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■INNOCENCE / ラボに住まうエージェント■

藤森イズノ
【7433】【白月・蓮】【退魔師】
INNOCENCEのアジト、白亜の館。
この館の地下には巨大なラボが在る。
魔物のデータや、エージェントの情報が保管されている そこには、
常に、とあるエージェントが滞在している。
エージェントの名は、赤坂・藤二。
海斗と梨乃にとって、兄のような存在である彼は、
情報収集と武器の改造能力に長ける。

今日も藤二はラボで一人。
読書をしながら、ゆったりと過ごしている。
優雅な空間へ、突然の来客。
「藤二〜〜〜〜〜!」
騒々しい来訪者。それは、無論…海斗だ。
藤二は読んでいた本をパタンと閉じて、優しい笑顔を浮かべた。
INNOCENCE 初任務

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OPENING

「うへぇ。ガルカスの討伐かぁ…キツいんじゃねぇか?」
渡された依頼書を見つつ、頭を掻いて笑う海斗。
梨乃も依頼書を覗き込み、神妙な面持ちだ。
不安がる二人を見つつ、マスターはファッファと笑い言う。
「何の。このくらい余裕じゃろうて」
「そーかなぁ」
「寧ろ、余裕じゃないと困るわい」
「んー。まぁ、そーだけどな」
笑いながら依頼書を懐にしまうと、海斗は時計を確認。
そして梨乃と顔を見合わせ頷き、マスタールームを後にする。

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INNOCENCEに所属して、初任務となる今日。
内容は、ガルカスという魔物の討伐。
海斗から連絡を受けて、蓮はすぐさま現場へと向かう。
現場は異界辺境にある洞窟。
ガルカスは夜行性の魔物で、深夜零時になると洞窟外へ出て人を襲う。
春までは冬眠している為、この時期になると討伐要請が多発する魔物である。
洞窟へと到着した蓮は、入口付近で待機していた二人に声をかける。
「お疲れさま」
蓮の声に反応し、炎で遊んでいた海斗と梨乃がパッと視線を向けた。
「おっすー」
「こんばんは。宜しく御願いします」
いつもどおり、笑顔で挨拶する海斗と、御辞儀をして挨拶する梨乃。
蓮はニコリと微笑み、洞窟を見やる。
不気味な雰囲気の洞窟。中からは、ガルカスの鼾のようなものが聞こえてくる。
時刻を確認…現在時刻、二十三時半。
ガルカスが活動を開始するまで、あと三十分ほど。
「退屈だなー。待つの飽きたよ」
「…もう少しだから我慢しなさいよ」
「暇だー暇だー暇ぁー」
「うるさいっ」
一時間ほど前から洞窟前で待機していた海斗と梨乃。
海斗は飽きた、暇だと不満を漏らしている。
まぁ、彼の性格からして『待機』というのはキツイ任務だと思う。
面倒だから、さっさと中に入って倒しちゃおうぜと言う海斗。
梨乃は駄目だ、待ちなさいと叱る。
確かに、零時になれば向こうから出てきてくれるのだから、
移動の手間も省けるし、待ち伏せということで、圧倒的に有利に戦える。
待機、という選択は正しい。とは、思う。けれど…。
「じゃあ、突入する前に…サッと作戦会議しようか」
蓮は海斗の肩にポン、と手を乗せて言った。
突撃…海斗に同意し、時間前に洞窟内へ突入しようという発言だ。
「よっしゃー!ガッといこーぜ、ガッと!」
「…れ、蓮さん」
突撃にノリノリの海斗と、危険なのでは…と不安そうな顔の梨乃。
蓮は梨乃の頭を軽く撫でて言った。
「大丈夫だよ。すぐ終わると思う。作戦次第、でね」
ニコリと微笑む蓮。蓮の表情に不安や躊躇いはない。自信に満ちている。
梨乃は若干の不安を抱きつつも、蓮がそう言うなら…と突撃に同意。
とはいえ、海斗のように闇雲に突撃する気は、蓮にはない。
いきあたりばったりで戦うのも、それなりにスリルがあって楽しいけれど、
今回は組織に所属して初の任務だし、
この任務はマスターが回してきたらしいから、
きっちりとイイ仕事しておけば、後々の見返りは大きいはず。
組織任務なだけに、失敗しては組織自体の評判を落としかねないし。
ここは基本に忠実に。任務遂行には、徹底した作戦が不可欠。いざ、作戦会議。
「とりあえず、内部の確認だね」
そう言って使い魔『鎌鼬』を召喚する蓮。
鎌鼬は白いオコジョで、使い魔…というよりはペットといった感じ。
だが調査能力で右に出るものはいない。いい仕事をするのだ、これがまた。
「わぁ。可愛い」
鎌鼬の愛くるしさにキュンとして微笑む梨乃。
海斗はフワフワだなーと言って尻尾を掴む。
『キィ!』
「痛ぇっ!」
…まぁ、案の定 噛まれたという、ね。
蓮はクスクス笑い、鎌鼬へ洞窟内を調査してきてくれと命じた。
トトトト…と洞窟へ入っていき、命じられたとおり洞窟内を調査してくる鎌鼬。
洞窟の構造や、ガルカスの位置、注意すべき箇所…。
それらの情報を見事に収集し、主の元へと戻ってきた鎌鼬。
いいコだ、と蓮に撫でられる鎌鼬は、とても幸せそうな顔をしている。
情報を得て、作戦会議は一気に進展。
「俺と梨乃ちゃんが隙を作る。で、海斗くんはガルカスの口に炎。最大火力でね」
話し合ったことを簡潔にまとめた発言をする連。
わかりやすい そのまとめに、海斗と梨乃はコクリと頷く。
作戦会議は、これにて終了。会議に要した時間は、およそ七分。
一行は顔を見合わせ、揃って洞窟内へ…突撃。


