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■INNOCENCE / 初任務■

藤森イズノ
【7182】【白樺・夏穂】【学生・スナイパー】
「うへぇ。ガルカスの討伐かぁ…キツいんじゃねぇか?」
渡された依頼書を見つつ、頭を掻いて笑う海斗。
梨乃も依頼書を覗き込み、神妙な面持ちだ。
不安がる二人を見つつ、マスターはファッファと笑い言う。
「何の。このくらい余裕じゃろうて」
「そーかなぁ」
「寧ろ、余裕じゃないと困るわい」
「んー。まぁ、そーだけどな」
笑いながら依頼書を懐にしまうと、海斗は時計を確認。
そして梨乃と顔を見合わせ頷き、マスタールームを後にする。
INNOCENCE 初任務

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OPENING

「うへぇ。ガルカスの討伐かぁ…キツいんじゃねぇか?」
渡された依頼書を見つつ、頭を掻いて笑う海斗。
梨乃も依頼書を覗き込み、神妙な面持ちだ。
不安がる二人を見つつ、マスターはファッファと笑い言う。
「何の。このくらい余裕じゃろうて」
「そーかなぁ」
「寧ろ、余裕じゃないと困るわい」
「んー。まぁ、そーだけどな」
笑いながら依頼書を懐にしまうと、海斗は時計を確認。
そして梨乃と顔を見合わせ頷き、マスタールームを後にする。

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アリスのノートパソコンに届いたメール。
それは、イノセンスに所属するエージェント、海斗から。
初任務の内容が決まったから、すぐに現場に向かってくれという内容だが、
やたらと顔文字が多く、そこに要点を混じらせる為、わかりにくい。
(読みにくいっつぅの)
アリスはハンッと笑い、顔を上げた。
「あらあら。猫さん御機嫌斜めかしら」
「そうみたいね。うっかり近づいたら、引っ掻かれてしまうわ」
アリスを見やってクスクス笑う二人。雪穂と夏穂。
彼等は昼食を共にした後で、偶々一緒にいた。
アリスはパコンとノートパソコンを閉じると、
木から飛び降りて雪穂と夏穂、二人に告げた。
「仕事だってよ。お前等もついて来い」
「あらあら…強引ね」
「さすが、猫さんは自由奔放ね」
「いいからっ!ほら、行くぞっ」
スタスタと歩いていくアリス。
夏穂と雪穂は、クスクス笑いつつもアリスの後を追った。
三人は仲が良く、一緒に行動していることが多い。
夏穂と雪穂は、アリスが気を許している数少ない人物でもある。
とはいえ、それは三人でいるときだけ。
第三者が加わるようであれば、少し距離を置く。
余計な詮索をされたりするのが面倒だから。
アリスの、そういう性格を知っている夏穂と雪穂は、
その都度、臨機応変に対応。かなり良いチームである。

三人がイノセンスに所属し、初任務となる今日。
その内容は…魔物、ガルカスの討伐。
洞窟に潜むガルカスを討つという単純な内容だが、ガルカスは獰猛な巨獣。
とっぱじめに持ってくるには、少々キツい内容である。
現場、集合場所である洞窟の前、
時間より早く到着してしまった一行は、
各々好きなことをして海斗と梨乃を待っている。
初任務には、必ず二人が同行する決まりになっているのだそうだ。
「ふふ。駄目よ、喧嘩しちゃ。仲良く、ね?」
九尾狐と管狐、それと大量のコウモリに囲まれて幸せそうな夏穂。
「あー。どうすっかなぁ。こっちでもいいかなぁ。ん〜〜」
アリスは、ノートパソコンをカタカタと弄り思案している。
「あ…来たみたいよ」
大樹の下で魔具を作っていた雪穂が気付く。
雪穂が示す方向を見やると、そこには海斗と梨乃の姿。
二人は七色に輝くボードに乗って、こちらに向かってくる。
スノーボードのような形をした、この移動具は、
イノセンスに所属するエージェントのみが使用できるものだ。
「早いなー。うむ、感心感心っ」
スタッ、とボードから下りて偉そうに言う海斗。
梨乃も、トン、とボードから下りて「こんばんは」と挨拶をした。
アリスはパソコンを弄りつつ、海斗に早速尋ねる。
「なぁ。何やってもいいんだろ?内容的には、討伐すりゃあ」
「ん?まぁ、そーだね。何…何かオモシロイことやんの?」
「ふふん。まぁな」
誇らしげに且つ少し高慢に鼻で笑うアリス。
どうやら、試作ウィルスをガルカスに打ち込もうとしているらしい。
「物騒よね。ふふふ」
九尾狐と管狐の頭を撫でながら言う夏穂。
それに対し、アリスは「うるさい」と笑った。
「これ、どういう仕組みですか?」
雪穂は、というと海斗と梨乃が乗ってきたボードに興味津々。
梨乃に、あれこれ尋ねては、ふんふんと頷きメモをとっている。
不気味な洞窟の前、賑やかなひととき。
今宵も、月が綺麗だ。

