■INNOCENCE / スベテの始まり -スカウト-■
藤森イズノ |
【7433】【白月・蓮】【退魔師】 |
異界の辺境、廃墟が並ぶ不気味な地域。
魔物の出現が頻繁な、物騒地。
異界の住人でも、好き好んで寄り付く者はいないであろう、この地に存在する、
美しき白亜の館。
その館から、今。
一人の少年が、姿を現した。
「はぁ〜。ひっさしぶりだよな。スカウト!腕が鳴るぜ〜」
伸びをしながら、サクサクと歩く、何とも楽しそうな表情の少年。
そんな少年の後ろを、小柄な少女が、ゆっくりと付いて行く。
少女は、少年の背中に忠告を突き刺した。
「…誰でも良いわけじゃないんだからね」
「わ〜かってるよ」
ケラケラと笑いつつ返す少年。
無邪気な少年に、少女は溜息を落とす。
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INNOCENCE スカウト
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OPENING
異界の辺境、廃墟が並ぶ不気味な地域。
魔物の出現が頻繁な、物騒地。
異界の住人でも、好き好んで寄り付く者はいないであろう、この地に存在する、
美しき白亜の館。
その館から、今。
一人の少年が、姿を現した。
「はぁ〜。ひっさしぶりだよな。スカウト!腕が鳴るぜ〜」
伸びをしながら、サクサクと歩く、何とも楽しそうな表情の少年。
そんな少年の後ろを、小柄な少女が、ゆっくりと付いて行く。
少女は、少年の背中に忠告を突き刺した。
「…誰でも良いわけじゃないんだからね」
「わ〜かってるよ」
ケラケラと笑いつつ返す少年。
無邪気な少年に、少女は溜息を落とす。
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異界辺境にて、欠伸をしながら歩く男。
彼の名は、白月・蓮。有能な退魔師だ。
彼の後ろには、等間隔に魔物の死骸。
背後から襲い掛かってきた魔物を、彼は瞬殺で仕留めていた。
先に襲い掛かった魔物がアッサリとやられてるのを見て、
理解し、思いとどまれば、始末されることはなかっただろうに。
まぁ、所詮は魔物。人を襲うことに頭を使うことは滅多にないか。
(ふぁ…眠い。そろそろ帰って寝るかな)
何度目か忘れるほどに重ねた欠伸に、蓮は限界を感じて帰路につく。
と、その時。
背後に気配…。
(…懲りないねぇ。ほんと)
蓮はハァと溜息を落とし、口元に笑みを浮かべて振り返る。
振り返って目に捉えた意外な人物に蓮は「おや?」と首を傾げた。
そこには魔物ではなく、少年がいたのだ。
二十歳そこらであろう少年は、ニコニコと微笑み、蓮を見やっている。
特に危険は感じないが、少年の腰元にある銃を見て、蓮は少し気構えた。
近頃、異界で評判の組織INNOCENCE。
そのエージェントのみが持つという武器だからだ。
「何かな?」
名前は知っているとはいえ、組織に関して深く知っているわけではない。
蓮は、微笑み返して少年に尋ねた。
すると少年は、やぶからぼうに…。
「おにーさん、ウチで働かない?」
そう言って、ポンと蓮の肩に手を置いた。
「ん?」
キョトンとする蓮。まぁ、無理もない。
いきなり、そんなことを言われても困る。
少年が、INNOCENCEの関係者だということは理解るが、
それ以外にわかることは、何ひとつないのだから。
ポリポリと頭を掻く蓮。詳しく聞かせてもらおうかと言おうとした時だった。
パコーンッ―
「痛ぇっ!」
駆け寄ってくるやいなや、少年の後頭部を本で殴った少女。
何だ何だ…騒がしいなと蓮が苦笑していると、
少女はペコリと頭を下げて謝罪を述べた。
「ごめんなさい。急に、そんなこと言われても困りますよね。当然です」
「あー…と…詳しく聞かせてもらえるか?」
少年とは真逆に、礼儀正しい少女の態度に少し戸惑いつつ蓮は言った。
少女の丁寧な説明によると、
彼等は、やはりINNOCENCEの関係者。
それも、あらゆる任務をこなすエージェントだという。
彼等は、組織のボスに命じられて、
新エージェントのスカウト活動を行っていて、
偶々見かけて、次々と背後から襲ってくる魔物を倒した蓮に目を留め、
蓮を、是非、組織にスカウトしたいのだという。
少女いわく、唐突にスカウトする気はなく、
順を追って説明するつもりだったが、
ちょっと目を離した隙に少年が勝手に行動し、
蓮に「ウチで働かない?」とやぶからぼうに言ったのだという。
何というか…少女は苦労していそうだ。少年の性格というか言動に。
スカウト活動を行うということは、貪欲にエージェントを欲しているということ。
INNOCENCEは滅多に勧誘活動をしないことでも有名だ。
そんな組織が、こんな大っぴらにスカウト行為をする。
それも、ボスに命じられて…。
何か、すぐに新エージェントを必要とする事態が起こっているのか、
何らかの理由でメンバー不足に陥っているだけなのか、
その辺りは定かではないか…蓮は以前からINNOCENCEに興味があった。
とても強く惹かれていたというわけではないが、
面白そうだなぁと思っていたのだ。
