■INNOCENCE / 秘蔵のワイン (限定受注)■
藤森イズノ |
【0086】【シュライン・エマ】【翻訳家&幽霊作家+草間興信所事務員】 |
「ふむ…良い香りじゃなぁ」
倉庫から出してきた秘蔵のワインを香りつつ嬉しそうに微笑むマスター。
魔法をかけて寝かせておいたものらしく、かなりキツいワインらしい。
今宵は月が綺麗…ということで、
皆で頂こうと、マスターはウキウキしつつ倉庫からワインを出してきた。
本部内を漂う林檎の香り。
その充満さに、何となく、キツそうだということは把握できる。
さぁ、今夜は無礼講。思いっきり楽しんで、酔っ払って。
素敵な夜を過ごしちゃいましょう。
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INNOCENCE // 秘蔵のワイン
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OPENING
「ふむ…良い香りじゃなぁ」
倉庫から出してきた秘蔵のワインを香りつつ嬉しそうに微笑むマスター。
魔法をかけて寝かせておいたものらしく、かなりキツいワインらしい。
今宵は月が綺麗…ということで、
皆で頂こうと、マスターはウキウキしつつ倉庫からワインを出してきた。
本部内を漂う林檎の香り。
その充満さに、何となく、キツそうだということは把握できる。
さぁ、今夜は無礼講。思いっきり楽しんで、酔っ払って。
素敵な夜を過ごしちゃいましょう。
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「うぷ…。食いすぎたな…さすがに」
「もぉ…加減をしらないんだから。腹八分よ、腹八分」
「んなこと言ったってなぁ、お前…あの美味さは反則だろぉが」
「ん〜。まぁ、確かにね。…ふふ、美味しかったね」
並んで歩くシュラインとディテクター。
二人は、リニューアルオープンした定食屋で昼食をとった帰り。
とはいえ、時刻はもう十六時だから…昼食というには微妙なところ。
一新されたメニューは、どれも美味そのもの。
リニューアル前から、この定食屋の味を気に入っていたディテクターは、
後先考えずに、次々と料理を口に運んだ。
その結果、胃もたれしている、と。そういうわけだ。
RRRRR―
「ん。あら。藤二くんからだわ」
携帯を取り出して、何の用かしらね?と首を傾げるシュライン。
「どうせ、またアレだろ。麻雀だろ…最近しつこいからな、あいつ…」
げふ、と一つゲップをして苦笑するディテクター。
だが、そうではなかった。
電話を取り、どうしたの?とシュラインが尋ねれば、
何でも今、本部でワインパーティを催しているそうで。
マスターの秘蔵ワイン…らしい。かなり魅力的な響きでは、ある。
けれど、この状態じゃぁねぇ…と思い、断りを入れようとしたシュライン。
だがディテクターは「行くぞ」と言って、シュラインの手を掴んだ。
「だ、大丈夫なの?」
「酒は別腹だ」
「…知らないからね、具合悪くなっても」
*
イノセンス本部中庭。
「お〜お〜。盛り上がってるなぁ…」
「いつでも元気よねぇ。ここの皆は」
中庭は、どんちゃん騒ぎ。無法地帯ともいえる。
噂の秘蔵ワインを飲んで、ハイになっているのだろう。
というか、イノセンスの面々は揃って元々がハイだ。
そんな彼等が更にハイになれば…こうなってしまうのは明らか。
「おひょー!来たにゃー!おら、飲め、おみゃーらもー!」
突如、どこからか湧いてズィッとワインを突き出してくる海斗。
すさまじく呂律が回っていない。目も変だし…完全に酔っ払ってるな。
苦笑しつつ、パシッとワインを受け取り、グビッと飲むディテクター。
あぁ…そんな、ラッパ飲みなんてしたら……。
「ぐぼぁ…」
ドサァッと、その場に倒れこんでしまうディテクター。
「た、探偵さんっ!?」
慌てて抱き起こしてみるものの…目が変だ。
焦点が合ってない上にヘラヘラと笑っている。
ど、どんなワインよ…苦笑しつつ、ちょっとだけ飲んでみるシュライン。
(…これは。反則ね)
ワインは、凄まじくキツいものだった。
飲んだ直後は、すごく甘い。けれど、数秒後、クラッと眩暈が。
ほんの少し舐めただけで、この眩暈だ。
ラッパ飲みしたディテクターは、倒れて当然である。
中庭には、彼のように倒れている者がわんさか。
そこらじゅうに転がって、キャッキャと笑っている。
何だかな…怖いわ、この光景。
シュラインは苦笑しつつ、ディテクターを運ぶ。
とりあえず、客室へ。あったわよね、確か…客室。
バッタバタと倒れているエージェント達を踏まないように…。
シュラインは、すれ違いざまにマスターに一礼をし、
ディテクターを客室へと運んでいく。
「げふ……」
何、げっぷ?それとも…吐くの?
