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■INNOCENCE / ノイシュの羽根 (限定受注)■

藤森イズノ
【0086】【シュライン・エマ】【翻訳家&幽霊作家+草間興信所事務員】
***

DEAR = INNOCENCE
CHARGE = \200000
OPTION = ※
ORDER = ROCK.FREEM
DEGREE = class "B"
REQUEST =
<聖なる鳥、ノイシュの羽根の入手>
依頼人は調剤士。万病に効くという、
聖なる白い鳥、ノイシュの羽根を採取してきて欲しいとのこと。
ノイシュの生息地は、聖なる山『フランテ』
※依頼人は、もう一つ同様の依頼を提出している。
二つを遂行した場合、オプション報酬は+\200000

DEGREE CLASS=
CRYZY SS-S-A-B-C-D EASY

***
INNOCENCE // ノイシュの羽根

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 OPENING

 DEAR = INNOCENCE
 CHARGE = \200000
 OPTION = ※
 ORDER = ROCK.FREEM
 DEGREE = class "B"
 REQUEST =
 <聖なる鳥、ノイシュの羽根の入手>
 依頼人は調剤士。万病に効くという、
 聖なる白い鳥、ノイシュの羽根を採取してきて欲しいとのこと。
 ノイシュの生息地は、聖なる山『フランテ』
 ※依頼人は、もう一つ同様の依頼を提出している。
 二つを遂行した場合、オプション報酬は+\200000

 DEGREE CLASS=
 CRAZY SS-S-A-B-C-D EASY

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 ふむふむ……? 聖なる鳥、かぁ。
 何だか、神話だとか、そんな感じよねぇ。
 この挿絵を見る限り、かな〜り神々しい鳥みたいだし……。
「うわ。翼を広げると十メートルもあるのね」
 ギョッと目を丸くして驚くシュライン。
 隣で一緒に資料を見やっている千華はクスクスと笑った。
「そうねぇ。これが凶暴化してるとなると……かなり危険なお仕事になるわね」
「んー。プレッシャーだなぁ」
「大丈夫よ。マスターから直々に御願いされたんだもの」
「それがまた、プレッシャーなのよぅ」
「平気平気。シューちゃんなら、余裕よ、余裕」
「そうよね。千華さんがいるしね」
「……わぁ。プレッシャー」
 マスターからシュラインへ、直々の依頼。
 聖なる山『フランテ』に棲む、巨鳥『ノイシュ』の羽根採取。
 羽根を必要としているのはマスターではなく、
 マスターの友人である調合師の男性。
 研究の結果、ノイシュの羽根が、万能薬の材料として使えることが判明したらしく、
 是非とも、羽根を入手したいとのこと。
 とはいえ、問題点が一つ。
 ノイシュの身に、先週から異変が起きているそうで。
 その異変というのが、まぁ、定番の……魔物の憑依。
 この異変もまた、依頼人が一番に気付いたのだが、
 彼には、どうすることも出来ず。
 ひととおり、色々と試してはみたのだが、どれも失敗。
 そこで、マスターに相談。
 結果、その依頼がマスター伝いにシュラインへ届いた、というわけだ。
 依頼を請けて早々、シュラインは千華を捕まえ、同行を御願いした。
 雪合戦のとき、千華さんの防御魔法ね、凄いなって思ったのよ。
 相手が相手だし、元々、私って戦闘向きじゃないから。
 守りを固めていこうと思って。徹底防御ね。
 で、頼りになる仲間が、もう二匹。
 タシとエク、ね。
 このコたち、すっごく頼りになるから。
「じゃあ、そろそろ行きましょうか」
 パタン、と資料を閉じて、真剣な眼差しで立ち上がるシュライン。
 千華は目を伏せ、了解と頷いてシュライン(とタシ・エク)の後をついて行く。
 事前の調査、資料漁り。
 そこで判明したのは、ノイシュは神のような存在だということ。
 それ故に、命を奪うことは出来ない。
 出来うることなら怪我もさせずに、無傷で……。
 けれど、凶暴化しているようだし、どうかな。
 かなり、難しいかもしれないわね。
 気を引き締めていかなくちゃ。

