■ＩＮＮＯＣＥＮＣＥ / ライバル記念日 （限定受注）■ 藤森イズノ 【7525】【ロザリンド・ヘルリンク】【高位悪魔・魔界の姫】 イノセンスとＩＯ２。 双方が、互いをライバルだと認めたのは、いつからか。 時に競い、時に馴れ合い。重ねてきた時間は途方もなく。 出来うることなら、この先も。この良き関係が続きますように。 「っとによー。何してんの、あいつ」 「忙しいんじゃない？」 「違うね。どーせ寝坊とか、そんな感じだよ」 「そうかなぁ…」 「絶対そーだって。あーもー。早く来いやー。冷めるじゃねーかよー」 フォークとナイフを手に、待ちわびる海斗。 彼が待っているのは、ＩＯ２エージェントの…ディテクター。 今日は、特別な日。一年に一度の、特別な日。 毎年五月の第三日曜日は、 イノセンスとＩＯ２の面々が一同に揃い、 ちょっとしたパーティを実施する。 双方が互いにライバルだと認め、 握手を交わした、特別な日。 このパーティも、何度目だろうか。 「おせー！マジおせー！腹減って死ぬー！」 ＩＮＮＯＣＥＮＣＥ // ライバル記念日 ------------------------------------------------------ ＯＰＥＮＩＮＧ イノセンスとＩＯ２。 双方が、互いをライバルだと認めたのは、いつからか。 時に競い、時に馴れ合い。重ねてきた時間は途方もなく。 出来うることなら、この先も。この良き関係が続きますように。 「っとによー。何してんの、あいつ」 「忙しいんじゃない？」 「違うね。どーせ寝坊とか、そんな感じだよ」 「そうかなぁ…」 「絶対そーだって。あーもー。早く来いやー。冷めるじゃねーかよー」 フォークとナイフを手に、待ちわびる海斗。 彼が待っているのは、ＩＯ２エージェントの…ディテクター。 今日は、特別な日。一年に一度の、特別な日。 毎年五月の第三日曜日は、 イノセンスとＩＯ２の面々が一同に揃い、 ちょっとしたパーティを実施する。 双方が互いにライバルだと認め、 握手を交わした、特別な日。 このパーティも、何度目だろうか。 「おせー！マジおせー！腹減って死ぬー！」 ------------------------------------------------------ （やばいな。だいぶ遅れた…。あいつ、うるせぇんだろうなぁ…） 足早に異界を行くディテクター。手には差し入れのワイン。 今日は、記念パーティ。 ＩＮＮＯＣＥＮＣＥとＩＯ２が "握手" を交わした記念日パーティ。 何だかんだで、毎年遅刻しているディテクター。 いつも、どういうわけか急用が入る。呪われているかのように。 そんなわけで、今年も遅刻。 足早に歩くディテクターの脳内では、シミュレーションが行われている。 遅い！と言ってツッかかってくるであろう海斗を、どう裁くか…。 ヘタな言い訳は逆効果だからな。あいつの場合。 だからといって、急用が…とか説明してもな。 聞き入れないだろうし。ほんと、面倒くさいガキだわ…。 溜息混じりで歩く中。突如、ズシリと腕に重みが。 はっ、と見やれば…そこには笑顔の女性。 見覚えのある…その女性は、ロザリー（愛称）だ。 「おま…何でここにいるんだ」 「お散歩中ですわ」 「あ〜そうですか。ちょ、離せ。重い…急いでんだ、俺は」 「どちらに参りますの？」 「パーティ」 「まぁ！」 「………」 しまった…。そう後悔すれども、手遅れ。 ロザリーはニコリと微笑み言った。 「楽しそうですわね。ご一緒しますわ」 「…そうですか」 来るな、と言っても無駄だろう。 瞬時に悟ったディテクターは、ある意味…賢い。 * 「おせーんだよ！てめー！にゃろーーー！」 「痛っ。おま…フォークで刺すな…！傷害罪っ…」 会場に到着して早々、海斗に攻撃されたディテクター。 フォークでブッ刺された手の甲をフゥフゥと冷ましている。 「お？これ、誰？彼女？」 ディテクターの隣で呆れているロザリーを見て首を傾げる海斗。 ディテクターは即答した。 「んなわけねぇだろ」 「そーなの？じゃーどーいう関係？」 「…さぁ」 「あやしーな」 「うるせぇよ」 仲良さげに会話する海斗とディテクター。 それは、まぁ、何よりなのだけれど。 ロザリーは眉間にシワを寄せている。 海斗の…行儀の悪さに覚える不快感。 ポテトを手づかみで、もしゃもしゃと食べている…。 何の為にフォークを持っていますの…？ 明らかに、おかしいですわ。使い方、間違ってますわ…。 「名前は、何てーの？」 ニコッと笑い、尋ねる海斗。 ちょっと引き気味で名乗ると、海斗は握手を求めた。 「ロザリーか。よろしくなー！はい、握手ー」 「…遠慮しますわ」 油でベットベトの手…握手なんて出来るわけがない。 海斗は指をペロリと舐め、無愛想なヤツだなぁと笑う。 ポテトのおかわりに、とテーブルへ走っていく海斗。 その背中に呆けつつ、ロザリーは呟く。 「非常識な方ですわね…」 隣で、ディテクターが「お前もだよ」とツッこんだ。 盛り上がっているパーティ会場。 誰も彼も、初めて見る顔ばかり。 （たくさん人がいますわねぇ…） 会場内をテクテクと歩くロザリー。 