コミュニティトップへ




■INNOCENCE / 秘蔵のワイン (限定受注)■

藤森イズノ
【7403】【黒城・凍夜】【何でも屋・暗黒魔術師】
「ふむ…良い香りじゃなぁ」
倉庫から出してきた秘蔵のワインを香りつつ嬉しそうに微笑むマスター。
魔法をかけて寝かせておいたものらしく、かなりキツいワインらしい。
今宵は月が綺麗…ということで、
皆で頂こうと、マスターはウキウキしつつ倉庫からワインを出してきた。
本部内を漂う林檎の香り。
その充満さに、何となく、キツそうだということは把握できる。
さぁ、今夜は無礼講。思いっきり楽しんで、酔っ払って。
素敵な夜を過ごしちゃいましょう。
INNOCENCE // 秘蔵のワイン

------------------------------------------------------

OPENING

「ふむ…良い香りじゃなぁ」
倉庫から出してきた秘蔵のワインを香りつつ嬉しそうに微笑むマスター。
魔法をかけて寝かせておいたものらしく、かなりキツいワインらしい。
今宵は月が綺麗…ということで、
皆で頂こうと、マスターはウキウキしつつ倉庫からワインを出してきた。
本部内を漂う林檎の香り。
その充満さに、何となく、キツそうだということは把握できる。
さぁ、今夜は無礼講。思いっきり楽しんで、酔っ払って。
素敵な夜を過ごしちゃいましょう。

------------------------------------------------------

マスターが倉庫から出してきた秘蔵のワイン。
それを味わい、楽しむエージェント達。
わいわいと賑やかな本部中庭。
偶々フラリと本部に立ち寄った凍夜は、
パーティだから、と千華に無理矢理引っ張ってこられて参加することになった。
秘蔵というから、どんなものなのか…と思い飲んでみれば、
なるほど…これは、確かに美味い。
舌で蕩けるような…何とも言いがたい絶妙な味だ。
「これは…うん、確かに美味いな」
「だろ?マスターの秘蔵だからな」
「何年ものなのかしらね…」
少しずつワインを味わいながら談笑する、凍夜・藤二・千華。
美味いのだが。うん、確かに美味いのだが…。
このワイン、かなりキツい。
林檎のワインということで甘い香りで、
舌に乗った瞬間、さわやかな香りが鼻を抜ける為、
ついついジュースのようにガブガブといってしまいそうになる。
けれど、そんなことをしようものなら…。
即座にバタリと倒れてしまうだろう。
一口飲んで、美味いけど危険だと判断した大人組は、
適度に…ゆっくりと味わうことで、心から楽しむことができる。
けれど………。
「とーりゃぁぁぁぁぁぁっ!」
「なんのっ!!」
「ふ。なかなかヤルな!だが、これなら、どーだっ!」
「なっ!そんな大技を隠し持っていたとは!不覚っっ…!」
「ふははははー!覚悟しろーぃ!」
「うわぁぁぁぁー!」
やかましい。激しく、やかましい。
獣戦士"グルッカード"ごっこをしているのは…海斗と浩太だ。
まぁ、海斗がやかましいのはいつものことだが、
浩太まで一緒になってギャーギャーと騒いでいるのは珍しい。
どうしてまた、そんなに弾けているのか。答えは簡単だ。
酔っ払っているから。
ワインの味わい方・楽しみ方なんて、わかりゃしない。
故に、海斗や浩太、子供組は、ハイペースでワインを飲んだ。
それこそ、林檎ジュースを飲むかのように、ゴクゴクと。
中庭では、ほとんどのエージェントが、
そこらへんに転がってザコ寝している状態だ。
クルリと辺りを見回し、妙な光景に苦笑する凍夜。
「…大惨事だな」
「っはは。こいつらには、ちょっと早すぎたみたいだなぁ」
「あらあら…みんな、可愛い寝顔して…」
ほろ酔いではあるものの意識がハッキリしている大人組。
そんな大人組へ、マスターは苦笑しつつ命じた。
「おぬしら。すまんが、こやつら運んでやってくれんか」
「へいへいっ、と」
「風邪ひいちゃうものね、こんなところに寝てちゃ」
呆れつつ、素直にマスターに従う藤二と千華。
とはいえ、ゴロゴロと転がっているエージェントの数は、半端なく多い。
全員を運ぶとなると…かなり時間が掛かりそうだ。
まぁ、だからといって、面倒だから…と断る気はない。
実際、この光景は凄まじく滑稽だ。
まるで、自分たちが一斉に討伐したかのようにも見える。
「よし……」
襟を緩め腕をまくって、俺も手伝うと藤二と千華に歩み寄る凍夜。
壮絶なるバトルを終えて、くた〜っとしている海斗を背中に背負いつつ、
藤二はチラッと…とある人物を見やった。
藤二が見やった先には…テーブルにつっぷして眠っている梨乃。
あれこれと世話を焼いていた為、大丈夫そうだな?と思っていたが、
やはり、キツかったようだ。梨乃は、トロンとした目で、うとうとしている。
お前は、梨乃を運んでやりなさい。
そういう視線で見られ、断れるはずもなく。
凍夜は、やれやれ…と溜息を落として梨乃の元へ。
「…梨乃。部屋で休め」
「ふにゃ?あー…はい…そうですね」
ゆっくりと立ち上がる梨乃。
凄まじく…動作がトロい。
本人は急いでいるつもりのようだが。
(…ったく)
苦笑し、ヒョィッと梨乃を抱きかかえて歩き出す凍夜。
いつもの梨乃なら過剰に照れて、
下ろしてください〜とジタバタするだろうが、さすがに今は…。
「う〜……」
おとなしく凍夜に抱かれている。何か、唸ってるけど…。

