■INNOCENCE / ナンパと説教 (限定受注)■
藤森イズノ |
【7403】【黒城・凍夜】【何でも屋・暗黒魔術師】 |
「おっ。丁度いいとこに」
ニコニコと満面の笑みで近寄ってくる藤二。
屈託のない笑顔に感じる、嫌な予感。
それは見事に的中してしまう。
「ちょっと付き合ってよ。暇でしょ?」
藤二は、これからナンパに出掛けると言う。
嫌だ、興味ないと いくら断っても無駄。
無理矢理引きずられ、同行する羽目になってしまった…。
街へと向かう最中、何だか視線を感じる。
振り返っても…誰もいない。
(何だ、この感じ…)
背筋に走る悪寒と、またもや嫌な予感。
それも…見事に的中してしまうなんて。
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INNOCENCE ナンパと説教
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OPENING
「おっ。丁度いいとこに」
ニコニコと満面の笑みで近寄ってくる藤二。
屈託のない笑顔に感じる、何だか楽しそうな予感。
そして、それは見事に的中した。
「ちょっと付き合ってよ。暇でしょ?」
藤二は、これからナンパに出掛けると言う。
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「離せって、興味ねぇんだって…おい、聞いてんのか」
「おぅよ、聞いてますとも」
「大体、何で俺なんだよ…。あいつを誘えばいいだろ、親友なんだから」
「あぁ、あいつは駄目だわ。ナンパ下手っくそでね。昔っから」
「俺も無理だって…」
「大丈夫大丈夫。そのルックスさえありゃあ、後はチョチョイとね」
「何だよ、それ…」
「ちょっとしたレクチャーさえあれば、モノになるからさ。な」
「レクチャーって…要らないって言ってんだろうがよ…」
「まず角度な。これが結構大事なとこでさ、いいか?こう…」
興味がない、ついて行かない、そう言ってるのにも関わらず。
藤二は無理矢理、手を引き、凍夜を連行していく。
向かうのは、異界にある、一番賑やかな街。
街へ向かう最中、藤二はレクチャーだ、と凍夜に、あれこれと伝授した。
カッコ良く見える角度から、女の子が喜ぶ言葉など、実に様々な事柄を…。
そんなこんなで、二人は街に到着。
一番賑わっている街ということで、かなりの人通りだ。
特に大通りは、すごい。何というか…ごった返しているというか。
藤二は行き交う人(というか女の子)を眺め、満足そうに笑う。
「いいね。この街はレベルが高くてさ。よし、じゃあ…いってみようか?」
「いくって…何を。どこに」
「こらこら、何言っちゃってんの?実践に決まってるでしょ」
「…無理だ」
「無理じゃない。やる前から諦めてちゃ夢は叶わないよ」
「夢って。だから興味ねぇんだって…」
「またまた。女の子が嫌いな男なんて、いないんだってば」
「しつこいなぁ、お前…」
「ほらほら、とっととGO!梨乃をオトすんだろ?練習だと思ってさ」
「はっ?そういうんじゃないって言っただろ、あれは…」
「いいからいいから。はい、いってらっしゃい」
ポン、と凍夜の背中を押す藤二。
一歩踏み出してしまった凍夜は、ジトリと藤二を睨み付けるが…。
藤二はニコニコと笑んで、手を振っている。
やれやれ…困ったものだ。
面倒なことに巻き込まれたな…と頭を掻く凍夜。
と、そこへ。
ドンッ―
「きゃ」
「…っと。悪い」
「あ、いえ。こちらこそ」
女の子がぶつかってきた。
どうやら、本を読みながら歩いていたようで。
突っ立っている凍夜に気付かなかったのだろう。
女の子は、ジッと凍夜を見やる。
「…?何だ?」
「はっ。あ、い、いえ。その…すみません」
「何が?」
「ちょっとラッキー…って思っちゃいました」
「は?」
「あの。お幾つですか?」
「二十三だ。…あんたは?」
「じ、十八ですっ」
「そうか(梨乃と同じか。随分大人っぽいな。…あいつがガキっぽいのか?)」
ぶつかったことをキッカケに会話が始まる。
定番であり、それでいて運命的な展開?
