■INNOCENCE / 梨乃の誕生日@2008 (限定受注)■
藤森イズノ |
【7403】【黒城・凍夜】【何でも屋・暗黒魔術師】 |
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AGENT CODE // 000005-RTLeeG
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AGENT NAME // RINO.SHIRAO
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SEX DISTINCTION // WOMAN
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BIRTH DAY // 6.12
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INNOCENCE // 梨乃の誕生日
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OPENING
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AGENT CODE // 000005-RTLeeG
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AGENT NAME // RINO.SHIRAO
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SEX DISTINCTION // WOMAN
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BIRTH DAY // 6.10
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あら…。 梨乃ちゃんって、10日が誕生日なんだ。
知らなかったわ。っていうか、聞いてなかったわね、そういえば。
廊下で拾った、梨乃のエージェントカード。
そこに記された誕生日を見て、梨乃の誕生日を知ったシュライン。
うーん。 知ったからには、何かお祝いしてあげたいわよね。
どうしようかな。 やっぱり、パーティかしら。定番だけど。
むぅ〜と首を傾げて考えていると、背後から声が掛かる。
「何、してるんだ?」
「んっ?」
振り返れば、そこには凍夜。 同じ、イノセンスの仲間だ。
凍夜は、手に料理本を抱えている。
彼が料理好きだという噂は、聞いたことがない。
むむ? と首を傾げて、シュラインは悟る。
あ、もしかして……凍夜くんも、同じこと考えてる?
「ねぇ、それって。 もしかして、誕生日のお祝い?」
「あ。 あぁ、まぁな」
ニンマリと笑うシュライン。
そっかそっか。 やっぱりね。
っていうか、さすがね。彼女の誕生日、しっかり覚えてるんだ。
クールだとか色々言われてるけど、可愛いとこあるじゃない。ふふ。
自分も、お祝いしてあげようと色々考えていたんだ、と伝えるシュライン。
それならば、皆で賑やかにお祝いしてあげよう。
そういうことになり、二人は二階テラスで作戦会議。
サプライズな感じでいきたいから、梨乃にはギリギリまで黙っていよう。
知り合いが経営してるカフェを貸切にさせてもらおう。
折角だから、ディテクターにも協力してもらおう。
プレゼントは、何が良いだろうか?
あれこれ作戦を立てる内、決定していくパーティの内容。
定番なサプライズパーティかもしれないけれど、十分。
賑やかに、皆で楽しく、お祝いしてあげるのが一番だと思う。
それじゃあ早速、とディテクターに連絡を入れるシュライン。
向かいに座る凍夜は、真剣な面持ちで料理本を捲っていた。
さて……何を作ろうか。
あいつに比べたら、俺の料理なんて全然大したことないだろうけど。
けど、それでも作ってやりたい。
普段やらないことをして、驚かせてもみたい。
プレゼントも考えなきゃな。 何が良いんだろう。
女に何かを贈るなんて初めてのことだ。
どういうものが喜ばれるのか、さっぱり理解らない。
悩みつつ、凍夜は、ふと顔を上げた。
ディテクターと携帯で会話するシュライン。
そうだ。 目の前に、こうして梨乃と仲がいい奴がいるんだ。
相談するべきだろうな。 ……微妙に照れくさいけど。
「梨乃ちゃん。ちょっと良いかな?」
「あ、はい。どうぞ」
扉をノックし、二人で踏み入る梨乃の部屋。
シュラインと凍夜が揃って来たことに、梨乃はキョトンとしている。