*

「お前…かなり飲んだな」
「はい〜……」
ソファに、くたっと凭れて笑う梨乃。
はい〜じゃないだろ…まったく。
ちょっと目を離した隙に…。
まぁ、海斗と浩太に付き合ったとか、そんなところなんだろうけど。
知らないからな。明日二日酔いでくたばっても…。
呆れ笑いを浮かべつつ、梨乃の膝にブランケットをかける凍夜。
「水、飲むか?」
「いらないですよー」
「…そうか」
気だるい口調、まるで海斗のようだ。
いつも礼儀正しく喋る梨乃と比べると…かなりギャップが。
ネタにして弄ったら面白いかもしれないけれど。
きっと、覚えていないから会話が成立しないだろうな。
そんなことを思い淡く笑いつつ、凍夜は部屋を去ろうとした。
と、そこで。梨乃が、去り行く凍夜の背中に、
一つの "問いかけ" を飛ばす。
「ね、凍夜さん…。私のこと…好きですか…?」
「…は?」
ピタリを足を止め、振り返って首を傾げる凍夜。
何だって?今、何て………。
聞き間違いかもしれない、俺も酔ってるのかなと苦笑する凍夜。
だが、梨乃と問いかけは、確かなもの。
「私のこと…好きですか…?」
首を傾げている凍夜に、梨乃は再度尋ねた。
聞き間違いじゃない。確かに、言った。尋ねた。
好きか…って、俺が?お前を…?
「…何でいきなり、そんなこと聞くんだ?」
酔っている梨乃が相手だというのに、真面目に返してしまう凍夜。
尋ねたのに、尋ね返された。
それが切ないのだろうか、梨乃は俯き、しょぼんとしている。
落ち込む梨乃を見て、凍夜が慌てないわけもなく。
「あ…いや、悪い。その、何ていうか、少し驚いて…」
頭を掻き、参ったな…という顔をしている凍夜。
そんな凍夜を、ジッと見つめる梨乃。
返答を…言葉を待っている。
適当に、はぐらかすことなんてできない。
そんな目で見られたら…。
意を決し、凍夜は小さな声で呟き出す。
「梨乃。俺は………お前のことが、す……」
パッと顔を上げ、言い終える、想いと答え。
「きだ…………って………」
拍子抜け。梨乃は、コテンと壁に凭れて、すやすやと眠っていた。
天使のような寝顔。小さな、可愛らしい寝息。
せっかく想いを伝えたのに、返したのに。
こんなオチ…?
照れて真っ赤になり、口元を大きな手で覆って。
凍夜は、ダッと逃げ出すように梨乃の部屋を飛び出した。
色んな意味で、いたたまれない。
っつぅか、何だよ、これ…耳が、熱い。
競歩のように、ザッザカ歩く凍夜。
そんな凍夜とすれ違う藤二と千華。
「お。凍夜、お疲れさん…って、おい?凍夜、前っ…」
ガスッ―
明らかなる前方不注意だ。壁に衝突し、額を打ち付けた凍夜。
「…いっ…てぇ」
きゅ〜っとしゃがんで、額を押さえる凍夜。
耳まで真っ赤に染めている凍夜を見て、藤二と千華はすぐに悟る。
(ははぁ…。何か、あったな…?)
顔を見合わせてニヤリと笑う二人。
じゃ…ゆっくりと、じっくりと聞かせてもらいましょうか。

------------------------------------------------------

■■■■■ CAST ■■■■■■■■■■■■■

7403 / 黒城・凍夜 (こくじょう・とうや) / ♂ / 23歳 / 退魔師・殺し屋・魔術師
NPC / 白尾・梨乃 (しらお・りの) / ♀ / 18歳 / INNOCENCE:エージェント
NPC / 赤坂・藤二 (あかさか・とうじ) / ♂ / 30歳 / INNOCENCE:エージェント
NPC / 青沢・千華 (あおさわ・ちか) / ♀ / 29歳 / INNOCENCE:エージェント
NPC / 黄田・浩太 (おうだ・こうた) / ♂ / 17歳 / INNOCENCE:エージェント
NPC / イノセンス・マスター / ♂ / ??歳 / INNOCENCE:マスター(ボス)

■■■■■ THANKS ■■■■■■■■■■■

こんにちは! 毎度様です! ヽ(´▽`)/
いつまでも初々しく。それが、凍夜さんクオリティ。だと思います(笑)
気に入って頂ければ幸いです。 是非また、御参加下さいませ!

-----------------------------------------------------
2008.05.23 / 櫻井 くろ (Kuro Sakurai)
-----------------------------------------------------