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■INNOCENCE / リビング・デッド (限定受注)■

藤森イズノ
【7433】【白月・蓮】【退魔師】

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DEAR = INNOCENCE
CHARGE = \200000
OPTION = NONE
ORDER = RENY.KURASAWA

REQUEST =
自宅付近を徘徊しているモンスターの討伐を要請。
モンスターはリビング・デッド(ゾンビ)
特に危害を加えてくるわけではないのだが、
子供達が怯えてしまい困っている。

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INNOCENCE // リビング・デッド

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OPENING

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DEAR = INNOCENCE
CHARGE = \1350000
OPTION = NONE
ORDER = RENY.KURASAWA

REQUEST =
自宅付近を徘徊しているモンスターの討伐要請。
モンスターはリビング・デッド(ゾンビ)
特に危害を加えてくるわけではないのだが、
子供達が怯えてしまい困っている。

***

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「梨乃ちゃん、見っけ」
「ふむぐっ!?」
突然、背後から抱きつかれて驚く梨乃。
レストランで、ゆったりと…古書片手に、おやつを食していたのだが…。
「蓮さんっ。それ、やめてくださいぃっ。ごほごほっ…」
「あはははっ。ごめん、ごめん」
口元を拭ってやりつつ、一応(重要)謝る蓮。
最近、いつもこうだ。
蓮は、梨乃を見つけては抱きついている。
蓮のスキンシップは、何も今に始まったことではないが、
近頃どうも…直球というか、度が過ぎているというか。
その度に梨乃は、いちいちドキドキすることになる為、心臓に悪い。
もぅ…と呆れ笑いつつ、尋ねる梨乃。
「何か、御用ですか?」
「あぁ、うん。仕事。一緒に行こ?」
ニコリと微笑み、手を差し伸べる蓮。
これもまた、定番と化した "お誘い" だ。
蓮と梨乃は、組んで仕事をすることが多い。
いつしか、固定チームのようになっている。
実際、イノセンス内では二人が固定チームを組んでいると思っている者が多い。
ことあるごとに一緒に仕事に行くのだから、そう思われても仕方ないが、
二人の間で、チーム束決を誓う言葉は交わされていない。
まぁ、チームを組まねばならないという規則はないし、
好きなときに好きな奴と組んで仕事に行くのは、誰にも非難されないことだ。
ただ…蓮専用、っぽくなっているところがある為、
そこに不満を感じ(羨ましがっ)ている奴は…いるかもしれないけれど。
さて、今回、蓮がお誘いした仕事は…ゾンビ退治。
とある貴族の屋敷近辺を徘徊しているという、
魔物:リビング・デッドの討伐だ。
討伐対象は一体だけ。
しかも、ただ徘徊しているだけで攻撃してくる気配がないという。
更に、貴族が依頼人ということで、報酬も美味しい。
これは、請けなきゃ損でしょ。ということで、お誘いしたのだが…。

*

「く、暗いですね……」
がっしりと蓮の服の裾を掴んで、おどおどしている梨乃。
依頼人と交渉を済ませた二人は、早速…と魔物の討伐へ。
屋敷は、林に囲われるようにして建っている。
魔物は、この円状の林のどこかにポッと出現し、
そこから延々と、グルグル屋敷の周りを徘徊するのだそうだ。
怯えている梨乃。彼女は…お化けという存在が苦手だ。
魔物や幽霊は平気。あくまでも、苦手なのは、お化けという存在。
どれも似たようなものだと思うが、
彼女からしてみれば、全然違いますっ!なのだそうで。
怯える梨乃と手を繋ぎ、これなら怖くないでしょ?と笑う蓮。
仕事中だというのに、何だ、この…お散歩デートのような光景は。
うーん…それにしても、妙だよね。
あぁ、討伐対象のリビング・デッドのことだけどさ。
おかしいと思わない?襲ってくるわけでもなく、
ただ毎晩毎晩、ぐるぐる回って徘徊するだけなんて。
彷徨うにしても、回る必要はないでしょ。
どっか、適当な場所を歩いてもいいわけだし。
この屋敷に、何か理由があるのかもしれないね。
呟くように言う蓮に、例えば…?と問おうとしたときだった。
梨乃の目に、ぼやぁ…っと、討伐対象が映りこむ。
ナイスタイミングというか何というか。
どこに出現するのかわからないということで、
闇雲に適当に林を歩いていた二人の目の前に姿を現してくれた討伐対象モンスター。
手間が省けた、これはラッキーだ。
クスリと笑い、繋いでいた手を離して解符を取り出す蓮。
白月家に代々伝わる、呪符の一種だ。
攻撃的ではない、或いは消滅を望む魔物専用の道具。
痛むことも苦しむこともなく、安らかに眠らせる符。
さすがに、徘徊しているだけの魔物を、
ギッタギタにノしてしまうとか、そんな酷いことはできない。
相手は魔物なんだから、と理解に苦しむ奴もいるかもしれないけれど、
彼等だって、生きている。中には、少し前までは、
自分たちと同じように、呼吸したり、眠ったり、悩んだり、笑ったり。
そうして生活していた "人間" だって存在するんだ。
救ってあげることは出来なくても、せめて眠るときくらい。
安らかに、逝かせてあげるべきだと。俺は思うんだよ。
ゆっくりと、ズルズルと這うようにして進む魔物。
その魔物の前方に移動し、解符で眠らせようとした矢先。
蓮は顔をしかめた。
「…おいおい。冗談でしょ。勘弁してよ」
「……蓮、さん?」
ポツポツと呟く蓮に首を傾げる梨乃。
辺りに、冷たい風が吹きすさぶ。
手に持つ解符が、ヒラヒラと揺れた。
意外な事実に戸惑う蓮の心を表すかのように。

