■INNOCENCE / ニックネームと絆創膏■
藤森イズノ |
【0086】【シュライン・エマ】【翻訳家&幽霊作家+草間興信所事務員】 |
特に何の用もないのだが、近くを通りかかったので、
INNOCENCE本部に顔を出してみる。
まぁ、相変わらず。
本部内には、様々なエージェントがいる。
これから任務に出掛けるであろうエージェントから、
そこらへんに転がって仮眠をとっているエージェント、
他愛ない話でキャッキャと盛り上がっているエージェントなどなど…。
来たものの、どうしようか…と思いつつ、
とりあえず二階へ行こうと階段を登りだした時だった。
「あ!」
背後から聞き覚えのある、いや…ありすぎる声が。
振り返ると、そこには笑顔の海斗と、ペコリと頭を下げる梨乃がいた。
何か用かと二人に尋ねると、海斗は楽しそうに笑って、
「ちょっと来いよ。会わせたいヤツがいるんだ」
そう言って、またも強引に手を引き、どこかへと連れて行く。
どこへ行くのかと思いきや、連れてこられたのは、本部二階の医療室。
任務で怪我を負った者や、具合の悪い者が利用する、
学校でいうなれば、保健室のような場所だ。
アルコール消毒液の香りが漂う医療室。
そこで、二人のエージェントと出会う。
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INNOCENCE ニックネームと絆創膏
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OPENING
特に何の用もないのだが、近くを通りかかったので、
INNOCENCE本部に顔を出してみる。
まぁ、相変わらず。
本部内には、様々なエージェントがいる。
これから任務に出掛けるであろうエージェントから、
そこらへんに転がって仮眠をとっているエージェント、
他愛ない話でキャッキャと盛り上がっているエージェントなどなど…。
来たものの、どうしようか…と思いつつ、
とりあえず二階へ行こうと階段を登りだした時だった。
「あ!」
背後から聞き覚えのある、いや…ありすぎる声が。
振り返ると、そこには笑顔の海斗がいた。
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タシとエクの散歩中にフラリと寄ったイノセンス本部。
シュラインはニコリと微笑み返して言った。
「ん。今日も元気ね。結構結構」
「取り柄だしねー!つかさ、ちょっと付き合ってよ」
「うん?お仕事?」
「違うー。会わせたい奴がいるんだ」
「………(うーん。デジャヴ)」
「ほら、こっちこっち!!」
手を引き駆け出す海斗。
何だか、この展開、ちょっと前にもあったなぁ。
シュラインはクスクスと笑いつつ聞いてみた。
「美人のお姉さんじゃない?それって」
「っははー。あたりー。でも、そいつだけじゃなくてさー。はい、ここっ」
ピタッと停止する海斗。
止まったのは…医療室の前。
ふんわりと消毒液の香りが漂っている。
(だけじゃないって…?)
首を傾げつつも、海斗について行くシュライン。
踏み入った医療室には、二人のエージェントがいた。
一方は予想通り。千華だった。
けれど、もう一人は…ちょっと意外な人物。
「あれっ!?浩太くんだぁ」
そう、千華と一緒にいたのは、浩太だったのだ。
向こう…東京での、零(レイレイ)の彼氏である。
面識があるゆえに、驚きもひとしお。
「どうも。お久しぶりです」
微笑んで言う浩太。
シュラインは、ここでようやく。
浩太がイノセンスに所属しているエージェントだということを知る。
「何だぁ、そうなの。ビックリしたぁ」
「すみません。隠してたわけじゃないんですけど」
「ううん。いいのよ。元気そうね」
「はい、おかげさまで」
仲良く会話するシュラインと浩太。
二人を見つつ、キョトンとしている海斗。
海斗は、二人が東京で出会っていることを知らなかった。
「何つーか…顔広いよなーシュラインって」
ポツリと呟く海斗。
「シューちゃんは、どこでも人気者よ」
千華はクスクス笑って言った。
千華とも浩太とも、久しぶりの再会だ。
自然と会話は弾む。とりあえずは定番というか、お約束な辺りを。
「浩太くん、零ちゃん…レイレイちゃんとは、どう?」