珍しい組み合わせだなぁ……などと考えていると、
シュラインが、拾ったエージェントカードを渡して言った。
「明日ね、IO2との共同任務があるの。パーティ潜入捜査なんだけど」
「あっ。ありがとうございます。……共同任務? え? でも、リクエストボードには……」
「ついさっき緊急で決まったのよ。でね、梨乃ちゃんにも同行してもらいたいんだけど」
「あ、はい。わかりました。 ……凍夜さんも、行くんですよね?」
「あぁ」
共同任務、パーティ潜入捜査。
間違ってはいないけれど、それは巧みな嘘だ。
けれど、真面目な梨乃は疑うことなく承諾。
仕事ならば、どんな内容でも協力する。 それが梨乃のモットー。
まったくもって疑っている様子のない梨乃を見て、
顔を見合わせ、小さく頷くシュラインと凍夜。
サプライズパーティの準備は、着々と進んでいく。
*
翌日―
本部キッチンにて、黙々と料理を作っている凍夜。
早朝、静かなキッチン。誰もいない……ということもなく。
キッチンの入口では、シュラインが待機。
運び出しの手伝いと、警備を兼ねている。
「ちょっとだけー。ちょっとだけでいーからさー」
「駄目〜」
「ちょっとだけでいーからぁぁぁ」
「駄目です〜」
早朝だというのに、いち早く美味しそうな匂いを嗅ぎつけてやって来た海斗。
動物並みの嗅覚ね、本当。
けど、駄目よ。海斗くんだって理解ってるでしょ。
凍夜くんが『誰の為に』料理してるか、ってこと。
めげずに何度も進入を試みる海斗を制止する。
その繰り返しの中、完成した料理。
自分で言うのも何だけど、かなり良い出来だと思う。
あいつが好きなもの、ふんだんに使ったんだ。
喜んでくれると良いんだが……どうかな。
貸し切ったカフェに料理を運ぶ最中、ちょっと不安そうな顔をしている凍夜。
シュラインはクスクス笑い、凍夜の背中をポンと叩いて「大丈夫よ」と自信満々に言った。
「千華さん。 これ、ちょっと気合入りすぎじゃないですか……?」
「そんなことないわよ。 豪華なパーティだからね」
「そ、そうですかぁ?」
千華コーディネイト。可愛らしいドレスを纏う梨乃。
確かに、IO2との共同任務というからには、豪華なパーティなんだろうけど。
それにしても、これはちょっとやり過ぎな気がする。
浮いちゃうんじゃないだろうか……と不安気な梨乃。
頭のてっぺんから足の先まで、見事に彩られたのは、
シュラインから千華への指示によるもの。
とびっきり可愛くしてあげて。
シュラインの指示どおり、千華は任務を全うした。
んー。 確かに、ちょっと、気合入れすぎちゃったかもしれないけど。
主役だしね、今日は。 このくらいで、丁度いいと思うのよ。うん。
今だに戸惑いが拭えない様子の梨乃の手を引き、歩き出す千華。
向かうのは、貸切カフェ。 パーティの舞台へ。
*
カフェの入口で合流する一向。
シュラインも凍夜も、ディテクターも、ちょっと、おめかししている。
けれど、自分ほどではない。 やっぱり、やり過ぎなんじゃ……。
違和感を拭えぬまま、一向の後を追う梨乃。
ディテクターが扉を開けた瞬間、妙な光景。
どういうことだろう。 カフェの中は真っ暗。
「パーティの筈なのに……おかしいわね」
「何か、あったのかもしれないな」
異変を悟った『フリ』をするシュラインと凍夜。
二人に乗っかる形で、ディテクターと千華も銃を構えて神妙な面持ちに。
一向の表情から、事件の匂いを嗅ぎ取った梨乃。
慌てて、自分も魔銃を抜いて構える。
ちょっと出遅れた感は否めないけれど……。
ディテクターを先頭に、ゆっくりと暗い店内を進む。
途中、何か躓きながらも後を追う梨乃。
カフェの中心。 床で光る目印のテープ。
よし、と頷いて、パチンと指を弾くディテクター。
すると、パッと店内が明るくなり、
同時に、クラッカーの音が響き渡った。
「!!」
眩しさと音に驚き、咄嗟に目を伏せた梨乃。
次第に慣れてくる目、ゆっくりと目を開けば、
そこには美味しそうな料理と、プレゼントの山。
「え……?」
キョトンとしている梨乃に、一向は声を揃えてお祝いの言葉を贈る。
誕生日、おめでとう。
その言葉を聞いた瞬間、全てを理解するに至る。
潜入捜査だなんて、嘘。 共同任務だなんて、嘘。
全部、自分の為に仕組まれた……素敵なサプライズ。
驚きはしたものの、やはり嬉しい。
照れくさそうに笑う梨乃。
そんな彼女の手を引き、シュラインは言う。
「まずは、梨乃ちゃんにしか倒せない炎と手合わせ願います」
微笑み言うシュラインが示すもの。
それは、巨大なチョコレートケーキ。
皆でデコレーションしたそれは、かなりゴテゴテ。
海斗や浩太が調子に乗りすぎたことで、
ケーキというよりは、ただの『甘い塊』と化している。
