■INNOCENCE / ライバル記念日 (限定受注)■
藤森イズノ |
【7433】【白月・蓮】【退魔師】 |
イノセンスとIO2。
双方が、互いをライバルだと認めたのは、いつからか。
時に競い、時に馴れ合い。重ねてきた時間は途方もなく。
出来うることなら、この先も。この良き関係が続きますように。
「っとによー。何してんの、あいつ」
「忙しいんじゃない?」
「違うね。どーせ寝坊とか、そんな感じだよ」
「そうかなぁ…」
「絶対そーだって。あーもー。早く来いやー。冷めるじゃねーかよー」
フォークとナイフを手に、待ちわびる海斗。
彼が待っているのは、IO2エージェントの…ディテクター。
今日は、特別な日。一年に一度の、特別な日。
毎年五月の第三日曜日は、
イノセンスとIO2の面々が一同に揃い、
ちょっとしたパーティを実施する。
双方が互いにライバルだと認め、
握手を交わした、特別な日。
このパーティも、何度目だろうか。
「おせー!マジおせー!腹減って死ぬー!」
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INNOCENCE // ライバル記念日
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OPENING
イノセンスとIO2。
双方が、互いをライバルだと認めたのは、いつからか。
時に競い、時に馴れ合い。重ねてきた時間は途方もなく。
出来うることなら、この先も。この良き関係が続きますように。
「っとによー。何してんの、あいつ」
「忙しいんじゃない?」
「違うね。どーせ寝坊とか、そんな感じだよ」
「そうかなぁ…」
「絶対そーだって。あーもー。早く来いやー。冷めるじゃねーかよー」
フォークとナイフを手に、待ちわびる海斗。
彼が待っているのは、IO2エージェントの…ディテクター。
今日は、特別な日。一年に一度の、特別な日。
毎年五月の第三日曜日は、
イノセンスとIO2の面々が一同に揃い、
ちょっとしたパーティを実施する。
双方が互いにライバルだと認め、
握手を交わした、特別な日。
このパーティも、何度目だろうか。
「おせー!マジおせー!腹減って死ぬー!」
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「もー我慢できない」
ばくばくばく…と料理を食べ始めてしまう海斗。
そんな海斗に呆れつつ、浩太はヤレヤレ…と肩を竦めている。
IO2のディテクターの合流が遅すぎる…ということで、
一行は先にパーティを開始し、楽しみつつ彼を待つことに。
海斗は、例によって料理にガッついており、
浩太は、その隣。海斗が食べすぎぬように見張りも兼ねて。
千華はIO2の知人エージェントとワイン片手に談笑中。
マスターは勿論、IO2のトップ層と、何やら難しい話をしている。
で、梨乃は…というと、IO2エージェントと意見交換中。
あの依頼は、その後どうなったんですか?とか、
こういう状況のときは、どうすべきですかね?とか。
マスターほどではないが、固っ苦しい話をしている。
(あ〜あ〜。相変わらず、マジメだねぇ…)
真剣に意見交換する梨乃を見つつ、苦笑している蓮。
手にはビール。どこぞの有名ビールらしく、これがまた美味い。
せっかくのパーティだってのに、あんなマジメな顔しちゃって…。
ま、そういうとこが梨乃ちゃんらしかったりもするんだけどさ。
あんなマジメなとこ、混ざっていけないしねぇ。
ふぅ…と息を吐き、辺りを見回す蓮。
パーティ会場には、数え切れぬほどの人。
双方のエージェントが、ほとんどフルメンバーということで、
はぐれたりしてしまうと、探すのが面倒そうだ。
こうして見ると、多いよね。メンバー。
実際に言葉を交わしたり、一緒に仕事したことがあるメンバーは少ないけど、
