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■INNOCENCE / 擬似ウェディング (限定受注)■

藤森イズノ
【7433】【白月・蓮】【退魔師】
デザイナーとしての腕も確かな千華。
とあるショップから、ウェディングクローズの製作依頼。
女性用はドレス、男性用はタキシード。
どちらも純白で、所々にトライバル風の黒い模様。
斬新かつオシャレな完成作に、千華もご満悦だ。
「ん。良い感じ。後は…最終チェックね」
仕上がった衣装を見つつ、むぅ…と考える千華。
最終チェックは、いつも、自身で纏ってみて行う。
男性用の衣服の場合は、藤二に試着を頼む。
今回は…どうしようか。
せっかくだし、誰かに着てもらおうかな?
可愛らしいカップルにでも…。
INNOCENCE // 擬似ウェディング

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OPENING

デザイナーとしての腕も確かな千華。
とあるショップから、ウェディングクローズの製作依頼。
女性用はドレス、男性用はタキシード。
どちらも純白で、所々にトライバル風の黒い模様。
斬新かつオシャレな完成作に、千華もご満悦だ。
「ん。良い感じ。後は…最終チェックね」
仕上がった衣装を見つつ、むぅ…と考える千華。
最終チェックは、いつも、自身で纏ってみて行う。
男性用の衣服の場合は、藤二に試着を頼む。
今回は…どうしようか。
せっかくだし、誰かに着てもらおうかな?
可愛らしいカップルにでも…。

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紙袋を抱えて、歩くエントランス。
今日もイノセンス本部は賑やかだ。
うんうん、みんな元気そうだ。何よりだね。
買い物から戻ってきた蓮は、
いつもどおり、変わらぬ光景に安心と平和を覚えてニコニコ。
夜食と、お気に入りのカクテルを買い込んできたようだ。
今日は天気良いし、月も綺麗だと思うんだよね。
となれば…当然、晩酌でしょ。
ちょっと気が早いかもしれないけど。
春の月、綺麗だしねぇ。ついワクワクしちゃって。
梨乃ちゃんは勿論のこと、他の面子も誘って…。
皆でワイワイと…ふふ、楽しい夜になりそうだな。…ん?
エントランスからセントラルホールへ、
更に階段を上り、自室へと向かう途中。
カツコツとヒールの音を響かせて、歩いてくる千華の姿。
何だろう。何となくだけど…随分歩くのが早いような。
って、あれ?もしかして、俺?
俺に近付いてきてる?
千華は、ジッと蓮を見つめつつ、ツカツカと歩いてくる。
紙袋を抱えたまま、ニコリと微笑む蓮。
袋を持っていなければ、両手を広げてお迎え…しているかもしれない。
ピタリと目の前で立ち止まる千華。
「こんにちは、千華さん。今晩…」
一緒に、お酒でもどうですか?と言おうとしたとき、
千華は、ガシッと蓮の両肩を掴んだ。
うわ、びっくり。…そんな、こんなところでスキンシップですか?
千華さん、ようやく俺の気持ちに応えてくれるんですね。
待ってください、ちょっとコレ(紙袋)が邪魔なんで、置いてから…。
廊下にあるソファをチラリと見やり、紙袋を置こうと考える蓮。
そこへ、千華が少し声を張って "御願い" をした。
何のことはない。甘い御願いでもなければ、
蓮に対して、特別な感情が湧いたわけでもない。
作った服の試着。
千華は、それを真剣な表情で御願いした。
何だ…そういうことですか。期待して損した。
蓮は苦笑しつつも、良いですよ、どんな服ですか?と首を傾げた。

二階テラス…そこに、千華が作った服は置いてあった。
とても綺麗な…ウェディングクローズだ。
部屋には他の服がたくさんあってスペースがないから、と此処に運んできたらしい。
「へぇ…。相変わらず、器用ですね」
ドレスやタキシードに触れつつ感心する蓮。
斬新なデザインだ。すごくオシャレ。
要所要所に、千華独特の個性とセンスが光る。
で、蓮は…この、タキシードを着ることになるわけだが。
うーん、と少し考え、蓮は懐から携帯を取り出すと、
千華に、ちょっと待ってくださいと言って電話をかけた。
その、お相手は…。
「あ、梨乃ちゃん?仕事、終わった?」
『あ、はい。今ちょうど』
「お疲れさま」
『はい。お疲れ様です』
「あのさ、ちょっと急いで戻ってきてくれる?」
『何か、あったんですか?』
「うん。ちょっとね。二階のテラスで待ってるから」
『…?わかりました』
ふふ、と笑いパチンと携帯を閉じて振り返る蓮。
見やる、ウェディングドレスとタキシード。
せっかくだからさ…やってみようよ。擬似ウェディング。