苺やクリーム、フルーツ、キャンディ……。
様々なもので飾られたケーキの上には、蝋燭が立ち並んでいる。
皆に拍手されつつ、ふぅっと吹き消す、その灯り。
賑やかなパーティの始まり。
どうしてかな。 すごく嬉しいのに。 何でだろう。
泣きそうになっている自分がいた。
「梨乃ちゃん。はい、これ」
「あ、ありがとうございます。開けても……いいですか?」
受け取ったプレゼントに微笑み尋ねる梨乃。
シュラインは、もちろんと微笑み返した。
梨乃に、シュラインが贈ったプレゼント。
それは、二種類のルーペ。
ペーパーウェイト型とペンダント型。
「本を読むときに、使ってね」
「わぁ……。 可愛い。ありがとうございます」
「ふふ。 どういたしまして」
会場の真ん中で微笑み合うシュラインと梨乃。
既に、会場は大宴会場と化している。
海斗は、いつもの如く、料理にがっついて。
千華は、その隣で笑いながらワインを楽しみ。
藤二は例によって、ナンパ三昧。
で、浩太はレイレイと仲良く御話。
ディテクターは、それを監視。
何だかな。 こうなるだろうとは思ってたけど。
まぁ、賑やかなのは良いことだ。
楽しい雰囲気であれば、問題ない。よな? 多分。
会場の一角、ソファに座って苦笑している凍夜。
キョロキョロと辺りを伺い、凍夜を発見するシュライン。
(あ、いたいた……)
淡く微笑み、梨乃を御案内。
お姫様を、王子様の元へ。
(ごゆっくり)
パチリとウィンクを飛ばして去っていくシュライン。
何だよ、それ……。 苦笑しながらも、凍夜は立ち上がった。
梨乃を連れて、会場の隅っこへ。
死角に入り込んだ二人を確認することは出来ない。
「梨乃。えーと。おめでとう」
「ありがとうございます」
照れくさそうに頭を掻きつつ、心からお祝いの言葉。
述べた後は、プレゼントを贈る。
シュラインに相談し、選んだプレゼント。
ふわふわ、桃色うさぎのぬいぐるみ。
首に巻かれたリボンが、何とも可愛らしい。
これを、凍夜が買いに行ったのか。
恥ずかしかったんじゃないだろうか。かなり。
ぬいぐるみを買っているときの凍夜を想像して、クスクス笑う梨乃。
「…………」
何故、彼女が笑っているのか。
それを理解している凍夜は、ほんのりと耳が赤い。
「ありがとう。嬉しい。すごく、嬉しいです」
目を伏せ、キュッと凍夜に抱きつく梨乃。
笑う梨乃の頭を撫でやる凍夜は、幸福を覚えていた。
誰かの喜ぶ顔に、こんなに満たされるものなのか。
お前だからだな。きっと、いや、絶対。
「あれー? 凍夜と梨乃はー?」
料理を頬張りつつ、辺りを見回す海斗。
ソファに並んで座り、ワイングラスを合わせるシュラインとディテクター。
二人は知っている。彼等が、どこにいるか。
でも、教えてあげない。
察してあげなさい。無粋なこと言わないの。
顔を見合わせてクスクス笑う二人。
彼等もまた、幸福を覚えていた。
賑やかなパーティ会場。
気の知れた仲間同士で祝う、誕生日。
忘れられない思い出の一つに、なりますように。
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■■■■■ CAST ■■■■■■■■■■■■■
0086 / シュライン・エマ / ♀ / 26歳 / 翻訳家&幽霊作家+草間興信所事務員
7403 / 黒城・凍夜 (こくじょう・とうや) / ♂ / 23歳 / 何でも屋・契約者・暗黒魔術師
NPC / 黒崎・海斗 (くろさき・かいと) / ♂ / 19歳 / INNOCENCE:エージェント
NPC / 白尾・梨乃 (しらお・りの) / ♀ / 18歳 / INNOCENCE:エージェント
NPC / 赤坂・藤二 (あかさか・とうじ) / ♂ / 30歳 / INNOCENCE:エージェント
NPC / 青沢・千華 (あおさわ・ちか) / ♀ / 29歳 / INNOCENCE:エージェント
NPC / 黄田・浩太 (おうだ・こうた) / ♂ / 17歳 / INNOCENCE:エージェント
NPC / ディテクター(草間・武彦) / ♂ / 30歳 / IO2:エージェント(草間興信所の所長)
NPC / レイレイ(草間・零) / ♀ / ??歳 / IO2:エージェント (草間興信所の探偵見習い・武彦の妹)
シナリオ参加、ありがとうございます。
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2008.06.25 / 櫻井 くろ (Kuro Sakurai)
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