■INNOCENCE / 相合傘 (限定受注)■
藤森イズノ |
【7403】【黒城・凍夜】【何でも屋・暗黒魔術師】 |
雨降る中、相合傘で歩く二人。
いつもなら少し、うっとおしいと思う雨だけど、
キミと話していると楽しくて…気にならないから不思議だね。
雨振る中、相合傘で歩く二人。
他愛ない話で微笑んで、一緒に帰る、帰り道。
ゆったり静かな昼下がり。雨音ワルツとキミの声。
この時間が、永遠に。続けばいいと思ってた。
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INNOCENCE // 相合傘
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OPENING
雨降る中、相合傘で歩く二人。
いつもなら少し、うっとおしいと思う雨だけど、
キミと話していると楽しくて…気にならないから不思議だね。
雨振る中、相合傘で歩く二人。
他愛ない話で微笑んで、一緒に帰る、帰り道。
ゆったり静かな昼下がり。雨音ワルツとキミの声。
この時間が、永遠に。続けばいいと思ってた。
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マスターに頼まれて、とある薬を薬師から受け取ってきた凍夜と梨乃。
その帰り道、天気は生憎の雨模様。
二人は相合傘で、ゆっくり歩きつつ本部へ戻る。
小さく狭い梨乃の歩幅に、自然と合わせて歩く凍夜。
「マスター…大丈夫かな」
ポツリと梨乃が呟いた。
頼まれて取りに行った薬は、喉を癒すもの。
近頃、マスターはやたらと喉の痛みを訴える。
大魔法使いとはいえ、老人であることに変わりはない。
不調に悩むこともあるだろう。
これから、その悩みは増えていくに違いない。
けれど、俺達が何とか助けてやればいい。
出来うる限りのことをして、癒してやればいい。
そうすることしか、出来ないのだから。
大丈夫だよ、その想いをこめて、凍夜は微笑みかける。
その笑顔に諭されて、うん、と頷き微笑み返す梨乃。
並んで歩く、森の中。
もう、本部は見えている。
あと五分もすれば、いつもどおり。
マスターに薬を渡した後は、互いに自室に戻って、思い思いの時を過ごす。
時間になったらレストランに行って夕食をとって。
風呂に入って、また部屋に戻り、ベッドに潜って眠る。
いつもどおり、同じこと。生活に不満はないけれど。
そろそろ、限界だ。
この想いを、留めておけそうにない。
伝えたからといって、すぐに何かが変わるわけじゃないかもしれないけれど。
それでも、伝えずにはいられない。
口にして、伝えなくては、決して伝わらないのだから。
それとなく…何気なく。自分の想いを伝えてみようと決意した凍夜。
本部に着く前に言わねば、またタイミングを逃す。今しかない。
「梨乃」
「はい?」
「話したいことがあるんだ」
「はい…?」
「聞いて、欲しい」
「はい」
「俺は……」
探るように、ポツリポツリと、僅かに高鳴る鼓動に戸惑いつつ、放つ言葉。
息を吸い込み、想いを口に。しようとした時。
バシャァッ―
「きゃ!?」
「!!」
…何てタイミングで出てきてくれるんだ、貴様は。
あまりのタイミングに、苦笑する凍夜。
二人の前に、突如出現した魔物、ティルタ・プラント。
初夏の訪れと共に森に出現する、季節限定の大樹の魔物。
わっさりと全身に纏っている蒼い葉は、水の魔法の一種。
巨体ゆえに動作が遅く、迅速に討伐すれば、速攻でカタはつく。
レベル的には、下の上。まるで手強くない、ザコ魔物だ。
ザコだという点も、イラッとする原因の一つ。
まぁ、ここで強敵に出てこられたら、それこそ大迷惑だが。
せっかく意を決して想いを伝えようとしたのに。
こんなザコに邪魔されてしまうとは…不愉快極まりない。
持っていた傘を梨乃に預け、指先を躍らせて空に紋章を描く。
描くは、魔氷の調べ。
パチンと指を弾けば、紋章は蒼く輝き、凍てつく氷と化す。
放った氷は、ティルタ・プラントに纏わりつき凍り付いて、動きを封ずる。
下がってろ、と梨乃に告げ、彼女が木の影に移動したことを確認した後は、
せっかくのタイミングをブチ壊した邪魔者に適当なる制裁を。
描く魔風の調べ。碧に輝き、荒れ狂う風と化した紋章。
放つ魔風で、サクサクと枝と葉を切り落とし、丸裸に。
ただの枯れ木と化したら、両手を合わせて火葬の儀。
喚び出した黒炎は、龍の如し。
ティルタ・プラントを消し炭へと変える。
ものの三分で、討伐完了。
炭と化した魔物を踏みつけ、はぁ…と溜息を落とす凍夜。
傘を持ち、梨乃が駆け寄ってくる。
「えと…お疲れ様です」
「…あぁ」
「あの、凍夜さん」
「…何だ?」
「話したいことって、何ですか?」
「…いや、いい。また今度」
「………?」
*
本部に戻ってきた二人はズブ濡れ。
風邪引いちゃいますね、と梨乃はパタパタとバスプレイスへ行き、
タオルを持ってきて、濡れた凍夜の髪を少し背伸びして、ごしごし…。
一生懸命、水を拭う梨乃の姿を見ていたら、何だか妙に…虚しくなった。
何だかな…どうして、あそこでティルタが出るかな。
いや、理解ってる。理解ってるさ。
今は、ティルタがボコボコ出現する時期だ。
けれど…何も、あそこで出てこなくてもいいじゃないか。
はぁ、と溜息を落とし、クルンと梨乃を引っくり返し。
凍夜は、濡れた梨乃の髪を、わしわしとタオルで拭う。
何だこの…惨めな感じは。
「っくしゅ!」
「…大丈夫か?」
「は、はい」
凍夜が梨乃に想いを伝えることが出来るのは、まだもう少し…先になりそう。
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■■■■■ CAST ■■■■■■■■■■■■■
7403 / 黒城・凍夜 (こくじょう・とうや) / ♂ / 23歳 / 何でも屋・契約者・暗黒魔術師
NPC / 白尾・梨乃 (しらお・りの) / ♀ / 18歳 / INNOCENCE:エージェント
■■■■■ THANKS ■■■■■■■■■■■
こんにちは! おいでませ、毎度様です^^
気に入って頂ければ幸いです。 是非また、御参加下さいませ…^^
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2008.05.29 / 櫻井 くろ (Kuro Sakurai)
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