不安気に見守るシュライン。
ディテクターは目を伏せ、は〜と息を吐きつつ、夜風を頬に受けて心地よさそうな顔。
…ビックリした。クスッと笑ってシュラインは尋ねる。
「ね。お水飲む?」
だが、ディテクターから返事はない。
クルッと振り返ってみれば…手招きしている。
いつから手招きしてたんだろう…と笑いつつ、
仰せのままに、と歩み寄るシュライン。
するとディテクターはシュラインの腕を引いて…。
ストン、と自分の膝の上にシュラインを乗っけた。
「も〜…。大丈夫?」
クスクス笑って前屈みになり、彼の靴を脱がせるシュライン。
本当にもう。だから止めておいたほうが…って言ったのよ。
まぁ、あそこまでキツいものだとは思ってなかったけど、私も。
「武彦さん、ちょっと足、上げて…って、わぁ…」
のそっ…とシュラインの背中に覆い被さってくるディテクター。
うぅ、重い。っていうか、武彦さん、耳に息が…。
酔っているからか、少し乱れている荒い呼吸。
耳にかかる、甘い息。シュラインは、ゾクゾク…。
って…んもぅ、駄目っ。そこ、駄目っ。
「重い〜。重いってばぁ〜〜」
身を捩って、じたばた足掻くシュライン。
ポィポィと投げやる、ディテクターの靴。
自分の靴も、ぬぎぬぎして…ポィッ。
柔らかいソファの上、シュラインはディテクターに凭れかかる。
サングラスをそっと外せば、可愛い目。トロンとしてる。
首後ろで手を組んで…ちょっと悪戯に微笑んでみたりして。
「ごしゅじんさまは、何をお望み?」
なぁんて…や〜ね。私も、ちょっとお酒回ってきたみたい。
クスクス笑うシュライン。
ディテクターは、目を細めてハハハッと笑うと、
そのままシュラインを押しつぶすかのように覆い被さった。
お酒のせいかな、ドキドキ…元気な鼓動。
重なり合う鼓動だとか、この重みだとか。
そういうもの、すべてが愛しく思えるのは。
あなたが相手だからね。
ねぇ、武彦さん。明日になったら、忘れてるかな?
二人で、こうして…甘い眠りにおちたこと。
*
「写真撮っとこーぜ」
カシャリ―
「お前…あとで文句言われても知らねぇぞ?」
「いいんだよ。使えそーだろ。あいつの弱点掴んだり!だぜ」
「ちっさいなぁ。お前の行いは、ほんと…ちっさいよ」
「うるせー。ジワジワとダメージを与えていくんだよ、俺は」
「その戦法…。お前、似合わなさ過ぎだよ」
「あーもう、うっさいなー」
ギャースカじゃれあう海斗と藤二。
海斗が撮ったのは、客室ソファに埋もれるようにして、
仲良く眠るシュラインとディテクターの寝顔。
すぐ傍で、ギャーギャー騒いでいるのに。
二人はまだ、目を覚まさない。
手を繋ぎ眠る二人は、夢の中でも一緒…かな。
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■■■■■ CAST ■■■■■■■■■■■■■
0086 / シュライン・エマ / ♀ / 26歳 / 翻訳家&幽霊作家+草間興信所事務員
NPC / 黒崎・海斗 (くろさき・かいと) / ♂ / 19歳 / INNOCENCE:エージェント
NPC / 赤坂・藤二 (あかさか・とうじ) / ♂ / 30歳 / INNOCENCE:エージェント
NPC / ディテクター(草間・武彦) / ♂ / 30歳 / IO2:エージェント(草間興信所の所長)
■■■■■ THANKS ■■■■■■■■■■■
こんにちは! 毎度様です! ヽ(´▽`)/
気に入って頂ければ幸いです。 是非また、御参加下さいませ!
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2008.05.26 / 櫻井 くろ (Kuro Sakurai)
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