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■INNOCENCE / ディテクター観察 (限定受注)■

藤森イズノ
【7440】【月宮・香織】【お手伝い(草間興信所贔屓)】
「暇だー。暇で死ぬー」
三日前に大きな仕事を終えてから、
美味しい仕事が入ってこなくて、退屈に悩んでいる海斗。
ベッドの上で、でんぐり返しをしてみたり、
漫画をパラパラめくってみたり、玩具で遊んでみたり…。
色々とやってはみるものの、やっぱり退屈。
「うー………。………。…!!」
ベッドに寝そべっていた海斗の目が、パッと開いた。
「ディテクター観察しよ。暇だから」
何を思いついたのかと思えば…。
ディテクター観察をすることに決めたらしい。
カメラやらメモやら色々と準備しだす海斗。
…観察日記でもつけるのだろうか。
INNOCENCE // ディテクター観察

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OPENING

「暇だー。暇で死ぬー」
三日前に大きな仕事を終えてから、
美味しい仕事が入ってこなくて、退屈に悩んでいる海斗。
ベッドの上で、でんぐり返しをしてみたり、
漫画をパラパラめくってみたり、玩具で遊んでみたり…。
色々とやってはみるものの、やっぱり退屈。
「うー………。………。…!!」
ベッドに寝そべっていた海斗の目が、パッと開いた。
「ディテクター観察しよ。暇だから」
何を思いついたのかと思えば…。
ディテクター観察をすることに決めたらしい。
カメラやらメモやら色々と準備しだす海斗。
…観察日記でもつけるのだろうか。

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「お。香織ー!」
借りていた本を書庫に戻した帰り道。
二階、階段前で海斗に声を掛けられた。
うん?と首を傾げて見やれば、海斗は首にカメラをブラさげて…。
どこか、撮影にでも行くのかな? そう思って尋ねてみる。
「どこ、行くの?」
香織の問いかけに、ふっふっふと不敵な笑みを浮かべる海斗。
その笑みの理由を知って、香織は大きな溜息を落とした。
暇潰しに、ディテクターを観察する。
突発、思い付きで動く様は相変わらずだ。
しかも観察って…ディテクターさんに失礼じゃないですか。
そんなことしちゃ駄目だよ、と諭してはみるものの。
海斗の目は、いまだかつてないほどにキラキラと輝いている。
こうなってしまうと、もうテコでも動かない。
首根っこ掴んで制止させても、そのままズルズルと引き摺られてしまうだろう。
「…観察っていうか。あなたのやろうとしてることは覗き、でしょ?」
「あっはは!あたり〜〜〜〜」
「…もう。駄目だよ、そんなの。自分がされたら、どう?」
「俺は別に構わないけど。見られるの好きだしねー」
「………(何か…誤解を招きそうな言い方だなぁ)」
「なー。香織も来いよ。たのしーよー?」
「ううん…私は…」
「香織の知らないディテクター。キョーミない?」
「………」
ピクッと反応してしまう身体。
私の知らない…ディテクターさん?
あぁ、そうか。私と一緒にいないとき。
彼が、どんな生活を送っているのか…ってことね。
一緒にいるときと、あまり変わらなさそうだけどな。
裏表がない、って感じだから…。
でも…ちょっと気になるかも。
自分の見ていないところで、好きな人が何をしているのか。
そこに興味・関心を抱いてしまった香織は、思わずコクリと頷いた。
まんまと、海斗の作戦にノせられたってことなのだが…。
着いていくと決めてからの香織は、積極的だ。
憑依能力を使い、過去に存在した暗殺者の影を投影。
気配遮断スキルを身に着けた香織は、瞬時に存在が曖昧になった。
「あっはは。ヤル気満々だな!よっしゃ、行こーぜっ」
意気揚々と、本部を飛び出す海斗。
彼を追い、後ろからトコトコとついて行く香織。
二階テラスで御茶していた梨乃と千華は、
何だか妙な二人の動きに、はて?と首を傾げた。

