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■INNOCENCE / スベテの始まり -スカウト-■

藤森イズノ
【7440】【月宮・香織】【お手伝い(草間興信所贔屓)】
異界の辺境、廃墟が並ぶ不気味な地域。
魔物の出現が頻繁な、物騒地。
異界の住人でも、好き好んで寄り付く者はいないであろう、この地に存在する、
美しき白亜の館。
その館から、今。
一人の少年が、姿を現した。
「はぁ〜。ひっさしぶりだよな。スカウト!腕が鳴るぜ〜」
伸びをしながら、サクサクと歩く、何とも楽しそうな表情の少年。
そんな少年の後ろを、小柄な少女が、ゆっくりと付いて行く。
少女は、少年の背中に忠告を突き刺した。
「…誰でも良いわけじゃないんだからね」
「わ〜かってるよ」
ケラケラと笑いつつ返す少年。
無邪気な少年に、少女は溜息を落とす。
INNOCENCE スカウト

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OPENING

異界の辺境、廃墟が並ぶ不気味な地域。
魔物の出現が頻繁な、物騒地。
異界の住人でも、好き好んで寄り付く者はいないであろう、この地に存在する、
美しき白亜の館。
その館から、今。
一人の少年が、姿を現した。
「はぁ〜。ひっさしぶりだよな。スカウト!腕が鳴るぜ〜」
伸びをしながら、サクサクと歩く、何とも楽しそうな表情の少年。
そんな少年の後ろを、小柄な少女が、ゆっくりと付いて行く。
少女は、少年の背中に忠告を突き刺した。
「…誰でも良いわけじゃないんだからね」
「わ〜かってるよ」
ケラケラと笑いつつ返す少年。
無邪気な少年に、少女は溜息を落とす。

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「おい、梨乃!あのコっ!」
「ん?あっ、この間の…」
「だよな!よっしゃ、いくぜっ」
「ちょ、ちょっと?いくって…」
「決まってんだろ。スカウトだよ、スカウト」
「…そうだね」
INNOCENCEという組織のエージェントである少年と少女。
少年の名前は海斗、少女の名前は梨乃。
二人の目に(というか海斗の目に)留まったのは、小柄な少女。
こんな不気味で物騒な地域を、なぜ一人で歩いているのかは不明だが、
海斗と梨乃は、少女と面識がある。
以前、子猫を探すという任務(依頼)で、
IO2エージェントであるディテクター&レイレイと勝負をしていたときに、
ディテクターに、ぴっとりと くっついていた少女だ。
あの時は、どさくさまぎれでスカウトしたが、あっさりスルーされた。
けれど、そこで諦めないのがイノセンス・クオリティ。
というか、海斗クオリティ。
ここでバッタリ会えたのは、運命的なアレだ、と海斗は再スカウトを試みる。
少女の名前は、月宮・香織。
ミステリアスな美少女。

「よー!何してんの、こんなとこでー」
ケラッと笑いつつ、行く手を阻む海斗。
俯き歩いていた香織は、ナンパか…と呆れて溜息を落とした。
こんなところでナンパするなんて、よっぽど飢えているのね…。
そんなことを思いつつ顔を上げたとき。
声を掛けてきた人物に、見覚えがあることに気付き、香織は一瞬呆けた。
黒いパーカーに黒いニット帽、耳にはピアスで、スニーカー。
そこらじゅうにいそうな、至って普通の少年と…。
少年の隣でペコリと頭を下げている、水色の髪を左右で束ねている少女。
しばしの沈黙の後、香織は、あぁ…と思い出した。
「猫さんの…」
「そーそー。覚えててくれたんだ。って、だいぶ遅かったけど。あははは」
「…何の御用?」
「ん?そりゃあ一つしかないでしょ。スカウトだよ」
「…スカウト」
「そそ!こないだはスルーされたけどさー…って、うぉぅ」
「ごめんなさい。こいつってば失礼極まりなくて」
グイッと海斗を押しのけて非礼を詫びる梨乃。
香織は俯きがちに、二人の遣り取りを眺めていた。

