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■【雪姫の戯れ】戦う姫君達に祝福を■

太郎丸コトノハ
【0086】【シュライン・エマ】【翻訳家&幽霊作家+草間興信所事務員】
「は…はっきゅしっ」
その日の寒さは、桜の終った春とはとても思えるものではなく…。
「……おのれぇ、まぁぁぁぁだてこずっておるのかっ」
神姫こと、玲瓏はぎらりと在る方角を睨んで叫ぶ。

原因はハッキリしていた、『あやかし荘』に訪れた少女。
雪姫と遊び、満足させるまで冬が終わらない―……。
その影響は玲瓏の住む星詠庵も、ものの見事に冬へと時を戻した。

元々、運動の類が大嫌いな玲瓏。
寒い冬に、態々雪遊びをしてやろうなどとは思わず、とっとと戻すが良いと高みの見物を決め込んでいた。
だが、一向に温まらぬ気配に焦れて来ていたのだった。

数多く行われる、雪遊びの対決に片っ端から『勝利の運命』をつけてやろうかと考えなくも無かったが、雪姫の力に介入するのは些か骨だった。
無理ではないが、いちいち参加者に正式な儀式をしなければならない。
まぁ、それに…遊びの対決の結果に介入するのは悪い気もする訳で。


――ジリリリリリリィン

「はい、こちら占い処『星詠庵』です。あ、どうもお久しぶりです。」

不意になった、《殆ど置物》電話を星乎が取ってわざわざ見えない相手に頭を下げる。
漏れ聞える会話を推測するに――あの怪奇探偵、草間武彦か。

「は…はっ…はっくちゅっん!!」

ずりっと、鼻から出かけた不信なものをすすりながら、玲瓏はおもむろに星乎から受話器を奪う。
その瞳は不穏な決意で、熱く燃えたぎっていた――…。