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■INNOCENCE / ニックネームと絆創膏■

藤森イズノ
【7433】【白月・蓮】【退魔師】
特に何の用もないのだが、近くを通りかかったので、
INNOCENCE本部に顔を出してみる。
まぁ、相変わらず。
本部内には、様々なエージェントがいる。
これから任務に出掛けるであろうエージェントから、
そこらへんに転がって仮眠をとっているエージェント、
他愛ない話でキャッキャと盛り上がっているエージェントなどなど…。

来たものの、どうしようか…と思いつつ、
とりあえず二階へ行こうと階段を登りだした時だった。
「あ!」
背後から聞き覚えのある、いや…ありすぎる声が。
振り返ると、そこには笑顔の海斗と、ペコリと頭を下げる梨乃がいた。
何か用かと二人に尋ねると、海斗は楽しそうに笑って、
「ちょっと来いよ。会わせたいヤツがいるんだ」
そう言って、またも強引に手を引き、どこかへと連れて行く。
どこへ行くのかと思いきや、連れてこられたのは、本部二階の医療室。
任務で怪我を負った者や、具合の悪い者が利用する、
学校でいうなれば、保健室のような場所だ。

アルコール消毒液の香りが漂う医療室。
そこで、二人のエージェントと出会う。
INNOCENCE ニックネームと絆創膏

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OPENING

特に何の用もないのだが、近くを通りかかったので、
INNOCENCE本部に顔を出してみる。
まぁ、相変わらず。
本部内には、様々なエージェントがいる。
これから任務に出掛けるであろうエージェントから、
そこらへんに転がって仮眠をとっているエージェント、
他愛ない話でキャッキャと盛り上がっているエージェントなどなど…。

来たものの、どうしようか…と思いつつ、
とりあえず二階へ行こうと階段を登りだした時だった。
「あ!」
背後から聞き覚えのある、いや…ありすぎる声が。
振り返ると、そこには笑顔の海斗と、ペコリと頭を下げる梨乃がいた。
何か用かと二人に尋ねると、海斗は楽しそうに笑って、
「ちょっと来いよ。会わせたいヤツがいるんだ」
そう言って、またも強引に手を引き、どこかへと連れて行く。
どこへ行くのかと思いきや、連れてこられたのは、本部二階の医療室。
任務で怪我を負った者や、具合の悪い者が利用する、
学校でいうなれば、保健室のような場所だ。

アルコール消毒液の香りが漂う医療室。
そこで、二人のエージェントと出会う。

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医療室に入ると、すぐに二人のエージェントが目に入る。
一人は女性。…とてもスタイルが良い。美人だ。
もう一人は少年。海斗や梨乃と、同年くらいであろう。
少年は何やら怪我をしたようで、女性に手当てされている。
ドカッとソファに座り、海斗はケラケラと笑った。
「っとにさー。お前はナマキズが絶えないよねー」
「…どうも、ムキになっちゃうんですよね。毎度毎度」
ポリポリと頬を掻きながら言う少年。
女性は淡い笑みを湛えつつペリペリと絆創膏のシートを剥がす。
「無理しちゃ駄目って言ってもきかない、困ったくんよね。こーちゃんは」
ぺしっと少年の鼻に絆創膏を貼って笑う女性。
と同時に女性は、ふっと蓮を見やって尋ねた。
「彼が、白月・蓮くん?」
「そだよー。イケメンだろ」
ケラッと笑い、蓮を見やる海斗。
蓮は微笑み、それを否定しない。
「そうねぇ…まぁ、将来有望ってとこかしら?」
じーっと蓮を見やった後にクスクス笑って言う女性。
女性は、その後すぐに考え込み、蓮にニックネームをつけた。
女性が蓮につけたニックネーム、それは…『ハス』くん。
蓮を音読みから訓読みに変えただけである…。
どうやら、美人ではあるがネーミングセンスは、いまいちのようだ。
「ね、彼等もエージェントだよね?」
微笑みつつ梨乃に尋ねる連。
梨乃はコクリと頷いた。
そう、彼等もINOCENCEのエージェントだ。
女性の名前は、青沢・千華。
少年の名前は、黄田・浩太。
千華は任務の合間に、モデル業も行っているらしい。
浩太は…IO2エージェントのレイレイと恋仲、とのこと。
よろしくね、と握手を求める二人。
蓮は微笑み、よろしくと返して握手に応じた。
何というか、やはりこの二人も、個性的だ。
触れた瞬間に、色々なことがわかった気がした。
それぞれが、どういうタイプなのか。
(なかなか手強そうだな…弄るなら、こっちかなぁ)
蓮は、千華を見やりつつ、そんな想いを巡らせる。
確かに、千華は手強い。
今まで何人ものエージェントが彼女を口説き落とそうとしたけれど、全員完敗。
千華は理想が高いのだ。
背が高くて、優しくて、強くて、格好良くて…。
男性に『王子様』的な憧れを抱いている。
その所為あってか、二十九歳だというのに結婚の『け』の字も出ない。
言い寄ってくる男性が多くても、理想に叶う男性がいないから進展がないのだ。
けれど、最近は本気で結婚に関して焦りを感じ始めているようで。
一人酒をしつつ、毎夜毎夜悩んでいるのだという。
(美人が一人酒、か)
クスッと微笑み、蓮は千華に提案した。
「どうです?今晩。お付き合いしますよ。晩酌」
「あら。本当?じゃあ、皆も一緒にね」
「…そうですねぇ(二人っきりがいいなぁ)」
蓮の下心を、サラリとかわす千華。
そこで蓮は確信した。
こいつは、面白い…と。
ふふふ…と不敵な笑みを口元に湛える蓮。
そんな蓮をジッと見つめている人物がいる。
「……………」
梨乃だ。
「おい、蓮。ヤキモチ妬いてるぞー。梨乃がー」
プププと笑いを堪えつつ言う海斗。
梨乃はハッと我に返り、海斗の頭をパコンと叩く。
「妬いてないっ」
とはいうものの、梨乃の頬は少し赤い。
ヤキモチを妬いていた!というわけではないのかもしれないが、いいとこを突かれたのだろう。
照れ隠しにペシペシと海斗の背中を叩く梨乃に、千華と浩太はクスクス笑う。


