■INNOCENCE / 魔花 (限定受注)■
藤森イズノ |
【7433】【白月・蓮】【退魔師】 |
魔花 -MAKA-
日陰に咲く蒼い花。
とある魔法国にしか存在しない。
花弁を食すと、食した者の魔力が底上げされる。
人によって様々だが、苦いと思うのが一般的。
美味いか不味いかで言えば、不味い。
食すだけでなく、素材としても使われる。
魔力の塊なので、扱いには注意せねばならない。
※強い衝撃を与えると、爆発する。
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INNOCENCE // 魔花 -maka-
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OPENING
魔花 -MAKA-
日陰に咲く蒼い花。
とある魔法国にしか存在しない。
花弁を食すと、食した者の魔力が底上げされる。
人によって様々だが、苦いと思うのが一般的。
美味いか不味いかで言えば、不味い。
食すだけでなく、素材としても使われる。
魔力の塊なので、扱いには注意せねばならない。
※強い衝撃を与えると、爆発する。
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「な、何か…ドキドキしてます」
「っはは。手ぇ繋いだだけで?」
「そ、そこじゃないです」
「ふふ。わかってるよ」
テクテクと、手を繋いで綺麗な森を歩く蓮と梨乃。
手を繋ぐ必要はないようにも思えるが…まぁ、いいや。
二人は今、とあるモノを探して森を探索している。
求めているモノ、それは『魔花』と呼ばれる神秘の花。
見るものをウットリさせる蒼い花弁。
淡くキラキラと輝く、その花弁を食すと、身体に異変が起こる。
異変、というよりは成長か。
魔花の花弁は、魔力の塊。
食せば、絶大なる魔力を得ることができる。
悪用されることも、しばしばあるが、基本的には成長アイテム。
魔法・魔術を扱う者にとって、魔花は魅力溢れる存在だ。
けれど、魔花は咲く場所を限定する。
とある魔法国でしか、確認することはできない。
その為、半ば、御伽噺のように扱われている。
だが一体どういうわけか。
近頃、異界各所で魔花が次々と発見されている。
何かよくないことの前触れでは…と危惧する研究者は多い。
けれど、すぐ傍に、手の届くところに存在すると聞いて、
興味・関心を持つなというのは無理な話。
魔花を題材にした古書や小説、絵本などをいくつも目にしている梨乃。
彼女にとって、この異変は喜ばしいことだった。
まぁ、一般的に危惧されているように、不安に思うところもある。
だから、採取しようとしている。
持ち帰り、マスターに見せて…そうすれば、何かわかるかもしれない。
…というのは名目で。
実際の目的は、花弁を食すことにある。
この目で、この身体で、確かめてみたい。
そう思うのは、当然。
「綺麗ですね、この森。あっ、リスだ!」
「お。ほんとだ」
「きゃー…可愛いぃぃ……」
カシャカシャと写真を撮る梨乃。
ついでといっては何だけど、せっかく、あちこちを探索するんだ。
その道中、目に飛び込む景色を収めていきたい。
お土産にもなるだろうし、何よりも楽しいから。
ただ探し、見つけて、食べて。それだけじゃツマラナイ。
梨乃が持ってきたデジカメは "楽しもう" とする気持ちの表れだ。
動物、空、舞う葉…飛び込んでくるものを次々と収めていく梨乃。
楽しそうに笑う梨乃を見つつ、蓮はクスクスと笑う。
今日は、随分と御機嫌だね?
キミから誘ってきたの、初めてだしさ。
ちょっとビックリしたけど…嬉しかったよ。
うんうん、楽しそうで何よりだ。
けど…どこに咲いてんだろうね、その魔花ってのは。
雑誌には日陰に、としか書いてなかったしなぁ。
もう少し具体的な情報だと助かるんだけど…。
ま、仕方ないか。見かけるようになったのは、つい最近らしいしね。
皆、あれこれ探ってる段階なんだろうねぇ。…と、あれ?
