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■INNOCENCE / 好きな人とじゃなきゃ… (限定受注)■

藤森イズノ
【7433】【白月・蓮】【退魔師】
「ね。ちょっとだけ。話がしたいんだ」
「…今、話してるじゃないですか」
「そうじゃなくてさ。もっとこう、二人っきりで」
「色々、やることがあるので。ごめんなさい」
「え〜。ちょっとだけ、ちょっとだけだから。ね?」
「………(うぅ、しつこいなぁ)」

本部一階、セントラルホールにて、男に付き纏われている梨乃。
男は、最近イノセンスに所属したばかりの新入りエージェント。
名前は、ロイ。年齢は24歳。黙っていれば、かなり格好良い。
ロイは梨乃に一目惚れしたらしく、組織に来てから、ずっとこの調子だ。
その度に、梨乃は丁重に断っているのだが…。
ロイは、まったくもって諦めようとしない。
そればかりか、日増しに強引になっているような…。
INNOCENCE // 好きな人とじゃなきゃ…

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OPENING

「ね。ちょっとだけ。話がしたいんだ」
「…今、話してるじゃないですか」
「そうじゃなくてさ。もっとこう、二人っきりで」
「色々、やることがあるので。ごめんなさい」
「え〜。ちょっとだけ、ちょっとだけだから。ね?」
「………(うぅ、しつこいなぁ)」

本部一階、セントラルホールにて、男に付き纏われている梨乃。
男は、最近イノセンスに所属したばかりの新入りエージェント。
名前は、ロイ。年齢は24歳。黙っていれば、かなり格好良い。
ロイは梨乃に一目惚れしたらしく、組織に来てから、ずっとこの調子だ。
その度に、梨乃は丁重に断っているのだが…。
ロイは、まったくもって諦めようとしない。
そればかりか、日増しに強引になっているような…。