鎌鼬の調査のおかげで、少し入り組んだ構造の洞窟も難なくクリア。
迷う、という最悪のパターンを見事に回避した。
洞窟内部は暗いが、不思議な水晶が輝いている為、足元を確認できる。
一行は周囲の警戒を怠らずに、洞窟の最奥へと…到達。
最奥は円状に開けた空間。水晶がその形に沿いグルリと一周 輝いており、とても眩しい。
その中央で、ガルカスは鼾をかいて眠っている。
とても心地良さそうに眠っているところ悪いのだが…討伐開始である。
「じゃあ、いってみようか」
蓮の掛け声と共にザッと配置につく海斗と梨乃。
海斗は少し離れた位置でガルカスの口に狙いを定めて、魔力を銃口へと集中させつつ暫し待機。
梨乃は、作戦時に蓮から指示されたとおり、ガルカスの足元めがけて発砲。
蓮は口元に笑みを浮かべ、手元に風を集める。
ビュゥッと風が蓮の体を覆うと共に、蓮の手に収まる『風月』
『風月』は、風術という戦闘技術を誇る、白月家の集大成のようなもの。
魔刀というに相応しいそれは、あらゆるものを斬り裂き無へ帰す。
梨乃の魔銃から放たれた水球がドパァンと弾けると、
ガルカスは、その衝撃と痛みに目を覚まし、不気味な唸り声を上げて牙を剥く。
『ガァルルルルルッ…!』
ガルカスは、まず自分に初回ダメージを与えた梨乃を標的として捉える。
巨体で向かってくるガルカス。梨乃はチャッと魔銃を構えて応戦。
と、同時に梨乃の前へヒュッと姿を現し、彼女に背を向ける形で風月を構える蓮。
ガルカスの標的は、梨乃から蓮へと変わる。
『ガルルルルァァァッ…!』
不気味な声を上げて鋭い爪を振り下ろしてくるガルカス。
蓮はクッと笑い「うるさいな」と言ってヒュゥと口笛を鳴らした。
その音に応じて、蓮の肩に乗っていた鎌鼬が、その名のとおり風の刃へと変化。
風の刃は、ガルカスの巨体を容赦なく痛めつけていく。
追い討ちをかけるように風月を躍らせる蓮。
風の輪舞曲。

蓮と鎌鼬が接近戦を行う最中も、梨乃はガルカスの足元を執拗に痛めつける。
四方八方から隙なく与えられるダメージにガルカスはイラつき、
ガバァッと口を開いて、一際大きな声を上げた。
今だ―
海斗は片目を瞑り、発砲。
ドゥンッと放たれる炎の威力に、海斗の体が弓状にうねる。
炎がガルカスの口に入る瞬間、蓮は梨乃を抱えて退避すると同時に、
パチンッと指を弾いて大気を操り、周囲の酸素濃度を一気に上昇させた。
口内で揺れて三秒。炎は轟音を伴い大爆発を起こす。
ドォォンッ―


炭と化したガルカス。
海斗は魔銃を腰元へ収めて「ははっ」と笑う。
「うん。完璧」
抱えていた梨乃をストンと降ろし、満足そうに言う蓮。
オコジョ姿に戻った鎌鼬は、蓮の肩に乗り「キィ」と鳴いた。
まさに完璧。不備のない、完全な任務遂行。
討伐の証となるガルカスの体皮をガラスケースへと収める梨乃。
真っ黒に焦げたそれは、まさに炭である。
「お疲れ様でした」
ニコリと微笑む梨乃。蓮は「お疲れさま」と微笑んで返した。
迅速且つ完璧に遂行された蓮の初任務。
この任務結果は、瞬く間に本部で噂になった。
以降、蓮は、あらゆるエージェント達から、
「同行してくれ」というラブコールを受け続けることになる。
まさに逸材。白月・蓮の組織加入は、
INNOCENCEに大いなる進化と変化をもたらすであろう。

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■■■■■ THE CAST ■■■■■

7433 / 白月・蓮 (しらつき・れん) / ♂ / 21歳 / 退魔師
NPC / 黒崎・海斗 (くろさき・かいと) / ♂ / 19歳 / INNOCENCE:エージェント
NPC / 白尾・梨乃 (しらお・りの) / ♀ / 18歳 / INNOCENCE:エージェント

■■■■■ ONE TALK ■■■■■■


こんにちは! 毎度さまです('∀'*)ノ
ゲームノベル”INNOCENCE”への参加・発注ありがとうございます。
発注・参加 心から感謝申し上げます。 気に入って頂ければ幸いです!

INNOCENCEは、関連シナリオが幾つもありますので、
是非。また、ご参加下さいませ!初任務、お疲れ様でした!

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2008.03.19 / 櫻井 くろ (Kuro Sakurai)
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