■INNOCENCE / ハプニング・キッス (限定受注)■
藤森イズノ |
【7433】【白月・蓮】【退魔師】 |
(部屋の片付けでも…しようかな)
本部に来たものの、今日は特に美味しい仕事は見当たらず。
どうしようかなぁと少し迷った結果、自室の掃除をすることに。
せっかく与えられた個室だし、綺麗に使っておかねば…。
よし、と踏み出し、スタスタと階段へと向かう。
本部一階、中央から昇る白亜の階段。
それを一段、上ったとき…事件は起きた。
「あっ…!!?」
「!!」
|
INNOCENCE // ハプニング・キッス
------------------------------------------------------
OPENING
本部に来たものの、今日は特に美味しい仕事は見当たらず。
どうしようかなぁと迷いつつ、本部をブラブラ。
とりあえず、部屋でのんびりしてみようかな。
よし、と踏み出し、スタスタと階段へと向かう。
本部一階、中央から昇る白亜の階段。
それを一段、上ったとき…事件は起きた。
------------------------------------------------------
ふぁ…暇だな。
美味しい仕事もないし。退屈の極み。
部屋に行っても、実際そんな…することないんだよね。
おもむろに部屋の掃除とか…するのかなぁ、今日も。
何だかな。平和なのは良いことなんだけどね。
そういえば、梨乃ちゃん、何してるだろう。
暇かな。もし暇だったら、食事にでも誘おうか。
このあいだ、オシャレなカフェ見つけたんだよね。
気に入ると思うんだ、あの雰囲気。
着替えてから…梨乃ちゃんの部屋行ってみようかな。
そんなことを考えつつ、階段を上ったとき。
突然、目の前が真っ暗に。
え、何だ。これ。この感じ。
首を傾げつつ顔を上げれば…。
何と、そこには梨乃の姿が。
どんどん近付いてくる梨乃。
抱きついてくる、とかそういう話じゃない。
これは…落下である。
「きゃぁあああああ!!」
「うわぁぁ!」
階段を踏み外したのだろうか。
落下してきた梨乃は、
そのまま蓮に覆い被さるようにして。
二人は、揃って転落。
ドサッ―
背中を激しく打ち付け、痛みに顔を歪める蓮。
だが、さすがというべきか。
蓮は、がっしりと梨乃を支え、身を挺した感じだ。
それに加え、ちょっとしたハプニング。
蓮と梨乃の唇が、落下した拍子に触れ合ってしまった。
「ごっ!ごめんなさいっ!!」
ガバァッと起き上がり、大声で謝罪を述べる梨乃。
不慮の事故とはいえ、大胆なキッスをかましてしまった…。
恥ずかしさから、梨乃は耳まで真っ赤に染めている。
そんな梨乃を見つつクスクス笑う蓮。
これはラッキーなハプニングだ。
ちょっと背中痛いけど…。
それにしても梨乃ちゃん。
真っ赤じゃないか。可愛いなぁ、本当にもう。
あわあわしている梨乃を見て堪らなくなったのか。
蓮は梨乃の腕を引き、ギュッと抱擁。
「いきなりキスなんて。大胆だね、梨乃ちゃん」
「こ、これは事故です。事故なんです」
「ふふ。こんな事故なら大歓迎だよ。ね、もう一回しようか」
「えっ!?」
「ついでだよ、ついで。せっかくだし。ね?」
「れ、蓮さん。みんな見てますから…」
梨乃の言うとおり、本部一階、セントラルホールは今日も賑わっている。
蓮と梨乃のハプニング・キッスの目撃者の数は、半端なく多い。
言い逃れなんて、出来やしない。
階段下で、抱き合う二人を見つつ、
エージェント達は冷やかしで指笛を吹いたり、ケラケラ笑ったり。
まるで見せ物だ…。梨乃は羞恥から、蓮の胸に顔を埋めた。
*
「足元、気をつけないと駄目だよ」
「は、はい」
「怪我されちゃ嫌だからさ」
「は、はい…」
梨乃の手を引き、階段を上る蓮。
ごく自然に繋がれた手に違和感はない。錯覚なのだが。
「ねぇ、梨乃ちゃん。これからゴハン食べに行かない?」
「あ、はい。構いませんよ」
「良かった。この間、オシャレなカフェ見つけたんだ」