*

午後一時、ディテクター観察(というか尾行)開始。
IO2本部から出てきて早々、シャッターチャンス。
石につまずいて…ベシャッと転んだディテクター。
颯爽と出てきて、格好良かったのに台無しだ。
慌てて立ち上がり、キョロキョロと周りを確認。
よし。誰も見てないな。…はぁ、びっくりした。
何事もなかったかのように再び颯爽と歩いて行く後姿。
カメラを持つ海斗は、笑いを堪えるのに必死で、すごい顔をしている。
逆に、隣にいる香織は、ハラハラ。
かなり豪快に転んだけれど…大丈夫かな、怪我とかしてないかな。
っていうか、疲れてるのかな。
石に躓いて転ぶなんて…らしくないよね。
あ、何か悩んでるとかかな。そうだとしたら…力になりたいな。
不安を抱きつつ、コソコソと尾行続行。
ディテクターは、そのまま真っ直ぐ、とあるカフェに向かっていく。
カフェの入口で、海斗がパシャリ。
決定的瞬間。煙草のポイ捨て。
すぐ近くに灰皿が置いてあるのに。
マナーを守れないくせに、正義を名乗っちゃいけないよね〜と笑う海斗。
ごもっともな意見なのだが、香織はスルー。
見なかったことにして、ササッと吸殻を拾い、灰皿へポィッ。
証拠隠滅…と言いたいところだけれど、
ポイ捨てしている瞬間の写真を海斗が撮ってしまっているから…微妙なところ。
カフェは、ゆったりとくつろげる大人の空間…といった雰囲気。
以前、一緒に行った喫茶店に、どことなく似ている。
(うん…ここも素敵。今度、一緒に来たいな)
少し離れたテーブルで、海斗と向かい合って座りカフェモカをコクコクと。
向かいの海斗は、シャッターチャンスを狙ってディテクターをガン見している。
何だか微妙な心境…悪戯に協力してるみたいで。
そんな罪悪感はあるものの、いつしか香織は楽しんでいる。
自分の存在を知らない、ディテクターのありのままの姿。
それは、とても新鮮なものだから。
「きたっ!」
しゃきーんとカメラを構える海斗。
カフェの中でシャッターチャンス…?
何があったんだろうとクルリと振り返って…香織は、むっと眉を寄せた。
ディテクターを逆ナンしている女性…。
強引に隣に座り、色っぽい眼差しで見つめ…何かを囁いている。
気が気じゃない香織だが、ディテクターの言葉にホッと安堵。
あっさりと「彼女がいるから」と断ったディテクター。
海斗は、ちぇ…つまんね、と頬を膨らませて言う。
「彼女って、お前のことだろ?」
「えっ…そ、そうかな」
「そーだろ。どー考えても。すげーな、あいつ」
「どうして…?」
「めっちゃ綺麗な人だったのに。もったいねー。俺ならOKするね」
「………(そんな自信満々に言われても)」
けれど、言い寄っていた女性が美人だったというのは事実。
それを、あっさりと彼が突っぱねたことに、香織は優越感を覚えた。
尾行なんて失礼なことしてるのに…嬉しくなっちゃうなんて駄目だよね。
そうは思うんだけど…駄目。微笑まずには、いられないもの。
ニコニコしている香織の手を引き、催促する海斗。
「ぅぉぃ。見失うってば。早く早くっ」
「えっ?あ、うん。ごめんなさい」

およそ三時間の尾行で、海斗のカメラはフィルム切れ。
カメラの中には、決定的瞬間が、たっぷりと保存されている。
現像したら、ネットで公開しちゃおうかなーと笑う海斗に、
ギョッとして、それは止めてあげて…と必死に乞う香織。
背後で、何やら騒がしい声。
しかも、やたらと聞き覚えのある声。
ケラケラと笑う海斗の声で、ディテクターは、ようやく気付く。
探偵が尾行されるなんて…不甲斐ない。
寝不足の所為もあるかもしれないけれど、気付くのが遅すぎた気がする。
あいつら…いつから尾行てたんだ。
二人に歩み寄り「おい」と声を掛けるディテクター。
「うぉっ!」
振り返り、やべっ、見つかった!と笑う海斗の手にはカメラ…。
思い返して、まずいと悟る。
いつから尾行られていたのかは理解らないけれど、
今日の俺は、全体的にヘタってたと思う。
ポンポンと浮かんでくる数時間前の自分の姿は、どれも格好悪いものばかり。
放置するわけにはいくまい…と、ディテクターはカメラを取り上げる。
「あ!てめー!何すんだー!」
「…それは、こっちの台詞ですよ」
取り出したフィルムを足元に落とし、てぃっと踏みつけて証拠隠滅。
「あああぁあぁぁあぁああ…」
せっかくの苦労(なんてしてないくせに)が水の泡。
ぺしゃんこになったフィルムを手に取り、がっくりと肩を落とす海斗。
ちょっと可哀相だな、とは思うけれど、満足。
うんうん、と頷いている香織。
ディテクターは、香織をヒョィッと覗き込む。
ビクッと肩を揺らす香織。
尾行は、楽しかったですか?と尋ねられて、返す言葉は見当たらず。
ごめんなさい…と素直に謝れば、クスクスと笑って。
メシでも食いに行こうかと香織の手を引き歩き出す。
「あ!俺も!俺も!」
後ろから、追いかけてくる海斗。
当然、お前は来るなと言われてしまうのだけれど。
海斗は、めげずに引っ付いていく。
オムライスが食べたいなーだとか、ステーキでもいいなーだとか。
纏わりついて、あれこれ注文してくる海斗に、ディテクターと香織は笑う。

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■■■■■ CAST ■■■■■■■■■■■■■

7440 / 月宮・香織 (つきみや・かおり) / ♀ / 18歳 / お手伝い(草間興信所贔屓)
NPC / 黒崎・海斗 (くろさき・かいと) / ♂ / 19歳 / INNOCENCE:エージェント
NPC / ディテクター(草間・武彦) / ♂ / 30歳 / IO2:エージェント(草間興信所の所長)

■■■■■ THANKS ■■■■■■■■■■■

こんにちは! 毎度様です! ヽ(´▽`)/
気に入って頂ければ幸いです。 是非また、御参加下さいませ!

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2008.06.04 / 櫻井 くろ (Kuro Sakurai)
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