■INNOCENCE / 喧嘩の末に (限定受注)■
藤森イズノ |
【7420】【猫目・アリス】【クラッカー+何でも屋+学生】 |
「ムッかつく!表出ろっ!」
「いい度胸だな」
何やら大騒ぎしている海斗と藤二。
表に出ろ、とどこぞの不良のような台詞を吐く海斗と、
それに対して不敵な笑みを浮かべている藤二。
ささいなことで喧嘩してしまった二人。
そんなくだらないことで…と呆れてしまうものだが、二人にとっては大問題。
キレた二人は、誰にも止められない。
普段は実の兄弟のように仲が良いのに…。
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INNOCENCE // 喧嘩の末に
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OPENING
「ムッかつく!表出ろっ!」
「いい度胸だな」
何やら大騒ぎしている海斗と藤二。
表に出ろ、とどこぞの不良のような台詞を吐く海斗と、
それに対して不敵な笑みを浮かべている藤二。
ささいなことで喧嘩してしまった二人。
そんなくだらないことで…と呆れてしまうものだが、二人にとっては大問題。
キレた二人は、誰にも止められない。
普段は実の兄弟のように仲が良いのに…。
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(ふぁふ……)
木の上、大きな欠伸をするアリス。
イノセンス本部中庭にある一番の大樹は、アリスのお気に入りだ。
昼寝には、もってこい。
今日もアリスは太い枝の上でゴロリと仰向けに寝そべっている。
あ〜…良い天気だなぁ。ほんと、あったかくなったぜ…。
さっきも寝たけど、また眠くなってきた…。
罪だなぁ、春の日差しってのはよぅ…。
柔らかい春の日差しを頬に、うとうとしだすアリス。
本日二度目の、お昼寝タイム…のはずが。
「てめー、泣かしてやるからな!」
「ふ…お前だろ、いっつも泣くのは」
「泣いてねーよ!ばーか!」
「馬鹿って言う奴が馬鹿なんですよ〜」
「うっせーよ!うっせーよ!」
やかましい…この声は、海斗と藤二か。
パチッと眼を開き、下を見やるアリス。
何やら海斗と藤二は喧嘩をしているようで…。
二人は中庭で、一定の距離を置いて、身構えた。
(あ…おい、まさか…)
気付いたときには、もう遅い。
海斗と藤二は、すぐさまバトルを開始してしまう。
ぶつかり合う炎と風。
その二つが合わさった熱風が、アリスを襲う。
「あ…つっ!!って、うぉぁぁぁ!!」
ドシャァァァッ―
落下してしまったアリス。
思いっきりお尻を打ちつけたようだ。
アリスは四つん這い状態で、いつー…とお尻を擦っている。
「てめぇら………」
ワナワナと震え、ギロリと海斗・藤二を睨みつけるアリス。
その恐ろしい視線に、海斗と藤二は一旦バトルを中断し、苦笑を浮かべる。
まさか昼寝していたとは…気付かなかった。
これは事故だ、不幸な事故、そう言い訳をしようと、
ブンブンと腕を振ってアピールする海斗。
アリスの怒りは治まらない。
じり…じり…と二人に歩み寄っていく。
ひぃ…と更に苦笑する海斗と藤二。
そんな二人を、雪穂と夏穂が救ってくれた。
「猫さん、どうどう…」
「お尻、大丈夫?」
ぽむぽむ、とアリスの肩を叩いて宥める雪穂と、首を傾げて微笑む夏穂。
レストランで三時のおやつを満喫した後、日向ぼっこしようと中庭に来たようだ。
二人の顔を見たアリスは、途端にふっと熱が冷め、
あいつらが、あいつらが…!とブーブー文句を言った。
海斗と藤二が喧嘩している理由を聞き、呆然とする雪穂と夏穂。
「プリンで喧嘩って……」
「平和よねぇ……」
「てめぇら、そんなフザけたことで喧嘩してんじゃねぇよ!馬鹿っ!」
苦笑する雪穂と、ガーッと牙を剥くアリス。
アリスの痛んだお尻に治癒魔法をかけつつ、夏穂は淡く微笑んだ。
二人の喧嘩の理由は、プリン。
海斗が大事にとっておいたプリンを、藤二が食べてしまったのがキッカケ。
すぐに謝ればよかったのかもしれないけれど、
こともあろうに、藤二が開き直ってしまったのがイケない。
その藤二の態度に逆上した海斗は…誰にも止められない状態になってしまった、と。
何ともくだらない原因だが、海斗はマジギレだ。
やめなさいと言っても、聞かないであろう。
海斗は、アリスたちに "審判" を命じた。
どっちが勝つか・負けるか、証人として見ていて欲しいのだそうだ。
「んー?猫さんたちが良いなら、いいよ。僕は」
「退屈だったしね、丁度」
