先も海斗の相手が大変かと思いますが、
すっかり懐いてるみたいなので、適当に相手してやって下さい(笑)
INNOCENCEは、関連シナリオが幾つもありますので、
是非。また、ご参加下さいませ。 ではでは…。

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2008.03.05 / 櫻井 くろ(Kuro Sakurai)
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