■INNOCENCE / 喧嘩の末に (限定受注)■
藤森イズノ |
【0086】【シュライン・エマ】【翻訳家&幽霊作家+草間興信所事務員】 |
「ムッかつく!表出ろっ!」
「いい度胸だな」
何やら大騒ぎしている海斗と藤二。
表に出ろ、とどこぞの不良のような台詞を吐く海斗と、
それに対して不敵な笑みを浮かべている藤二。
ささいなことで喧嘩してしまった二人。
そんなくだらないことで…と呆れてしまうものだが、二人にとっては大問題。
キレた二人は、誰にも止められない。
普段は実の兄弟のように仲が良いのに…。
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INNOCENCE // 喧嘩の末に
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OPENING
「ムッかつく!表出ろっ!」
「いい度胸だな」
何やら大騒ぎしている海斗と藤二。
表に出ろ、とどこぞの不良のような台詞を吐く海斗と、
それに対して不敵な笑みを浮かべている藤二。
ささいなことで喧嘩してしまった二人。
そんなくだらないことで…と呆れてしまうものだが、二人にとっては大問題。
キレた二人は、誰にも止められない。
普段は実の兄弟のように仲が良いのに…。
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(ふふん、ふん…♪)
鼻歌しつつ、手作りお菓子を差し入れに、イノセンス本部にやって来たシュライン。
今日のオレンジケーキは、すっごいわよ。格別。
武彦さんたちも、うっとりしちゃったんだから。
皆にも食べてもらいたくて。作ってきちゃった、ふふふ。
喜ぶ顔を思い浮かべつつ、扉を開けて中に入ろうとしたときだった。
何やら…裏手から、ものすごい音が。
風のような、何かが燃え盛っているような…?
何かあったのかしら、とパタパタ本部裏へ向かうシュライン。
ヒョコッと顔を出して、なるほど納得。
炎と風…ね、うん、確かに。
そこでは、海斗と藤二が魔法のぶつけ合いをしていた。
じゃれあってるとか、腕試しをしてるとか、そんな感じではなさそう。
だって二人とも…ものすごい真剣な顔してるもの。
海斗と藤二を見やりつつ、ハラハラしている梨乃がいる。
シュラインはパタパタと近寄り、事情を聞いた。
「何事?」
「あ、シュラインさん。いえ…くだらないことなんですよ」
「喧嘩…よね?これ」
「はい。プリンの所為で…」
「プリン?」
事情を聞いて、呆れ笑うことしかできないシュライン。
喧嘩の理由・原因は、海斗のプリン。
大事にとっておいたプリンを、藤二が勝手に食べてしまったらしい。
「食べ物の恨みは怖いものねぇ…」
「うぅ…何言っても聞かないんですよ、二人とも」
「うーん。困ったわねぇ」
苦笑しつつ、辺りを見回して、ふぅ…と息を吐くシュライン。
食べたなら食べたで、素直に謝るとか、
食べたなら新しいのを買えって強請ってみるとか。
いくらでも解決策はあったと思うのね。
でも、無理だったんだろうなぁ。
逆上しちゃったのね、海斗くん。
それに挑発されて、藤二くんもムキになったとか。
そんなところなんだろうなぁ…。
それにしても…。
「二人とも、鬱憤溜まってたのかしら。派手よね…」
「そうなんですよ…そこが不安なんです」
「そうよね。私も、すごく思うわ。それ」
綺麗な森を、滅茶苦茶にしてしまうのではないか…。
二人の衝突そのものよりも、それによる被害のほうが心配なのよね。
やれやれ…と肩を竦めるシュライン。
そんなシュラインに気付いた海斗は、
炎を両手に灯しつつ、大声で叫んだ。
「シュライン、審判やって!!!」
「へ?私っ?」
「どっちが勝つか…ちゃんと見ててよ!!!」
「……はいはい」
審判に任命され、苦笑しつつそれを承諾するシュライン。
海斗と藤二のバトルは、凄まじい。
一発、互いに魔法を放つたび、森全体が揺れているような。
鳥達も驚いて、バサバサと飛んでいってしまう。
いつまでも決着がつかなそうな雰囲気…。
二人とも、全力でぶつかり合うと、ほぼ互角って感じなのね。
んー。微妙に海斗くんが押してるような気もするかな。
怒りの度合いが、そう思わせるのかしら。
梨乃と並んで展開を見守るシュライン。
陽も落ちてきて…空は橙色に染まっている。
いつまで続くのかしら、これ。
私、そろそろ戻って夕食の支度しないとならないのに…。
はふぅ、と息を吐いた瞬間。
一際大きく、森が揺れる。
ぶつかりあった炎と風は、互いのフルパワー。
せめぎ合う炎と風。
やがて、それらは相殺し合い、パァンと弾けて消える。
「わ。ビックリした……」
目を丸くしたシュライン。
次の瞬間、シュラインは更に目を丸くする。
対峙している海斗と藤二が…セミヌードになっていたからだ。
互いの魔法の残風のようなものを浴びたことで、
服をズバーッと持っていかれてしまったのだろう。
セミヌードだというのに、
海斗と藤二は依然、神妙な面持ちで睨み合っている。
とりゃー!と、またも互いに魔法を放つ二人。
これは、まだまだ終わりそうにないわね。
そう判断したシュラインは、とりあえず二人の着替えを持ってこよう?と、
梨乃を連れて、本部内へ戻ろうとした…のだが。
背後に感じる、むわっと…熱風?
クルリと振り返った直後、シュラインと梨乃は熱風に包まれた。
「きゃぁぁぁぁぁ!?」
流れ弾ならぬ、流れ魔法。
とんだとばっちりを受けてしまった。
幸い、体に痛みはない。その辺りは良かった。
けれど…シュラインと梨乃も、露わな格好になってしまっている。
海斗・藤二ほどではないが、服がボロボロに…下着が丸見えだ。
「おー!?」
「おぉ…!」
馬鹿である。揃って攻撃を止め、釘付けになる海斗と藤二。
怒りは何処へやら。すっかり、鼻の下を伸ばしている二人。
「ばかー!!」
わーわーと喚きたてる梨乃。
シュラインはキッと海斗・藤二を睨みつけると、チクりを入れる。
携帯の向こうにいる武彦へと……。
とんだ災難である。
この後、シュラインの「酷いことされた」という報告を聞いて、
駆けつけた武彦に、海斗・藤二の両名は、こっぴどく叱られ、成敗されることとなる。
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■■■■■ CAST ■■■■■■■■■■■■■
0086 / シュライン・エマ / ♀ / 26歳 / 翻訳家&幽霊作家+草間興信所事務員
NPC / 黒崎・海斗 (くろさき・かいと) / ♂ / 19歳 / INNOCENCE:エージェント
NPC / 白尾・梨乃 (しらお・りの) / ♀ / 18歳 / INNOCENCE:エージェント
NPC / 赤坂・藤二 (あかさか・とうじ) / ♂ / 30歳 / INNOCENCE:エージェント
■■■■■ THANKS ■■■■■■■■■■■
こんにちは! 毎度さまです! (' '*)ノ
ゲームノベル ”INNOCENCE” への参加・発注ありがとうございます。
気に入って頂ければ幸いです。 是非また、御参加下さいませ。
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2008.05.24 / 櫻井 くろ (Kuro Sakurai)
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