「レイレイと付き合ってるのかぁ…まぁ、噂には聞いてたけど。キミだったんだね」
千華が淹れてくれたコーヒーを飲みつつ笑う蓮。
IO2のエージェント、レイレイがライバル組織のエージェントと付き合っているというのは、有名な話。
ガセネタじゃないのか?と疑う者もいるが、事実、浩太はレイレイと付き合っている。
隠そうともしていない為、その内、異界公認になるだろう。
「あまり大っぴらにはしたくないんですよね。…恥ずかしいんで」
コクコクとコーヒーを飲みつつ言う浩太。
浩太は、自他共に認める照れ屋である。
関係を隠そうとはしないが、必要以上にツッこまれると恥ずかしくて仕方ない。
とはいえ、自分よりも年下である浩太が彼女持ちという事実。
それに海斗が反応しないわけがない。
浩太は海斗に、いつもあれこれ聞かれては照れまくりの生活を送っている。
照れくさそうに笑う浩太を見て、蓮はニヤリ。
コーヒーをテーブルに置き、蓮は腕を組んで尋ねる。
「どうなの?進展具合は」
「えっ」
「付き合って、どのくらい?」
「い、一年くらいですね」
「へぇ。まぁまぁだね。じゃあ、もう手は繋いでるね?」
「えっ…と。えーと…は、はい。ははは…」
「一年なら、いくとこまでいってておかしくないよねぇ」
「いっ!?」
「キスくらいはしたでしょ」
「ぶっ…」
コーヒーを吹き出す浩太。
耳まで真っ赤。タコだ、タコ。
千華に渡されたハンカチで口元を拭いつつ、浩太はどもって返す。
「し、してないですよ。まだっ」
浩太の放った言葉を、全員が口を揃えて復唱。
「「まだ?」」
「っ…だ、だから。あぁぁ…えーと。あ〜もうっ…」
テーブルに突っ伏して真っ赤な顔を隠す浩太。
一同は揃ってケラケラと笑った。
何だか、みんなの玩具…ってポジションを確立しつつある。

クスクスと笑う梨乃。
そんな梨乃をチラリと見やると、蓮は、またもやニヤリ。
蓮はツカツカと梨乃に歩み寄る。
「?」
コーヒーカップを持ったまま、蓮を見上げる梨乃。
蓮は身を屈め、梨乃の耳元で囁いた。
「…せっかく付き合ってるんだから、キスくらいしないと。ね?」
「ぅ」
ビクリと肩を揺らす梨乃。
カップの中のコーヒーがユラユラと揺れる。
浩太と同じくらい、みるみる赤くなっていく梨乃の頬。
あからさまな梨乃の動揺に、隣に座っている千華は敢えてのツッこみを入れる。
「あらあら。お二人さん、もう、そういう仲なの?」
「ちっ、千華さんっ。ち、違っ」
ガバッと顔を上げて必死に否定する梨乃。
動揺度数は、カップの中のコーヒーの揺れに表れている。
「どーよーしすぎ」
「ふふ。可愛いね」
プッと笑う海斗とクスクス笑う蓮。


エージェント、千華と浩太。
蓮にとって、千華は手強い美人さんに。
浩太は、弄り甲斐のありすぎる玩具になった。
彼等との出会いも、蓮にとって…良きものになりますように。
消毒液の匂いが漂う医療室。
絶え間なく、笑い声が響く。

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■■■■■ CAST ■■■■■■■■■■■■■

7433 / 白月・蓮 (しらつき・れん) / ♂ / 21歳 / 退魔師
NPC / 黒崎・海斗 (くろさき・かいと) / ♂ / 19歳 / INNOCENCE:エージェント
NPC / 白尾・梨乃 (しらお・りの) / ♀ / 18歳 / INNOCENCE:エージェント
NPC / 青沢・千華 (あおさわ・ちか) / ♀ / 29歳 / INNOCENCE:エージェント
NPC / 黄田・浩太 (おうだ・こうた) / ♂ / 17歳 / INNOCENCE:エージェント

■■■■■ THANKS ■■■■■■■■■■■

こんにちは! 毎度さまです! ('∀'*)ノ
ゲームノベル ”INNOCENCE” への参加・発注ありがとうございますっ!
蓮くん、遊び上手ですね〜…(笑) 梨乃の反応が書いてて楽しいです^^
気に入って頂ければ幸いです。 是非また、御参加下さいませ。

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2008.03.23 / 櫻井 くろ (Kuro Sakurai)
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