「えっ。えーと、相変わらずですよ」
「そっかそっか。最近デートしてる?」
「いや、どうも…こっちで忙しくて…」
「あらら。そうなの?寂しがってるわよ〜レイレイちゃん」
「え、そうなんですか」
「うん。毎日寂しそうに携帯眺めてるわ」
「うわぁ…まずいなぁ」
ポリポリと頭を掻いて、参ったなぁという表情を浮かべる浩太。
こちらでの仕事が忙しく、近頃、レイレイと落ち着いたデートをしていないそうだ。
そればかりか、電話もメールもしていないらしい。
「男って、そーいうのメンドいんだよなー」
ケラケラと笑って言う海斗。
「カノジョいないのに、偉そうなこと言わないのっ」
ぺしっと海斗のオデコを叩く千華。うん、確かに。
「あ、そうだ。千華さん」
「うん?」
「ちょっと聞きたいことがあるんですけど…」
「なぁに?」
「藤二さんの好物とか、ご存知ですか?」
「うおっ!?なになに!?シュラインってば、藤二にホレたの!?」
ガタンと席を立ち、大声で叫ぶ海斗。
千華は、そんな海斗を抑えつつ言った。
「どうしたの?何かあった?」
「えと…ちょっと色々ありまして。武彦さ…っと、探偵さんの為に聞いておこうかと」
「ふぅん、なるほど?まぁ、あいつらならすぐに仲直りすると思うけどねぇ」
「キッカケを作ってあげたいんですよ」
「ふふぅん?シューちゃんってば、優しい〜」
ナンパ騒動の際にバタついてしまい、
あれからディテクターと藤二は気まずいようで。
まぁ、そこまで気まずいというわけでもないが、
何となぁく、ぎこちない感じがするのだ。
それを端から見ているシュラインは、
何ともいえぬ感情に浸ってしまう。
自分の所為…というわけでもないけど、
二人が気まずいのは、やっぱり嫌だから。
「そうねぇ、あいつの好物………女の子、しか浮かばない辺りが痛いわね」
「うーん。まさか女の子を差し出すわけにはいかないですね」
「そうねぇ。うーん。あ、嫌いなものなら、あるわよ」
「えっ、何ですか?」
「にんじん。多分、克服できてないと思うわ」
「へぇ。好き嫌いがあるなんて、ちょっと意外…」
「特にね、キャロットゼリーが駄目なの。作って、持たせたらどうかしら?」
「ふふふっ。いいかもしれないですね、それ」
クスクスと笑いあうシュラインと千華。
会話を聞いている海斗と浩太は、小声で耳打ちし合う。
(女ってさ、怖いよなー)
(そ、そうかもね)
*
久しぶりの再会を、大いに満喫するシュライン。
東京での出来事を交えた話は、
向こうに行ったことのない海斗にとっては、興味深いところ。
ディテクターが、向こうでどんなヘマをやらかしてるのかとか、
レイレイは、向こうでも、あれこれ世話を焼いてるのか?とか、
あれこれ、色んなことを聞きつつ、会話に混じっている。
(うんうん。二人とも、元気そうで何よりだわ)
他愛ない話をしつつ、シュラインは会話を楽しんだ。
その間、自分のことを話されているディテクターと藤二が、
揃って、くしゃみをしていたり?
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■■■■■ CAST ■■■■■■■■■■■■■
0086 / シュライン・エマ / ♀ / 26歳 / 翻訳家&幽霊作家+草間興信所事務員
NPC / 黒崎・海斗 (くろさき・かいと) / ♂ / 19歳 / INNOCENCE:エージェント
NPC / 青沢・千華 (あおさわ・ちか) / ♀ / 29歳 / INNOCENCE:エージェント
NPC / 黄田・浩太 (おうだ・こうた) / ♂ / 17歳 / INNOCENCE:エージェント
■■■■■ THANKS ■■■■■■■■■■■
こんにちは! 毎度さまです! ('∀'*)ノ
ゲームノベル ”INNOCENCE” への参加・発注ありがとうございます!
気に入って頂ければ幸いです。 是非また、御参加下さいませ。
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2008.04.18 / 櫻井 くろ (Kuro Sakurai)
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