(いいね。やれば出来るじゃないか、うんうん)
凍夜と女の子の遣り取りを見て満足した藤二。
もう、あとは、あの子をテイクアウトするだけ。
そのくらいは、自分で何とか出来るでしょ。
っていうか、大事なとこは自力でいかないとね。
んじゃ、安心できたところで…。
俺もイッてみますか。
ススッと襟を正して、いざ。
ナンパへと繰り出そうとする藤二。だがしかし。
後ろから、クイッと誰かに引っ張られる。
まさか逆ナンパ?これはこれは、ありがたいことで。
ニッコリと微笑み振り返る藤二。
だが、そう甘くない。
振り返った先にいたのは…梨乃だった。
*
「反省してるんですかっ?二人ともっ」
大通りの隅で、梨乃に叱られている藤二と凍夜。
ウキウキしてナンパを開始しようとしていた藤二は勿論のこと、
ぶつかった女の子と話していた凍夜も一緒に叱られている。
凍夜は、ナンパなんてしてないと弁解したが、
実際、女の子と話しているところを見られたことと、
藤二と一緒に街に来た、という時点で疑われるのは、やむなきこと。
梨乃は、一向に弁解を受け入れてくれない。
「してるしてる。反省してるよ。な?凍夜?」
「だから、俺はしてないって。お前が無理矢理…」
「いやぁ、偶然を装ってキッカケを作ったのは見事だったよ」
「はっ?だから、あれは…」
「……………」
腕を組み、じっとりと見やっている梨乃の視線が痛い…。
凍夜はハァ…と溜息を落として、藤二の足を軽く蹴った。
クックッと笑う藤二。
自分だけ逃げようだなんて、そんなの許さないよ。
無理矢理連れて来たのは認めよう。
でも、だからこそだよ。
一緒に叱られてよ。
仲良しだろう?俺達はさ。
弁解しようとすれば、藤二が邪魔をする。
そんなこんなで、梨乃に叱られざるを得なくなり…。
凍夜と藤二は、揃って梨乃に叱られた。
隅とはいえ、人通りの多い大通りだ。
少女に叱られている男二人は、
あらゆる者の目に、滑稽な光景として映る。
はずかしいやら情けないやらで、がっくりとうな垂れる凍夜。
凍夜にとっては不本意だが、初めての経験となる説教。
だが、藤二にとっては、お決まりのパターン。
梨乃に叱られて説教されるのは、日常茶飯事なのだ。
あちこちでナンパを繰り返す藤二は、
本部内はもちろん、本部外でも悪い意味で有名。
楽しそうなのは何よりだが、
こうもナンパを繰り返されては迷惑。
弄ばれた、と言って本部に連絡してくる女の子もいるのだ。
大人なんだから、好き勝手やって結構。
けれど、組織に迷惑をかける行為を見過ごすわけにはいかない。
梨乃にとって、INNOCENCEという組織は、
唯一無二の、大切な存在。身体と心が還る場所だ。
そこの評判を落とされて黙っていられるわけがない。
そんなわけで、定期的に藤二を監視して、
こうして粛清しているのだ。
何というか…ごくろうさま。である。
*
四十分ほど説教をして、ようやく落ち着く梨乃。
まぁ、どれだけ説教しても、
藤二のナンパ癖というか女好きは改善できない。
それは、わかっているんだけど。
黙っているわけにはいかない、ということで。
「はぁ…疲れた…」
ガーッと喋って疲労困憊な梨乃。
マシンガンのように説教する梨乃を見て、凍夜はボーゼンとしていた。
(意外な一面を見たな…)
普段はおとなしく、礼儀正しい梨乃が、
感情を露にしてガンガン文句を言う。
初めて見る、そんな梨乃の一面に驚きを隠せない。
まぁ、海斗の幼馴染なのだ。
こういう一面があっても、何らおかしくはない。
けれど、こうして目の当たりにすると…。
何というか、その意外性に違和感のようなものを覚えてしまう。
「よし。じゃあ、ご飯でも食べに行こうか。梨乃の機嫌を直すために」
「藤二さんっ。反省してるんですかっ?」
「してるしてる」
「嘘!してない顔です、それは」
「してるってば。なぁ?凍夜?お前もしてるよな?」
「え?あぁ…してる。…って、あ」
「……………」
「あっははははっ!」
うっかり、反省してると言ってしまった凍夜。
それは、認める発言。
ナンパしていたことを認めた上での発言として梨乃に届く。
「いや…今のは…」
「見苦しいぞ、凍夜!」
「うるさい。お前、ちょっと黙ってろ…」
藤二の奢り、ということで一向は、とあるカフェへ。
梨乃は、相変わらず御立腹な御様子。
藤二は藤二で、まったく反省していないようだ。
トイレに行ってくると言って、カフェの店員を口説いているのだから…。
まったくもって、どうしようもない。困った男だ。
向かい合い、頬を膨らませている梨乃に、必死に弁解する凍夜。
藤二とは違い、彼は色恋にさほど興味のないクールな男。
無理くり巻き込まれた、完全なる被害者なのだ。
彼の弁解と努力…。どうか、実りますように…。
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■■■■■ CAST ■■■■■■■■■■■■■
7403 / 黒城・凍夜 (こくじょう・とうや) / ♂ / 23歳 / 退魔師・殺し屋・魔術師
NPC / 赤坂・藤二 (あかさか・とうじ) / ♂ / 30歳 / INNOCENCE:エージェント
NPC / 白尾・梨乃 (しらお・りの) / ♀ / 18歳 / INNOCENCE:エージェント
■■■■■ THANKS ■■■■■■■■■■■
こんにちは! 毎度さまです! 被害者さま、ご苦労さまです。笑('∀'*)ノ
ゲームノベル ”INNOCENCE” への参加・発注ありがとうございます!
気に入って頂ければ幸いです。 是非また、御参加下さいませ。
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2008.04.17 / 櫻井 くろ (Kuro Sakurai)
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