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■INNOCENCE / ハプニング・キッス (限定受注)■

藤森イズノ
【7403】【黒城・凍夜】【何でも屋・暗黒魔術師】
(部屋の片付けでも…しようかな)
本部に来たものの、今日は特に美味しい仕事は見当たらず。
どうしようかなぁと少し迷った結果、自室の掃除をすることに。
せっかく与えられた個室だし、綺麗に使っておかねば…。
よし、と踏み出し、スタスタと階段へと向かう。
本部一階、中央から昇る白亜の階段。
それを一段、上ったとき…事件は起きた。
「あっ…!!?」
「!!」
INNOCENCE // ハプニング・キッス

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OPENING

神妙な面持ちで考え事。
凍夜が考えているのは、とある現状について。
参ったな…しかし。悪魔に惚れられるとは、俺も何だかな。
そういう運命の下に生まれたんだろうか。
いやいや…そんな運命、あってたまるか。
別に、困るってわけじゃないんだよな。
それなりに役にたつ奴等なわけだし。
けどな…あのテンションっつぅか。
どうも…ついていけないんだよな、毎度毎度。
姉妹ってんだから、尚更だ。タチ悪い…。

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考え事をしつつ、イノセンス本部を歩く凍夜。
つい先程、仕事を終えて戻ってきた。
討伐対象の魔物が、泥を操る魔物だったために、服が汚れた…。
というわけで、凍夜は自室に行き、着替えようとしていた。
そう、着替えようとしていた…のだが。
「きゃ…わっ…や…」
セントラルホールから伸びる、白亜の階段を一段上った時だった。
何やら、妙な声が。
ふと顔を上げると…そこには、
どっさりと古書を抱えた梨乃が、フラついていた。
マズイ、即座にそう判断した凍夜。
次の瞬間。
無数の古書と共に、梨乃が…降ってきた。
「きゃぁぁぁぁー!」
「…っ!!」
古書は放ったらかしに。
凍夜は、咄嗟に腕を広げ、梨乃を受け止める。
かなり高い位置から落下してきただけに、相当な衝撃だ。
しかも、衝撃は、それだけじゃなかった。
チュ―
唇が。降ってきた拍子に、凍夜と梨乃の唇が触れ合う。
がしっと受け止められるとともに、
凍夜に、ギュッと抱きつくかのような体勢の梨乃。
何とも…情熱的な図だ。
五秒くらいだろうか。
触れ合ったままの唇。
衝撃が落ち着くと同時に、バッと梨乃は凍夜から離れ、
ペコペコと頭を下げて謝罪を連発。
「ご、ゴメンナサイごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめ…」
何回ごめんなさい、と言ったか、既にわからない。
さすがの凍夜も、このハプニングには動揺を隠せない。
「悪い…考え事してて、気付くのが遅く…」
「い、いえ。わ、私の不注意ですからっ」
耳まで真っ赤に染めて、慌てて古書を拾い出す梨乃。
かなりの同様っぷりだ。
周りが見えていないのだろう。
古書が散らばっている方向とは、見当違いの方向で、
わきゃわきゃと腕を振り回している。
もう、何やってるの、私ってば。
だいたい、あんなに本を抱えてたから、足がもつれるのよ。
欲張って、いっぺんに借りるからだよ。
大人しく、数冊にしておけば。
こんなことにはならなかったのに、きっと。
っていうか、怪我。凍夜さん、怪我してないかなっ?
「と、凍夜さんっ。怪我とか、してないですか?」
「…あ、いや。うん。大丈夫」
「よ、良かったです…」
「あ、あぁ」
「………」
「………」
何故か見つめあう二人。
視線は、自然と互いの唇へ。
突然のことだったが故に驚いたけれど。
確かに、触れたよな…うん、間違いなく触れた。
あの感触は、確かに…。
数秒前の感覚を思い返し、同時に気恥ずかしくなってパッと顔を背ける二人。
何というか、実感してしまうと、かなり恥ずかしい。
凍夜はボーッとしていたが故に、呆けていたのだが。
梨乃の、ものすごい照れっぷりを見ている内、
それにつられるかのようにして、気恥ずかしさがこみ上げてくる。
ラッキー…だなんて思えるわけがない。
凍夜は、根が真面目なのだ。
それは、梨乃とて同じこと。
その為、何とも言いがたい…独特の雰囲気が。
「ほ、本当に…ごめんなさいっ!」
ガバッと頭を下げて、バタバタと去って行く梨乃。
逃げ出した、と言ったほうが正しいだろう。
どっさりと古書を抱えて駆けていく梨乃。
その後姿を見つつ、凍夜は、沈黙…。
さすがに…驚いた。
まさか、梨乃が降ってくるとは思いもしなかった。
しかも…事故とはいえ…キ、キスしてしまうとは。
参ったな、しかし。気まずい…。
このまま、ずっと気まずいとか…それは嫌だな。
俯き、先々のことを考えている凍夜。
そんな凍夜に、背後から声をかける者がいた。
「見ーちゃった」
「!」
パッと顔を上げて振り返れば。そこには…藤二。
こともあろうに、目撃されていたらしい。
よりによって、藤二に見られてしまうとは。
瞬時に、面倒な予感を感じ取る凍夜。
そして、その予感は的中し。
藤二は、ニヤニヤと笑いつつ肩に腕を回し、あれこれ詮索してくる。
「な。どうだった?」
「…何が」
「梨乃の唇」
「………」
「顔、赤いぞ。凍夜。くっく…」
「うるさい」
「まぁ、事故とはいえ。かなり美味しいじゃねぇか」
「美味しいって、お前…」
「またまたー。思ってるだろ?ちょっとはさ」
「思ってねぇよ」
「耳まで赤くして言ってもね、説得力ないんですよ。凍夜くん」
「あー…もう、うるさい。あっち行けよ、お前…」
肩に腕を回す藤二から逃れようと必死になる凍夜だが、
ここで、あっさりと解放してもらえるはずもなく。
凍夜は、藤二を引きずるかのようにして階段を上る。

自室に戻ってからも、あれこれ詮索されたのは…当然の話。
しつこく詮索してくる藤二を適当にあしらいつつ、
凍夜は、大きな不安を抱いていた。
このまま…梨乃とぎこちなくなったら、どうすれば良いだろうか。
凍夜の悩みが、また一つ増えた…。

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■■■■■ CAST ■■■■■■■■■■■■■

7403 / 黒城・凍夜 (こくじょう・とうや) / ♂ / 23歳 / 退魔師・殺し屋・魔術師
NPC / 白尾・梨乃 (しらお・りの) / ♀ / 18歳 / INNOCENCE:エージェント
NPC / 赤坂・藤二 (あかさか・とうじ) / ♂ / 30歳 / INNOCENCE:エージェント

■■■■■ THANKS ■■■■■■■■■■■

こんにちは! 毎度様です〜! (^ω^*))((*^ω^)
初々しい感じでした…。終始ニヤニヤしていたのは内緒です(笑)
ゲームノベル ”INNOCENCE” への参加・発注ありがとうございます。
気に入って頂ければ幸いです。 是非また、御参加下さいませ。

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2008.05.14 / 櫻井 くろ (Kuro Sakurai)
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