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さぁて、どうしたもんかな。彼…。
腕を組み、うーん…と考えつつ、自室から出てきた蓮。
彼が悩んでいるのは、とある新入りエージェントの言動。
ロイ、という名前の新入りエージェントは、
どうやら梨乃に一目惚れしたらしく、
ことあるごとに梨乃を口説いている。
無論、相手にはされていないんだけれど、ヘコたれない。
見上げた根性だ。しつこいのと紙一重だけど。
別にね、良いとは思うんだ。
好きになるとか、そういう気持ちは他人がどうこうできるもんじゃないし。
それに、相手にされてないって思うと、余計にムキになっちゃったりもするしね。
そういう気持ちはね、理解できるんだ、うん。
でもねぇ…俺が梨乃ちゃんと楽しく話してるときでも、
お構いなしだからな、彼は。突っ込んでくるんだよね。
これみよがしに、イノシシみたいに。
まぁ、わかるんだけどさ。
好きな女の子が、他の男と喋ってちゃあ、不愉快にもなるよね、うん。
でもさぁ、しつこいんだよね。ほんと…。
せっかく楽しく話してるってのにさ。気分台無しなんだよ。
でもなぁ、かといって、こらしめるわけにもいかないし。
うーん…どうしたもんかなぁ……。
考えつつ、階段を降りようとした時だった。
「は、離して下さいっ…」
「まぁまぁ、ちょっと落ち着いてさ。お話しようよ?」
「は、離して下さい……」
梨乃の声だ。階段を降りるのをやめて、声のする方へ歩いて行く。
何事か…と思いきや。あ〜…やっぱりね。
パリパリと頭を掻いて苦笑する蓮。
梨乃の口調から、もしかすると…とは思っていた。
案の定というか何というか。
二階テラスで、梨乃が壁に押し付けられている。
押し付けているのは、例の…問題児、ロイだ。
離してくれ、と何度も言うが、ロイは聞く耳持たず。
そればかりか、梨乃に顔を近づけてクスクス笑っている。
(あ〜…これは……)
見やりつつ、展開を読む蓮。
これまた見事にというか何というか…読みどおり。
ロイは、嫌がる梨乃を押さえつけ、無理矢理キスをした。
持っていた古書が、梨乃の手からバサリと落ちる。
「…!や、やめてくださいっ!」
ドンッとロイを突き飛ばす梨乃。
しゃがんで古書を拾う梨乃だが、その肩は震えている。
(キス…。どうして。好きじゃない人と…好きな人とじゃなきゃ…こんなの…)
古書をギュッと胸に抱き、涙を堪える梨乃。
そんな梨乃を見てクスッと笑い、ロイは彼女を抱き起こそうとした。が。
「はい、どいて」
一部始終を見ていた蓮が、二人の間に割って入る。
押しのけられて、不快を露わにするロイ。
「何だ…また、てめぇかよ。っとに、うぜぇな…」
「……(キミがねぇ)」
苦笑しつつ、梨乃に声を掛ける蓮。
大丈夫?と声を掛けるも、梨乃は茫然自失だ。
いや、呆然としているというよりは…我を忘れているというか。
ゴシゴシと袖で唇を擦っている。
うっすらと、梨乃の瞳に浮かぶ涙。
それを見た瞬間、蓮の中でプツンと、静かに "糸" が切れた。
「梨乃ちゃん。キスされて、嬉しかった?」
静かに、淡い笑みを湛えて尋ねる蓮。
バッと顔を上げ、梨乃は蓮を見やる。
どうして、そんなこと聞くの?そういう眼差しだ。
蓮はクスッと笑い、梨乃の頭を撫でつつ言う。
「ほら。彼、顔"だけ"は良いからさ」
「…………」
「ほかに"取り得"がなくてもさ、それでもマスターに認められてるわけでしょ。彼」
「…………」
「ねぇ?」
クルッと振り返る蓮。微笑んではいるものの、
その笑みは冷たく、氷のように凍てついている。
若干ひるんだものの、引かないロイ。
「てめぇ…そこ、どけよ。邪魔。空気読めよ」
「邪魔…ねぇ」
スッと立ち上がり、クスッと笑う蓮。
蓮は、ツカツカとロイに歩み寄っていく。
な、何だよ…とたじろぎ、退いていくロイ。
ドン、と壁に背中があたると同時に。
蓮は顔を近づけ、ロイの耳元で呟いた。
「それは、こっちの台詞だよ…?」
「…てめぇ」
「ねぇ、まだわからない?」
「な、何がだ…」
「失せろ、って言ってんの…」
グッとロイの襟を掴んで睨みつける蓮。
見たことのない、冷たい表情…。
ロイは、ぱしんと蓮の手を払い、舌打ちを残して去って行く。
カッコつけてはいるが、何とも無様な撤退だ。
クルッと振り返り、いつもの笑顔で微笑む蓮。
梨乃の唇は、擦りすぎて…赤くなっている。
「あ〜…。どうするの。こんなに赤くなっちゃって」
赤く腫れた梨乃の唇に触れてクスクス笑う蓮。
恐怖と、追求から、ようやく解放された。
それを身をもって感じ取った梨乃の頬を、涙が伝う。
「っうぅ…ふぇ……」
ギュッと蓮に抱きついて泣く梨乃。
蓮はポンポン、と梨乃の頭を撫でつつ言う。
「駄目だよ。ああいう馬鹿には、ビシッとキツく言わないと」
「っふ……っ……」
しがみ付きつつ、コクコクと頷く梨乃。
とかね…ちょっと叱ってみたりするけれど。
また、こういうこと、あるんだろうな。
キミは優しすぎるからね。
ビシッとハッキリ断ること、難しいよね。
この先もさ、こういうことが何度も何度もある…って考えたら、
すごく気が重いよ。もう、勘弁してって感じ。
でもね、どうにもできないわけじゃないんだ。
簡単なことだよ。すごく。
そ、俺がね、キミを守れば良いんだ。
ああいう、馬鹿な奴等から。
心に決めたから。今。だから、これは、その誓い。
梨乃の顎を上げて微笑み、キスする蓮。
驚き、目を丸くした梨乃だが…スッと自然に目を伏せる。
包み込まれるような、優しい口付け。
さっきの乱暴なキスとは、全然違う。
そう。好きな人と交わすキスは、こんなにも甘くて優しいの。
気が、遠のいてしまいそうなくらい、甘くて優しいの。
甘い余韻を残しつつ、離れる唇。
梨乃は頬を染め、恥ずかしそうに俯くが、笑顔だ。
いつもの可愛い笑顔。ホッとする。うん、ホッとするよ。
やっぱり、キミは笑ってなくちゃ。
可愛いのが、台無しだからね。
うん…。でも、やっぱり、正直…。
ごしごし…と指で梨乃の唇を拭う蓮。
やっぱり、ムカつくよね。
あんな馬鹿が、これに触れたなんて…ムカつくよねぇ。
「れ、蓮さん…?あの、い、痛いです…」
「ムッとしてるからね」
「あ、あの…蓮さん。い、痛…」
「うりゃっ」
「はむぅ?!」
唇を摘まれて、困った顔の梨乃。
蓮は、あどけない梨乃の、その表情にクスクス笑う。

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■■■■■ CAST ■■■■■■■■■■■■■

7433 / 白月・蓮 (しらつき・れん) / ♂ / 21歳 / 退魔師
NPC / 白尾・梨乃 (しらお・りの) / ♀ / 18歳 / INNOCENCE:エージェント
NPC / ロイ・クランストール / ♂ / 24歳 / INNOCENCE:エージェント (新入り)

■■■■■ THANKS ■■■■■■■■■■■

こんにちは! おいでませ、毎度様です^^
甘ったるい(笑)ですが…楽しかったです!(叫び)
書きつつ、蓮くん、かっけぇ…と興奮していたのは秘密です。
気に入って頂ければ幸いです。 是非また、御参加下さいませ…^^

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2008.05.26 / 櫻井 くろ (Kuro Sakurai)
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