「乗りかかった船だ。しゃぁない、つきあっちゃる」
仕方ないな、と審判を引き受ける三人。
可愛らしい三人の審判の前で、壮絶なるバトルを展開する海斗と藤二。
どちらの魔法も強力だ。海斗は少し荒削りな感じもするけれど。
藤二は、落ち着いて対処している。
何ていうか…この二人、今日始めてバトルしたという感じではない。
普段は兄弟のように仲が良いけれど、
きっとくだらないことで、こうして今までも何度か衝突しているのだろう。
「あははは。凄いね、二人とも。展開が早い早い」
楽しそうに笑いつつ観戦している雪穂。
タイプは違えど、彼女も魔術師だ。
二人の戦いは、見ていて面白い。
その隣でアリスは、ぐてーんと寝そべり、
ガムを噛みながら、ボーッと観戦している。
更に、その隣には、膝の上に救急箱を乗せて、
ニコニコと微笑みつつ観戦している夏穂。
夏穂は、巻き添えをくわないように…と三人に防護魔法を張っている。
だが、激しくヒートアップしている海斗と藤二のバトルの飛び火は、
その防護魔法を、いとも容易く貫いてしまう。
バフッ―
突風がアリスたちを襲う。
うわっぷ…と何とか堪えた三人だが、
アリスはポロッとフードが取れてしまい、
雪穂は髪がぐちゃぐちゃに、夏穂は、コローンと転がってしまった。
すぐさまフードを被り直し、転がった夏穂を起こしつつムカムカしているアリス。
微笑んではいるものの、さすがに雪穂もムカッときているらしく、
どれにしようかな〜?とスペルカードを並べている。
ご立腹な二人を宥めつつ、不安になる夏穂。
(薬と包帯…足りるかしら?)
*
「ごめんなさい、って言え。はぁ…はぁ…」
「…はぁ、はぁ。わかった、わかったから。離せ」
「言わないと離さねー」
「わかったって。…ごめん。もう勝手に食わないから」
藤二の背中に乗ったまま、ニッと笑う海斗。
壮絶なバトルの決着。勝者は、海斗。
てっきり藤二が勝つものだと思っていたが、
海斗の怒りは、予想以上に凄まじいものだった。
はじめは互角…な感じで戦っていたのに、次第に海斗が押して。
最終的には、藤二は防戦一方になってしまって…敗北。
元はといえば、勝手に食べた自分が悪い。
そうは思っていたけれど、キレられてついムキになってしまった。
大人げないことをしたな、と反省した藤二は、素直に謝った。
「人騒がせだよな、ほんっと、お前らは」
ぺしぺしっと海斗と藤二の頭を叩いて苦笑するアリス。
「面白かったよ〜。意外とねぇ」
日傘の下で、クスクスと笑う雪穂。
「あ、ちょっと動かないで…」
夏穂は、怪我をした海斗と藤二の手当てをしている。
せっせ、せっせと手当てをする夏穂。
主をまたもや危険な目に遭わせ、
しかも主に手当てをしてもらっているとは。
抑えてきた怒りがポンと爆発し、
夏穂の護獣、蒼馬と空馬は、揃って海斗と藤二に飛び掛った。
「うぉぁーーーー!」
「痛い痛い痛い痛いっ……」
身を屈めて、二匹の攻撃に苦笑する海斗と藤二。
「もぅ…手当てしてる途中なのに…」
包帯を持ちつつクスッと笑う夏穂。
「とぉぜんの報いだろ」
「罰だねぇ、罰」
ガムをぷぅ〜と膨らませて苦笑するアリスと、
うんうん、と頷き微笑んでいる雪穂。
今日も、平和だねぇ…。
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■■■■■ CAST ■■■■■■■■■■■■■
7420 / 猫目・アリス (ねこめ・ー) / ♀ / 13歳 / クラッカー+何でも屋+学生
7192 / 白樺・雪穂 (しらかば・ゆきほ) / ♀ / 12歳 / 学生・専門魔術師
7182 / 白樺・夏穂 (しらかば・なつほ) / ♀ / 12歳 / 学生・スナイパー
NPC / 黒崎・海斗 (くろさき・かいと) / ♂ / 19歳 / INNOCENCE:エージェント
NPC / 赤坂・藤二 (あかさか・とうじ) / ♂ / 30歳 / INNOCENCE:エージェント
■■■■■ THANKS ■■■■■■■■■■■
こんにちは! 毎度さまです! ('∀'*)ノ
ゲームノベル ”INNOCENCE” への参加・発注ありがとうございます〜!
気に入って頂ければ幸いです。 是非また、御参加下さいませ。
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2008.05.23 / 櫻井 くろ (Kuro Sakurai)
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