「俺のこと、わかる…わけないよね」
リビング・デッドに歩み寄り、淡く微笑む蓮。
彼の憂いを含む笑顔の理由。
それは、目の前のリビング・デッドが、
かつて愛した女性だという事実。
見惚れるほどに綺麗だった肌も、腐敗して。
絹のように滑らかだった髪も、抜け落ちて。
どこにも面影はないかのように思えるけれど、一つだけ。
その目だけは、変わっていない。
確かに自分を見つめていた、あの綺麗な目。
忘れるはずがない、見紛うはずがない。
そうだ、思い出したよ。もっと、早く気付くべきだった。
今はすっかり綺麗になって、見るからに貴族の屋敷って感じだけど、
そうだ、ここは、元々は廃墟だったよね。
俺とキミが逢える、唯一の場所だった。
いつからなの?いつからキミは…待っていたんだい?
ずっと、ずっと…待っていてくれたんだろう?
ごめんね。気付いてあげられなくて。
ごめんね。救ってあげられなくて。
俺に出来ることは、ただ一つ。
どうか、どうか、安らかに。
ギュッと抱きしめ、リビング・デッドの背中に解符をあてがう蓮。
鈴の音のような音が響き渡り、やがてそれは、小波の音へと変わり。
リビング・デッドは消えていく。サラサラと…白い砂と化し、風に溶けて。
来なきゃ良かった…だなんて思わないよ。
いや寧ろ、来て良かったと思ってる。
数え切れないほどある依頼の中で、
この依頼を、すぐに見つけることができたのは、キミが呼んでいたからかのかもしれないね。

*

この館の主・依頼人ほどではなかったけれど、彼女も貴族だった。
よくあるだろ?小説や映画なんかでも。
身分違いの恋ってやつさ。
綺麗なコだなって純粋にそう思ってナンパした。
手強いかもなと思っていたけど、彼女はあっさりとOKしてくれてね。
けれどまさか、貴族の娘さんだとは思ってもみなくてさ。
面倒なことになりそうだから、お互いに大変だろうから。
そう思ったから、別れようって言ったんだ。
でも彼女は、首を縦じゃなく横に振った。
私は、あなたと一緒にいたい。そう言ったんだ。
同じ想いだった。俺も。だから、隠れてデートしたんだ。
逢引ってやつだね、まさに。
その場所ってのが…ここだったんだよ。
人が住んでいなかった、廃墟だったころの話だけど。
毎日逢ってたよ、何だかんだで。この俺が、マメにね。
でも、あの日。仕事が終わるのが遅くなって。
俺は、初めて彼女とのデートをすっぽかした。
すぐに電話したよ。謝ろうって。でもね、通じなかった。
謝罪を伝えようとした時には、彼女はもう、この世を去っていたんだ。
あっけないものだよ。事故で、突然ポッと…消えてしまうんだから。
あれから、どのくらいの月日が経ったんだろう。
愛した女性の死を知ってから、蓮はここに足を運ばなくなった。
辛すぎるから。思い出が、多すぎて、大きすぎて。
いつから、彼女は待っていたんだろう。
気の遠くなるような時間、待たせていたのではないだろうか。
そう呟き笑んではいるものの、儚く脆い蓮の横顔。
愛した女性、罪、後悔、懺悔…。
ポツリポツリと、それらを漏らす蓮。
梨乃は、そっと蓮の髪に触れた。
どうしてなのかは、わからないけれど。
触れたく、なったから。
自分と同じように、いや、もしかしたら、それ以上に、
切ない表情を浮かべて、今にも泣きそうな梨乃。
そんな梨乃の手を握り、蓮は小さく「ごめんね」と呟いた。
同じ過ちは、繰り返さない。
キミを不幸になんて…絶対しない。
そう改めて実感したことは、言葉にせずとも。

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■■■■■ CAST ■■■■■■■■■■■■■

7433 / 白月・蓮 (しらつき・れん) / ♂ / 21歳 / 退魔師
NPC / 白尾・梨乃 (しらお・りの) / ♀ / 18歳 / INNOCENCE:エージェント

■■■■■ THANKS ■■■■■■■■■■■

こんにちは! おいでませ、毎度様です^^
色々考えて、甘い感じにしようとしたのですが、妙にしんみりしてしまいました。
プレイングから、このガールフレンド(恋人)とお付き合いしていたのは、
十八くらいの時かな、うん、そうしよう。まだ子供っぽさの残る蓮くんの、
ちょっとぎこちない、甘酸っぱい恋…などと、あれこれ妄想させて頂きました。
十代の蓮くんは、こんな感じで…など、微妙に妄想し過ぎたのは内緒です。
気に入って頂ければ幸いです。 是非また、御参加下さいませ…^^

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2008.05.23 / 櫻井 くろ (Kuro Sakurai)
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