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■INNOCENCE / 白宵の議 (限定受注)■

藤森イズノ
【0086】【シュライン・エマ】【翻訳家&幽霊作家+草間興信所事務員】
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GATHER // ALL AGENT

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6月10日:イノセンス本部にて白宵の議を行う
所属エージェントは、極力参加されたし

今議目:顔合わせ / 大蛇討伐に関して / 夏宴に関して

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INNOCENCE MASTER

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INNOCENCE // 白宵の議

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 OPENING

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  GATHER // ALL AGENT
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  6月26日:イノセンス本部にて白宵の議を行う
  所属エージェントは、極力参加されたし
  今議目:大蛇討伐に関して / 夏宴に関して
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  INNOCENCE MASTER
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「会議……初めて参加するね……ちょっと楽しみ……」
「グルル……。 (訳:そうか?)」
 本部、セントラルホールを並んで歩くミリーシャとミグ。
 二人が向かうのは、一階にある会議室。
 本日、十五時より、イノセンス所属エージェント集結で白宵の議が実施される。
 小さなミーティングならば何度か経験しているが、ここまで大規模な会議は初めてだ。
 所属エージェントが集結するということで、ワクワクしている様子のミリーシャ。
 隣のミグは、どうだかなぁ、と苦笑している。
 会議室前、ほぼ同時に扉に手をかけた人物。
「あ。ミリーシャちゃん。こんにちは」
 ニコリと微笑む男。蓮だ。
「こんにちは……」
 ペコリと頭を下げるミリーシャ。
 今日も可愛いね、だとか、会えて嬉しいよ、だとか。
 お決まりの台詞を吐きながら、蓮はミリーシャの肩を抱いて、会議室の中へ。
 今に始まったことじゃないけれど、ちょっと微妙な心境だ。
 む〜……と顔をしかめているミリーシャ。
 隣を歩くミグは、やれやれと肩を竦めている。

 会議室に入って早々、嫌でも目に入る巨大なモニター。
 明日菜と藤二が、地下ラボから運んできたものだ。
 会議用ということで、色々と資料を映し出すつもりらしい。
「ちょっと、藤二くん。ちゃんと持ってくれるかなぁ〜」
「持ってるって。持ってるよ」
「嘘だぁ〜。絶対、チカラ抜いてるでしょ〜?」
「抜いてない、抜いてない」
 モニターを設置しつつ笑い合う明日菜と藤二。
 円卓にズラリと勢ぞろいしているエージェント。
 大きな欠伸をしている海斗と浩太は、激しく眠そうだ。
 その隣にいる梨乃は、何やら神妙な面持ちで資料を纏めている。
「あら。シューちゃん。香水変えた?」
「あ。わかります?」
「わかるわよ〜。いいわね、それ。ルベカの新作でしょ」
「さすが。 詳しいですねぇ」
 円卓に頬杖をついて香水談議をしているのは、シュラインと千華。
 ルベカの新作。夏限定フレグランス。かなり入手困難な代物だ。
 二人の会話は、自然と弾む。
 その隣、海斗・浩太のほかに、もう一人眠そうなエージェントがいる。
 あふぅ……と大きな欠伸をしたのは、麻吉良。
 うーん。眠い……。 ポカポカしてて気持ち良いなぁ、ここ。
 どうやら、昨晩、麻吉良・海斗・浩太の三人は、映画鑑賞に明け暮れたようで。
 揃って眠そうな顔をしている。 放っておけば、すぐさま眠ってしまうだろう。
 三人が、ウトウトしだした、その時だ。
 ブンッと大きな音を立てて、モニターに情報が表示される。
 準備完了、と合図を飛ばす明日菜と藤二。
 すると、マスターはウムと頷き、円卓をコツコツと叩いた。
 白宵の議、開始。