「そうなんですか?」
「うん。きっと気に入ると思…」
言いかけたとき、またもや目の前が真っ暗に。
何というデジャヴ。この展開は…。
「れ、蓮さんっ!!」
「ちょ…うわぁぁ」
ドサァッ―
またもや落下者が…。
今度は千華だ。
咄嗟に、巻き込んではいけない、と、
繋いでいた手を離した蓮は、一人…千華に覆い被さられるようにして落下。
そして、こともあろうに。またもやハプニング・キッス。
梨乃のときよりも、もっと大胆な格好で唇を重ねている。
何ていうか…完全に千華に蓮が襲われている、といった図だ。
「あらら。ごめんなさい」
スッと体を起こし、髪を整えつつ言う千華。
梨乃のように取り乱しはしないものの、
さすがに、驚きは隠せないようだ。
「怪我、してない?大丈夫?」
蓮の身を案じる千華。
余裕っぷり、というか何というか。
動揺しているような素振りを一切見せない千華に、蓮はクスッと笑う。
「大丈夫ですよ。千華さんこそ、大丈夫ですか?」
「えぇ。私は。蓮くんがクッションになってくれたものだから」
「はは。…それにしても、千華さんも大胆ですね」
「え?何が?」
「そんなに俺とキスしたかったんですか。光栄です」
「あははっ。何言ってるのよ、そんなわけないでしょ。事故よ事故」
スッと手を差し伸べて言う千華。
肩透かし…何とも、あっさりしている。
(ちぇ…)
蓮は、やっぱ駄目か、と思い苦笑しつつ、
差し伸べられた手を取り、よっ、と立ち上がる。
「っと。私、急いでたんだった。じゃあ、行くね。本当、ごめんなさいね」
「あ、はい。気をつけて下さいね。足元」
「ふふ。ありがとう」
これから仕事らしい。
千華はパタパタと駆けて、その場を去っていく。
何事もなかったかのような状態…。
だが、千華とのハプニング・キッスの目撃者も多い。
男共の、じとーっとした視線を一斉に浴び、肩を竦める蓮。
おいおい、そんな目で見ないでよ。
これは事故でしょ?…ま、俺的にはラッキーなんだけど。
ツいてるなぁ、今日は。うんうん。
満足気に笑みを浮かべ、再び階段を上る蓮。
階段上から、事態を目撃していた梨乃は…微妙な表情だ。
「さ、行こうか、梨乃ちゃん」
「は、はい」
これは事故。うん、そう、事故。ただの事故。
私だって、さっき…同じことしちゃったわけだし。
でも、何だろ。この感じ。嫌な感じだよ。
こう…胸がキュッと。うぅ…痛いよ。
「ん?どしたの梨乃ちゃん?」
「あ、いえ。何でもないです」
「どっか痛い?」
「い、いえ…」
胸が痛い、なんて言えるわけがない。
しかしまぁ、とんだハプニングだったね。
蓮にとってはラッキーこの上ない事故だったけれど。
退屈だと欠伸していた矢先、こんなことになるんだから。
本当、人生何が起こるか…わかりませんね。
------------------------------------------------------
■■■■■ CAST ■■■■■■■■■■■■■
7433 / 白月・蓮 (しらつき・れん) / ♂ / 21歳 / 退魔師
NPC / 白尾・梨乃 (しらお・りの) / ♀ / 18歳 / INNOCENCE:エージェント
NPC / 青沢・千華 (あおさわ・ちか) / ♀ / 29歳 / INNOCENCE:エージェント
■■■■■ THANKS ■■■■■■■■■■■
こんにちは! 毎度様です〜! (ΦωΦ)ノシ
二人チョイスするという、そのプレイングに愛を感じました(笑)
ゲームノベル ”INNOCENCE” への参加・発注ありがとうございます。
気に入って頂ければ幸いです。 是非また、御参加下さいませ!
-----------------------------------------------------
2008.05.14 / 櫻井 くろ (Kuro Sakurai)
-----------------------------------------------------
|