と、のんびりしているわけにもいかない。
遊びにきたのではないのだ。仕事、仕事。
とりあえず…と、梨乃は、待機を提案した。
というのも、ガルカスは夜行性の魔物で、
深夜零時になると同時に、洞窟から出てきて人を襲う。
現在時刻は二十三時半。あと三十分待機すれば、
向こうから出てきてくれるのだから、
そこを一網打尽にしてしまえば楽だし確実だとの提案だ。
だが、アリス達はそれを拒んだ。
待たずとも、こちらから向かっていき、
サクッと討伐してしまえば良いじゃないかと言う。
それに対し、危険度が大幅に上がると危惧する梨乃だが、
一向は大丈夫だと自信満々に言い不敵な笑みを浮かべた。
海斗も海斗で、突撃タイプなので、
アリス達の考えに大賛成だとノッかる。
四対一の状況を引っくり返すのは不可能…。
そう判断し、梨乃はやむなく四人の提案を承諾した。
二十三時三十分、一向はガルカスが眠る洞窟へ。

洞窟内は少し入り組んでおり、迷う可能性も高い。
迷っては面倒だと、梨乃は地図を準備してきたのだが…それは不要だった。
まるで自分の庭かのように、夏穂が先陣きって進んで行くのだ。
アリス、夏穂、雪穂の三人は談笑しつつ進む。
これから凶暴な魔物を討伐するというのに、緊張感は…皆無。
三人の後を追いつつ、海斗と梨乃は苦笑した。
「俺ら、加勢する必要なさそーだな」
「そうね。色々準備してきたけど…余計な御世話みたい」
「っはは。用心深すぎるんだよ、お前はよー」
「だって、もし怪我とかされちゃ大変じゃない」
「だいじょぶだって。あいつらなら秒殺…いや、瞬殺だよ。ぷぷ」