 *

 聖なる山『フランテ』
 ここは、常に吹雪、極寒の山。
 吐く息は真っ白。初夏だっていうのに、この寒さ……。
 事前に調べて、防寒はしてきたけれど、それでも寒い。
 まさか六月にもなって、こんな厚着することになるなんてね。
 うぅ……動き難い。
 モコモコと、ぬいぐるみのように動きつつ進むシュライン。
 サクサクと雪に足跡を残す、その姿は後ろから見ると、とても愛くるしい。
 (可愛い……)
 思いつつも、心の中に留め。
 任務中だもの。ふざけたこと言っちゃ駄目よね。
 シューちゃん、怒ったら怖いし。
 踏み入る前、シュラインは千華に指示して、山全体に光の結界を張ってもらった。
 もちろん、自分達にも。包み込むような、優しい光の結界を。
 目には見えないけれど、その結果は、確かに在る。
 柔らかな感触を、僅かに露出している肌に感じることが出来るから。
 シュラインの前を悠然と歩くタシとエク。
 道を作るように進む二匹は、とても頼もしい。
 寒さなんぞ、微塵も感じていないようだ。
 二匹の後を追うように進み、しばらく登山。
 手指の感覚が、もうない……耳も、千切れて飛んでいきそう。
 っていうか、耳、ついてる? 私の耳、ちゃんとついてるかしら?
 はふはふと、自分が吐く息に視界を遮られつつ進む中、
 ふと見上げれば、そこには巨鳥の姿。
 物凄いスピードで、グルグルと旋回している巨鳥。
「うわ……。元気過ぎない?あれ」
「んん〜。どうしよっか?」
 苦笑し合うシュラインと千華。
 さて、どうしたものか。
 手を伸ばしても、まるっきり届かない。
 だからといって、襲いかかってこようものなら、命の危険が……。
 っていうか、あれって威嚇行為……に見えなくもないのよね。
 私達に気付いてるのかな。だとしたら、苦笑してる場合じゃないのよね。
「乗って。千華さん」
「うん?」
 空を見上げたまま、タシの背中を叩いて言うシュライン。
 言われるがまま、千華はタシの背中に乗り、しがみつくように抱きついた。
 その咄嗟の判断は見事なもので。
 千華がタシの背中に、シュラインがエクの背中に乗った瞬間、
 彗星の如く、ノイシュが急降下してきた。
「やばっ!!」
「きゃあああああ!?」
 間一髪、タシ・エクの反射神経のお陰で攻撃を回避した二人。
 けれど、ノイシュはすぐさま舞い上がり、再びグルグルと旋回を始めた。
 降下してくるまでの、必要なモーション、だとすると。
 また、降りてくるわよね。
 やっぱり、私達に気付いてる。
 気付いて、敵視してるんだわ。
 回避し続けていても、どうにもならない。
 何とか、落ち着かせなくては。
 羽根を採取するのは、それからで十分。
「千華さん。光を操って、人の影みたくすることは可能かしら?」
「えぇ」
「じゃあ、ダミー、よろしく」
「はいはい」
 腰元から魔銃を抜き、灯した光を放つ千華。
 放たれた無数の光は雪の光と混ざり合い、
 ポツポツと、そこらじゅうに人影のようなものを出現させた。
 旋回しているノイシュは、戸惑っている様子。
 シュラインと千華は、手頃な雪山の影に隠れ、息を潜めて待つ。
 全てダミーだと、ノイシュが気付くのは降下し終えた後。
 長い嘴が人ではなく雪に突き刺さったことで、ノイシュは危機を悟る。
 だが、時、既に遅し。
 慌てて空に上ろうとするノイシュを、シュラインの能力が阻む。
 超音波に揺れる脳。 バサリと翼を揺らして舞い上がったものの、
 ノイシュは、ヘロヘロと雪の上に落下した。
 超音波を放ち続けることで、剥離。
 これは堪らん……と、ノイシュに憑いていた魔物がバシュッと抜け出た。
 一目散に逃げ出す、黒い靄のような魔物。
 戦り合うことになったときの対策も考えてはいたけれど、不安だった。
 故に、逃げ出してくれたことは有難い。
 雪の上で、くたっとしているノイシュ。
 歩み寄り、千華が治癒魔法で癒す。
 シュラインと千華、二人を見やるノイシュの瞳は、とても綺麗な蒼色。
 こうして見ると、うん、確かに……聖なる鳥、って感じだわ。
 神々しいっていうか……思わず、見惚れちゃいそうになるわね。

 さて。えーと……羽根を一枚、採取させてもらいたいのだけれど。
 人語は理解するのかしら、ノイシュは。
 理解できるのなら助かるんだけど、
 理解できないとなると、どうしようかな。
 ジェスチャーとか……? 何か、みっともないような気がするけど。
 うーん、と首をかしげていると、ノイシュが自身の嘴で、
 一枚、羽根をぷつんと取り、それをシュラインに差し出した。
 うわ……。 何だ、理解できるのね。
 人語どころか、考えてることまで理解っちゃうんだ。
 さすが、聖なる鳥……って感じ。
 ありがとうと微笑み、山を降りようとする二人。
 そんな二人の背中を、ノイシュが嘴でツンツンと突いた。
 振り返れば、そこには大きな翼を広げて、背中を向けるノイシュの姿。
 御詫びといっては何だけど、下までお届けしましょう。
 綺麗な瞳が、そう伝えているような気がした。
 せっかくだし、お言葉に甘えましょうか。
 聖なる山を、聖なる鳥の背中から見下ろし降りていく。
 貴重な体験に、シュラインと千華は顔を見合わせて微笑んだ。
 はしゃぎすぎて落ちそうになるタシ・エクを押さえながら。

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■■■■■ CAST ■■■■■■■■■■■■■

 0086 / シュライン・エマ / ♀ / 26歳 / 翻訳家&幽霊作家+草間興信所事務員
 NPC / 青沢・千華 (あおさわ・ちか) / ♀ / 29歳 / INNOCENCE:エージェント

 シナリオ参加、ありがとうございます。
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 2008.06.19 / 櫻井 くろ (Kuro Sakurai)
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