全体的に見ると…ほんと、数え切れないほどいるんだな。
ん〜〜〜まさに、よりどりみどり、だね。
蓮が見やっているのは、ほぼ…というか全て女性だ。
IO2の女性エージェントはもちろんのこと、
イノセンスの女性エージェントの中にも、話したことのないコはたくさんいる。
蓮はビール片手に微笑み、会場内の女性を物色している最中である。
と、そこへ声を掛けてくる男が。
「どうよ?イイ女、いるかい?」
「はは。い過ぎて、ちょっと困ってるとこかなぁ」
クスクス笑って顔を上げる蓮。
声をかけてきたのは、藤二。
お前は、どこぞのナンバーワンホストか…とばかりに、
藤二は両腕に女性エージェントを抱えている。
何だかな。ほんと、藤二は早いよね、色んな意味で。
見極める目っていうのかなぁ、そういうのが洗練されてるよね。
藤二が抱えている女性は、皆とびっきりの美女ばかり。
はずれは、一切ナシ。見事なものだ。
俺も、もう少し鍛えたら、
そのくらいの洗練した目を得られるのかなぁ、などと考えつつ、
グビッとビールを飲む蓮。
そんな蓮に、藤二を取り巻く女性の一人が大いに興味を持った。
「あはっ。このコ、可愛い」
ストン、と蓮の隣に座って微笑みかける女性。
胸元にあるピンは、IO2エージェントである証だ。
それも、かなり上層部の。
へぇ、こんな綺麗な人がいるんだ。
IO2もなかなか…美味しい所だね。
「ね、これ食べない?美味しいよ?」
おつまみチーズをすすめる女性。
蓮は何も返さずに、スッと目を伏せた。
それは、一種のテクニックであり、合図。
心得ている女性はクスクス笑って、チーズを蓮の口に運ぶ。
「はい、あ〜〜〜ん」
食べさせてもらい、ご満悦な蓮。
蓮は淡く微笑み、ごく自然に女性の肩を抱いた。
蓮の一連の動作を見やっていた藤二は、
お前も、なかなかヤるなぁ…と肩を揺らして笑う。
そんな藤二に、蓮は確認する。
「ね、藤二」
「ん?」
「いいの?」
「あぁ、いいよ。お前を気に入ったみたいだしな」
「ははっ。やったね」
クスッと笑い、女性の頭を抱き寄せ肩に乗せる蓮。
こんな綺麗な人を、おすそわけしてもらえるとは。
うんうん、これはラッキー。
満足気な蓮と同じく、女性も嬉しそうだ。
蓮に頭を抱かれ、うっとりと身を委ねている。
「困ったもんじゃのぅ。あやつは…」
「藤二が、もう一匹増えたって感じだからなー」
「…楽しそうですねぇ」
女性と身を寄せ合い、仲良くイチャつく蓮を見て、
呆れ笑うマスター・海斗・浩太の三人。
蓮のすぐ傍では、例によって藤二がハッスルしている。
何というか、あの二人の近辺だけ、妙にイヤラシイ雰囲気だ。
どこぞの "店" のように。
海斗とは違う意味での問題児が、また一人増えたか…と苦笑するマスター。
彼の悩みが、また一つ増えた。いや、まったく…ご苦労さまです。
呆れる三人の下へ、テクテクと近寄ってくる…千華と梨乃。
知人との談笑が落ち着いた千華と、
マジメな意見交換が落ち着いた梨乃は、飲み物を取りに来た。
「あらぁ?何、どうしたの。マスター。元気ないわね?」
グラスにワインを注ぎつつ笑う千華。
梨乃はストン、とマスターの前にしゃがんで、
具合でも悪いんですか…?不安気に尋ねた。
千華と梨乃の言葉に、はぁ〜と溜息を落とし、杖で前方を示すマスター。
うん?と、梨乃が振り返って見やれば…。
そこには、綺麗な女性とビールを回し飲みしている蓮が。
それだけならまだしも、蓮は女性の肩を抱き、
何やら耳元で囁いたり、クスクスと楽しそうに笑ったり。
女性も、蓮を気に入っているようだ。見ればわかる。
むっとした表情を浮かべ、ツカツカツカツカと歩き出す梨乃。
蓮に向かっていく梨乃の背中を見つつ、海斗たちは苦笑している。
「蓮さん」
名前を呼ばれ、ふっと顔を上げる蓮。
むっとした表情で、腕を組み立っている梨乃。
おっと……。何だ、もう終わったのかい、マジメ話。