けれど、ここですぐさま「いいよ」とスカウトに応じるのも面白味に欠ける。
少年と少女も、期待の眼差しを向けていることだし…。
どうしようかと少し悩んで、蓮はふと少女をジッと見やった。
水色の長い髪を低い位置で二つに束ねている少女。
パッと見は派手ではなく、むしろ素朴で地味な雰囲気だが、
よく見ると、かなり可愛い。肌も白く、とても綺麗だ。
(………)
蓮はフッと口元に淡い笑みを浮かべて、少女に言った。
「よし。キミが俺の彼女になってくれたら所属しよう!無理なら諦めて」
「えっ…」
肩を揺らして驚き、戸惑う少女。
少年は一瞬固まったが、すぐにゲラゲラと笑い出す。
「あっははは!おにーさん、趣味悪いねー!」
「そう?可愛いと思うけど。俺はね」
ニコリと少女に微笑みかける蓮。
少年はケラケラと笑い転げている。
少女はパッと顔を逸らし、戸惑い続けた。
(ど、どうしよう…)
蓮は、ジーッと自分を見つめている。真っ直ぐに。
目を逸らしても、痛いほどに感じる視線。
思いがけない事態に少女は頬を紅く染めて焦りだした。
「梨乃、付き合っちゃえよ。このおにーさん、かなりカッコいいしさ」
「なっ…ち、ちょっと待って…」
「お前を可愛いっていうなんて、かなーりレアだぞ。勿体無い!」
「な…何よ…それっ」
「つかOKしないと、ウチに入ってくれねーからさ。OKしろ」
「めっ…命令?」
少年と少女の遣り取りに蓮はプッと吹き出すと、
少女の頭にポンポンと手を乗せて言った。
「冗談だよ。冗談」
「へっ…」
キョトンとする少女。
どうやら、本気で悩んでいたようだ。
「ぶははははは!いいね、おにーさん!サイコー!」
少年はグッと親指を立てて、蓮を絶賛した。
スカウトに応じた蓮は、少年と少女に連れられて、
INNOCENCEの本部へと向かう。
本部は、ここから、さほど離れていない場所にあるらしい。
そこでもう少し詳しい説明を行い、
ボスとの面会も済ませてもらわねばならないとのこと。
INNOCENCEは各所で評判の組織だが、その実態は謎に包まれている。
それ故に、本部には巨大な地下シェルターがあるとか、
ボスの正体は恐ろしい魔獣だとか、妙な噂がたえない。
本部に向かう途中、蓮はワクワクしっぱなしだ。
これから、何が起こるのか。楽しいことが、たくさん待ち構えている気がして。
道中、少年は蓮に尋ねた。
「そーいえばさ、おにーさんの名前は?」
「うん?あぁ、蓮だよ。白月・蓮」
「お。名前もカッコイイなー」
「はは。褒めても何も出ないよ?」
「いやいや、マジで。なっ?梨乃?」
クルリと振り返って少女に尋ねる少年。
少女は何かを考えていたようで、
少年の言葉でハッと我に返ると「そうね」と呟くように返した。
どうやら、少女は考え込むクセがあるらしい。
おそらく、考えていたのは先程の蓮の言葉についてだろう。
冗談だと言われたものの、それがモヤモヤして仕方ないようだ。
何でも真に受けるというか、生真面目な性格が伺える。
「ぷぷ。あいつ悩みやすいからさー。…どんどん弄ってやってよ。ぷぷぷ…」
ムカつく笑い方をしながら言う少年。少女はキッと少年を睨んだ。
蓮はハハッと笑い、少女に言う。
「梨乃ちゃんっていうんだね。キミ。よろしくね」
「…は、はい。よろしく」
少し照れつつも挨拶を返す少女。
そんな少女にププッと笑いつつ、少年は蓮の背中をパシンと叩いて言った。
「俺は海斗っていうんだ。よろしくな!蓮!」
「おぅ。しかし元気だなぁ、キミは」
「それがモットーだからね!ふははは」
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■■■■■ THE CAST ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
【 整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / 職業 】
7433 / 白月・蓮 (しらつき・れん) / ♂ / 21歳 / 退魔師
NPC / 黒崎・海斗 (くろさき・かいと) / ♂ / 19歳 / INNOCENCE:エージェント
NPC / 白尾・梨乃 (しらお・りの) / ♀ / 18歳 / INNOCENCE:エージェント
■■■■■ ONE TALK ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
こんにちは! はじめまして!ようこそ、いらっしゃいました!
ゲームノベル”INNOCENCE”への参加・発注ありがとうございます。
発注・参加 心から感謝申し上げます。 気に入って頂ければ幸いです。
INNOCENCEは、関連シナリオが幾つもありますので、
是非。また、ご参加下さいませ^^
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2008.03.05 / 櫻井 くろ (Kuro Sakurai)
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