 *

 今回の議目は大きく分けて二つ。
 一つは、大蛇魔物の一斉討伐に関して。 もう一つは夏宴に関して。
 とりあえず、仕事に関するものから始めようか。
 そう言ってマスターは、エージェント達に手元の資料を見やれと指示した。
 大蛇魔物『ミズム』 本部から遠く離れた山中に生息している魔物。
 この魔物の一番厄介なところは、猛毒の唾液を吐き出すことにある。
 どんなに有能な者でも、この猛毒にやられてしまえば、ひとたまりもない。
 既に被害者は百を越えている。 迅速な討伐が望まれているのだ。
「分担するべきよね。役割的な」
 資料を見つつ、シュラインがポツリと呟いた。
 そこへ、麻吉良が補足とばかりに続ける。
「攻撃、援護、伏兵。 ってところかな」
 全員がバラバラに好き勝手に戦うよりも、
 役割をきちんと決めた方が、すんなりと遂行できるのではないだろうか。
 二人の案に、一同は頷き同意した。
「大きさは……どのくらいなの……?」
 チラリとマスターを見やって尋ねるミリーシャ。
 するとマスターは、明日菜に目配せを送った。
 合図に応じ、頷いてリモコンを操作する明日菜。
 えぇと、大蛇のデータは、どこだったかしら。
 カチカチと操作するものの、蓄積しているデータは膨大だ。
 どこに入れたか、すぐに見つ出すことは容易ではない。
 加えて、イノセンスに置いてある明日菜のデータバンクは、藤二との共有でもある。
 その為、情報量は半端ない。
 データを探す中、ちょっとしたハプニングが発生。
 パッとモニターに映し出される、セクシーな映像。※自粛表記
 静かな会議室に、色っぽい、イヤーンな声が響き渡る。
 咄嗟に、浩太の両目を覆い隠したシュライン。
 ミリーシャはポケーッと映像を眺めていた。
 隣のミグは、無論、呆れて大きな溜息を落とす。
「勘弁してよ」
 苦笑しつつ、映像を消す明日菜。
 藤二は目を伏せて「ご愛嬌」とケラケラ笑った。
「今の、今度貸してよ」
 藤二の隣で頬杖をついたまま、笑って乞うのは蓮。
 いいよ、と微笑み返す藤二。 二人は楽しそうにクスクス笑っている。
 まったくもう……と呆れつつも、照れくさそうに目を泳がせる梨乃。
 大事なデータバンクだっていうのに、何てモノを入れてるのかしら。
 困ったものよね、ほんと。 えーと……。あ、あった、あった。
 大蛇のデータを見つけた明日菜は、気を取り直して……と一つ、咳払い。
 大蛇『ミズム』は、全長約五メートル。
 ただし、それは『通常』の場合。
 臨戦態勢になると、グンと身体を伸ばして威嚇する。
 自分の身体を大きく見せる、一種の誇示行為と言えよう。
「大きいね……。油断大敵……」
「グルル……。 (訳:そうだな)」
 神妙な面持ちで頷き合うミリーシャとミグ。
 そこへ、蓮がハハッと笑って言い放った。
「毒持ってたって、頭は一つでしょ」
「だな。狙いどころはハッキリしてる」
 煙草に火をつけて微笑む藤二。
 うーん。二人は、随分と気楽に考えてるみたいだけど、
 ミリーシャちゃんの言うとおり、油断は大敵だと思うのよね。
 紅茶を飲みつつ、麻吉良と意見交換するシュライン。
 頭を狙うにしても、すんなりと狙わせてくれるわけもないでしょうから、
 狙いやすい状態に持っていくべきだと思うのよね。
 そうね。例えば……トラップだとか。
 梨乃ちゃんや麻吉良ちゃんの氷で動きを封じるって手もあるわよね。
 シュラインが放った『罠』案に、同時に頷く一同。
「魔法結界だとか、そういうものは可能なのかな」
 チラリとマスターを見やって尋ねる麻吉良。
 イノセンス設立以来、最も大きな仕事なだけに、
 今回ばかりはマスターも留守番しているつもりはないらしく、同行するとのこと。
 それならば、マスターに結界を張って貰いたい。麻吉良は願う。
「そうじゃな。前線は若いもんに任せて、ワシは後方支援といこうかの」
「頼もしい限りだわ」
 クスクス笑う麻吉良とシュライン。
 さて、こんなところかしら。
 話し合った結果を、的確に纏める明日菜。
 高速タイピングで作成する資料。
 モニターに表示された、その纏めに、一同は異議なしと頷いた。
 狙うべきは頭、その為に、動きを拘束。拘束結界はマスターに一任。
 各エージェントは、能力に応じて各チームに分散。
 前線で攻撃にあたるのは、ミリーシャとミグと海斗と浩太。
 アウトレンジからの攻撃にあたるのは、蓮と麻吉良と梨乃。
 伏兵として、回復魔法や援護にあたるのは、シュラインと明日菜と藤二と千華。
 それぞれが自身の役割を全うすれば、さほど苦戦はしないだろう。