*

仕事から戻ってきて、いそいそと二階テラスに上がってきた梨乃。
何よりもまず、驚いた。
そこには、タキシードにフロックコートを纏った蓮がいたから。
つい、ぽーっと見惚れて…じゃなくて。
「蓮さん、それ、どうしたんですか…?」
キョトンと首を傾げている梨乃。
そこへ、どこからともなく千華が現れて…梨乃を拉致る。
「きゃ!?ち、千華さん?な、何……」
拉致られた梨乃は、千華の部屋へ。
そして、可愛らしいウェディングドレスを着せられることになる。
「千華さん…これは…」
半ば無理矢理、着替えさせられつつ苦笑する梨乃。
千華は梨乃の髪を高い位置でキュッと結わえつつ微笑む。
「良い出来でしょ?」
「はい。それは、すごく思いますけど…」
「試着よ、試着」
「あの…でも…」
戸惑いつつも、着々と。梨乃は花嫁へと変貌していく。
結わえた髪に、白いガーベラ。その上へ、シルクのヴェールを。
純白のドレスはプリンセス仕様…ふわふわと、花のように揺れる。
恥ずかしそうに俯きつつ…千華に連れられて戻ってくる梨乃。
テラスにあるソファで待っていた蓮は、
スッと立ち上がり、淡く微笑んで言った。
「はは。すごい…。綺麗だよ、梨乃ちゃん」
「あ、ありがとうございます……」
褒められ、更に恥ずかしそうに俯く梨乃。
並ぶ、蓮と梨乃。何て可愛らしい新郎新婦。
きゃー素敵…と、うっとりしてしまう千華。
二階テラスは、一階のセントラルホールから丸見えだ。
その為、何だ何だ、何事だ?と、エージェント達が見やる。
階下から見上げている者もいれば、二階に上がってくる者も。
蓮と梨乃は、あっという間に取り囲まれてしまう。
騒ぎを聞きつけて、コツコツと杖をつきつつ、マスターもやって来た。
どこから見ても色男な蓮と、可愛らしい梨乃を見て、マスターは笑う。
「ふぉっふぉっ。こりゃあまた、めんこい(※可愛い)のぅ。どれ……」
サッと杖を振りかざすマスター。
すると、蓮と梨乃の周りに、ヒラヒラと…桃色の花弁が舞う。
「お……綺麗だね」
「わぁ……」
舞う花弁の中、微笑み合う蓮と梨乃。
様になる・絵になる光景に微笑み、マスターは更に粋な演出を。
ポン、と二人の前に魔法で指輪を出現させ、自身は、蓮と梨乃の間へ移動。
牧師役を、自ら買って出るマスター。
かなりノリノリの御様子だ。
マスターは、おほん…と一つ、咳をして二人に愛を尋ねる。
蓮は、ははっ…と笑い、素直に応じて一言「誓います」と。
梨乃は…戸惑っているようだが、この状況で言えぬわけもなく。
俯き、小さな声でどもりつつ言った。「ち、誓います…」
互いの薬指に交わす、愛と誓い。
指輪の交換を終えた二人に、マスターは言った。
「では、誓いの口付けを」
「…ふふ」
「えぇぇぇ…?」
何も、そこまで忠実に再現しなくても、と慌てる梨乃。
だが、この状況…。周りには大勢のエージェント、
階下からも、熱い視線が送られている。
まさにこれは、後に引けぬ状態…。
うぅ…と俯きモジモジする梨乃。
そんな梨乃に笑いつつ、蓮は梨乃を覆っているヴェールをゆっくりと上げた。
はっきりと見える梨乃の顔。綺麗な肌に、映える白。
純白の中、一つだけ、桃色に染まる、ふにふにのほっぺ。
(やばいね。とてつもなく可愛い)
クスクス笑い、蓮は梨乃を抱き寄せる。
「れ、蓮さん。あの、ちょっと待っ…」
ちょっとだけ。ちょっとだけ強引な誓いのキス。
重なり合う唇に、梨乃の頬は更にポッと桃色に染まる。
わーわーと騒ぎ立てるエージェント達。
指笛を吹いたり、ケラケラ笑ったり。
中には、どうしたことか、微妙に涙ぐんでいる女性エージェントもいる。
皆に祝福されて、結ばれる二人。
本部内に響く、魔法の鐘音。

*

「ふふ…良く撮れてるね」
自室の窓、緩やかな夜風を頬に笑う蓮。
蓮の手には、記念写真。
マスターが撮ってくれた、二人の思い出の写真。
チラチラと写真を見やりつつ、梨乃はちょこんと小さく座り恥ずかしそうな顔。
部屋で二人きり、甘いカクテルを交わす蓮と梨乃。
照れて真っ赤な梨乃の隣にストンと腰を下ろし、蓮は笑う。
「梨乃ちゃん、ずっと真っ赤だね」
「…す、すみません」
「はは。何で謝るの?」
「うぅ…」
「そういうとこもね、可愛いよ」
「え…」
ふ、と顔を上げれば、窓の外には銀の月。
月灯りを浴びて、キラキラと輝く蓮の黒い髪。
見惚れた、そう言って間違いないだろう。
抵抗することなく、蓮の口付けを受け止めたのだから。
カクテルより甘い時間。月の光を浴びて、クスクス笑う。
「このまま、初夜までいっちゃおうか…?」
僅かに離れた唇の隙間で囁く蓮。
「…だ、駄目です」
梨乃は、どもりつつも淡く笑い、蓮にキュッと抱きついた。
そんな…抱きついてきといて、駄目とか言うの?言っちゃうの?
キッついなぁ。ほんと…。
蓮は、ふふと笑い、梨乃の頭を撫でる。

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■■■■■ CAST ■■■■■■■■■■■■■

7433 / 白月・蓮 (しらつき・れん) / ♂ / 21歳 / 退魔師
NPC / 白尾・梨乃 (しらお・りの) / ♀ / 18歳 / INNOCENCE:エージェント
NPC / 青沢・千華 (あおさわ・ちか) / ♀ / 29歳 / INNOCENCE:エージェント
NPC / イノセンス・マスター / ♂ / ??歳 / INNOCENCE:マスター(ボス)

■■■■■ THANKS ■■■■■■■■■■■

こんにちは! おいでませ、毎度様です^^
またもや…すさまじく楽しんでしまいました。
甘く…ちょっとくすぐったい感じで…気に入って頂ければ幸いです。
すっかりラブラブですね。羨ましい(笑)是非また、御参加下さいませ…^^

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2008.05.24 / 櫻井 くろ (Kuro Sakurai)
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