■INNOCENCE / 暴れる噴水 (限定受注)■
藤森イズノ |
【7433】【白月・蓮】【退魔師】 |
買い物ついでに、と散歩していたときだった。
異様な光景が目に飛び込んでくる。
公園の噴水が…暴走している。
勢い良く水を撒き散らして、そこらじゅうに虹が出てる。
…壊れた蛇口・スペシャルエディション?
同行していたエージェントは、
このまま放置するわけにもいかないね、と解決に乗り出す。
どうやら魔物が憑いているようだ。
(タダ働きか…)
そんな若干の不満を抱きつつも、後を追う。
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INNOCENCE // 暴れる噴水
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OPENING
珍しい組み合わせ、蓮と浩太。
二人は、買い物から帰ってきたところ。
浩太が、彼女(レイレイ)にプレゼントを贈るにあたり、
何を買えば良いか…と蓮に相談したのが始まり。
二人は並んで歩き、本部へと戻る。
その途中での御話…。
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「本当、ありがとうございました」
嬉しそうに微笑んで礼を述べる浩太。
蓮と、あれこれ相談しつつ、
浩太が買ったのは、とっても可愛いマグカップ。
可愛いだけじゃなく、オシャレなデザイン。
買った店は、浩太じゃ一生出入りすることがないであろう、
ものすごく高価な…ブランドショップだった。
初めて入る店に緊張しっぱなしだった浩太だが、
蓮は、店の常連客らしく。
店員(美人さん)と、色々話し、
華麗な値切りショーも見せてくれた。
その甲斐あってか、かなり安価で入手できたマグカップ。
定価の半分以下、という異例の値切り。
蓮は、店員(美人さん)と、
デートの約束をする代わりに…と値切りに成功した。
手馴れた、一連の行動に浩太は呆気に取られていたが…。
「良かったね。レイレイちゃんも喜ぶよ、きっと」
嬉しそうな浩太につられ、ニコリと微笑む蓮。
何というか、蓮からしてみれば、初々しいのだ。
プレゼント一つ買うのに、
眉を寄せて、あそこまで悩める、その純情さとか。
相手の喜ぶ顔を第一に、真剣に色々なものを手にとって考える姿とか。
懐かしい…といえば懐かしいような。
浩太の、そんな姿に蓮は、ある意味 "癒され" ていたりもする。
他愛ない言葉を交わしつつ、本部へと戻る二人。
その途中…通りがかった公園で、ちょっとした事件が。
「うん?何だろう。騒がしいね」
「…ですね?」
悲鳴のようなものが聞こえるような…。
二人は互いに顔を見合わせ頷くと、
何か事件が起きているのかもしれない、と公園へ入って行った。
一体、何事か…。
公園は、水浸しだった。
原因は、公園の中心部にある大きな噴水のようだ。
これがイカれているようで、水をブチまけている。
壊れた蛇口のスペシャル・エディション…といった感じか。
「何か…様子が、おかしくないですか」
神妙な面持ちで噴水を見やる浩太。
そんな浩太を他所に、蓮はニヤニヤしている。
彼の視線の先には…水を浴びて、下着が透けている女の子。
いやー。良い眺めだ。いいよね、春先ともなると、
女の子は皆、薄着になっていくからさ。
ふむふむ。オレンジかぁ。キュートだね。
ウンウン、と頷き満足そうな蓮。
そんな蓮に気付き、浩太は苦笑して蓮の背中をパシン、と叩くと、
ダッと駆け出し、噴水へ一目散。
浩太の手には、魔銃が握られている。
そう、この噴水は、ただ単に壊れているわけではない。
魔物が憑いて、悪戯しているのだ。
それに気付いた浩太は、すぐさま討伐に向かった…ということ。
あー。何してるんだ、浩太くん。
せっかくの良い眺めなのに。
確かにね、酷い有様だとは思うよ。
水浸しだしね。けど、それだけでしょ。
魔物だって、そのうち飽きるだろうし、せっかくなんだし…。
って言っても、聞かないよね。キミは。
ふぅ、と息を吐き浩太の後を追う蓮。
水と雷、反する属性。
加えて、雷は水に勝る属性。
というわけで、浩太の独壇場。
魔銃から放たれる閃光と雷は、
容赦なく噴水に憑いていた魔物をこらしめた。
一際激しい稲光とともに、あっけなく討伐。
雷に打たれてグッタリしている魔物。
悪戯が過ぎた…と後悔しているようだ。
この魔物は、悪戯好きなだけで、
とくに危険を及ぼす魔物ではない。
浩太は魔物の頭をぺしっ、と叩いて、
家に帰りなさい、と告げて苦笑した。
いそいそと、慌てて去っていく魔物。
蓮はただ、腕を組み、浩太の働きっぷりに感心していただけだ。
「御見事」
パチパチと拍手を送る蓮。
浩太は魔銃を腰元に収め、やれやれ…と肩を竦める。
「蓮さん…見てるだけとか…」
「はは。必要なかったでしょ、実際、手助けなんてさ」
「まぁ、そうなんですけど…」
「それにしてもさ。真面目だね、キミは」
「え?」
「女の子が良いものを見せてくれてるのに、スルーでしょ」
「良いものって…あ」
蓮が言う、良いもの、の意味を理解した浩太は、
恥ずかしそうに俯きポリポリと頭を掻いた。
「いや…あのままじゃ、彼女が可哀相じゃないですか」
「その辺がね〜。固いねぇ」
「固いって…」
「見解を広める事は後の人生において必ず役に立つ…って、俺の父(養父)さんが言ってたよ」
「いや、確かにそうかもしれないですけど。この場合は…」
「あ〜。駄目駄目。そんなんじゃレイレイちゃんに呆れられるよ」
「えぇ…?」
「甲斐性なし!ってね。さ、行こう」
「え…どこに…」
浩太の手を引き、満面の笑みを浮かべる蓮。
蓮が向かう先、それは、もちろん。女の子の所。
「大丈夫?酷い目に遭ったね」
女の子の濡れた髪に触れつつ言う蓮。
女の子は、暴れる噴水を止めてくれたことに、
深々と頭を下げて、お礼を述べた。
自分に対して頭を下げる女の子に、蓮は苦笑して言う。
「あ、いや。助けたのは、こっち」
ポン、と浩太の背中を押して言った蓮。
一歩前に出た浩太の目が泳ぐ。
目のやり場に困る…。
女の子は可愛らしく微笑み、
浩太に強いんですね、とか、見惚れちゃいました、とか。
様々な褒め言葉を連発。
照れくさい上に、女の子を直視できない。
浩太は、挙動不審に、ただ相槌を打つばかり。
(…ほんと、免疫ないなぁ)
終始テンパっている浩太を見つつ、蓮はクックッと笑った。
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■■■■■ CAST ■■■■■■■■■■■■■
7433 / 白月・蓮 (しらつき・れん) / ♂ / 21歳 / 退魔師
NPC / 黄田・浩太 (おうだ・こうた) / ♂ / 17歳 / INNOCENCE:エージェント
■■■■■ THANKS ■■■■■■■■■■■
こんにちは! 毎度様です〜! (ΦωΦ)ノシ
蓮さんの言動・プレイングに、可愛らしさを覚えてきている自分がいます(笑)
ゲームノベル ”INNOCENCE” への参加・発注ありがとうございます。
気に入って頂ければ幸いです。 是非また、御参加下さいませ!
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2008.05.14 / 櫻井 くろ (Kuro Sakurai)
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