「梨乃ちゃん」
「はいっ?」
「何だろう、あそこ…光ってない?」
「へ?どこですか…あ、ほんとだ」
「もしかして?」
「もしかして?」
顔を見合わせ微笑み、手を繋いだまま駆け出す二人。
何だかな…?まるっきりデートじゃないですか?
木の陰に、ひっそりと咲いていた魔花。
蒼く輝く花弁は、写真で見るより、ずっと綺麗。
しばし、うっとりと眺める梨乃。
憧れのモノが、今、目の前に。
ポーッとしている姿は、女の子そのものだ。
よいしょ、と梨乃の隣に座って魔花を一緒に観賞。
うん、確かに。すごく綺麗だ。まさに、魔法の花って感じだね。
けどこれ…どうなの?パッと見た感じだと、美味しそうには見えないけど…。
十分に美しさを満喫し、写真も撮って。
梨乃は、よしっ…と意気込み、花弁を一枚ぷつんと。
ドキドキしつつ口に運べば、とろけそうな甘さが口の中いっぱいに…。
「うぶぶ……」
広がらなかった。
はむはむと花弁を噛んでいる梨乃の眉間にシワが寄っている。
花弁の色のように、顔も青ざめていってるような…。
大丈夫?と尋ねれば、コクコクと頷くけれど…なかなか飲み込めないようで。
蓮は笑いつつ、梨乃の背中をトントン叩く。
ゴクリと飲み込んで、第一声。
「美味しくないです…」
「あっはは!見ればわかるよ」
うぇぇ…と顔をしかめつつ、腰元から魔銃を抜く梨乃。
本当に、魔力は増加しているのだろうか。
確認の為、空に向けて軽く一発。
ボンッ―
「きゃ!?」
「うわぁ……」
銃口から噴出した水は、高く昇り…続けている。
壊れた水鉄砲のように、ダバダバと水を吐き続ける魔銃。
「これは…どうすれば止まるんでしょうか」
「さぁ…。そのうち止まるんじゃない?」
水を吐き続ける魔銃をサクッと地に差し、様子を見る梨乃。
さっきよりは弱まっているような…気がしないでもないけれど。
完全に治まるまでは、時間がかかりそうだ。
空高く昇る水が架ける虹。
すごいなぁ…本当に底上げされてるんだ…と感心しつつ、
見上げてポーッとしている梨乃。
その背中をトントンと叩いて微笑む蓮。
蓮の手には、魔花の花弁。
「せっかくだし、俺も食べてみようと思うんだ」
「美味しくないですよ…?」
苦笑して言う梨乃。蓮は、ははは、と笑い梨乃の手に花弁を乗せた。
ん?と首を傾げれば、そこには目を瞑って口を開けている蓮が。
これは、あれですか…。あーんして、ってやつですか。
やれやれ…と思いつつも御機嫌な梨乃はノリが良い。
仰せのままに、と…花弁を小さく千切って、それを蓮の口へ。
「違っ。違うよ、梨乃ちゃん」
「え?」
「口移し、でしょ?」
「えぇぇぇ………」
高く昇る水と、降ってくる飛沫の中。
果たして、梨乃は口移しで食べさせてあげたのか?
残念ながら、それはわからないのです。
ほら、その、そこの木が邪魔でね。
見えないんですよ。いや、ほんとに。
まぁ…覗くのは無粋ってもんですよ。
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■■■■■ CAST ■■■■■■■■■■■■■
7433 / 白月・蓮 (しらつき・れん) / ♂ / 21歳 / 退魔師
NPC / 白尾・梨乃 (しらお・りの) / ♀ / 18歳 / INNOCENCE:エージェント
■■■■■ THANKS ■■■■■■■■■■■
こんにちは! おいでませ、毎度様です^^
気に入って頂ければ幸いです。 是非また、御参加下さいませ…^^
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2008.05.27 / 櫻井 くろ (Kuro Sakurai)
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