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■INNOCENCE / 秘蔵のワイン (限定受注)■

藤森イズノ
【7433】【白月・蓮】【退魔師】
「ふむ…良い香りじゃなぁ」
倉庫から出してきた秘蔵のワインを香りつつ嬉しそうに微笑むマスター。
魔法をかけて寝かせておいたものらしく、かなりキツいワインらしい。
今宵は月が綺麗…ということで、
皆で頂こうと、マスターはウキウキしつつ倉庫からワインを出してきた。
本部内を漂う林檎の香り。
その充満さに、何となく、キツそうだということは把握できる。
さぁ、今夜は無礼講。思いっきり楽しんで、酔っ払って。
素敵な夜を過ごしちゃいましょう。
INNOCENCE // 秘蔵のワイン

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OPENING

「ふむ…良い香りじゃなぁ」
倉庫から出してきた秘蔵のワインを香りつつ嬉しそうに微笑むマスター。
魔法をかけて寝かせておいたものらしく、かなりキツいワインらしい。
今宵は月が綺麗…ということで、
皆で頂こうと、マスターはウキウキしつつ倉庫からワインを出してきた。
本部内を漂う林檎の香り。
その充満さに、何となく、キツそうだということは把握できる。
さぁ、今夜は無礼講。思いっきり楽しんで、酔っ払って。
素敵な夜を過ごしちゃいましょう。

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「苦っ…!」
ぶぇぇぇーとワインを吐き出してしまう海斗。
汚いっと叱りつつも、梨乃は後始末をしている。
マスターが倉庫から出してきた、秘蔵のワイン。
林檎のワインで、とても良い香り。
けれど海斗には、まだ早かったようで。
舌で蕩けるような…この絶妙な感覚。
久しぶりだな、こんなに良いワインを口にするのは。
コクコクとワインを味わいつつ微笑む蓮。
中庭では、エージェント達が、こぞってワインを楽しんでいる。
だが…このワイン、かなりキツい。
飲んだ直後は滑らかで、さっぱりしているんだけど、
数秒後…クラッと眩暈が襲ってくる。
その為、一気飲みなんて出来やしない…はずなんだけど。
無礼講じゃ!無礼講じゃ!と大盛り上がりのエージェント達は、
浴びるようにワインを飲んで、次々と倒れていく。
後先考えない…何とも御馬鹿さんな奴等だ。
まぁ、楽しむときは思いっきり。
ハメを外せるときは、躊躇なく外す。
そんな、ありのままの生き方は…素敵だとも思う。
「ぶっふぉっふぉっ。皆、だらしないのぅ〜」
一人だけ、余裕しゃくしゃくなマスター。
次々と倒れていくエージェント達を情けないと笑う。
現に、かなりの酒豪である藤二と千華もバッタリ倒れている。
海斗は唸っているし、浩太はもちろん…すっかり夢の中。
かくいう蓮も、ちょっとフラついている。
彼等のように後先考えず、ガブガブとは飲まず、
ゆっくりと、ちびちびと楽しんでいた。
けれど、それでも、この眩暈。
寝酒には最高かもしれないね…。
ふぅ、と座って息を吐く蓮。
見やれば、梨乃は、あれこれと世話を焼いている。
グッタリしているエージェントに水を飲ませたり、
そこらへんで寝ているエージェントにブランケットをかけたり。
本当…気の利くコだよなぁ…などと感心していると。
「…う」
ペタン、と座り込んでしまう梨乃。
そりゃあ、そうだ。
彼女も何だかんだで付き合わされ、ワインを口にしているのだから。
その上で、あれだけパタパタと動き回っては…。酒が回るのも早い。
「大丈夫かい?」
よっ、と梨乃を抱き上げて言う蓮。
多少フラつくが…何とか、イケそうだ。
う〜…とうなる梨乃を、蓮は部屋へと運ぶ。
そこらへんに寝かせても良いかもしれないけど…。
風邪、治ったばかりだしね。
暖かくなったとはいえ、夜風はまだ少し冷たいから。