ガルカスのねぐら―
洞窟最奥にある開けた空間に、ガルカスはいた。
起きたばかりなのだろう、寝ぼけ眼で欠伸をしている。
こちらに、気付いていないようだ。
ここは慎重に…と促す梨乃。
だが、夏穂がスタスタと歩きガルカスへと向かっていってしまう。
「ちょっ…!!」
慌てて後を追おうとする梨乃。
そんな梨乃の腕を掴み、アリスはニヤリと笑って言った。
「見てろって。面白いもんが見れるぜ」
そう言われても、拭いさることなんてできない。
不安を抱きつつ、梨乃は夏穂を見やった。
だが、しかし。
アリスのいうとおり『面白い光景』が目に飛び込む。
「ふふ。可愛いかも…。お座り」
夏穂は巨獣ガルカスを前に物怖じすることなく、
そればかりか、可愛いと言って手懐けようとしたのだ。
更に驚くべきことに、ガルカスがそれに応じ、
すんなりと『お座り』してしまった。
「う、嘘ぉ…」
驚きを隠せない梨乃。
当然だ。ガルカスは決して人には懐かない魔物。
手懐けるなんて…聞いたことがない。
どんなに優れた魔物使いでも、ガルカスだけは手懐けられていないのだ。
呆気に取られている梨乃を見つつ、アリスはハハッと笑い、
「アレを可愛いとか言うセンスは疑うけど、大したもんだ、毎度のことながらよ」
そう言って、梨乃の腕を掴んでいた手をパッと離すと、
パカリとノートパソコンを開いて、カタカタとキーボードを叩き出した。
モニターにズラリと表示される暗号のようなものと『READY?』の文字。
アリスはニッと笑い、エンターキーを叩く。
『GO』
そう表示されると共に、モニターから黒い影のようなものが飛び出す。
影はニュルルルルル…と伸び、ガルカスの額に突き刺さった。
次の瞬間、ガルカスは不気味な唸り声を上げてジタバタと、のた打ち回る。
直接脳にブチこまれたウィルス。これは、たまらない…。
「あ。酷いわ、猫さん。一芸をしこもうと思ったのに」
微笑みつつ言う夏穂。
アリスはクククと笑い、キーボードを叩き続ける。
「駄目よ、遊びすぎ。ね?」
そう言ってクスッと笑い、懐からスペルカードを取り出すのは雪穂。
雪穂は、取り出したスペルカードをガルカスの足元へと放つ。
カカッと地に突き刺さる六数のスペルカード。
ヘキサグラムを描く、そのスペルカードの配置は、
標的の動きを抑制してしまう魔法を帯びる。
こうなってしまっては、もう手遅れ。
ガルカスは、まさに袋叩きである。
脳にウィルスをブチこまれている為、
思い通りに体を動かすことすらままならない。
ガムシャラに動けば、その分、各所に隙が生まれる。
それを見逃すわけもなく。
アリスはキックやパンチなど、軽い身のこなしで連続攻撃。
雪穂は、剣のスペルカードを高速詠唱し、具現した剣で斬り裂き。
夏穂は、魔扇子で炎を放出し、辺り一面を炎の海と化す。
炎で明るくなった空間にて、繰り広げられる一方的な攻撃。
打撃音と刃の音、炎が燃え盛る音…。
ガルカスを攻撃する三人を見つつ、海斗はケラケラと笑った。
「すげー。ボッコボコ。ちょっと可哀相。っははは!」
「……………」
梨乃はただ、呆然と見やっているだけ。
海斗と梨乃が加勢する必要は、まったくなかった。


アリス、雪穂、夏穂の共同初任務。
その見事な出来栄えは、すぐにマスターへと知らされる。
結果レポートを作成し、マスターに提出するのは海斗と梨乃。
二人は、万が一の事態の際に加勢できるようにと同行したと同時に、
このレポートを作成する為に、同行していたのだ。

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初任務報告レポート

遂行エージェント1:猫目・アリス
遂行エージェント2:白樺・夏穂
遂行エージェント3:白樺・雪穂

遂行レベル:共にS

まさに袋叩き。見ていて爽快だった!(^∀^)
チームワークもバッチリだったし。
結果は、文句ナシのS! --- K.KUROSAKI

連携、応用力、判断力、行動力。
どれを取っても、間違いなくトップクラスです。
夏穂さんが、ガルカスを手懐けたのには驚きました…。
Sは、妥当且つ当然の評価だと思います。 --- R.SHIRAO

※写真は、討伐模様を撮影したもの。

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この結果に、マスターは大満足するだろう。
いや、間違いなく、大満足する。
レポート下部に貼り付けられた写真も良く撮れている。
まるで、映画のワンシーンのようだ。
大怪獣 vs 可憐なる少女達、とか、そんな感じか。
写真を撮ったのは海斗なのだが…。
彼には撮影の才能があるのかもしれない。
…意外な発見である。

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■■■■■ THE CAST ■■■■■

7420 / 猫目・アリス (ねこめ・ー) / ♀ / 13歳 / クラッカー+何でも屋+学生
7192 / 白樺・雪穂 (しらかば・ゆきほ) / ♀ / 12歳 / 学生・専門魔術師
7182 / 白樺・夏穂 (しらかば・なつほ) / ♀ / 12歳 / 学生・スナイパー
NPC / 黒崎・海斗 (くろさき・かいと) / ♂ / 19歳 / INNOCENCE:エージェント
NPC / 白尾・梨乃 (しらお・りの) / ♀ / 18歳 / INNOCENCE:エージェント

■■■■■ ONE TALK ■■■■■■


こんにちは! 毎度さまです('∀'*)ノ
ゲームノベル”INNOCENCE”への参加・発注ありがとうございます。
発注・参加 心から感謝申し上げます。 気に入って頂ければ幸いです!

INNOCENCEは、関連シナリオが幾つもありますので、
是非。また、ご参加下さいませ!初任務、お疲れ様でした!

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2008.03.28 / 櫻井 くろ (Kuro Sakurai)
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