 大蛇討伐に関する会議が終わり、お次は夏宴に関する会議。
 夏といえば祭り、ということで、宴を催すことになった。
 意外なことに、夏宴の発案者はマスターだ。
 何でも、テレビで見た『日本』という国の祭りに感化されたらしい。
 和気藹々と陽気に、楽しい祭りにできれば良いのぅ。マスターは淡く微笑む。
 それまで、一切の発言がなかった海斗が、ガバッと顔を上げて挙手。
「はいはいはいはい! 綿飴! 綿飴オンリーでイイと思いまーす!」
 突然ハッスルした海斗に、ビクリと肩を揺らして笑う麻吉良。
 び、びっくりしたぁ……。 本当、キミって、こういうことになると元気よね。
 さっきまで、置物みたいだったのに。まぁ、キミらしくて良いと思うけどね。
「綿飴オンリーって。味気なさすぎないかしら」
 クスクス笑って、各エージェントのティーカップに紅茶を注いで回るシュライン。
 確かに、綿飴だけっていうのは、微妙だ。
 というか、楽しいのは海斗だけになってしまうだろう。
「流しそうめん……食べたいな……」
 ポツリと呟いたミリーシャ。その言葉に、明日菜と千華が食い付く。
「あ、いいわね。涼しげで」
「流しそうめんって何かしら」
 そもそも『そうめん』というものを知らない。
 故に千華を初め、イノセンス構成初期メンバーの面々は興味津々だ。
「グルル……。 (訳:こんな感じだな)」
 器用にペンを咥え、流しそうめんの様子を描き出したミグ。
 ものの一分で描き出したそれは、一枚の絵画のように見事な描画だ。
 先ず驚くべきはそこ。 次いで、事を理解した構成初期メンバーは楽しそうだと笑う。
 林檎飴だとか、焼きソバだとか、チョコバナナだとか、射的だとか、金魚すくいだとか。
 知り得ている限り、祭りの情報を、次々と口にしていくエージェント達。
 最中、海斗は提案した。 祭りは、湖畔でやろーぜ、と。
 彼が言う湖とは、本部のすぐ傍、森の中にある聖なる湖を示す。
 なるほど、確かにあそこなら、気兼ねなく大騒ぎ出来そう。
 海斗の提案に、ノリノリな一同。
 キャッキャと祭り話をしているメンバーを見やりつつ、
 ゆったりと珈琲を飲んでいる男が二人。
「湖畔ねぇ。なら、浴衣は必須だよなぁ」
 微笑みつつ言った藤二。
 珈琲にミルクを入れながら、蓮は即座に言った。
「いいね。賛成」
「だよなぁ。いいよなぁ、浴衣美人」
「きっちり着込んだコを崩すのが、また良いよね」
「わかってるねぇ、さすがだねぇ」
「元通りに着れなくて、着崩れとかしてると、更に良いよね」
「あっはははは。激しく同意」

 *

 午後十八時。白宵の議は終了。
 半分以上、夏宴に関する話し合いに時間を費やしてしまったが、
 それもまた彼等、イノセンスのメンバーらしい展開だ。
 ミリーシャの希望で、会議の後は和洋中のバイキングディナー。
 とりあえずキリがないからと、会議は終了したものの、
 一同の夏宴に関する興味と提案は尽きないようで。
 食事を楽しみつつ、話し合いは続行された。
 大蛇討伐に関しては、見事に纏まったけれど、
 夏宴に関しては、一向に取り纏められない状態だ。
 各々が、好き勝手に自分の欲するものを口にするが故に。
 賑やかな祭りになりそうだけれど……大丈夫かな。
 結局、いつものように、無法地帯でどんちゃん騒ぎ、な感じになってしまうのでは。
 まぁ、それはそれで良いとは思う。楽しければ、何でもアリだ。
 おそらく、全員、そう思っていることだろう。

 言葉を交わして、想いを交わして、互いのことを知る。
 何を好み、何を嫌い、どこに楽しみを見出すのか。
 接する時間が長ければ長いほど、相手が見えてくる。
 とめどなく膨らむ、仲間を愛しく想う気持ち。
 議の真意は、そこにある。
 弾ける笑顔と笑い声の中、マスターは目を伏せ淡く微笑んだ。

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 ■■■■■ CAST ■■■■■■■■■■■■■

 7433 / 白月・蓮 (しらつき・れん) / ♂ / 21歳 / 退魔師
 6814 / ミリーシャ・ゾルレグスキー / ♀ / 17歳 / サーカスの団員・元特殊工作員
 7274 / ー・ミグ (ー・みぐ) / ♂ / 5歳 / 元・動物型霊鬼兵
 7390 / 黒崎・麻吉良 (くろさき・まきら) / ♀ / 26歳 / 死人
 0086 / シュライン・エマ / ♀ / 26歳 / 翻訳家&幽霊作家+草間興信所事務員
 2922 / 隠岐・明日菜 (おき・あすな) / ♀ / 26歳 / 何でも屋
 NPC / 黒崎・海斗 (くろさき・かいと) / ♂ / 19歳 / INNOCENCE:エージェント
 NPC / 白尾・梨乃 (しらお・りの) / ♀ / 18歳 / INNOCENCE:エージェント
 NPC / 赤坂・藤二 (あかさか・とうじ) / ♂ / 30歳 / INNOCENCE:エージェント
 NPC / 青沢・千華 (あおさわ・ちか) / ♀ / 29歳 / INNOCENCE:エージェント
 NPC / 黄田・浩太 (おうだ・こうた) / ♂ / 17歳 / INNOCENCE:エージェント
 NPC / イノセンス・マスター / ♂ / ??歳 / INNOCENCE:マスター(ボス)

 シナリオ参加、ありがとうございます。
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 2008.06.26 / 櫻井 くろ (Kuro Sakurai)
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