*

「はい、到着ですよ。お姫様…っと」
「すみません…ありがとございます…」
ベッドに横たわり、ちょっとぎこちなく感謝を述べる梨乃。
意識はあるようだが、朦朧としているようだ。
見つめる眼差しの、甘さといったら…。
あ〜駄目駄目。そんな目で見つめちゃ。
キツいよ。ねぇ、俺だって…男なんだからさ。
髪に触れ、頭を撫でようとしたが、止めた。
触れてしまったら、止まらなくなりそうだから。
さすがに、酔った勢いで…っていうのはね。
気が引けるし、無意味だと思うんだ。
覚えてないけど…とか、そういうの嫌だしね。
想いを重ね合うのなら、ちゃんと言葉を交わして。
お互い求め合って。そうじゃないと、意味がない。
気持ちよくもないし、満たされもしないからね。
あぁ…駄目だ。大したことないと思ってたんだけど、結構キてるな。俺も。
微妙にフラつきつつ、このままここにいては、
タブーを犯してしまうというか…後々、後悔しそうだということで、
部屋を立ち去ろうとした蓮。
だが梨乃の放つ"問い"が、蓮の歩みを止める。
「蓮さん。私のこと、好きですか…?」
「………」
ピタリと立ち止まり、淡く微笑み振り返る蓮。
「ん?何?もう一回」
ちゃんと聞こえていたくせに。
蓮は、もう一度…と梨乃に言った。
ベッドの上、ちょこんと座る梨乃は、それに素直に応じる。
「私のこと、好きですか…?」
酔っている。うん、間違いなく酔っている。
トロンとした目で問う梨乃は、妙に色っぽい。
あ〜…駄目だよ。駄目だって。
そんな顔で、そんなこと聞いちゃ。
酔ってるとはいえ…キミは、困ったコだね、本当に。
などと呆れはするものの、アンバランス。
気持ちとは裏腹に、梨乃へと歩み寄っている自分がいる。
梨乃の隣にストンと座り、彼女の髪を撫でながら。
蓮は、淡く微笑み"問い"に答えた。
「ふふ…もちろん。もちろん好きだよ。梨乃ちゃんは?」
「……はい?」
「梨乃ちゃんは、俺のこと、どう思ってるのかな?」
「私は……」
じーっと蓮の目を見つめて考える梨乃。
意識が朦朧としている為、とても冷静に考えられる状態ではない。
けれど、虚ろな意識の中。梨乃は答えを見出す。
その問いに、返す言葉は。
「好きです。大好きです…」

お望みどおり、想いを交わしたよ。
だから、良いと思うんだ。何も躊躇うことはない。
好きだ、って互いに認めたんだよ。これ以上、何を望むの?
横たわらせ、一つ一つ。
梨乃のシャツのボタンを外してはいくものの。
何だろう。この戸惑いは。
何故か、しっくりこないんだ。
よく、わからないんだけど………。
抱く違和感は、酔っているから。
確かに想いを交わしはしたけれど、それは酔った勢いだから。
簡単なことなのに、理解できないまま。
蓮は気付いていない。己も意識が朦朧としていることに。

*

「ん……」
ぽやっと目を開ける梨乃。
眩しい日差し…もう、すっかり朝だ。
あれ…私、いつの間に部屋に戻ってきたんだろう?
昨日は、マスターが倉庫からワインを出してきて、
それを皆で、中庭で騒ぎながら味わい楽しんで。
そう、海斗が吐いたりして…それを片付けて。
それから…それから…それから、どうしたっけ…?
首を傾げる梨乃。それと同時に、
トン、と…指が何かに触れた。
ん?と見やれば。隣には蓮。
「………。……!………!?」
ボーッと呆け、次に我に返って驚き慌てて、
そして最終的には、はだけた自分の胸元を見て大混乱。
「なっ、なっ……きゃぁ!」
ドサッ―
あたふたした結果、ベッドから転落してしまう梨乃。
その音で、蓮も目を覚ます。
「うん…?あれ…梨乃ちゃん。…おはよ」
ぼーっとしつつ、ニコリと微笑み朝の挨拶を告げる蓮。
梨乃は真っ赤な状態のまま、身動きがとれないでいる。
戸惑う梨乃と同じように、蓮も首を傾げる。
胸元はだけてる…セクシーだねぇ。
でも、何でまた、そんなセクシーな格好なの?
もしかして、逆に襲おうとかしてた?
そうだったら…嬉しいなぁ。もう少し、寝てれば良かったね。
はだけさせた張本人だというのに。
蓮は、覚えていないようだ。
どういうことですか?と問われても、何のことだか、さっぱり…。
目覚めれば隣には好きな人。
はだけた胸元、欠乏した記憶。
埋めることのできないそれに、蓮と梨乃は思う。
(もしかして…いや、まさか。そんな、ね……?)
不安になるのも無理はない。
けれど、大丈夫。何事もなかったよ。
あのまま、二人は同時に眠ってしまったから。
と言っても…それを信じられるかは別な話なわけで。
どちらかの記憶が僅かにでも埋まれば、
すぐさま、不要な心配だと笑うことができるけど。
しばらくは、二人揃って…首を傾げることになりそうだ。

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■■■■■ CAST ■■■■■■■■■■■■■

7433 / 白月・蓮 (しらつき・れん) / ♂ / 21歳 / 退魔師
NPC / 白尾・梨乃 (しらお・りの) / ♀ / 18歳 / INNOCENCE:エージェント

■■■■■ THANKS ■■■■■■■■■■■

こんにちは! 毎度様です! (o・∀・o) ニヤニヤが止まりません。
気に入って頂ければ幸いです。 是非また、御参加下さいませ!

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2008.05.22 / 櫻井 くろ (Kuro Sakurai)
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