美味しそうなワインに惹かれてみたり、会話に聞き耳を立てたり。 パーティの趣旨は、よくわからないけれど、 話を聞いた限りでは、何やらお祝い事のようで。 （どういう集まりなのかしら） 老若男女、ありとあらゆる人物が行き交う会場で首を傾げる。 と、そこへ声を掛けてくる人物が…。 「やぁ。こんばんは」 「…あら、こんばんは」 振り返れば、そこには眼鏡で長身な男。 ニコニコと微笑みながらロザリーを見つめる、 この男は…ＩＮＮＯＣＥＮＣＥの藤二だ。 藤二の視線に、何だか嫌な感覚を覚えるロザリー。 それは的中。藤二は、サラリと誘った。 「一緒に飲まない？」 腰に手を当てて言う藤二。 ロザリーは、あからさまに嫌な顔をし、パシンと手を払う。 「わたくし、心に決めた人がいますから。それに、軽い殿方は嫌いですの」 あっさりとフラれた。けれど藤二はヘコたれない。 まぁまぁ、とりあえず飲もうよ？と再び腰に手を当ててくる。 嫌いだ、と言ってるのに、何て物分りの悪い男か。 イラッとし、平手をくらわそうとしたとき。 「何やってるんですかっ。ほんとにもうっ！」 「いだだだだだだ」 藤二の耳を摘む少女が…梨乃だ。 梨乃の隣には、腕を組んでいる綺麗な女性も。こちらは千華。 耳を引っ張り、藤二を連れて行く（引き摺っていく）梨乃。 片手を上げたままポカンとしているロザリー。 千華は「ごめんなさいね」と微笑み、 ペコリと頭を下げて、梨乃と藤二の後を追う。 よくわからないけれど…上下関係が垣間見えた気がした。 こちらの世界では、女性が優位なのかしら。 それにしても…気迫がありましたわ。あの子。 あのくらい強引になれば、もしかしたら私も…？ などと思いつつ歩いていると、ふと目に留まるカップルが。 周りに茶化されつつも、ラブラブな二人。浩太とレイレイ。 「これ、美味しいよ」 「あ、本当。美味しそうですね」 「ちょっと待って。取り分けてあげる」 「うん」 「はい、どうぞ」 「えへ。ありがとう」 テキパキと料理を皿に取り分け、それをレイレイに渡す浩太。 仲良く食事する二人のラブラブ度は、更にヒートアップ。 やれ、と催促されてではあるが、 あーんして？と互いに言い合い、料理を口に運びあう。 照れくさそうに笑いつつも、幸せそうな二人。 そんな二人を、ロザリーはジーッと見つめる。 （素敵ですわ…） 憧れの光景が、目の前で。 ロザリーは、羨ましさから、瞳をウルウル。 そんなロザリーを発見するディテクター。 「お前、あんまりフラフラすんなよ〜…って、えぇぇぇ？」 「くすん…」 泣いているロザリーに慌てるディテクター。 どうした、何があった？と尋ねても、 ロザリーは、くすんくすんと泣くばかり。 端から見れば、ディテクターが泣かしているようにしか見えない。 「あー！女、泣かしてるー！」 テーブルの上で胡坐をかいて、ケラケラ笑う海斗。 「泣かしてねぇ！つか、おま…どうしたんだよ、ほんと」 「羨ましいですわ…」 「はっ？何が？」 「ううん…寧ろ、悔しいですわ…」 「だから、何が？って…」 「くすん、くすん…」 ポロポロと涙を零すロザリー。 ディテクターは、わしわしと頭を掻いて訴える。 「あ〜〜。どうしろってんだよ〜。こいつの保護者、いるなら出て来〜い…」 保護者…とは少し違いますけれども。 "彼"は、用事があって来ておりません。 ので、あなたが何とかして下さい、ディテクターさん。 「くすん…」 「も〜〜〜〜〜」 ご苦労様です。 そして、ご愁傷様です。 …頑張って。 ------------------------------------------------------ ■■■■■ ＣＡＳＴ ■■■■■■■■■■■■■ ７５２５ / ロザリンド・ヘルリンク / ♀ / ５００歳 / 高位悪魔・魔界の姫 ＮＰＣ / 黒崎・海斗 （くろさき・かいと） / ♂ / １９歳 / ＩＮＮＯＣＥＮＣＥ：エージェント ＮＰＣ / 白尾・梨乃 （しらお・りの） / ♀ / １８歳 / ＩＮＮＯＣＥＮＣＥ：エージェント ＮＰＣ / 赤坂・藤二 （あかさか・とうじ） / ♂ / ３０歳 / ＩＮＮＯＣＥＮＣＥ：エージェント ＮＰＣ / 青沢・千華 （あおさわ・ちか） / ♀ / ２９歳 / ＩＮＮＯＣＥＮＣＥ：エージェント ＮＰＣ / 黄田・浩太 （おうだ・こうた） / ♂ / １７歳 / ＩＮＮＯＣＥＮＣＥ：エージェント ＮＰＣ / ディテクター（草間・武彦） / ♂ / ３０歳 / ＩＯ２：エージェント（草間興信所の所長） ＮＰＣ / レイレイ（草間・零） / ♀ / ？？歳 / ＩＯ２：エージェント （草間興信所の探偵見習い・武彦の妹） ■■■■■ ＴＨＡＮＫＳ ■■■■■■■■■■■ こんにちは！ おいでませ、毎度様です。 気に入って頂ければ幸いです。 是非また、御参加下さいませ…＾＾ ----------------------------------------------------- ２００８．０６．０１　／　櫻井 くろ （Kuro Sakurai） -----------------------------------------------------