んー…怒ってるね?怒ってるね、これは。
むーーーっとした表情で見つめる梨乃に、苦笑する蓮。
とりあえず、と抱いていた女性の手を離してはみるものの。
「なぁに?このコ。蓮くんの彼女?」
女性は、ペタッと蓮に抱きついてクスッと笑った。
遠目から見ても、かなり綺麗な人だと思ったけれど。
こうして間近で見ると、ますます綺麗な人だ。
何ていうか…仕事のデキる…キャリアウーマンみたいな…。
「や。彼女ではないんだけど…ね?」
クスッと笑って言う蓮。
確かにそうなのだが。ここで、その台詞はマズイ。
女性は、何だぁ、そうなのぉ?と勝ち誇った表情を浮かべてしまう。
あ、しまった。凡ミス。そう気付いたものの、手遅れ。
梨乃はぷぃっと顔を背け、一言残してツカツカと去っていってしまう。
「ごゆっくりどうぞっ」
「あ、梨乃ちゃん…」
声をかけても、梨乃は振り返らない。
再び、海斗たちの元へ戻った梨乃は、
ツーンとした表情で、黙々と料理を食べている。
あ〜…。これは参ったね。
まさか、そこまで大っぴらに拗ねるとは思わなかったよ。
無駄かな…う〜ん、暫くは無駄かもしれないね。
でも…このまま放置ってわけには、いかないでしょ、やっぱ。
抱きつく女性を剥がし、いそいそと梨乃の元へ駆け寄る蓮。
けれど、女性はよっぽど蓮を気に入ったのだろう。
後をついてきて、蓮の腕に絡まる。
それが梨乃を更に不愉快にさせてしまうのは当然なわけで。
梨乃はふぃっと顔を背け、まったく相手にしてくれない。
ちょ、勘弁してよ。マジでさぁ〜。
自分に想いを寄せて、くっついてくる女性を、
蓮はこの日、初めて "うっとおしい" そう思った。
「ちょ、ごめんね。離れてくれるかな」
「え〜。どうしてぇ?さっきまで優しかったのに。酷いじゃない〜…?」
「いや、あのね。ちょっとさ…ごめん、離れて」
「や〜〜〜よ」
「…ははは(あぁぁぁ〜…面倒くさいなぁ〜…)」
くっつく女性を剥がそうと試みては失敗する蓮。
その隣で、そっぽを剥きっぱなしで、もきゅもきゅ料理を食べている梨乃。
何だか微妙な…トライアングル。
「ぷ…必死だな。蓮」
「珍しいわねぇ?」
三人を見やりつつ、海斗と千華はクスクス笑う。
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■■■■■ CAST ■■■■■■■■■■■■■
7433 / 白月・蓮 (しらつき・れん) / ♂ / 21歳 / 退魔師
NPC / 黒崎・海斗 (くろさき・かいと) / ♂ / 19歳 / INNOCENCE:エージェント
NPC / 白尾・梨乃 (しらお・りの) / ♀ / 18歳 / INNOCENCE:エージェント
NPC / 赤坂・藤二 (あかさか・とうじ) / ♂ / 30歳 / INNOCENCE:エージェント
NPC / 青沢・千華 (あおさわ・ちか) / ♀ / 29歳 / INNOCENCE:エージェント
NPC / 黄田・浩太 (おうだ・こうた) / ♂ / 17歳 / INNOCENCE:エージェント
NPC / イノセンス・マスター / ♂ / ??歳 / INNOCENCE:マスター(ボス)
■■■■■ THANKS ■■■■■■■■■■■
こんにちは! おいでませ、毎度様です。
拗ねた。拗ねました(笑) 蓮くんのペースが乱されています。
まぁ、たまにはこんな喧嘩も。すぐ仲直りする…と思います(笑)
気に入って頂ければ幸いです。 是非また、御参加下さいませ…^^
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2008.05.25 / 櫻井 くろ (Kuro Sakurai)
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