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■INNOCENCE / ごしゅじんさま (限定受注)■

藤森イズノ
【0086】【シュライン・エマ】【翻訳家&幽霊作家+草間興信所事務員】
「ち、千華さん…もう脱いでも良いですか?」
「駄目よ〜」
「えぇぇぇ…」
「ん?あ、帰ってきたみたいね。ほら、行って来なさい」
「ちょ、こ、この格好でですか?」
「うん。もちろん」
ニッコリと微笑む千華。
梨乃は今…とっても可愛らしいメイド服を着ている。
試着してみてとしつこく言われて、やむなく着てあげたのだが。
加えて、千華は、そのまま行って来いと言う。
どこへ?…仕事から戻ってきたエージェントの所へ。
INNOCENCE // ごしゅじんさま

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OPENING

「ち、千華さん…もう脱いでも良いですか?」
「駄目よ〜」
「えぇぇぇ…」
「ほら、帰ってくる前に…やらなきゃいけないこと、色々あるでしょ?」
「ちょ、こ、この格好でですか?」
「うん。もちろん」
ニッコリと微笑む千華。
梨乃は今…とっても可愛らしいメイド服を着ている。
試着してみてとしつこく言われて、やむなく着てあげたのだが。
加えて、千華は、そのまま行って来いと言う。
どこへ?…じきに、仕事から戻ってくるであろうエージェントの所へ。

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はふ…ちょーっと…さすがに疲れたかな。
まさか、依頼人さんが、あそこまでしつこいとは思わなかったし。
貴重な絶版古書の情報を手に入れることができたのは良いんだけど、
めちゃくちゃ疲れた…うわ、もうこんな時間なんだ。
も〜…お腹ペコペコだわぁ。
空腹に耐えられない、ということで、
イノセンス本部のレストランで軽食をとってから東京に戻ろうとしたシュライン。
すでに夕食時は過ぎている為、レストランは静まり返っている。
賑やかな中で食事するのも楽しいけれど、
一人でこうしてゆったりと…食事するのも良いものよねぇ。
購入した缶コーヒーとラスクをテーブルに置き、はふ…と一息つくシュライン。
と、そこへテクテクと誰かが近付いてくる。
ふっと顔を上げて、シュラインはビックリ。
咥えていたラスクを、ポロリと落としてしまう。
そこには、ティーセットを乗せた銀のトレイを持った、メイド姿の梨乃がいたのだ。
「うわー!うわー…可愛いっ。可愛いね、梨乃ちゃんっ」
あまりにも似合いすぎているメイド梨乃に、
思わず席を立ってキャーキャーと興奮するシュライン。
そこへ、千華が笑いながら歩み寄ってくる。
このメイド服は千華が作ったもので、
試着がてら、梨乃に着てもらっているのだそうだ。
「お、おかえりなさいませ。ごしゅじんさま。紅茶をどうぞ…?」
ぎこちない動きで、紅茶を淹れてすすめる梨乃。
千華に無理やり言わされた台詞に、梨乃はものすごく恥ずかしそうだ。
差し出された紅茶を受け取り、クスクス笑うシュライン。
「ふふ。千華メイド長は、着用なさいませんの?」
「私は…ちょっと無理ね。っていうか勘弁して欲しいわ」
「あらぁ。似合うと思うんだけどなぁ、古風なロングスカートのとか…」
「ん〜。シューちゃんも着るなら、いいわよ?」
「…ふふ。なかったことにしましょ。うん」

メイドさん、ということで。
梨乃は、シュラインをごしゅじんさまに見立てて、あれこれと奉仕。
シュラインが、色々な紅茶を飲んでみたいな、と言ったことに応じ、
梨乃は自慢のブレンドで、様々な紅茶を振舞った。
定番所で、ストロベリーティやアップルティーなど、
フルーツフレイバーの紅茶から、
ストレートに、ウヴァやジョルジ、カンヤム…などなど。
次々と振舞われる紅茶は、一口で飲めるように小さなミニカップで。
クィクィと飲んでは、その味や香りを楽しみ、シュラインはご満悦。
一つ一つ、梨乃の動きを見やってはクスクス笑う。
何だろうなぁ、この感じ。癒されるっていうか。
本当、お人形さんみたい。
動くたびにヒラヒラ揺れるレースとか、
窓から入ってくる風に揺れる長い髪だとか。
可愛いわよねぇ、本当。
この格好でウロウロしてたら、あっという間に誘拐とかされちゃうんじゃないかしら。
街中を歩かせてもみたいけど、ちょっと危険かもねぇ。
「シューちゃん、ほかには何かないの?」
「んっ?」
「ごしゅじんさまなんだから、御好きなように命じて良いのよ」
クスッと笑う千華。シュラインは、うーん…と考える。
ごしゅじんさまとメイド、ねぇ。
わかんないのよね、実際。
どういうことしてもらうのかしら。
メイドさんに、ごしゅじんさまがしてもらうこと…うーん。
「マッサージとか?」
シュラインが放った言葉に、クスクス笑う千華と梨乃。
間違ってはいないような気もするけれど。
何だか、オジサンくさいような気も。
笑いつつ、梨乃はトントンとシュラインの肩たたきを始めた。
「わぁ。凝ってますね…」
「あら。そう?」
「職業病なんじゃないの?」
「うーん。あんまり実感はないんだけどなぁ」
「気付いてない人、結構多いみたいよ?」
「あらら。そうなの?むふ〜…気持ち良い〜…」
仕事で疲れているのはもちろんのこと、
普段から読書をしたり書き物をしたりと、
何かと肩が懲りそうな作業の多いシュライン。
あまり実感はなかったけれど。
どうやら、私…ちょっと肩凝りみたいねぇ。

レストランに女三人。
メイド梨乃を挟みつつ、シュラインと千華は言葉を交わす。
月の綺麗な夜、静かな時間。仲良くお喋り。
チラリと見やれば、可愛らしいメイドさん。
美味しい紅茶に、柔らかな風。
時間を忘れて、シュラインは会話に夢中に。
他愛ない話に盛り上がる中、
ハッと気付いて時計を見やれば…もう二十二時。
まずっ。ちょっと、のんびりゆったりしすぎちゃった。
武彦さんと零ちゃん、連絡入れてないから心配してるはず。
うわぁ…やっぱり。たっくさんメールきてる。
やばいやばい…と席を立ち、お暇しますと去って行くシュライン。
携帯片手にいそいそと帰っていくシュラインの背中を見つつ、
梨乃と千華はクスクス笑った。
ごしゅじんさまの所へ帰る、そのシュラインの姿に。

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■■■■■ CAST ■■■■■■■■■■■■■

0086 / シュライン・エマ / ♀ / 26歳 / 翻訳家&幽霊作家+草間興信所事務員
NPC / 白尾・梨乃 (しらお・りの) / ♀ / 18歳 / INNOCENCE:エージェント
NPC / 青沢・千華 (あおさわ・ちか) / ♀ / 29歳 / INNOCENCE:エージェント

■■■■■ THANKS ■■■■■■■■■■■

こんにちは! 毎度様ですヽ(*'0'*)ツ
気に入って頂ければ幸いです。 是非また、御参加下さいませ。

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2008.05.25 / 櫻井 くろ (Kuro Sakurai)
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