自己紹介を交えつつ、海斗と梨乃はスカウトについての詳細を香織に告げた。
海斗の説明は、組織所属に関するメリットばかりだったが、
梨乃の説明は、メリットに加えてデメリットも含まれていた。
明らかに梨乃の説明の方が、わかりやすい上に好印象だ。
一通りの説明を聞き終えて、香織は即答した。
「…拒否、します」
「えええええええ。何でぇぇぇえええ?」
オイシイとこばかりを告げたのに、断る理由がわからない、と大騒ぎする海斗。
そんな海斗を静かにしなさいと叱りつつ、梨乃は香織に拒否理由を尋ねた。
確かに、所属すれば、仕事や、お金に困ることはなくなるだろう。
欲しい服も、アクセサリーも、好きなだけ買える。
所属エージェントには個室が与えられたり、食事の補助もあるらしい。
もちろん辛いこともあるだろうけれど、
トータルで、良い経験になる可能性は、果てしなく高い。
けれど、所属する気にはなれない。
どこか一定の場所に身を置いて活動し生きていくことに、
今となっては、いささか抵抗を覚えるのだ。
軽い気持ちで、いいよと言うのは簡単かもしれない。
けれど、組織というものに身を置く以上、
それなりの心構えは必須だと思う。
中途半端で曖昧な気持ちで応じては、彼等にも迷惑をかける。
イノセンスという組織について、無知というわけでもない。
IO2に所属しているディテクターやレイレイと親しい香織は、
彼等からイノセンスについて、あれこれ聞かされている。
さほど詳しい内容ではないが、
それでも、組織の大きさについては十分に理解できている。
だからこそ、応じるわけにはいかないのだ。
「そうですか…。残念ですけど、無理強いは出来ませんし。わかりました」
ニコリと微笑んで、拒否を承諾する梨乃。
けれど、海斗は納得いかない御様子。
「何でだよー。楽しいのに」
「あんたね、しつこいとモテないわよ」
「いーよ、別に。モテたくもねーし」
「少し、相手のことを考えなさいって言ってるの」
「関係ないね。欲しいもんは欲しい」
「…はぁ。ほんっと子供なんだから」
「色々知りたいんだよ。戦闘能力とかさー。猫探しン時は、わかんなかったし」
「あのね。そういうのを、ひとりよがり、っていうのよ」
欲しいものは欲しい、どんな手段を使ってでも手に入れる。
相手の気持ちなんて、お構いナシ。
黙ってついてくればイイ。
自己中というか、俺様気質というか…海斗らしいというか何というか。
自由奔放な海斗の性格に呆れつつ、
香織は、彼が放った、とある言葉に応じてみせた。
スッと両手を踊らせる香織。
すると、魂装で編まれた縄が出現し、海斗をキュッと縛り上げた。
「うぉっ」
「…サービス」
クスクスと笑いつつ、両手を交差させて縄を消す香織。
香織は基本的に『捜索能力』に長けるが、『拘束能力』も備えている。
前線で活躍するタイプではなく、後方・支援タイプ。
その能力は、あらゆる場面で重宝されるであろう。
縄から解放された海斗は、より一層、香織を気に入ってしまったようだ。
「決めた。絶対に手に入れるっ」
スックと立ち上がり、意思表明をする海斗。
「決めた、って……えっ!?ちょ、ちょっとっ!?」
慌てて立ち上がる梨乃。当然だ。
なぜならば…海斗が、香織をヒョイと抱きかかえて駆け出したから。
「本部にご案内しまーす!」
「ばかっ!ちょっと待ちなさいってば!ちょっとっ!!」
追いかけるも、足の速さで海斗には敵わない。
どんどん先を駆けていく海斗を、梨乃は必死に追いかけるばかり。

海斗に抱かれつつ、眉を寄せる香織。
露わにする不満。それも当然である。
ここまで人の気持ちを無視する男がいるのか、と半ば呆れている。
思うが侭、本能のままに行動する生き物、それが海斗。
不満と不快を胸に、香織は拉致られる。
本部へ案内すると言っているが、果たして、どうなることやら…?

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■■■■■ THE CAST ■■■■■■■■■■■■■

【 整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / 職業 】

7440 / 月宮・香織 (つきみや・かおり) / ♀ / 18歳 / お手伝い(草間興信所贔屓)
NPC / 黒崎・海斗 (くろさき・かいと) / ♂ / 19歳 / INNOCENCE:エージェント
NPC / 白尾・梨乃 (しらお・りの) / ♀ / 18歳 / INNOCENCE:エージェント

■■■■■ THANKS ■■■■■■■■■■■■■■■


こんにちは! ようこそ、いらっしゃいましたー! ('∀'*)ノシ
ゲームノベル”INNOCENCE”への参加・発注ありがとうございます。
発注・参加 心から感謝申し上げます。 気に入って頂ければ幸いです。
INNOCENCEは、関連シナリオが幾つもありますので、
是非。また、ご参加下さいませ^^

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2008.04.16 / 櫻井 くろ (Kuro Sakurai)
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